フリージア
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「そのあとは入院先で里香ちゃんと憂太くんと出会って…
2人と過ごしている内に心の整理がついていったら少しずつ呪霊がまた見えるようになって、呪力も元に戻っていってた時に悟くんが迎えに来たの
本当はちゃんと2人に別れの挨拶をしたかったんだけど、私の呪力…というよりイタコの術式が呪霊を呼び寄せるみたいで危険だからその暇もあまりなくて」
「っ、呪霊を呼び寄せる…御神体様って」
「…イタコの術式は次の御神体様に受け継いていっていたものだからね
本来なら私はここにはいなかったと思うよ
将来的には村を守るための生贄になるしかなかったんだろうね」
だから、お兄ちゃんは集落の外に私を逃がしたかったのだろう
本当に村の人を嫌っていたわけではなかったとは思うけど…誰かの犠牲の上で守られる安泰をいいとも思ってなかったんだろうな
「そんな…それって死んでも無理矢理その村を守らさせられるってことでしょ?」
「私はそれでも良かったの」
息を飲む音が聞こえた。
信じられないという表情を憂太くんに向けられるがそれに苦笑いをしながらも続ける
「村の人達が大切だからその為ならこの命をかけても
でも、もう守るべき場所はなくなったからもう私で御神体様は終わり…この術式は私が死ぬまで誰にもあげない、だって、お兄ちゃんの…みんなの形見と呼べるものはこれしかないから」
そう言って笑顔を向けると腕を引かれて抱きしめられた
真希ちゃんはモヤシって言ってたけど、ちゃんと男性らしい体格になった彼に抱きしめられて胸が高鳴る
どうしようかと手を彷徨わせていると里香ちゃんの指が出てきて私の髪を優しく撫でた
慰めるように、大丈夫だとでも言うように。そう感じたら今まで我慢していたものが溢れるように声を出してしまう
「ご、めんね…ちゃんと、お別れできなくて…本当は寂しかった。すごく寂しかったの
2人のことが大好きだからずっと一緒にいたかった。離れたくなかった」
「…僕達も離れたくなかったよ」
「でも、術式のせいで2人が危険な目に合う可能性を考えたら…亡くなったみんなのこと思い出しちゃって
私は2人に救われたから…2人を守れるようになるまでは会えないと思って」
「うん」
「でも、…私…高専に2人が来てくれて嬉しくて、すっごく安心して…」
大事な人がこの高専でもたくさんできた。村の人のことも大切なままだ
でも、それなのに、里香ちゃんと憂太くん以上の存在はいなかった。ずっと心のどこかには2人がいて会いたくて話したくて傍にいたくて
なんで2人にこんなにも執着してしまうのか自分でもまだわからないけど、恋のせいだというのならこれは私の我儘だ
口を閉じないと、これ以上はいけないと思っているのに言葉も涙も止まらない
「虫のいい話なのはわかってるけど…
2人と一緒がいい…
私もっと強くなるから、どんな呪霊も倒すから
だから、これからは憂太くんと里香ちゃんの傍にいさせて…
2人のことが大好きだよ…誰よりも…何よりも」
憂太くんの体を抱きしめ、里香ちゃんの指に手を添える。暖かい場所…幼い頃からこの暖かさは変わらない
2人といることが幸せで私からしたら救世主のようだった。村のことで落ち込んで髪も真っ白になって死のうとも考えていた時に里香ちゃんが声をかけてくれて、1人で村のことを思い出しては泣いていたところを憂太くんが慰めてくれて、少しずつ笑えるようになっていって
いつも優しく話しかけて手を引いてくれる2人のことがいつの間にか大好きになっていた
私が唯一普通の女の子のようになれる瞬間
「里香もすずめすきぃいいい
さぁんにんでずゥーとイっしょぉおおお」
「え…」
「そうだね、里香ちゃん…
あのねすずめちゃん。本当は君が退院した日に驚かせようって里香ちゃんと話していたことなんだけど」
そう言いながら憂太くんが取りだしたのは指輪だ。少しかけてしまっているけど憂太くんが持っているのとお揃いのもの
「やっとわたせるね」と微笑みながら私の左の薬指にはめる動きに驚いて何も言えなくなる
「僕と里香ちゃんが結婚する約束をした話には続きがあって
君が退院したら3人で婚約してずっと一緒にいようって里香ちゃんと話してたんだ
これは里香ちゃんが君に渡す為に持っていた指輪。事故で少しかけちゃったけどね…」
「2人は…お互いが好きなんだよね?」
「もちろんだよ。でも、すずめちゃんだって僕と里香ちゃんのことが好きでしょ?
それと同じで僕らもお互いとすずめちゃんのことが好きで愛してるんだ
昔から…ずっと…君は気づいていなかったけど」
その言葉に目を見開く、2人がお互いを好きなのは見てわかっていたしそこに入る隙はないと思っていた
でも、その感情を私にも向けていてくれて…
「え!?なんで、泣いてるの!?」
「ごめ…う、嬉しくて…
私も!憂太くんと里香ちゃんのことが大好き…愛してる
不束者だけど、私も2人と一緒にいたい」
そう言った瞬間に憂太くんに思いっきり抱き締められた
よかった…と安心したように強く抱き締められて少し苦しいけど先程の自信ありげに告白してくれた姿と違って少し頼りない感じが面白くて小さく笑ってしまう
そんな私たちをまとめて抱きしめるように里香ちゃんの手に包み込まれまた泣きそうになった
「ずっと傍にいさせてね」
「もちろんだよ。今度は何処にも行かないでね」
涙声で言う言葉にお互いに格好がつかないなと思いながらも
とても幸せで暖かな空間に身を任せるように目を閉じた
…To Be Continued