フリージア
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私の生まれ育った場所は地図にものらないような集落だった
そこでは、御神体と呼ばれる神の子とされる人がいてその人は『御神体様は神を宿す清い人だから簡単に話しかけてはいけないし、呼んではいけない』と言われていた
ある日、私が呪霊に襲われた時にそれを祓ってくれたのがその御神体様と呼ばれた人だった
「…みえるんだな、呪霊が
可哀想に…お前もイカれたアイツらの思想を押し付けられちまうんだな」
そう悲しそうに言う御神体様は私を抱き上げると優しく頭を撫でてくれた
言いつけ通りに話をしないように口を閉じていたけど、お礼を言わないのも失礼な気がして
「ありがとう、ございます…ご、しんたいさま」
「ああそう呼んでるのか
俺は紫季だ。し、き。紫の季節で紫季」
「紫季様?」
「様もいらんし…お兄ちゃん呼びでもいいぞー」
「お兄、ちゃん…」
「おう!よろしくな!」
太陽みたいな笑顔は本当に神様みたいにキラキラと輝いて見えた。翌日には集落全体に私も御神体様になったと村で1番位の高い、御神体様専用の社のようなとこで住むことになった
それから、お兄ちゃんは呪霊のことやその祓い方たまに外から来る呪術師の人達…いろんなことを私に教えてくれた
御神体様と私達の村では呼ぶけど、本来は呪術師と言うのだとお兄ちゃんは言っていた
そして
「いつかは、外で暮らそう。この村はおかしい」
「でも、みんな優しいよ」
「普段はな…。すずめも御神体…
いや、呪術師としてここで暮らしていたら嫌でもわかるようになる」
そう話す彼はとても辛そうな顔をしていた
私はなんでそんなことを言うのか、そんな顔をするのかわからなくてその時は何も言えなかった。
でも、その意味を理解する日はすぐに来た
「禊をお願いします…」
と集落の中でも有権者である人が頭を下げに来た
その言葉を聞いた途端、お兄ちゃんは顔を顰めていたが準備をすると言い普段から彼が作っている御札を巾着に入れた
少し迷ったような表情をした後、「すずめも着いておいで」と手を引かれた
着いた先は子供は近づいてはいけないと言われている村外れの洞窟だ。松明の光を頼りに奥に進むとそこは檻のようになっており、中には苦しそうに倒れている人がいたが、それよりも驚いたのはその人に憑いた呪霊だ
当時はとても悪いものとしかわからなかったが、1級…下手したら特級程の力があったのかもしれない。それ程に恐ろしいものだった
「すずめ、そこで見てろよ」
お兄ちゃんは取り出した御札を牢の左右に貼り何か呪文を唱えた。すると、呪霊はゆっくりと目を閉じその場で眠りにつく
中にいる人は少し呼吸が落ち着いたが生きているのが不思議なぐらい体は痩せこけて顔色も悪かった
「御神体様、ありがとうございます」
「…行くぞ」
「え、でも、あの人」
「助けられない…いや、助からないんだ、もう」
とても苦しそうな顔で出口に向かう彼を慌てて追うと、背後から「助けて、紫季」というしゃがれた女性の声が聞こえた気がした
あそこは禊の祠らしい、元御神体様を呪霊と共に閉じ込め村への災いを食い止めているのだとか
簡単に言えば生贄や人柱のようなモノだと教わった。
今あそこに閉じ込められてる人はお兄ちゃんの師匠なのだとならば助けたいと子供ながらに思った私は修行で使っていたクナイを持ち1人であの祠に向かった
掟破りだとしてもよかった。だってお兄ちゃんは私にとっての家族でヒーローだったから恩返しがしたかった
それが間違いだと、何故、あの時お兄ちゃんは助からないと言ったのかを理解してなかった私は過ちを犯した
…To Be Continued