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第4話
君も来るだろう?
その差し出された手を払ったのは紛れもない私で
背を向けていなくなる先輩に何も言えずに見送ってしまったことは未だに後悔している
あの時、何かを言えていたら変わったのだろうか…その答えはきっとわかることはない…
こんなのは
「…呪いだ」
夏油先輩は優しい憧れの先輩で、当時は彼の言葉に一喜一憂してそれが楽しくて。あれが恋だったのかはよく分からない…
呪詛師となった先輩が迎えに来てくれた時は、彼の理想に同意はできなかったし今もできない。非術師でも呪術師でも何でも良い人はいるし悪い人はいる
それが私の考えだから、嫌いな人もいるけど殺意までは持ったことは無い。被害を広めない為にも呪詛師を殺さないといけないことも何度もあった。その度に罪悪感に襲われた
でも、そんな甘い考え方だと呪術師としてはやっていけないと思ったから私は大切なものを作らないことにしたのにそれを五条先輩は許してくれないのだ
「…嫌い、嫌い、大嫌い」
そうなるように、そうなれと思い今日も自分を呪い続ける
愛なんていらない知らない消えろ消えろ消えろそんなのは必要ないんだから
私はもっと呪術師らしく狂わないといけないんだから
「私はもう誰も愛さない」
-----...
「おはよー!」
「…おはようございます。もう10時になりますけど」
ハイテンションな五条先輩に顔を顰める。昨日のことが無かったかのように話すところにどこか安心感と少しの罪悪感
私は片手に持った箱を持ち直しゆっくりと五条先輩の後ろを歩く
「そういえば、それなに?」
「…有名パティシエが作った先着10名限定のイチゴタルトです
ワンホール売りのみなので、どうせなら食べるのを手伝わせようと思って持ってきました」
「やったー」
「五条先輩だけのじゃないので生徒さんにも配ります」
どうせ、生徒と会わせるつもりでしょうと続けると明るく正解という言葉を返された
五条先輩の向かった先は懐かしい運動場だった。そこでは、パンダと禪院真希が組手をしており階段のところに狗巻棘と乙骨憂太が二人を見ながら談笑をしていた
1年生達のことは耳に入っていた全員がそれぞれ特殊というのもあるけど…
乙骨くんの膝で休んでいた管狐が私の気配が近づくと起き上がりこちらに駆け出してきた
「わっ、え、どうしたの??」
と慌てた様子で管狐の行き先を目で追う乙骨くんと目が合うと驚いた表情をされる
どうしてここに!?と声を上げる彼を気にせず管狐を撫でながら肩に乗せる
その声に狗巻くんもこちらに視線を移してくるのを感じた
「僕が連れてきたんだよ
高専の先生にならないかって」
「え、先生になるんですか?」
「なりません
久方振りに母校を見に来ただけです
これ、お土産です。みんなで一緒に食べましょう」
乙骨くんの手にイチゴタルトの箱を持たせる
また、甘いものですか?と問う彼に今日のは有名パティシエの物で早朝から並ばないと手に入らない素晴らしい1品ということを力説した
そんな、話をしていると「八雲!?」と驚いたような声が聞こえた
「…お久しぶりです
元気そうで何より、修練は続けていたのですね
組手を少し拝見しましたが、一段と強くなったようでとても良い動きをしています」
「お、おう!じゃなくて
どこに居たんだよ!?急に来なくなって、花山院とこの人に聞いても何も教えてくれねぇし」
「もう勘当されたものだと思っていましたが…まぁあの人たちがそんなことするわけないか
私はフリーで働きたいので家元を離れました。それだけです」
「そうかよ。つか、何で敬語?」
「…こっちに慣れてしまって」
ふーんと訝しげにこちらを見る真希ちゃん。幼い頃から彼女のことは知っているしフィジカルギフテッドに気づいた時には良いものを持ってると感心したものだ
私は呪力で担っているだけで本来の筋力はあまりない。そもそも筋肉も脂肪もつきにくい体質というのもある
「えっと、知り合いなの?」
「私の師範」
「軽く手解きしただけです。ほぼ彼女の実力ですし
体術だけなら彼女の方が私より数段上です
真希ちゃんとの組手はいい経験になります
これからも続けてもらうといいですよ」
乙骨くんの問いにそう言うと照れたように顔を逸らす真希ちゃん
昔と変わらない反応に少しだけ懐かしい気持ちになり頬が緩みそうになってしまったのをすぐに引き締める
「今…」
「なにか?」
「ぅえっ!?な、なんでもないです」
余計なことを言いそうだった乙骨くんを軽く睨む
そして蚊帳の外だった他の生徒さんの方を見る
「紹介はいる?」
「結構です。今年の1年生の話は耳にしています
私は1級呪術師の八雲です。所謂OBですね
あまり関わることはありませんが優秀な生徒さん達となら、任務先で会う機会もあると思います
以後お見知り置きを」
「おう、よろしく」
「しゃけ」
狗巻くんの返答は肯定で合っているだろうか、呪言師であるが為におにぎりの具のみで会話をするとは聞いていたが理解まではできていない
ニュアンスでしか理解をしてあげられないことに少しの申し訳なさがあるが致し方がない
「…すみませんが君の言葉を理解するには時間がかかりそうです」
「ツナツナ」
「気にすんなってさ」
「えっと、ありがとうございます」
軽く会釈をしながらお礼を言っていると、自己紹介もそこそこにとりあえずイチゴタルトを食べようと五条先輩が言い出した
まるで自分が準備したかのように仕切り出す先輩にため息をつく
「あの、何かあったんですか?」
「なぜ?」
「なんとなく…さびし…じゃなくて
んー、雰囲気が??」
彼は優しい良い子だ。私が寂しいというのを全否定するのをわかっているから言葉を選び直したのだろう
そんな姿に少し心が安らいでしまった
「君は人が良すぎますね。本当に呪術師ですか?」
「え!?それはどういう…」
「褒めてます」
「褒めてたんですか!?」
「…本当に君は」
「え?」
「なんでもないです」と強めに言ってイチゴタルトを食べ始める五条先輩に文句を言いに行くことにした
後ろで何かを彼が呟いた気がしたけど聞き返すことは無かった
…To Be Continued
君も来るだろう?
その差し出された手を払ったのは紛れもない私で
背を向けていなくなる先輩に何も言えずに見送ってしまったことは未だに後悔している
あの時、何かを言えていたら変わったのだろうか…その答えはきっとわかることはない…
こんなのは
「…呪いだ」
夏油先輩は優しい憧れの先輩で、当時は彼の言葉に一喜一憂してそれが楽しくて。あれが恋だったのかはよく分からない…
呪詛師となった先輩が迎えに来てくれた時は、彼の理想に同意はできなかったし今もできない。非術師でも呪術師でも何でも良い人はいるし悪い人はいる
それが私の考えだから、嫌いな人もいるけど殺意までは持ったことは無い。被害を広めない為にも呪詛師を殺さないといけないことも何度もあった。その度に罪悪感に襲われた
でも、そんな甘い考え方だと呪術師としてはやっていけないと思ったから私は大切なものを作らないことにしたのにそれを五条先輩は許してくれないのだ
「…嫌い、嫌い、大嫌い」
そうなるように、そうなれと思い今日も自分を呪い続ける
愛なんていらない知らない消えろ消えろ消えろそんなのは必要ないんだから
私はもっと呪術師らしく狂わないといけないんだから
「私はもう誰も愛さない」
-----...
「おはよー!」
「…おはようございます。もう10時になりますけど」
ハイテンションな五条先輩に顔を顰める。昨日のことが無かったかのように話すところにどこか安心感と少しの罪悪感
私は片手に持った箱を持ち直しゆっくりと五条先輩の後ろを歩く
「そういえば、それなに?」
「…有名パティシエが作った先着10名限定のイチゴタルトです
ワンホール売りのみなので、どうせなら食べるのを手伝わせようと思って持ってきました」
「やったー」
「五条先輩だけのじゃないので生徒さんにも配ります」
どうせ、生徒と会わせるつもりでしょうと続けると明るく正解という言葉を返された
五条先輩の向かった先は懐かしい運動場だった。そこでは、パンダと禪院真希が組手をしており階段のところに狗巻棘と乙骨憂太が二人を見ながら談笑をしていた
1年生達のことは耳に入っていた全員がそれぞれ特殊というのもあるけど…
乙骨くんの膝で休んでいた管狐が私の気配が近づくと起き上がりこちらに駆け出してきた
「わっ、え、どうしたの??」
と慌てた様子で管狐の行き先を目で追う乙骨くんと目が合うと驚いた表情をされる
どうしてここに!?と声を上げる彼を気にせず管狐を撫でながら肩に乗せる
その声に狗巻くんもこちらに視線を移してくるのを感じた
「僕が連れてきたんだよ
高専の先生にならないかって」
「え、先生になるんですか?」
「なりません
久方振りに母校を見に来ただけです
これ、お土産です。みんなで一緒に食べましょう」
乙骨くんの手にイチゴタルトの箱を持たせる
また、甘いものですか?と問う彼に今日のは有名パティシエの物で早朝から並ばないと手に入らない素晴らしい1品ということを力説した
そんな、話をしていると「八雲!?」と驚いたような声が聞こえた
「…お久しぶりです
元気そうで何より、修練は続けていたのですね
組手を少し拝見しましたが、一段と強くなったようでとても良い動きをしています」
「お、おう!じゃなくて
どこに居たんだよ!?急に来なくなって、花山院とこの人に聞いても何も教えてくれねぇし」
「もう勘当されたものだと思っていましたが…まぁあの人たちがそんなことするわけないか
私はフリーで働きたいので家元を離れました。それだけです」
「そうかよ。つか、何で敬語?」
「…こっちに慣れてしまって」
ふーんと訝しげにこちらを見る真希ちゃん。幼い頃から彼女のことは知っているしフィジカルギフテッドに気づいた時には良いものを持ってると感心したものだ
私は呪力で担っているだけで本来の筋力はあまりない。そもそも筋肉も脂肪もつきにくい体質というのもある
「えっと、知り合いなの?」
「私の師範」
「軽く手解きしただけです。ほぼ彼女の実力ですし
体術だけなら彼女の方が私より数段上です
真希ちゃんとの組手はいい経験になります
これからも続けてもらうといいですよ」
乙骨くんの問いにそう言うと照れたように顔を逸らす真希ちゃん
昔と変わらない反応に少しだけ懐かしい気持ちになり頬が緩みそうになってしまったのをすぐに引き締める
「今…」
「なにか?」
「ぅえっ!?な、なんでもないです」
余計なことを言いそうだった乙骨くんを軽く睨む
そして蚊帳の外だった他の生徒さんの方を見る
「紹介はいる?」
「結構です。今年の1年生の話は耳にしています
私は1級呪術師の八雲です。所謂OBですね
あまり関わることはありませんが優秀な生徒さん達となら、任務先で会う機会もあると思います
以後お見知り置きを」
「おう、よろしく」
「しゃけ」
狗巻くんの返答は肯定で合っているだろうか、呪言師であるが為におにぎりの具のみで会話をするとは聞いていたが理解まではできていない
ニュアンスでしか理解をしてあげられないことに少しの申し訳なさがあるが致し方がない
「…すみませんが君の言葉を理解するには時間がかかりそうです」
「ツナツナ」
「気にすんなってさ」
「えっと、ありがとうございます」
軽く会釈をしながらお礼を言っていると、自己紹介もそこそこにとりあえずイチゴタルトを食べようと五条先輩が言い出した
まるで自分が準備したかのように仕切り出す先輩にため息をつく
「あの、何かあったんですか?」
「なぜ?」
「なんとなく…さびし…じゃなくて
んー、雰囲気が??」
彼は優しい良い子だ。私が寂しいというのを全否定するのをわかっているから言葉を選び直したのだろう
そんな姿に少し心が安らいでしまった
「君は人が良すぎますね。本当に呪術師ですか?」
「え!?それはどういう…」
「褒めてます」
「褒めてたんですか!?」
「…本当に君は」
「え?」
「なんでもないです」と強めに言ってイチゴタルトを食べ始める五条先輩に文句を言いに行くことにした
後ろで何かを彼が呟いた気がしたけど聞き返すことは無かった
…To Be Continued