マーガレット
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「好きです。これからは僕に一生君を守らせて下さい」
頬を少し赤く染めながら愛おしそうに自分を見つめる同級生の姿に心臓が跳ねた
自然な動きで左手を握られ薬指を優しく撫でられた時はここで頷けば彼は本当に一生守ろうとしてくれるのだろうな…と思ったのも事実だ
そして、僕はいつものポーカーフェイスを崩さないように気をつけ
「え、無理です。ごめんなさい」
と頭を下げ左手を引いた。顔を上げると信じられないというようなポカーンとした憂太くんが固まっていた
1年の頃よりも伸びた彼の髪が風に揺れる。あんなにおどおどとして頼りげのなかった彼が本の数ヶ月で自分よりも強くなり頼もしくなったことは認める
僕が…いや、僕らが守らなくてももう大丈夫なくらいに精神も力も強くなった彼…乙骨憂太はクラスメイトであり
昨年、特級過呪怨霊折本里香さんがもし完全顕現した場合に僕が死刑執行人として殺さないといけない存在だった相手だ
まぁ、解呪されたことによりその任務は無くなったけど…
「どうして…」
「どうしてもなにも…同性と付き合う趣味はないです」
「でも、僕のこと好きだよね」
何も疑うことなく言う彼。自信満々なのが凄いな…
まっすぐ見つめてくる瞳から逃げたくて目を少し逸らしてしまった
「僕には許嫁が存在しますし家族を裏切れません」
「1度も会ったことない許嫁さんでしょ。君も家に縛られるのは息苦しいって全部捨てたいって言ってたじゃないか」
うん、言った。確かに言いました。つい彼に気を許して相談してしまった本心です。
許嫁は親が勝手に決めたことでそれが当たり前の自分としては受け入れる以外の選択肢しかなかったのに、高専で過ごす日々が楽しくてずっとみんなといたいと思った気持ちの現れだった
「それは…まぁ、願望であって本心なのは認めますが
本当に捨てる訳にはいかないですし
僕は加茂家の分家と言っても神無家当主ですので、君と付き合うことはできません」
「…さっきから家のことばっかりで、僕に好意があることは否定しないよね
そこに関しては期待してもいい?」
彼の子犬のような期待のこもった瞳に言葉が詰まってしまった時にはやってしまったと思った
目を逸らすと嬉しそうに頬に手を添え顔を近づけて「いい?」と聞いてくる彼を掴みいいわけあるか!!と背負い投げをした
流れるように接吻される所だった…危ない危ない…
うわぁっ!?と言いながら予想外だった動きに対してもちゃんと受身を取る姿に、昔の受身すら取れなかった彼が遠い昔のようだなと感じた
「君、折本さんへの純愛はどうしたのですか?
僕には現在進行形で憂太くんは折本さんに好意があるとと思っているのですが」
「確かにそうだけど…でも、白兎くんのことも同じくらい好きだよ
そこに優劣はつけられないのは確かだしこれからも里香ちゃんのことも好きだ
でも、僕は今も生きてるし里香ちゃん以外で傍で愛したいと思った存在は君だけなんだ」
「…君本当に一般家庭の出ですか?
まぁ、僕の立場からしたら側室を置く人も珍しくないのでその気持ちを否定もしませんが」
「え?あ…将来的には乙骨になって欲しなとは思ったり」
「図々しいことにこの上ない…」
深く溜息をつきこのどうしようもないクラスメイトを見る。別に自分を1番にとかいう気持ちは正直ないし折本さんも大事に思っている彼だからこそという気持ちもある
ただ、好きとか愛とか一般家庭だったらそれだけでいいのかもしれないけど、自分には守らないといけない家がある
それは産まれた…いや、自分のこの術式と呪力がわかった瞬間から僕の人生は僕のものではなくなったのだ
全てはお家の為に…僕は---であることすらも捨てたのだから
「…全く君には困ったものですね」
「えっと…」
「ともかく、答えはお断りしかありません
恋愛結婚は元から諦めてますしこれからも良き友人でありましょう」
「それは、嫌かな
僕は誰よりも君の傍にいたいし離したくないし君の隣は僕のものっていう確証が欲しい
誰にも譲りたくないし君を手にする為なら君の家族からも奪う覚悟はあるよ」
それに許嫁さんとこのまま結婚するのは本当は嫌なんでしょ。と言い退ける彼の言葉を否定をすることは出来なかった
捨てたはずの自分が見え隠れしそうで1度深呼吸をする
そして、未だ床に倒れている憂太くんの頭を軽く小突き立ち上がる
「君を慕っていることは認めます」
「じゃあ」
「でも、恋仲にはなりません
この先僕は君のことを勝手に想い続けます
それだけです。それ以上のことは求めません
憂太くん、お慕い申しております。今までもこれからも。ですが僕はこの感情に振り回される程未熟ではいられません
君に僕なりの愛の言葉をお伝えするのはこれで最後です。君とは友人として傍にいます
愛しております、憂太くん。僕が僕じゃなくなりそうなぐらい気が狂いそうな程に…
では、また明日」
何か言いかけた憂太くんに軽く腹パンをし寮へと足を向ける
言うつもりもなかったことを言ってしまった後悔と少しだけすっきりした気持ちを明日には忘れてしまおうと歩みを早める
…To Be Continued
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