1章 人間界の片隅で
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「いたた……」
ますます出血がひどくなった額を押さえながら、イリコは まだチカチカしている目をしばたたかせている。
吹っ飛んだ地点からすぐに戻ってきたつり目の妖怪は、再びイリコに剣を向けて立ちはだかった。
「言え!貴様は何だ!今のは何のつもりだ!?」
「それはこっちのセリフです!そんな微妙な妖力に……そんな背丈で、絶対年下だと思ったのに~……」
「何だと……貴様……っ!!」
今、イリコは彼が気にしているらしい諸々の地雷を全てキレイに踏み抜いたようだ。
「許さん……!こうなったら、もう妖怪化などどうでもいい!女、貴様の首をはねてやる!」
怒りに震える妖怪を眺めながら、妙に落ち着いてイリコは呟いた。
「もう、やめようよ……『飛影』さん」
「!!」
自分の名を言い当てられ、つり目の妖怪――飛影は少なからず動揺した。しかし、そんな事はおくびにも出さず、剣を突き付けイリコに冷たく言い放つ。
「答えろ。貴様は、一体何だ」
「私?私はイリコ。よろしく」
「よろしく……だと?貴様と馴れ合う義理はない……!」
どこまでも突き放す飛影だが、額を合わせたあの一瞬、火花とともに見えたわずかな思いがイリコにとってはあまりにも魅力的なのだった。
「義理ならあるよ?あなたも……大切な人を捜しているんでしょう?だから、仲間♪」
「なっ……ふざけるな!どうやって調べやがった!前からオレの事を知っていたのか!?」
混乱したように怒鳴る飛影。彼にとっては、先程の衝撃は『ただの強烈な頭突き』……そんな事で身の上を知られたなどと、思えるはずもない。
「だからね、私にはちょっとした能力があって~……」
ミズヒトナキであるという事実を伏せつつ事情を説明するのは、なかなか骨が折れる。
「……人間なら長くても80年くらいの人生だから、おデコくっつければ大体把握できるのー。でもさすがに自分より長く生きてる妖怪が相手だと、頭がパンクしちゃうから自然と防御反応であぁなっちゃうわけ」
核心部分を軽~くぼかしつつ説明するイリコを訝しげに飛影は睨みつけた。
「……フン。じゃあ、オレの何を見た。言ってみろ」
「一瞬だったから そんなにたくさんは わからなかったけど~……昔は妖力がすごかったけど、無くした大切な物と故郷を捜すために『目』を得て、その力を失った、とか……その手術代が『高かった』とか……今は人を探してて、探しものは2つ。あ、あとすごく痛かった……手術。ナイフでグリグリみたいな。んー、思い出すと吐きそう……」
飛影は黙ったままイリコの話を聞いている。
「……飛影は優しいね。きっと、探してもらってる彼女も喜んでるよ」
イリコが微笑むと、飛影は目をそらして小さく言い放った。
「妹だ。……嫌な能力だな」
「あ……飛影、ちょっと顔赤い?」
「黙れ」
飛影の変化に気付き、ついイリコはニヤニヤとしてしまう。
「あ!あと、デッカイ人と髪長い人となんか盗んでた。ソレとか……丸いのとか……」
飛影は苦々しい表情を浮かべている。イリコは少し弾んだ声で尋ねた。
「ね、飛影は盗賊なの?」
「……だったら何だ」
答えた飛影は憮然としているが、イリコは「待ってました」とばかりに身を乗り出した。
「ね、盗賊の知り合いに……銀髪の妖狐って、いない?」
飛影はしばらくの沈黙の後、イリコを一瞥した。
「……名は?」
「あ……」
ますます出血がひどくなった額を押さえながら、イリコは まだチカチカしている目をしばたたかせている。
吹っ飛んだ地点からすぐに戻ってきたつり目の妖怪は、再びイリコに剣を向けて立ちはだかった。
「言え!貴様は何だ!今のは何のつもりだ!?」
「それはこっちのセリフです!そんな微妙な妖力に……そんな背丈で、絶対年下だと思ったのに~……」
「何だと……貴様……っ!!」
今、イリコは彼が気にしているらしい諸々の地雷を全てキレイに踏み抜いたようだ。
「許さん……!こうなったら、もう妖怪化などどうでもいい!女、貴様の首をはねてやる!」
怒りに震える妖怪を眺めながら、妙に落ち着いてイリコは呟いた。
「もう、やめようよ……『飛影』さん」
「!!」
自分の名を言い当てられ、つり目の妖怪――飛影は少なからず動揺した。しかし、そんな事はおくびにも出さず、剣を突き付けイリコに冷たく言い放つ。
「答えろ。貴様は、一体何だ」
「私?私はイリコ。よろしく」
「よろしく……だと?貴様と馴れ合う義理はない……!」
どこまでも突き放す飛影だが、額を合わせたあの一瞬、火花とともに見えたわずかな思いがイリコにとってはあまりにも魅力的なのだった。
「義理ならあるよ?あなたも……大切な人を捜しているんでしょう?だから、仲間♪」
「なっ……ふざけるな!どうやって調べやがった!前からオレの事を知っていたのか!?」
混乱したように怒鳴る飛影。彼にとっては、先程の衝撃は『ただの強烈な頭突き』……そんな事で身の上を知られたなどと、思えるはずもない。
「だからね、私にはちょっとした能力があって~……」
ミズヒトナキであるという事実を伏せつつ事情を説明するのは、なかなか骨が折れる。
「……人間なら長くても80年くらいの人生だから、おデコくっつければ大体把握できるのー。でもさすがに自分より長く生きてる妖怪が相手だと、頭がパンクしちゃうから自然と防御反応であぁなっちゃうわけ」
核心部分を軽~くぼかしつつ説明するイリコを訝しげに飛影は睨みつけた。
「……フン。じゃあ、オレの何を見た。言ってみろ」
「一瞬だったから そんなにたくさんは わからなかったけど~……昔は妖力がすごかったけど、無くした大切な物と故郷を捜すために『目』を得て、その力を失った、とか……その手術代が『高かった』とか……今は人を探してて、探しものは2つ。あ、あとすごく痛かった……手術。ナイフでグリグリみたいな。んー、思い出すと吐きそう……」
飛影は黙ったままイリコの話を聞いている。
「……飛影は優しいね。きっと、探してもらってる彼女も喜んでるよ」
イリコが微笑むと、飛影は目をそらして小さく言い放った。
「妹だ。……嫌な能力だな」
「あ……飛影、ちょっと顔赤い?」
「黙れ」
飛影の変化に気付き、ついイリコはニヤニヤとしてしまう。
「あ!あと、デッカイ人と髪長い人となんか盗んでた。ソレとか……丸いのとか……」
飛影は苦々しい表情を浮かべている。イリコは少し弾んだ声で尋ねた。
「ね、飛影は盗賊なの?」
「……だったら何だ」
答えた飛影は憮然としているが、イリコは「待ってました」とばかりに身を乗り出した。
「ね、盗賊の知り合いに……銀髪の妖狐って、いない?」
飛影はしばらくの沈黙の後、イリコを一瞥した。
「……名は?」
「あ……」