1章 人間界の片隅で
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満月になりきれない いびつな月の下、一匹の妖怪が怒りに満ちた表情で大きな剣を振っていた。
(仲間を抜けるだと……!?人間なんぞに馴れ合いやがって……!)
妖怪の名は飛影。
まんまと霊界の宝を盗み出したものの、仲間割れに霊界探偵の出現と、次々と憂き目を見ていたのだった。
(まぁいい、明日からゆっくりと この『降魔の剣』で楽しませてもらう……)
飛影が今夜の寝床を探していると、すぐ近くから力無い声が聞こえてきた。
「あ~……気持ち悪い……」
飛影は口の端を吊り上げて呟いた。
「女……?ちょうどいい……試し斬りといくか……!」
「気持ち悪……はぁ、そろそろ帰ろうかな……」
イリコがベンチを立ち上がった瞬間。
──ザッ!
「!?」
突然、目の前に黒い影が現れた。
ギラリと光る目に射抜かれ、それが妖怪だとわかる。そして、妖怪の手には、大きな……剣。
切っ先が自分に向かっているのを瞬時に察知し、イリコは戦闘体勢を取った。
──ビュッ!
妖怪が剣を振り抜いた。わずかに服をかすめたが、イリコは間一髪で切っ先を避ける。
「チッ……!」
「誰っ!?そんな危ない物持って!銃刀法いは……」
──ヒュンッ!
イリコが言葉を終える前に、再び剣が振り下ろされる。
(速……ッ!)
二撃目を避けた瞬間、イリコの額に痛みが走った。
「えっ……?」
ツツ……と顔に生暖かい液体が流れる。
ポタリ、と落ちたそれは……イリコ自身の血液だった。
「うそ……」
妖怪の繰り出した攻撃は、一太刀ではなかった様だ。
額に横一文字についた傷から、絶え間無く血が流れ出てくる。
「ククク……ハハハハ!これでお前も妖怪の仲間入りだ!さぁ、邪眼よ ひら……」
「いっっったーーーい!!」
「なっ!?」
イリコの素っ頓狂な声に妖怪は一瞬たじろぎ、慌てて剣を構え直す。しかしイリコはギロリと睨みをきかせてツカツカと妖怪に詰め寄った。
「ちょっと!痛いじゃない!いきなり顔に傷つけるなんて何考えてるのよぅっ!信じらんない もーーー!!」
半泣きで怒りをぶつけながら、イリコは妖怪の胸ぐらを掴んだ。
つり目の妖怪はその腕を外そうともせず、降魔の剣で付けた傷が邪眼に変化しないイリコをまじまじと見つめる。
「貴様は……妖怪ではないのか!?」
「知りません!そうやって悪い事する人は、イリコさんが矯正してあげますッ!」
イリコは いつもより少し乱暴に、血が流れたままの額を妖怪の額にぶつけた。
その瞬間。
パーーーン!!
「きゃあぁっ!」
「ぐっ……!!」
電気がショートした時のような爆発音と共に、額に火花が飛ぶ。反動でイリコと妖怪は互いに逆方向へ吹っ飛んだ。
(仲間を抜けるだと……!?人間なんぞに馴れ合いやがって……!)
妖怪の名は飛影。
まんまと霊界の宝を盗み出したものの、仲間割れに霊界探偵の出現と、次々と憂き目を見ていたのだった。
(まぁいい、明日からゆっくりと この『降魔の剣』で楽しませてもらう……)
飛影が今夜の寝床を探していると、すぐ近くから力無い声が聞こえてきた。
「あ~……気持ち悪い……」
飛影は口の端を吊り上げて呟いた。
「女……?ちょうどいい……試し斬りといくか……!」
「気持ち悪……はぁ、そろそろ帰ろうかな……」
イリコがベンチを立ち上がった瞬間。
──ザッ!
「!?」
突然、目の前に黒い影が現れた。
ギラリと光る目に射抜かれ、それが妖怪だとわかる。そして、妖怪の手には、大きな……剣。
切っ先が自分に向かっているのを瞬時に察知し、イリコは戦闘体勢を取った。
──ビュッ!
妖怪が剣を振り抜いた。わずかに服をかすめたが、イリコは間一髪で切っ先を避ける。
「チッ……!」
「誰っ!?そんな危ない物持って!銃刀法いは……」
──ヒュンッ!
イリコが言葉を終える前に、再び剣が振り下ろされる。
(速……ッ!)
二撃目を避けた瞬間、イリコの額に痛みが走った。
「えっ……?」
ツツ……と顔に生暖かい液体が流れる。
ポタリ、と落ちたそれは……イリコ自身の血液だった。
「うそ……」
妖怪の繰り出した攻撃は、一太刀ではなかった様だ。
額に横一文字についた傷から、絶え間無く血が流れ出てくる。
「ククク……ハハハハ!これでお前も妖怪の仲間入りだ!さぁ、邪眼よ ひら……」
「いっっったーーーい!!」
「なっ!?」
イリコの素っ頓狂な声に妖怪は一瞬たじろぎ、慌てて剣を構え直す。しかしイリコはギロリと睨みをきかせてツカツカと妖怪に詰め寄った。
「ちょっと!痛いじゃない!いきなり顔に傷つけるなんて何考えてるのよぅっ!信じらんない もーーー!!」
半泣きで怒りをぶつけながら、イリコは妖怪の胸ぐらを掴んだ。
つり目の妖怪はその腕を外そうともせず、降魔の剣で付けた傷が邪眼に変化しないイリコをまじまじと見つめる。
「貴様は……妖怪ではないのか!?」
「知りません!そうやって悪い事する人は、イリコさんが矯正してあげますッ!」
イリコは いつもより少し乱暴に、血が流れたままの額を妖怪の額にぶつけた。
その瞬間。
パーーーン!!
「きゃあぁっ!」
「ぐっ……!!」
電気がショートした時のような爆発音と共に、額に火花が飛ぶ。反動でイリコと妖怪は互いに逆方向へ吹っ飛んだ。