短編
おなまえ
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師範のように、一生を添い遂げるための男性を見つけたかった。
だから私は恋柱である甘露寺蜜璃の継子になったのだ。
自分より強くて、かっこよくて、紳士的な殿方は絶対にいると思って鬼殺隊に入隊した。
この入隊理由を言うと大体の人には冷たい目で見られるけど、そんな風に私を見ない人に出会いたいと思ったのだ。
毎日、素敵な男性を夢見た。
選別に行く時も、任務に行く時も、あぁ今日はどんな人に会えるのかしらって、鬼を退治することよりも、その時々に会える人を楽しみにしていた。
なのに、なのに……。
「1人も私の胸をときめかす男性が現れないってどういうことですか師範!!」
師範との稽古終わり、行きつけの食事処にて隣同士に座って、私は師範に愚痴を零していた。
「今日もなまえちゃんのお眼鏡にかなう男の子はいなかったのね、切ないわ…。」
「鬼殺隊に入れば、私より強くてかっこよくて優しいけど、ちょっぴり強引で自分の道を行く、素敵な生き方をする人なんていくらでもいると思っていたのに!」
私が落ち込む中、師範は変わらずぱくぱくとご飯を食べ続けながら話を聞いてくれる。
「大丈夫よ!なまえちゃんはまだ若いんだから、これからたくさん良い殿方に出会うわ!」
師範はにっこり笑ってそう言うが、私が鬼殺隊に入って1年が経とうとしている。
「だってもう1年経つんですよ?ほとんどの人に会ったんじゃないかなって思っちゃいますよ…。」
「う〜ん、そうねぇ…」
もぐもぐと口を動かしながら、師範は何か考えていた。
しばらくするとぱぁっと顔を輝かせて私を見て言った。
「炭治郎君とかどうかしら!強くてかっこいいし、それに禰豆子ちゃんをあんなに大事にするんだから絶対に優しいわ!」
師範の言葉を聞いて炭治郎を思い浮かべる。
確かに、炭治郎は優しい。
共同任務の時も私のことを気にかけてくれて、素敵だなって思った。
だけど…。
「炭治郎、めっちゃ歌下手なんですよ……」
私がすごくガッカリしたように言うと、師範は驚いたようだった。
「えぇ!歌が上手い人がいいの!?…そうねぇ、それなら善逸君はすごく歌が上手だって聞いたわ!」
聞いたことあるけど確かに善逸は歌が上手い。
さすが耳がいいだけある。
「善逸君なら女の子には優しいし歌も上手いし、それに彼もすっごく強いわ!」
師範は名案かのようにきらきらとした表情で私を見た。
しかし私は首を横に振った。
「いや善逸はすぐ泣くんで…。」
私の言葉に師範はむぅ、と言ってまた考え出した。
そして、あっ、と言ってまた私を見た。
「伊之助君ならいいんじゃないかしら!彼はとにかく強いし我が道を行くタイプだわ!それに何より男前よ!」
伊之助なぁ…。
顔はダントツで良い。強くて男らしいとは思う。
しかし私はじとりと師範を見て言った。
「あの猪突猛進についていける自信はないですよ…。」
うーんうーんと師範はその後も考えていたが、食事が終わると諦めたようにふぅと一息ついた。
「まぁまぁ、なまえちゃんの運命の相手はこれから現れるのよ!女は辛抱よ!」
師範は可愛らしい笑顔で言うと席を立った。
慌てて私も追いかける。
「師範!お金は!?」
「もう払ったわ!」
スキップで出ていく師範をぽかんと見つめて、私はこの人には叶わないなと思った。
立ち止まった私に気が付き、くるりと振り返った師範が優しい笑顔で私を呼んだ。
「なまえちゃーーん!行くわよーー!!」
私より強くてかっこよくて優しいけど、ちょっぴり強引で自分の道を行く、素敵な生き方をする大好きな師範を追って、私は走り出した。
甘露寺蜜璃 誕生日記念小説
2020.06.01
おめでとうございます!
だから私は恋柱である甘露寺蜜璃の継子になったのだ。
自分より強くて、かっこよくて、紳士的な殿方は絶対にいると思って鬼殺隊に入隊した。
この入隊理由を言うと大体の人には冷たい目で見られるけど、そんな風に私を見ない人に出会いたいと思ったのだ。
毎日、素敵な男性を夢見た。
選別に行く時も、任務に行く時も、あぁ今日はどんな人に会えるのかしらって、鬼を退治することよりも、その時々に会える人を楽しみにしていた。
なのに、なのに……。
「1人も私の胸をときめかす男性が現れないってどういうことですか師範!!」
師範との稽古終わり、行きつけの食事処にて隣同士に座って、私は師範に愚痴を零していた。
「今日もなまえちゃんのお眼鏡にかなう男の子はいなかったのね、切ないわ…。」
「鬼殺隊に入れば、私より強くてかっこよくて優しいけど、ちょっぴり強引で自分の道を行く、素敵な生き方をする人なんていくらでもいると思っていたのに!」
私が落ち込む中、師範は変わらずぱくぱくとご飯を食べ続けながら話を聞いてくれる。
「大丈夫よ!なまえちゃんはまだ若いんだから、これからたくさん良い殿方に出会うわ!」
師範はにっこり笑ってそう言うが、私が鬼殺隊に入って1年が経とうとしている。
「だってもう1年経つんですよ?ほとんどの人に会ったんじゃないかなって思っちゃいますよ…。」
「う〜ん、そうねぇ…」
もぐもぐと口を動かしながら、師範は何か考えていた。
しばらくするとぱぁっと顔を輝かせて私を見て言った。
「炭治郎君とかどうかしら!強くてかっこいいし、それに禰豆子ちゃんをあんなに大事にするんだから絶対に優しいわ!」
師範の言葉を聞いて炭治郎を思い浮かべる。
確かに、炭治郎は優しい。
共同任務の時も私のことを気にかけてくれて、素敵だなって思った。
だけど…。
「炭治郎、めっちゃ歌下手なんですよ……」
私がすごくガッカリしたように言うと、師範は驚いたようだった。
「えぇ!歌が上手い人がいいの!?…そうねぇ、それなら善逸君はすごく歌が上手だって聞いたわ!」
聞いたことあるけど確かに善逸は歌が上手い。
さすが耳がいいだけある。
「善逸君なら女の子には優しいし歌も上手いし、それに彼もすっごく強いわ!」
師範は名案かのようにきらきらとした表情で私を見た。
しかし私は首を横に振った。
「いや善逸はすぐ泣くんで…。」
私の言葉に師範はむぅ、と言ってまた考え出した。
そして、あっ、と言ってまた私を見た。
「伊之助君ならいいんじゃないかしら!彼はとにかく強いし我が道を行くタイプだわ!それに何より男前よ!」
伊之助なぁ…。
顔はダントツで良い。強くて男らしいとは思う。
しかし私はじとりと師範を見て言った。
「あの猪突猛進についていける自信はないですよ…。」
うーんうーんと師範はその後も考えていたが、食事が終わると諦めたようにふぅと一息ついた。
「まぁまぁ、なまえちゃんの運命の相手はこれから現れるのよ!女は辛抱よ!」
師範は可愛らしい笑顔で言うと席を立った。
慌てて私も追いかける。
「師範!お金は!?」
「もう払ったわ!」
スキップで出ていく師範をぽかんと見つめて、私はこの人には叶わないなと思った。
立ち止まった私に気が付き、くるりと振り返った師範が優しい笑顔で私を呼んだ。
「なまえちゃーーん!行くわよーー!!」
私より強くてかっこよくて優しいけど、ちょっぴり強引で自分の道を行く、素敵な生き方をする大好きな師範を追って、私は走り出した。
甘露寺蜜璃 誕生日記念小説
2020.06.01
おめでとうございます!
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