1章
おなまえ
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忌血(いみち)とは、鬼たちに忌み嫌われる血のことである。
その血の香りは藤の花によく似ており、成分も藤の花に似たような構成を持つと考えられていることから、鬼が嫌がるのだろうと推測されている。
忌血の人間が出血するとその人間の近くに鬼は寄らなくなる。
さらに鬼が忌血を浴びると弱体化し、忌血を体内に取り入れると鬼の力を浄化する。
そのため、当時の人間達は鬼から身を守るため忌血をお守り替わりとして持ち歩いていた。
ここまでの記載の通り、忌血は鬼にとって非常に有効である。
また、鬼が積極的に求める稀血と真逆の存在である。
と、はるか昔の文献に書かれている。
しかし、忌血を持つ人間は非常に少なく、その研究はほとんど進められていない。
この内容が嘘か真か、誰も判断ができない。
何故なら現代において、忌血の存在が確認されていないからである。
名前はぼんやりと夜道を歩いていた。
無惨に無理矢理血を入れられた首の怪我はとっくに治っていたが、名前は途方に暮れていた。
(戦い方が分からない…。)
無惨に呼び出されたあの館で、本能に近い形ではあったが、戦いを挑んだつもりだった。
しかし全く相手にされず、それどころか憎い相手から再び同じ攻撃を食らってしまった。
名前は鬼として生きてきたこの数ヶ月間、那田蜘蛛山で出会った少年の鬼以外、自分よりも強いと感じる鬼にあったことがなかった。
だからこそ、自分はそこそこ戦えるのだと思い込んでいた。
そんな中であの無惨とのやり取り。
名前はすっかり意気消沈していた。
その時だった。
一歩踏み出した途端、血が凍るような感覚がした。
鬼殺隊が近くにいる訳でもない。
ここはただの道で、遠くに家かちらほらと見えるだけだ。
しかし名前はなかなか足を進めることが出来なかった。
(この先に…進みたくない……!?)
息が乱れ、体が拒否反応を起こしていることに気づいた名前は、その場に一度座り込んだ。
そして落ち着こうと深く息を吸った時、
(!)
名前は自分の変化に気づいた。
(この匂い、藤の花の香り…。おかしい、私はこの匂いが大好きだったはず。
昔よく誰かと一緒に藤の花を見ながら何か話していた気がする…)
遠くから漂ってきた藤の花の香りに、名前は拒否反応を起こしていたのだ。
しかし名前は、少しずつ思い出せなくなっていく人間時の記憶の中から、自分は藤の花が好きだったという情報を見つけ出した。
(そうか、鬼は藤の花が嫌いなんだ。つまり、無惨が嫌いな私の血の匂いも、もしかしてこれに関係している…?)
名前は思いついたように、自分の腕を爪で引っ掻いた。
真っ赤な血が溢れ出す。
痛みは無い。
しかしその匂いにより、名前は一瞬意識が遠のいた。
直ぐに怪我は癒えたが、強烈な匂いは残ったままで、名前の気分を悪くした。
フラフラと力なく立ち上がった名前の表情は気分が悪いとはいえ、闘気に満ちていた。
(この力で、私は無惨と闘える!)
自分の血の匂いと、遠くから匂う藤の花の香りにふらつきつつ、名前は花の匂いが強い方へ向かった。
自らの血と藤の花を利用して、無惨へ挑むために。
その血の香りは藤の花によく似ており、成分も藤の花に似たような構成を持つと考えられていることから、鬼が嫌がるのだろうと推測されている。
忌血の人間が出血するとその人間の近くに鬼は寄らなくなる。
さらに鬼が忌血を浴びると弱体化し、忌血を体内に取り入れると鬼の力を浄化する。
そのため、当時の人間達は鬼から身を守るため忌血をお守り替わりとして持ち歩いていた。
ここまでの記載の通り、忌血は鬼にとって非常に有効である。
また、鬼が積極的に求める稀血と真逆の存在である。
と、はるか昔の文献に書かれている。
しかし、忌血を持つ人間は非常に少なく、その研究はほとんど進められていない。
この内容が嘘か真か、誰も判断ができない。
何故なら現代において、忌血の存在が確認されていないからである。
名前はぼんやりと夜道を歩いていた。
無惨に無理矢理血を入れられた首の怪我はとっくに治っていたが、名前は途方に暮れていた。
(戦い方が分からない…。)
無惨に呼び出されたあの館で、本能に近い形ではあったが、戦いを挑んだつもりだった。
しかし全く相手にされず、それどころか憎い相手から再び同じ攻撃を食らってしまった。
名前は鬼として生きてきたこの数ヶ月間、那田蜘蛛山で出会った少年の鬼以外、自分よりも強いと感じる鬼にあったことがなかった。
だからこそ、自分はそこそこ戦えるのだと思い込んでいた。
そんな中であの無惨とのやり取り。
名前はすっかり意気消沈していた。
その時だった。
一歩踏み出した途端、血が凍るような感覚がした。
鬼殺隊が近くにいる訳でもない。
ここはただの道で、遠くに家かちらほらと見えるだけだ。
しかし名前はなかなか足を進めることが出来なかった。
(この先に…進みたくない……!?)
息が乱れ、体が拒否反応を起こしていることに気づいた名前は、その場に一度座り込んだ。
そして落ち着こうと深く息を吸った時、
(!)
名前は自分の変化に気づいた。
(この匂い、藤の花の香り…。おかしい、私はこの匂いが大好きだったはず。
昔よく誰かと一緒に藤の花を見ながら何か話していた気がする…)
遠くから漂ってきた藤の花の香りに、名前は拒否反応を起こしていたのだ。
しかし名前は、少しずつ思い出せなくなっていく人間時の記憶の中から、自分は藤の花が好きだったという情報を見つけ出した。
(そうか、鬼は藤の花が嫌いなんだ。つまり、無惨が嫌いな私の血の匂いも、もしかしてこれに関係している…?)
名前は思いついたように、自分の腕を爪で引っ掻いた。
真っ赤な血が溢れ出す。
痛みは無い。
しかしその匂いにより、名前は一瞬意識が遠のいた。
直ぐに怪我は癒えたが、強烈な匂いは残ったままで、名前の気分を悪くした。
フラフラと力なく立ち上がった名前の表情は気分が悪いとはいえ、闘気に満ちていた。
(この力で、私は無惨と闘える!)
自分の血の匂いと、遠くから匂う藤の花の香りにふらつきつつ、名前は花の匂いが強い方へ向かった。
自らの血と藤の花を利用して、無惨へ挑むために。