1章
おなまえ
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名前は山を下っていた。
様々な方角から鬼狩りの気配を感じ、いつ鬼狩りに出会ってしまうのか不安を抱えながら歩き続けていた。
目に映るのは木々のほか、小さな白い蜘蛛が多数ゴソゴソと動いていた。
(あの鬼にそっくりな色。あの鬼の能力なのかな…。)
小さな蜘蛛は何か獲物を探しているのか、鬼である名前のことを避けてせわしなく動き続けている。
蜘蛛を見つめていると、遠くからすごい速さで近づいてくる気配を感じた。
名前は身の危険を察知し、身構えてその正体が現れるのを待った。
「ねぇぇずこちゃぁぁあああん!!どこにいるのぉぉぉおおお!!」
大声と共に、眩しいくらいの明るい髪色をした鬼殺隊士が目の前を走り去っていった。
名前はぽかん、と呆気に取られ、その人物を見つめていた。
その姿が見えなくなりそうなとき、隊士はぴたりと足を止めゆっくりと名前の方を振り返った。
目が合った直後、名前が一度瞬きをすると、目の前にその隊士が現れていた。
「ええぇぇぇ!女の子!?どうしてこんなところに女の子が!?
こんなところにいるっておかしくない!?」
息を切らして目の前に立つ男に名前は驚きつつも、自分に普通に話しかける隊士を見て、鬼だと気づいていないのではと思った。
名前も鬼となって時間がたち、鬼滅隊士の強さというものが気配で分かるようになってきていた。
(この隊士は、あまり強くないように感じる。このまま人間のフリをして騙し通せるかな…。)
名前が考えている間も、隊士はずっと名前に話しかけていた。
意を決して、名前は隊士に話しかけた。
「あの、色々あってこの山から出たいだけなので…。」
「いやいや!!女の子一人でこんなところにいたら駄目だよ!俺と一緒に山を下りよう!!」
派手な髪色の隊士は、この間死体安置所の近くで話した少年の隊士と同い年くらいだった。
とはいえ、大粒の涙を流して名前に縋り付きながら話す様子は、あの時の少年に比べるとずいぶん頼りない。
名前としては強い隊士が自分に気づく前に下山したく、涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔をした隊士に足止めを食らっている時間はなかった。
しかも、あまり強くないとはいえこの隊士も日輪刀を持っている。
ちらりと刀を見て、名前は泣き叫ぶ隊士からどうにか無事に逃れる方法を考え始めた。
(なんでこんな所に女の子がいるの!?
おかしいよね、絶対におかしい!!
普通の女の子が、鬼がうようよいるこの山で傷もない状態でいるなんて、よっぽど運が良くないと無理だよね!?)
善逸はパニックを起こしていた。
炭治郎や禰豆子、ついでに伊之助を探していた善逸が出会ったのが名前であった。
耳の良い善逸には分かるが、名前は人間の音がしなかった。
(それにこの音…やっぱり鬼、だよな。
俺死ぬのかな!?女の子の見た目してるけど、鬼なら俺のこと殺しにくるよね!?)
怖がりで可能な限り鬼と戦いたくない善逸が、名前から逃げずに向き合っているのには理由があった。
一つは、名前が今まで出会った鬼とは少し違う音がしていたこと。
もう一つは、目の前の女の子からは敵意の音が全くしなかった。さらに彼女が発した『この山から下りたい』という言葉が嘘ではないことがわかっていた。
善逸としては、禰豆子を探すことが第一優先ではある。
しかし鬼とはいえ、普通の女の子にしか見えない目の前の人を放っておくことは出来なかった。
「とりあえず、俺と一緒にいよう?
俺、禰豆子ちゃん探してさっさと山を下りるつもりだからさあ。こんな所にいたら危ないよ。」
善逸は名前の手を離さない。
名前は目の前の隊士が何を考えているのかさっぱりわからなかった。
(どうしたら離してくれるの!?隊士のくせに敵意はないみたいだし…。)
名前は男性から縋り付かれることも、ましてや手を握られたことも無い。
隊士の言動も相まってどうすべきか混乱してきていた。
強行手段が頭に浮かんだ時、隊士から高い悲鳴が発せられた。
「ぎゃぁぁぁああああ!なに!!なんか動いたよ!?もうやだこの山!!」
ガサゴソと音がした方向を見ると、そこには人面蜘蛛がこちらを見返していた。
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁああああああ!!」
一瞬の間に風か吹き、隊士は名前を置いて走り去ってしまった。
名前はまた呆気にとられたが、これ幸いと隊士が向かった方向と逆に向かった。
あの隊士と話した時間は名前の感覚では随分長く感じたが、ほんの数分だったことに名前は気づいていない。
遠くから、なにあれぇと大声が聞こえた気がしたが名前は聞かなかったことにした。
様々な方角から鬼狩りの気配を感じ、いつ鬼狩りに出会ってしまうのか不安を抱えながら歩き続けていた。
目に映るのは木々のほか、小さな白い蜘蛛が多数ゴソゴソと動いていた。
(あの鬼にそっくりな色。あの鬼の能力なのかな…。)
小さな蜘蛛は何か獲物を探しているのか、鬼である名前のことを避けてせわしなく動き続けている。
蜘蛛を見つめていると、遠くからすごい速さで近づいてくる気配を感じた。
名前は身の危険を察知し、身構えてその正体が現れるのを待った。
「ねぇぇずこちゃぁぁあああん!!どこにいるのぉぉぉおおお!!」
大声と共に、眩しいくらいの明るい髪色をした鬼殺隊士が目の前を走り去っていった。
名前はぽかん、と呆気に取られ、その人物を見つめていた。
その姿が見えなくなりそうなとき、隊士はぴたりと足を止めゆっくりと名前の方を振り返った。
目が合った直後、名前が一度瞬きをすると、目の前にその隊士が現れていた。
「ええぇぇぇ!女の子!?どうしてこんなところに女の子が!?
こんなところにいるっておかしくない!?」
息を切らして目の前に立つ男に名前は驚きつつも、自分に普通に話しかける隊士を見て、鬼だと気づいていないのではと思った。
名前も鬼となって時間がたち、鬼滅隊士の強さというものが気配で分かるようになってきていた。
(この隊士は、あまり強くないように感じる。このまま人間のフリをして騙し通せるかな…。)
名前が考えている間も、隊士はずっと名前に話しかけていた。
意を決して、名前は隊士に話しかけた。
「あの、色々あってこの山から出たいだけなので…。」
「いやいや!!女の子一人でこんなところにいたら駄目だよ!俺と一緒に山を下りよう!!」
派手な髪色の隊士は、この間死体安置所の近くで話した少年の隊士と同い年くらいだった。
とはいえ、大粒の涙を流して名前に縋り付きながら話す様子は、あの時の少年に比べるとずいぶん頼りない。
名前としては強い隊士が自分に気づく前に下山したく、涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔をした隊士に足止めを食らっている時間はなかった。
しかも、あまり強くないとはいえこの隊士も日輪刀を持っている。
ちらりと刀を見て、名前は泣き叫ぶ隊士からどうにか無事に逃れる方法を考え始めた。
(なんでこんな所に女の子がいるの!?
おかしいよね、絶対におかしい!!
普通の女の子が、鬼がうようよいるこの山で傷もない状態でいるなんて、よっぽど運が良くないと無理だよね!?)
善逸はパニックを起こしていた。
炭治郎や禰豆子、ついでに伊之助を探していた善逸が出会ったのが名前であった。
耳の良い善逸には分かるが、名前は人間の音がしなかった。
(それにこの音…やっぱり鬼、だよな。
俺死ぬのかな!?女の子の見た目してるけど、鬼なら俺のこと殺しにくるよね!?)
怖がりで可能な限り鬼と戦いたくない善逸が、名前から逃げずに向き合っているのには理由があった。
一つは、名前が今まで出会った鬼とは少し違う音がしていたこと。
もう一つは、目の前の女の子からは敵意の音が全くしなかった。さらに彼女が発した『この山から下りたい』という言葉が嘘ではないことがわかっていた。
善逸としては、禰豆子を探すことが第一優先ではある。
しかし鬼とはいえ、普通の女の子にしか見えない目の前の人を放っておくことは出来なかった。
「とりあえず、俺と一緒にいよう?
俺、禰豆子ちゃん探してさっさと山を下りるつもりだからさあ。こんな所にいたら危ないよ。」
善逸は名前の手を離さない。
名前は目の前の隊士が何を考えているのかさっぱりわからなかった。
(どうしたら離してくれるの!?隊士のくせに敵意はないみたいだし…。)
名前は男性から縋り付かれることも、ましてや手を握られたことも無い。
隊士の言動も相まってどうすべきか混乱してきていた。
強行手段が頭に浮かんだ時、隊士から高い悲鳴が発せられた。
「ぎゃぁぁぁああああ!なに!!なんか動いたよ!?もうやだこの山!!」
ガサゴソと音がした方向を見ると、そこには人面蜘蛛がこちらを見返していた。
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁああああああ!!」
一瞬の間に風か吹き、隊士は名前を置いて走り去ってしまった。
名前はまた呆気にとられたが、これ幸いと隊士が向かった方向と逆に向かった。
あの隊士と話した時間は名前の感覚では随分長く感じたが、ほんの数分だったことに名前は気づいていない。
遠くから、なにあれぇと大声が聞こえた気がしたが名前は聞かなかったことにした。