2章
おなまえ
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「いいお湯だったでしょ〜!」
「はい、甘露寺さんの言う通りでした。早速肌がつるつるな気がします…!」
「うふふ、私もよく入りに来るんだ〜。」
裸の付き合いで人は仲良くなるというものは本当のようで、温泉からあがった名前と甘露寺はすっかり打ち解けていた。
名前は甘露寺と話せば話すほど、柱とは思えなくなっていた。
どこにでもいる普通の女の子のようだった。
だからこそ名前は警戒心を解いて、甘露寺とすっかり仲良くなった。
「ここの宿はね、ご飯も美味しいらしいの!私すっごく楽しみなの〜!」
「そうなんですね、嬉しそうで何よりです。」
里の人から借りた浴衣に身を包み、宿に向かう階段を下る。
甘露寺はずっと上機嫌で、にこにこと笑いながら名前に話しかけた。
名前も気分が良く、甘露寺に釣られて笑った。
その時、向かいから背の高い男性が歩いてきた。
「あっ隊服着てる!鬼殺隊の子だわ!」
先に甘露寺が気が付き、そのままその人に小走りで近づき話しかけに行った。
「初めまして、こんにちはぁ。大きいね〜!」
「か、甘露寺さん…!そんな急に…!」
「…………。」
男性は目の前に現れた名前たちに驚いたのか、その場で立ち止まった。
「甘露寺蜜璃です〜。名前なんて言うの?」
「………………。」
「こっちは名前ちゃん!かわいいでしょ〜!」
「えっ!?あ、あの、初めまして……。」
「……………………。」
「何歳ですか?」
「……………………………。」
「何の呼吸使うの?」
「………………………………………。」
甘露寺がいくら話しかけても、男性は何も言わずこちらを見ることも無く、硬直したままだった。
返事が無くても懲りずに話しかけ続けた甘露寺だったが、だんだんと涙目になっていった。
「……う、うわぁぁぁん!」
「か、甘露寺さん!!」
無視され続けた甘露寺は、涙を流しながら階段を駆け下りて行った。
突然の行動に名前と話しかけられ続けた男性は、ぽかんとしながらその場に立ち尽くした。
しばらく甘露寺が去っていった方向を見ていた名前だったが、ふと置いていかれたことを思い出し、追いかけようと階段を下り始めた。
「お、おい!」
後ろから聞こえた声に、名前は足を止めた。
振り向くと、男性はゆっくりと話し始めた。
「お前は、鬼、だよな?何故柱と一緒にいるんだ?」
名前はぱちぱちと二度ほど瞬きをした。
(柱ではない隊士に、まさか気づかれるなんて…。でも斬りかかって来ない。話を聞いてくれる隊士なのかもしれない。)
名前は男性の様子を観察し、少し考えてから男性の問いに答えた。
「私は、鬼ながらも人間として生きている鬼です。お館様に許しを貰い、柱の方と共同任務を命じられています。」
名前は偽ることなく、目の前の相手に自分の状況を伝えた。
じっと相手の目を見つめるものの、その視線は絡むことなく、男性の目線は名前の足元に向けられたままであった。
「あぁ…、お前が鴉から連絡のあった鬼なのか。」
納得したような表情を浮かべ、男性は名前に背を向けて階段を上り始めた。
「…っあの!」
名前の声に男性は背を向けたまま止まった。
鬼とわかりつつも敵対心を表すことなかった男性に、名前はお礼が言いたかった。
「鬼とわかっていたのに、会話をしようとしてくれてありがとうございました。嬉しかったです。では、失礼します。」
名前はその背中にぺこりと一礼し、止めた足をまた進めようとした。
「……お前は、鬼だけど人間になれるんだな…。」
「え?」
後ろから呟きが聞こえた気がして、名前はもう一度だけ振り向いた。
しかし、男性の背中は既に小さくなっており、聞き返すには随分遠くまで行ってしまっていた。
(…………何か言っていた?)
その背中が見えなくなるまで名前は見つめ続けた。
しかし、結構時間が経ってしまっていたことに気が付き、名前は急いで甘露寺を追いかけようと階段を駆け下りた。
「はい、甘露寺さんの言う通りでした。早速肌がつるつるな気がします…!」
「うふふ、私もよく入りに来るんだ〜。」
裸の付き合いで人は仲良くなるというものは本当のようで、温泉からあがった名前と甘露寺はすっかり打ち解けていた。
名前は甘露寺と話せば話すほど、柱とは思えなくなっていた。
どこにでもいる普通の女の子のようだった。
だからこそ名前は警戒心を解いて、甘露寺とすっかり仲良くなった。
「ここの宿はね、ご飯も美味しいらしいの!私すっごく楽しみなの〜!」
「そうなんですね、嬉しそうで何よりです。」
里の人から借りた浴衣に身を包み、宿に向かう階段を下る。
甘露寺はずっと上機嫌で、にこにこと笑いながら名前に話しかけた。
名前も気分が良く、甘露寺に釣られて笑った。
その時、向かいから背の高い男性が歩いてきた。
「あっ隊服着てる!鬼殺隊の子だわ!」
先に甘露寺が気が付き、そのままその人に小走りで近づき話しかけに行った。
「初めまして、こんにちはぁ。大きいね〜!」
「か、甘露寺さん…!そんな急に…!」
「…………。」
男性は目の前に現れた名前たちに驚いたのか、その場で立ち止まった。
「甘露寺蜜璃です〜。名前なんて言うの?」
「………………。」
「こっちは名前ちゃん!かわいいでしょ〜!」
「えっ!?あ、あの、初めまして……。」
「……………………。」
「何歳ですか?」
「……………………………。」
「何の呼吸使うの?」
「………………………………………。」
甘露寺がいくら話しかけても、男性は何も言わずこちらを見ることも無く、硬直したままだった。
返事が無くても懲りずに話しかけ続けた甘露寺だったが、だんだんと涙目になっていった。
「……う、うわぁぁぁん!」
「か、甘露寺さん!!」
無視され続けた甘露寺は、涙を流しながら階段を駆け下りて行った。
突然の行動に名前と話しかけられ続けた男性は、ぽかんとしながらその場に立ち尽くした。
しばらく甘露寺が去っていった方向を見ていた名前だったが、ふと置いていかれたことを思い出し、追いかけようと階段を下り始めた。
「お、おい!」
後ろから聞こえた声に、名前は足を止めた。
振り向くと、男性はゆっくりと話し始めた。
「お前は、鬼、だよな?何故柱と一緒にいるんだ?」
名前はぱちぱちと二度ほど瞬きをした。
(柱ではない隊士に、まさか気づかれるなんて…。でも斬りかかって来ない。話を聞いてくれる隊士なのかもしれない。)
名前は男性の様子を観察し、少し考えてから男性の問いに答えた。
「私は、鬼ながらも人間として生きている鬼です。お館様に許しを貰い、柱の方と共同任務を命じられています。」
名前は偽ることなく、目の前の相手に自分の状況を伝えた。
じっと相手の目を見つめるものの、その視線は絡むことなく、男性の目線は名前の足元に向けられたままであった。
「あぁ…、お前が鴉から連絡のあった鬼なのか。」
納得したような表情を浮かべ、男性は名前に背を向けて階段を上り始めた。
「…っあの!」
名前の声に男性は背を向けたまま止まった。
鬼とわかりつつも敵対心を表すことなかった男性に、名前はお礼が言いたかった。
「鬼とわかっていたのに、会話をしようとしてくれてありがとうございました。嬉しかったです。では、失礼します。」
名前はその背中にぺこりと一礼し、止めた足をまた進めようとした。
「……お前は、鬼だけど人間になれるんだな…。」
「え?」
後ろから呟きが聞こえた気がして、名前はもう一度だけ振り向いた。
しかし、男性の背中は既に小さくなっており、聞き返すには随分遠くまで行ってしまっていた。
(…………何か言っていた?)
その背中が見えなくなるまで名前は見つめ続けた。
しかし、結構時間が経ってしまっていたことに気が付き、名前は急いで甘露寺を追いかけようと階段を駆け下りた。
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