2章
おなまえ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
名前、しのぶ、不死川の三人がそれぞれ考えを巡らせている中、一番に痺れを切らしたのは不死川だった。
「てめェといい、竈門が連れた鬼といい、俺を苛つかせる鬼ばっかりだなァ?」
不死川はゆっくりと刀を抜く。
「てめェが鬼である以上斬る以外の選択肢はねェ。」
名前は不死川が刀を自分の頸目掛けて振り下ろそうとしていることを、気配で察した。
しかし体調が万全でない状態かつ、稀血に酔った状態で柱である不死川の力に叶う訳もなく、動くことは出来ない。
しのぶは不死川を止めようと地面を蹴ったものの、不死川の太刀には間に合わない。
(まずい…!!)
二人の思いが共鳴したそのとき、何者かが不死川の刀を受け止めた。
「おいてめェ、自分が何やってんのか分かってんのかァ…。」
不死川はゆっくりと自身の刀を受け止めた相手を睨みつける。
「冨岡ァ!!!」
現れたのは、義勇であった。
毛嫌いしている人物が突如表れ、ますます不死川の機嫌は悪くなっていく。
そんな不死川の気分など梅雨知らず、義勇は答える。
「……お前の攻撃から鬼を守った。」
「馬鹿正直に答えてんじゃねェよ!俺はその鬼に用があんだァ、そこを退けェ。もしくはてめェごとたたっ斬ってやるよォ…!」
義勇はいつものポーカーフェイスで、名前を守るように前に立った。
名前のことをちらりと見てから不死川に向き合う。
「協定違反だ。」
「あァ?」
「俺はお館様からこの鬼を見張るように言われている。人間を傷つけないか。人間から無意味に斬られないか。」
「無意味だァ?コイツが鬼ってだけで斬る意味はあるだろうがよォ…?」
義勇と不死川の相性は決して良くはない。
さらに柱である義勇が鬼を守ったことで、その溝はどんどん深まっていく。
不死川は殺意の篭もった目を義勇に向けた。
二人が本気で斬り合う前に、しのぶが声をかけた。
「お二人共、一度刀を収めてください。」
二人は刀を構えたまましのぶを見た。
しのぶはすっかりいつもの笑顔に表情を戻していた。
「止める必要があんのか胡蝶ォ…?」
「はい、ここ蝶屋敷内では斬り合いは禁止です。それに、お館様から連絡が来ていますし。」
しのぶが腕を伸ばすと、鴉がそこにとまった。
それは耀哉の遣いの鴉であった。
「!」
不死川と義勇は目を見開き、刀を収めた。
鴉は耀哉に似た、落ち着いた上品な雰囲気を漂わせており、二人の様子に満足気な表情をしたようだった。
「こんばんは、私は産屋敷耀哉の遣いの鴉です。我が主の言付けを預かって参りましたので、お伝え致します。」
鴉は丁寧に話し始めた。
「名前さん、明日から恋柱の甘露寺蜜璃と共に任務に赴いてください。恋柱の元までは隠がお連れしますので、明日の朝までは蝶屋敷で待機していてください。それでは。」
鴉は名前と柱の三人を一人ずつ見つめた後、優雅に羽ばたいて去って行った。
しのぶは自身の腕から飛び立った鴉が見えなくなるまで見送った。
そして鴉と同じように、二人を見やった。
不死川は忌々しそうに義勇と名前を睨みつけていたが、義勇は鴉が去って行った方をぼうっと見つめていた。
対照的な二人の様子にしのぶは少し笑ったあと、力なく倒れ込んでいる名前の元へ近寄った。
「もしもし、大丈夫ですか?」
名前はしのぶの声に少しだけ身じろいだ。
「…しのぶ、さん……。」
名前が自我を保てたことにしのぶは喜びを感じていた。
優しげな微笑みを浮かべ、しのぶは名前に声をかける。
「よく稀血を前に我慢出来ましたね。偉いです。今、お聞きいただいたようにお館様から指令が出ました。明日出発です。なので今日は休みましょう。」
名前としのぶのやり取りを義勇は無言で見つめ、不死川は悔しそうに睨みつけていた。
しのぶはにっこりと笑いながら二人に言い放った。
「鬼への見解が相違れないのはよく分かりますが、これ以上はお館様の命令もありこの場での戦闘は禁止します。御二方ともお引き取り願いますね。」
一瞬で名前を抱え、しのぶは屋敷内へ入っていった。
義勇は見張るべき存在が屋敷に入っていったことで、この場にいる意味を無くしたため屋敷を後にしようと出口へ向かった。
不死川は名前が去って行った方を変わらず睨みつけ、小さく呟いた。
「俺はてめェを逃がさねェからなァ…。」
長かった夜が、明けようとしていた。
「てめェといい、竈門が連れた鬼といい、俺を苛つかせる鬼ばっかりだなァ?」
不死川はゆっくりと刀を抜く。
「てめェが鬼である以上斬る以外の選択肢はねェ。」
名前は不死川が刀を自分の頸目掛けて振り下ろそうとしていることを、気配で察した。
しかし体調が万全でない状態かつ、稀血に酔った状態で柱である不死川の力に叶う訳もなく、動くことは出来ない。
しのぶは不死川を止めようと地面を蹴ったものの、不死川の太刀には間に合わない。
(まずい…!!)
二人の思いが共鳴したそのとき、何者かが不死川の刀を受け止めた。
「おいてめェ、自分が何やってんのか分かってんのかァ…。」
不死川はゆっくりと自身の刀を受け止めた相手を睨みつける。
「冨岡ァ!!!」
現れたのは、義勇であった。
毛嫌いしている人物が突如表れ、ますます不死川の機嫌は悪くなっていく。
そんな不死川の気分など梅雨知らず、義勇は答える。
「……お前の攻撃から鬼を守った。」
「馬鹿正直に答えてんじゃねェよ!俺はその鬼に用があんだァ、そこを退けェ。もしくはてめェごとたたっ斬ってやるよォ…!」
義勇はいつものポーカーフェイスで、名前を守るように前に立った。
名前のことをちらりと見てから不死川に向き合う。
「協定違反だ。」
「あァ?」
「俺はお館様からこの鬼を見張るように言われている。人間を傷つけないか。人間から無意味に斬られないか。」
「無意味だァ?コイツが鬼ってだけで斬る意味はあるだろうがよォ…?」
義勇と不死川の相性は決して良くはない。
さらに柱である義勇が鬼を守ったことで、その溝はどんどん深まっていく。
不死川は殺意の篭もった目を義勇に向けた。
二人が本気で斬り合う前に、しのぶが声をかけた。
「お二人共、一度刀を収めてください。」
二人は刀を構えたまましのぶを見た。
しのぶはすっかりいつもの笑顔に表情を戻していた。
「止める必要があんのか胡蝶ォ…?」
「はい、ここ蝶屋敷内では斬り合いは禁止です。それに、お館様から連絡が来ていますし。」
しのぶが腕を伸ばすと、鴉がそこにとまった。
それは耀哉の遣いの鴉であった。
「!」
不死川と義勇は目を見開き、刀を収めた。
鴉は耀哉に似た、落ち着いた上品な雰囲気を漂わせており、二人の様子に満足気な表情をしたようだった。
「こんばんは、私は産屋敷耀哉の遣いの鴉です。我が主の言付けを預かって参りましたので、お伝え致します。」
鴉は丁寧に話し始めた。
「名前さん、明日から恋柱の甘露寺蜜璃と共に任務に赴いてください。恋柱の元までは隠がお連れしますので、明日の朝までは蝶屋敷で待機していてください。それでは。」
鴉は名前と柱の三人を一人ずつ見つめた後、優雅に羽ばたいて去って行った。
しのぶは自身の腕から飛び立った鴉が見えなくなるまで見送った。
そして鴉と同じように、二人を見やった。
不死川は忌々しそうに義勇と名前を睨みつけていたが、義勇は鴉が去って行った方をぼうっと見つめていた。
対照的な二人の様子にしのぶは少し笑ったあと、力なく倒れ込んでいる名前の元へ近寄った。
「もしもし、大丈夫ですか?」
名前はしのぶの声に少しだけ身じろいだ。
「…しのぶ、さん……。」
名前が自我を保てたことにしのぶは喜びを感じていた。
優しげな微笑みを浮かべ、しのぶは名前に声をかける。
「よく稀血を前に我慢出来ましたね。偉いです。今、お聞きいただいたようにお館様から指令が出ました。明日出発です。なので今日は休みましょう。」
名前としのぶのやり取りを義勇は無言で見つめ、不死川は悔しそうに睨みつけていた。
しのぶはにっこりと笑いながら二人に言い放った。
「鬼への見解が相違れないのはよく分かりますが、これ以上はお館様の命令もありこの場での戦闘は禁止します。御二方ともお引き取り願いますね。」
一瞬で名前を抱え、しのぶは屋敷内へ入っていった。
義勇は見張るべき存在が屋敷に入っていったことで、この場にいる意味を無くしたため屋敷を後にしようと出口へ向かった。
不死川は名前が去って行った方を変わらず睨みつけ、小さく呟いた。
「俺はてめェを逃がさねェからなァ…。」
長かった夜が、明けようとしていた。