2章
おなまえ
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名前が目覚めてから三日間。
カナヲは毎日名前のもとに通った。
「じゃあそろそろ行くね。」
「うん、ありがとうカナヲ!」
最初こそ名前もカナヲも会話が続かなかったものの、お互いに歳の近い友達もおらず、同い年というのが功を奏したのか短時間で打ち解けることが出来た。
目が覚めた名前にカナヲはまず謝罪をしたが、全く記憶の無い名前は何のことだかさっぱりで、逆に困ってしまった。
あっけらかんに笑う名前に救われたのか、カナヲもゆっくりと微笑み返し、お互いのことについて話し、そのうち友達のように話すことができるようになった。
カナヲは今晩から任務に出るため、名前に声をかけ、部屋をあとにした。
(嬉しい…!)
カナヲが部屋を出たあとも名前は笑顔を浮かべていた。
人間だった頃は基本家にしかいなかったため、友達どころか歳の近い者もいなかった。
そんな名前が初めて持つ友達という存在は、名前が思っていた以上に嬉しいものだったのだ。
名前が喜びを噛み締め終えると、屋敷の入口が騒がしいことに気がついた。
(どうしたんだろう、何かあったのかな…?)
基本的に名前は与えられた部屋からは出ない。
しのぶやカナヲに呼ばれた時だけ外には出るが、それ以外は部屋の中に引きこもっている。
柱であるしのぶが自分を認めたとはいえ、屋敷内の鬼に家族を殺された子達が自分を怖がらないとは限らないからだ。
しのぶには好きなときに外に出ていいとは言われていたが、名前は頑なにそれを拒否していた。
それが、鬼である名前のできる精一杯の思いやりだと思ったからだ。
しかし、騒ぎはなかなか収まらない。
(急患だとしてもここの子達がこんなに慌てることは無い。鬼はこの屋敷の近くには寄れないはず。でも、万が一何かあったら…。)
名前は心配になり、こっそりと部屋を出ることにした。
扉を開けると騒ぐ声は一段と大きく聞こえた。
外は暗く、もう夜になりかけていた。
ひやりとした廊下を一人で歩くのは初めてだった。
(声が聞こえる方へ…。)
早歩きで入口へ向かう名前の視界が開け、広い庭が目に映った。
そこにいたのは、
「久しぶりだなァ、まだのうのうと生きてやがったかァ。」
血走った目をこちらに向けた不死川だった。
名前が庭の前に現れる数分前。
不死川は突如蝶屋敷に現れた。
「オイ。ここに鬼がいるって聞いて来た。ソイツを出せェ。」
「か、風柱様…。」
不死川の機嫌は最底辺まで落ちていた。
(何故お館様はあの鬼を生かしている?理解出来ねェ。竈門が連れてる鬼でさえ俺は認めていねェのに、さらにもう一体認めろなんて、鬼殺隊として有り得ねェ。)
イライラとした表情を隠すことなく眉間にシワを寄せる不死川に、蝶屋敷にいた少女は怖がってしまい、すっかり萎縮してしまった。
「オイ、俺の話聞いてんのかァ?」
「ひっ……」
少女は返事さえ出来なくなり、それがまた不死川の機嫌を損ねていく。
他を当たろうと屋敷の中に視線を向けたとき、ちょうど目的の鬼が現れた。
不死川はニヤリと笑って鬼へ挑発の言葉をかけたのだった。
「何故、貴方がここに…。」
「それはこっちの台詞だぜェ。なんで鬼が鬼殺隊員しか入ることの出来ねェこの屋敷にいるんだァ?怪我人でも食いに来たか?」
「…そんな訳ありません。私は人を食べません。」
「あァ?まだそんなくだらねェこと言ってんのかァ。」
不死川はまだ刀を抜いておらず、名前もまだ血気術を使用していない。
しかし、両者共にすぐにでも戦えるような構えを取っていた。
不死川は、名前が以前会った時よりも強くなっていることを気配で悟った。
それがまた不死川の神経を逆撫でた。
(コイツ、人は食わねェって口で言いつつも、しっかり力を付けてきていやがる。鬼が強くなる方法なんて人を食う以外にねェだろうがよォ…。)
不死川の殺気がビリビリと名前に伝わる。
しかし今の名前は不死川から逃げることは出来ない。
飢餓状態から回復中とはいえ名前は全快ではない。
鬼の身体能力は人間よりも高いが、柱には全快の状態でないと逃げ切ることは難しいのだ。
それに加え、名前は一度不死川から逃げている。
不死川は同じ獲物を二度も取り逃がすことは恐らくしないだろうし、名前自身も不死川ときちんと向き合って話したかった。
(この人にも、認めて欲しい…!)
名前は強い意志の宿った目で、不死川を見つめ返した。
カナヲは毎日名前のもとに通った。
「じゃあそろそろ行くね。」
「うん、ありがとうカナヲ!」
最初こそ名前もカナヲも会話が続かなかったものの、お互いに歳の近い友達もおらず、同い年というのが功を奏したのか短時間で打ち解けることが出来た。
目が覚めた名前にカナヲはまず謝罪をしたが、全く記憶の無い名前は何のことだかさっぱりで、逆に困ってしまった。
あっけらかんに笑う名前に救われたのか、カナヲもゆっくりと微笑み返し、お互いのことについて話し、そのうち友達のように話すことができるようになった。
カナヲは今晩から任務に出るため、名前に声をかけ、部屋をあとにした。
(嬉しい…!)
カナヲが部屋を出たあとも名前は笑顔を浮かべていた。
人間だった頃は基本家にしかいなかったため、友達どころか歳の近い者もいなかった。
そんな名前が初めて持つ友達という存在は、名前が思っていた以上に嬉しいものだったのだ。
名前が喜びを噛み締め終えると、屋敷の入口が騒がしいことに気がついた。
(どうしたんだろう、何かあったのかな…?)
基本的に名前は与えられた部屋からは出ない。
しのぶやカナヲに呼ばれた時だけ外には出るが、それ以外は部屋の中に引きこもっている。
柱であるしのぶが自分を認めたとはいえ、屋敷内の鬼に家族を殺された子達が自分を怖がらないとは限らないからだ。
しのぶには好きなときに外に出ていいとは言われていたが、名前は頑なにそれを拒否していた。
それが、鬼である名前のできる精一杯の思いやりだと思ったからだ。
しかし、騒ぎはなかなか収まらない。
(急患だとしてもここの子達がこんなに慌てることは無い。鬼はこの屋敷の近くには寄れないはず。でも、万が一何かあったら…。)
名前は心配になり、こっそりと部屋を出ることにした。
扉を開けると騒ぐ声は一段と大きく聞こえた。
外は暗く、もう夜になりかけていた。
ひやりとした廊下を一人で歩くのは初めてだった。
(声が聞こえる方へ…。)
早歩きで入口へ向かう名前の視界が開け、広い庭が目に映った。
そこにいたのは、
「久しぶりだなァ、まだのうのうと生きてやがったかァ。」
血走った目をこちらに向けた不死川だった。
名前が庭の前に現れる数分前。
不死川は突如蝶屋敷に現れた。
「オイ。ここに鬼がいるって聞いて来た。ソイツを出せェ。」
「か、風柱様…。」
不死川の機嫌は最底辺まで落ちていた。
(何故お館様はあの鬼を生かしている?理解出来ねェ。竈門が連れてる鬼でさえ俺は認めていねェのに、さらにもう一体認めろなんて、鬼殺隊として有り得ねェ。)
イライラとした表情を隠すことなく眉間にシワを寄せる不死川に、蝶屋敷にいた少女は怖がってしまい、すっかり萎縮してしまった。
「オイ、俺の話聞いてんのかァ?」
「ひっ……」
少女は返事さえ出来なくなり、それがまた不死川の機嫌を損ねていく。
他を当たろうと屋敷の中に視線を向けたとき、ちょうど目的の鬼が現れた。
不死川はニヤリと笑って鬼へ挑発の言葉をかけたのだった。
「何故、貴方がここに…。」
「それはこっちの台詞だぜェ。なんで鬼が鬼殺隊員しか入ることの出来ねェこの屋敷にいるんだァ?怪我人でも食いに来たか?」
「…そんな訳ありません。私は人を食べません。」
「あァ?まだそんなくだらねェこと言ってんのかァ。」
不死川はまだ刀を抜いておらず、名前もまだ血気術を使用していない。
しかし、両者共にすぐにでも戦えるような構えを取っていた。
不死川は、名前が以前会った時よりも強くなっていることを気配で悟った。
それがまた不死川の神経を逆撫でた。
(コイツ、人は食わねェって口で言いつつも、しっかり力を付けてきていやがる。鬼が強くなる方法なんて人を食う以外にねェだろうがよォ…。)
不死川の殺気がビリビリと名前に伝わる。
しかし今の名前は不死川から逃げることは出来ない。
飢餓状態から回復中とはいえ名前は全快ではない。
鬼の身体能力は人間よりも高いが、柱には全快の状態でないと逃げ切ることは難しいのだ。
それに加え、名前は一度不死川から逃げている。
不死川は同じ獲物を二度も取り逃がすことは恐らくしないだろうし、名前自身も不死川ときちんと向き合って話したかった。
(この人にも、認めて欲しい…!)
名前は強い意志の宿った目で、不死川を見つめ返した。