2章
おなまえ
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耀哉が名前との協定に求めた内容は大きくわけて三つだった。
一つ、忌血の研究のため、採血を行うこと。
二つ、常に柱と同行し鬼殺の補助をすること。
三つ、人間を襲わない限りは名前を斬らないこと。
ただし、自我を無くして人間襲った瞬間にこの協定は破棄とする。
(採血は珠世さんにも協力しているため問題ない。
鬼殺の補助も私の血気術を考えれば、非常に有効なはず。
斬られない保証がつくなら、今までほどビクビクして動かなくて済む。
…うん、内容としては全く問題ないかな。)
名前は内容を確認し、耀哉に肯定の返答をした。
すると耀哉は嬉しそうに頷いた。
「採血に関しては、君の横にいるしのぶから詳細を聞いて欲しい。しのぶ、頼めるかな。」
「はい、謹んでお受けいたします。」
名前の左側にいる女性が返事をした。
「じゃあ名前は下がっていいよ。この屋敷の周りは藤の花が咲いているから苦しいだろう。あとでしのぶから指示があると思うから、それまで待機をしていておくれ。」
「は、はい!」
耀哉の言葉に名前はゆっくりと立ち上がり、ふらつきながらもその場を後にした。
(まさか私がこんな所に連れてこられるなんて、思っていなかった。それに、人間として生きることを認められるなんて…。)
名前は嬉しくなり、一人でひっそりと笑った。
「さて、二人を呼んだのはお願いがあったからなんだ。」
名前が去った後、耀哉は残った二人の柱、蟲柱 胡蝶しのぶと水柱 冨岡義勇に向かって言った。
「名前はね、禰豆子とは違う。彼女は死体とはいえ、もう人を食べてしまっているんだよ。だから禰豆子のように自由にさせることはできない。そこで柱のみんなに管理をお願いしたいんだ。」
「お言葉ですがお館様。」
ずっと黙っていた冨岡が口を挟んだ。
「禰豆子は二年以上人を食いませんでした。それに不死川の血を見ても食わなかったことから、人を襲わないと証明ができています。しかしあの鬼は既に人の味を覚えています。そんな状態で生かしておく必要があるのでしょうか。」
「そうですね…。私としては血の研究ができるのはありがたいことですが、それならわざわざ任務に同行させずとも監禁すれば良いのではないかと思うのですが。」
冨岡に続いて胡蝶も耀哉に意見を述べた。
二人の意見を聞いても、穏やかな表情を絶やすことなく、耀哉は頷いた。
「そうだね。二人の意見も最もだと思うよ。ただ、彼女の能力は無惨に対しても効果的だと思うんだ。今から共闘訓練をしておけば、最終決戦でも彼女の力は我々の力になる。私は少しでも無惨を倒すための戦力を失いたくないんだ。」
冨岡と胡蝶はその言葉に口を噤んだ。
納得することは難しいよね、と少し困ったように耀哉は笑った。
「私や冨岡さんはどちらかといえば鬼に対してまだ友好的な方です。それこそ、非友好的な不死川さんや伊黒さんが納得されるかと言われれば、否、になると思います。」
苦笑を浮かべながら胡蝶は続けた。
「そこで提案なのですが、まず私の方で彼女を預からせて頂けないでしょうか。採血と同時進行で、ある程度の飢餓状態にすることで彼女の本質を見定めます。他の柱の方も同じように自分なりのやり方で、彼女が襲わないことを判断できれば良いんじゃないでしょうか。」
胡蝶の言い分に対して、耀哉はいい案だね、と言ってにこりと笑った。
「しのぶの案を柱の皆に伝えておくことにするよ。ただそれでも、警戒心の強い実弥や小芭内は名前を斬りにいくかもしれない。そこで義勇に頼みたいことがあるんだ。」
「はい。」
「名前を守ってあげて欲しい。」
耀哉の頼みに、流石の冨岡も眉をひそめた。
自身も認めていない鬼の存在を、守れと言われても納得できなかった。
ポーカーフェイスの冨岡の表情が崩れたのを見て、耀哉はくすりと笑った。
「名前との協定は、『人間を襲わない限りは斬らない』という内容だから、それを破ることは許されないんだ。だから実弥や小芭内が問答無用で名前を斬るようなら守らなきゃいけない。ただ、守りながらも名前がもし鬼殺隊に牙を向く場合は、義勇、君が名前の頚を斬ってくれ。」
「つまり…私にあの鬼を見張れ、ということでしょうか。」
「そうだね、言い換えるとそういう事になるね。でも禰豆子を良い鬼だと判断し、炭治郎と共に鬼と戦えると決断した義勇だからこそ、名前の本質を捉えてどんな対処とするべきか判断できると思うんだ。」
冨岡は耀哉のその言葉に、元々のポーカーフェイスに表情を戻し、答えた。
「御意。」
そうして二人は、その場から去った。
一つ、忌血の研究のため、採血を行うこと。
二つ、常に柱と同行し鬼殺の補助をすること。
三つ、人間を襲わない限りは名前を斬らないこと。
ただし、自我を無くして人間襲った瞬間にこの協定は破棄とする。
(採血は珠世さんにも協力しているため問題ない。
鬼殺の補助も私の血気術を考えれば、非常に有効なはず。
斬られない保証がつくなら、今までほどビクビクして動かなくて済む。
…うん、内容としては全く問題ないかな。)
名前は内容を確認し、耀哉に肯定の返答をした。
すると耀哉は嬉しそうに頷いた。
「採血に関しては、君の横にいるしのぶから詳細を聞いて欲しい。しのぶ、頼めるかな。」
「はい、謹んでお受けいたします。」
名前の左側にいる女性が返事をした。
「じゃあ名前は下がっていいよ。この屋敷の周りは藤の花が咲いているから苦しいだろう。あとでしのぶから指示があると思うから、それまで待機をしていておくれ。」
「は、はい!」
耀哉の言葉に名前はゆっくりと立ち上がり、ふらつきながらもその場を後にした。
(まさか私がこんな所に連れてこられるなんて、思っていなかった。それに、人間として生きることを認められるなんて…。)
名前は嬉しくなり、一人でひっそりと笑った。
「さて、二人を呼んだのはお願いがあったからなんだ。」
名前が去った後、耀哉は残った二人の柱、蟲柱 胡蝶しのぶと水柱 冨岡義勇に向かって言った。
「名前はね、禰豆子とは違う。彼女は死体とはいえ、もう人を食べてしまっているんだよ。だから禰豆子のように自由にさせることはできない。そこで柱のみんなに管理をお願いしたいんだ。」
「お言葉ですがお館様。」
ずっと黙っていた冨岡が口を挟んだ。
「禰豆子は二年以上人を食いませんでした。それに不死川の血を見ても食わなかったことから、人を襲わないと証明ができています。しかしあの鬼は既に人の味を覚えています。そんな状態で生かしておく必要があるのでしょうか。」
「そうですね…。私としては血の研究ができるのはありがたいことですが、それならわざわざ任務に同行させずとも監禁すれば良いのではないかと思うのですが。」
冨岡に続いて胡蝶も耀哉に意見を述べた。
二人の意見を聞いても、穏やかな表情を絶やすことなく、耀哉は頷いた。
「そうだね。二人の意見も最もだと思うよ。ただ、彼女の能力は無惨に対しても効果的だと思うんだ。今から共闘訓練をしておけば、最終決戦でも彼女の力は我々の力になる。私は少しでも無惨を倒すための戦力を失いたくないんだ。」
冨岡と胡蝶はその言葉に口を噤んだ。
納得することは難しいよね、と少し困ったように耀哉は笑った。
「私や冨岡さんはどちらかといえば鬼に対してまだ友好的な方です。それこそ、非友好的な不死川さんや伊黒さんが納得されるかと言われれば、否、になると思います。」
苦笑を浮かべながら胡蝶は続けた。
「そこで提案なのですが、まず私の方で彼女を預からせて頂けないでしょうか。採血と同時進行で、ある程度の飢餓状態にすることで彼女の本質を見定めます。他の柱の方も同じように自分なりのやり方で、彼女が襲わないことを判断できれば良いんじゃないでしょうか。」
胡蝶の言い分に対して、耀哉はいい案だね、と言ってにこりと笑った。
「しのぶの案を柱の皆に伝えておくことにするよ。ただそれでも、警戒心の強い実弥や小芭内は名前を斬りにいくかもしれない。そこで義勇に頼みたいことがあるんだ。」
「はい。」
「名前を守ってあげて欲しい。」
耀哉の頼みに、流石の冨岡も眉をひそめた。
自身も認めていない鬼の存在を、守れと言われても納得できなかった。
ポーカーフェイスの冨岡の表情が崩れたのを見て、耀哉はくすりと笑った。
「名前との協定は、『人間を襲わない限りは斬らない』という内容だから、それを破ることは許されないんだ。だから実弥や小芭内が問答無用で名前を斬るようなら守らなきゃいけない。ただ、守りながらも名前がもし鬼殺隊に牙を向く場合は、義勇、君が名前の頚を斬ってくれ。」
「つまり…私にあの鬼を見張れ、ということでしょうか。」
「そうだね、言い換えるとそういう事になるね。でも禰豆子を良い鬼だと判断し、炭治郎と共に鬼と戦えると決断した義勇だからこそ、名前の本質を捉えてどんな対処とするべきか判断できると思うんだ。」
冨岡は耀哉のその言葉に、元々のポーカーフェイスに表情を戻し、答えた。
「御意。」
そうして二人は、その場から去った。