2章
おなまえ
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『血気術 忌藤ノ宴 (いみふじのうたげ)』
名前は伊黒に頚を斬られる寸前、伊黒をどうにか突き飛ばし、炭治郎達との鍛錬で生み出した新しい血気術を発動させた。
これは対人間用、自らの命を守る時に発動する術である。
名前の手には藤の花びらのような小刀が多数握られていた。
伊黒はすぐに体勢を立て直し、じとっと名前を睨みつけた。
「そんなもので俺を殺すつもりか?俺も舐められたものだ。」
「私は貴方を殺す気などありません。」
「そうか。俺は貴様を殺すがな。」
伊黒から発せられる殺気に、名前は戦わざるを得ないことにため息をついた。
(どうにかこの人から逃げないと…。)
手の中にある小刀を空気中に投げると、まるで花びらのようにふわふわと宙に舞った。
そして投げた分を補充するかのように、名前の手の中には新しい小刀が収まっていた。
伊黒は名前に向かって何度も刀を振り下ろし、名前はそれを周囲を漂う小刀や手に持った小刀で受け流す。
なかなか頚を斬れず、伊黒はイラつき始める。
(コイツ…そんなに強い気配はしないのに、刀を受け流すのが異様に上手い。常に人間と戦っていたかのようだ。)
伊黒がそう思うのも最もで、名前は炭治郎たちとの鍛錬では忌藤ノ宴を発動し刀を受け流していた。
名前の体を蝕むことの無いこの能力は、名前としても使いやすかった。
小刀は斬撃を一度受けると消えてしまうが、名前の手の中から永遠と増え続けるため、相手を殺さずに攻撃を避け続けることを目的とする名前と相性の良い能力であった。
いつまでも埒の明かない戦闘の末、伊黒は刀を構え直し体制を整えた。
名前は伊黒が型を出そうとしていることが分かった。
(柱の出す型までは防ぎきれないかもしれない…。どうしよう…。)
ちらりと宇髄を見て止めてくれることを期待したが、怪我が酷く間に入れる状態ではないだろうと名前は思った。
他に頼りになる人間はいない、自分でどうにかしなければと思ったその時、頭上で鴉が鳴いた。
「ソノ鬼、捕獲セヨ!屋敷マデ連レ帰レ!」
頭上を飛び回る鴉の言葉に伊黒は驚きを隠しきれなかった。
(何故だ?コイツは鬼だぞ?ここで斬らずに捕獲する意味があるのか?)
伊黒は忌々しそうに名前を睨みつけながらも
お館様からの指令に背くことはせず、刀を納めた。
名前は鴉が言ったことも伊黒が刀を納めたことも理解ができず、警戒は解かぬまま伊黒を見た。
伊黒は憎むように名前を見ながら言った。
「良かったな、少しだけ寿命が延びた様だ。」
「え…?」
「宇髄。貴様も腹を切る覚悟を決めておけ。」
「はぁ?なんの事だかさっぱりだな?」
名前だけでなく宇髄へも伊黒は睨みをきかせたが、宇髄は安心した様子でにやりと笑った。
名前だけがその場で話に置いていかれているようだった。
(どういうこと…?私は今斬られないってこと?でも、あの鴉なんて言ってたっけ…。連れ帰れ…?)
名前が必死で頭を働かせているその隙に、伊黒は瞬時に背後に回り名前を地面に倒して捕獲した。
その力は強く、痛みと苦しみが伴った。
「なっ…な、にを…」
「捕獲しろと言われたからな。俺は優しくするなんて一言も言っていない。このまま朝日で焼き殺しても俺は全く構わないが。」
伊黒の目はここに現れてからずっと、名前を冷たい目で睨みつけ、その表情はずっと変わらない。
名前は、これが鬼に向ける一般的な表情なんだろうと思った。
今まで出会った鬼殺隊員達が特殊だったことを名前は理解した。
その目を見返しながら名前が苦笑したことに伊黒は腹を立てたのか、手刀で名前の意識を奪った。
名前が力をなくしたのを確認し、伊黒は名前を拘束から解き放った。
宇髄はその様子を見つめながら話し始めた。
「そいつは他の鬼とは違うと俺は思うけどな。」
「黙れ。貴様の意見は聞いていない。」
倒れた名前を変わらず睨みつけながら伊黒は答えた。
「俺は信じない。竈門炭治郎が連れた鬼も、この鬼も、結局は醜い鬼だ。」
「お前も話してみれば良い。コイツはどの人間よりも人間らしいぜ。」
「貴様、何を言ってるのか分かっているのか。」
名前から目を離し、宇髄へ軽蔑するような視線を向けながら伊黒は言い放った。
「どんな事情があろうと、どんな性格を持っていようと、コイツは鬼。それだけで俺が斬る理由は成立する。」
伊黒の言葉に宇髄はハァと深い溜息をついた。
名前は伊黒に頚を斬られる寸前、伊黒をどうにか突き飛ばし、炭治郎達との鍛錬で生み出した新しい血気術を発動させた。
これは対人間用、自らの命を守る時に発動する術である。
名前の手には藤の花びらのような小刀が多数握られていた。
伊黒はすぐに体勢を立て直し、じとっと名前を睨みつけた。
「そんなもので俺を殺すつもりか?俺も舐められたものだ。」
「私は貴方を殺す気などありません。」
「そうか。俺は貴様を殺すがな。」
伊黒から発せられる殺気に、名前は戦わざるを得ないことにため息をついた。
(どうにかこの人から逃げないと…。)
手の中にある小刀を空気中に投げると、まるで花びらのようにふわふわと宙に舞った。
そして投げた分を補充するかのように、名前の手の中には新しい小刀が収まっていた。
伊黒は名前に向かって何度も刀を振り下ろし、名前はそれを周囲を漂う小刀や手に持った小刀で受け流す。
なかなか頚を斬れず、伊黒はイラつき始める。
(コイツ…そんなに強い気配はしないのに、刀を受け流すのが異様に上手い。常に人間と戦っていたかのようだ。)
伊黒がそう思うのも最もで、名前は炭治郎たちとの鍛錬では忌藤ノ宴を発動し刀を受け流していた。
名前の体を蝕むことの無いこの能力は、名前としても使いやすかった。
小刀は斬撃を一度受けると消えてしまうが、名前の手の中から永遠と増え続けるため、相手を殺さずに攻撃を避け続けることを目的とする名前と相性の良い能力であった。
いつまでも埒の明かない戦闘の末、伊黒は刀を構え直し体制を整えた。
名前は伊黒が型を出そうとしていることが分かった。
(柱の出す型までは防ぎきれないかもしれない…。どうしよう…。)
ちらりと宇髄を見て止めてくれることを期待したが、怪我が酷く間に入れる状態ではないだろうと名前は思った。
他に頼りになる人間はいない、自分でどうにかしなければと思ったその時、頭上で鴉が鳴いた。
「ソノ鬼、捕獲セヨ!屋敷マデ連レ帰レ!」
頭上を飛び回る鴉の言葉に伊黒は驚きを隠しきれなかった。
(何故だ?コイツは鬼だぞ?ここで斬らずに捕獲する意味があるのか?)
伊黒は忌々しそうに名前を睨みつけながらも
お館様からの指令に背くことはせず、刀を納めた。
名前は鴉が言ったことも伊黒が刀を納めたことも理解ができず、警戒は解かぬまま伊黒を見た。
伊黒は憎むように名前を見ながら言った。
「良かったな、少しだけ寿命が延びた様だ。」
「え…?」
「宇髄。貴様も腹を切る覚悟を決めておけ。」
「はぁ?なんの事だかさっぱりだな?」
名前だけでなく宇髄へも伊黒は睨みをきかせたが、宇髄は安心した様子でにやりと笑った。
名前だけがその場で話に置いていかれているようだった。
(どういうこと…?私は今斬られないってこと?でも、あの鴉なんて言ってたっけ…。連れ帰れ…?)
名前が必死で頭を働かせているその隙に、伊黒は瞬時に背後に回り名前を地面に倒して捕獲した。
その力は強く、痛みと苦しみが伴った。
「なっ…な、にを…」
「捕獲しろと言われたからな。俺は優しくするなんて一言も言っていない。このまま朝日で焼き殺しても俺は全く構わないが。」
伊黒の目はここに現れてからずっと、名前を冷たい目で睨みつけ、その表情はずっと変わらない。
名前は、これが鬼に向ける一般的な表情なんだろうと思った。
今まで出会った鬼殺隊員達が特殊だったことを名前は理解した。
その目を見返しながら名前が苦笑したことに伊黒は腹を立てたのか、手刀で名前の意識を奪った。
名前が力をなくしたのを確認し、伊黒は名前を拘束から解き放った。
宇髄はその様子を見つめながら話し始めた。
「そいつは他の鬼とは違うと俺は思うけどな。」
「黙れ。貴様の意見は聞いていない。」
倒れた名前を変わらず睨みつけながら伊黒は答えた。
「俺は信じない。竈門炭治郎が連れた鬼も、この鬼も、結局は醜い鬼だ。」
「お前も話してみれば良い。コイツはどの人間よりも人間らしいぜ。」
「貴様、何を言ってるのか分かっているのか。」
名前から目を離し、宇髄へ軽蔑するような視線を向けながら伊黒は言い放った。
「どんな事情があろうと、どんな性格を持っていようと、コイツは鬼。それだけで俺が斬る理由は成立する。」
伊黒の言葉に宇髄はハァと深い溜息をついた。