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2章

おなまえ

この小説の夢小説設定
苗字
名前

「柱と一緒に任務?」
「うん、そうなんだ。このあとすぐに三人一緒に。」

日中、洞窟に引きこもっている名前のもとに炭治郎が現れて告げた。
話を聞くと、柱に連れられて三人揃って任務に行くことになり、どのくらいで帰って来れるかわからない、とのことだった。
今までも各々任務があり、誰も名前との鍛錬に来ない日もあったが、柱との任務ということもあり恐らく危険が伴う。
炭治郎は死ぬつもりは毛頭ないが、もし何かあった時に名前が自分たちを待ち続けてしまうことは避けたかった。
そのため出発の直前に名前に会いに来ていた。

「だから一旦鍛錬は中止しよう。名前も充分強くなったし、次会った時にまた一緒に鍛錬してくれると俺は嬉しい。」

炭治郎の言葉に名前は深く頷いた。

「炭治郎達のおかげで私も戦えるようになったよ、本当にありがとう。善逸くんと伊之助にもよろしく伝えてね。」
「あぁ。必ず。」

踵を返そうとする炭治郎に、名前は言った。


「行ってらっしゃい。」


炭治郎は一瞬立ち止まり、すぐに笑って大きく手を振った。

「行ってきます!!」





炭治郎が去ったあと、名前は考えていた。

(柱が行く任務ってことは、強い鬼がいるんだろう…。それに一般隊士に比べて強い炭治郎たちが三人揃って行くってことは、上弦の鬼がいる可能性もあるんじゃないかな…?)

上弦の参から何の情報も得ることが出来なかったため、次に上弦の鬼に会う時は必ず無惨の情報を得ると名前は決めていた。
そんな名前にとって、炭治郎からの報告は吉報であった。

(柱がいるのが気がかりだけど…。対人間用の技もあるし、待っているだけでは情報は来ない。自ら動かなければ、無惨を殺すことは出来ない。)


長期間の修行のおかげで三人の気配を覚えた名前は、気配を追って山を下った。






吉原 遊郭
男と女の見栄と欲
愛憎渦巻く夜の街


名前は初めてこんなに賑やかな街へ来た。
生まれ育った町も大きく豊かではあったが、こんなに人がいる町ではなかった。
辿り着いたのは夕方であったため、日陰から街を見る。
ザワザワと色々なところから話し声が聞こえる。
名前は少しだけ心を踊らせていた。

(すごい…!大きくて華やかな街…!!)

どこを見ても綺麗な着物が目に入る。
名前も十六となり、やはり美しい着物への憧れはあった。
名前が見惚れていると、見慣れた着物の柄を街中に見つけた。


(あれ?あの着物の柄…。)


緑と黒の市松模様が見えた。
その着物を着ている人物へ顔を向けると、

「なっ…!?」

派手に化粧を塗りたくられた、炭治郎であった。
その横を見ると、相変わらず目立つ髪色をしていて同じく派手な化粧をしている善逸がいて、逆側には美形なはずの伊之助も濃い化粧がされていた。

名前は三度見くらいして、ついに堪えきれなくなって笑った。

「あははは!!なにあれ、おかしい!任務って、女装してなの?あははは!!」

名前はその場で笑い転げた。
女装といっても、伊之助はもとが美形なためそのままでも良かったはずだ。
炭治郎と善逸も、決して顔が悪い訳では無い。
それなのに、三人揃ってとんでもない不細工にされてしまっている。
涙が出るくらい笑った名前は、目の端に溜まった涙を拭いながら様子を伺った。

三人と一緒にいたのは、背が高く非常に顔が整った男だった。
恐らくあれが柱だろう、と名前が認識した瞬間、柱がこちらを見た。
名前はすごい速さでその場を離れた。


(目が合った、確実に気づかれた…!)


辺りはだんだんと暗くなってきており、日の光がもう差し込んでいなかったのが幸運だった。
名前は全速力で距離を取り隠れた。
柱は追ってきてはいないようだった。


名前はふーっと息を吐き、呼吸を整えた。

(どうにか柱に会うことなく、鬼を見つけだして情報を聞き出そう…。その鬼が炭治郎達の敵なら、情報を聞き出してから引き渡せば良いし。)


名前はよし、と意気込み夜の街へ繰り出した。
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