1章
おなまえ
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数ヶ月後。
炭治郎、善逸、伊之助は各々任務をこなしつつ鍛錬を行い、夜も時間がある限り名前との戦闘訓練に励み続けていた。
キィン、と刀と名前の鋭い爪がぶつかり、善逸の手から刀が飛ばされた。
ざくっと地面に突き刺さる音だけがその場に鳴り響いた。
「す、すごいよ名前ちゃん!!」
善逸は目をキラキラとさせながら名前に駆け寄った。
「俺の刀、あんな所まで飛んでっちゃったよ!」
刀が刺さったところを指差し、善逸は名前よりもはしゃいで嬉しそうにしていた。
炭治郎も伊之助も任務に出ており、今日は善逸と名前の二人で鍛錬を行っていた。
鍛錬を始めた頃は、善逸は名前と二人っきりだと奇声や求婚をしていたものの、それも名前の真剣さに影響され最近は落ち着いていた。
この数ヶ月で名前は格段に強くなった。
もうただの箱入り娘だった頃の名前はいない。
三人との戦いで実力が伸び続けていた。
「本当にすごいねぇ名前ちゃん。もう俺より強いんじゃないかなぁ。」
刀を飛ばされたにもかかわらず、善逸は嬉しそうだった。
自身の刀を鞘に収め、休憩しようと声をかける善逸につられ、名前もにこりと笑った。
善逸の隣に腰を下ろし、名前は夜空を見上げた。
(次の季節が来れば、私が鬼になって一年になる。)
山の夜は冷える。
名前が息を吐くとそれは白く、空気中にすっと消えていった。
少しだけ名前が物思いに耽っている中、善逸はこの山で初めて会った時のように、もじもじとしていた。
「あのさ…名前ちゃん。今日はさ、二人っきりだからさ…。俺、言いたいことがあって…。」
「なぁに?」
善逸の言葉に、名前はこてんと首を傾げる。
しばらく間があいた後、善逸の黄色い真剣な瞳が名前を射抜く。
「名前ちゃんはすごく、俺よりすごく強いけど…やっぱり女の子だから。最初は断られちゃったけど、俺が守ってあげたいって思うんだ。だから、だから俺が名前ちゃんのこと人間に戻してあげるからね!」
名前は善逸の言葉に目を丸くし、それと同時に男性に言い寄られたことが無いため顔を赤くする。
名前のその様子とドキドキという心音を善逸は確認した。
(あれ、これ勢いでいけるんじゃね…!?ついに俺にも、春が…!!)
善逸は心の中で意気込み、ガシッと名前の手を掴んだ。
「名前ちゃん!!人間に戻ったら、俺と……!」
善逸が名前に言いかけようとした瞬間、何かが善逸を跳ね飛ばした。
その何かは、名前の体にぎゅっと抱きついた。
「ムームー!!」
「禰豆子ちゃん!」
すごい勢いで走ってきた禰豆子が、名前に抱きつくために善逸を跳ね飛ばしたのだった。
禰豆子と名前は久しぶりの再会に喜んだ。
しばらくすると、炭治郎が走ってやって来た。
「禰豆子!勝手に行くなと言っただろう。すまない名前、驚かせて…。」
「いいの!気にしないで!」
禰豆子は名前に抱きつきながらご満悦の表情をし、名前もにこにこと嬉しそうに笑った。
その様子に炭治郎はほっとした。
「た〜ん〜じ〜ろ〜う〜…」
「うわぁ!善逸!?なんでそんな所にいるんだ!」
善逸が草むらから顔を出して、恨みがましく炭治郎を見た。
そして炭治郎の首元を掴んで揺さぶった。
「お前っいい所だったんだぞ!!俺の一世一代の告白を邪魔すんなよぉぉぉ!!でも禰豆子ちゃんを連れてきてくれてありがとねぇぇぇえええ!!」
ガクガクと揺さぶられた炭治郎は、怒られてるのか感謝されているのか分からず、何とも言えない表情で善逸を見つめ返した。
しばらく禰豆子と炭治郎を加え四人で会話をした。
そのうち夜も更けてきたため、名前以外の三人は蝶屋敷へ戻ることにした。
すっかり楽しんだ名前は三人を見送りながら、ふと善逸に言われたことを思い出した。
(善逸くん、優しいな。人間に戻してあげるだなんて、誰かに言われる日が来るなんて思ってなかった。)
去っていく背中を見ながら名前は小さく呟いてみた。
「善逸くん。」
耳の良い善逸はその小さな呼びかけにも気が付き、くるりとこちらを振り向いた。
聞こえたことに名前は少し驚いたが、すぐに
嬉しそうな笑顔を善逸に向け、続けて呟いた。
「ありがとう。約束、守ってね。」
この言葉が善逸に届いたかどうかなんて愚問であった。
炭治郎、善逸、伊之助は各々任務をこなしつつ鍛錬を行い、夜も時間がある限り名前との戦闘訓練に励み続けていた。
キィン、と刀と名前の鋭い爪がぶつかり、善逸の手から刀が飛ばされた。
ざくっと地面に突き刺さる音だけがその場に鳴り響いた。
「す、すごいよ名前ちゃん!!」
善逸は目をキラキラとさせながら名前に駆け寄った。
「俺の刀、あんな所まで飛んでっちゃったよ!」
刀が刺さったところを指差し、善逸は名前よりもはしゃいで嬉しそうにしていた。
炭治郎も伊之助も任務に出ており、今日は善逸と名前の二人で鍛錬を行っていた。
鍛錬を始めた頃は、善逸は名前と二人っきりだと奇声や求婚をしていたものの、それも名前の真剣さに影響され最近は落ち着いていた。
この数ヶ月で名前は格段に強くなった。
もうただの箱入り娘だった頃の名前はいない。
三人との戦いで実力が伸び続けていた。
「本当にすごいねぇ名前ちゃん。もう俺より強いんじゃないかなぁ。」
刀を飛ばされたにもかかわらず、善逸は嬉しそうだった。
自身の刀を鞘に収め、休憩しようと声をかける善逸につられ、名前もにこりと笑った。
善逸の隣に腰を下ろし、名前は夜空を見上げた。
(次の季節が来れば、私が鬼になって一年になる。)
山の夜は冷える。
名前が息を吐くとそれは白く、空気中にすっと消えていった。
少しだけ名前が物思いに耽っている中、善逸はこの山で初めて会った時のように、もじもじとしていた。
「あのさ…名前ちゃん。今日はさ、二人っきりだからさ…。俺、言いたいことがあって…。」
「なぁに?」
善逸の言葉に、名前はこてんと首を傾げる。
しばらく間があいた後、善逸の黄色い真剣な瞳が名前を射抜く。
「名前ちゃんはすごく、俺よりすごく強いけど…やっぱり女の子だから。最初は断られちゃったけど、俺が守ってあげたいって思うんだ。だから、だから俺が名前ちゃんのこと人間に戻してあげるからね!」
名前は善逸の言葉に目を丸くし、それと同時に男性に言い寄られたことが無いため顔を赤くする。
名前のその様子とドキドキという心音を善逸は確認した。
(あれ、これ勢いでいけるんじゃね…!?ついに俺にも、春が…!!)
善逸は心の中で意気込み、ガシッと名前の手を掴んだ。
「名前ちゃん!!人間に戻ったら、俺と……!」
善逸が名前に言いかけようとした瞬間、何かが善逸を跳ね飛ばした。
その何かは、名前の体にぎゅっと抱きついた。
「ムームー!!」
「禰豆子ちゃん!」
すごい勢いで走ってきた禰豆子が、名前に抱きつくために善逸を跳ね飛ばしたのだった。
禰豆子と名前は久しぶりの再会に喜んだ。
しばらくすると、炭治郎が走ってやって来た。
「禰豆子!勝手に行くなと言っただろう。すまない名前、驚かせて…。」
「いいの!気にしないで!」
禰豆子は名前に抱きつきながらご満悦の表情をし、名前もにこにこと嬉しそうに笑った。
その様子に炭治郎はほっとした。
「た〜ん〜じ〜ろ〜う〜…」
「うわぁ!善逸!?なんでそんな所にいるんだ!」
善逸が草むらから顔を出して、恨みがましく炭治郎を見た。
そして炭治郎の首元を掴んで揺さぶった。
「お前っいい所だったんだぞ!!俺の一世一代の告白を邪魔すんなよぉぉぉ!!でも禰豆子ちゃんを連れてきてくれてありがとねぇぇぇえええ!!」
ガクガクと揺さぶられた炭治郎は、怒られてるのか感謝されているのか分からず、何とも言えない表情で善逸を見つめ返した。
しばらく禰豆子と炭治郎を加え四人で会話をした。
そのうち夜も更けてきたため、名前以外の三人は蝶屋敷へ戻ることにした。
すっかり楽しんだ名前は三人を見送りながら、ふと善逸に言われたことを思い出した。
(善逸くん、優しいな。人間に戻してあげるだなんて、誰かに言われる日が来るなんて思ってなかった。)
去っていく背中を見ながら名前は小さく呟いてみた。
「善逸くん。」
耳の良い善逸はその小さな呼びかけにも気が付き、くるりとこちらを振り向いた。
聞こえたことに名前は少し驚いたが、すぐに
嬉しそうな笑顔を善逸に向け、続けて呟いた。
「ありがとう。約束、守ってね。」
この言葉が善逸に届いたかどうかなんて愚問であった。