1章
おなまえ
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伊之助との再会から数週間後。
名前は今日も伊之助との戦闘訓練を行っていた。
伊之助も任務がない限り、名前のもとに訪れて刀を振るっていた。
夜食が欲しいという伊之助のために、名前は山を流れる川から魚を何匹か取ってきていた。
伊之助は魚を焼いて、それを食べながら名前に尋ねた。
「そういやお前。あのヘンテコな能力使わねぇの?」
猪の頭を取り、がぶっと焼き魚に噛み付いた。
「え?血鬼術のこと?」
伊之助の素顔を見た時、名前は本当に驚いた。
まさか猪頭の下から、こんな美少年が出てくるなんて思っていなかったのだ。
流石にもう見慣れたが、美しい顔を見る度にドキドキしていたのも記憶に新しい。
「私の血鬼術は、人間相手に使えるものじゃないから。」
「そうなのか?俺が戦った強ぇ鬼はほとんどの奴が変な能力使ってきたけどな。」
伊之助はバリバリと魚の骨まで食べ、二匹目に手を伸ばす。
名前は自分の能力を簡単に説明する。
自分に流れる忌血の力と、鬼が苦手とする藤の花の効力を掛け合わせて能力を作り出している。
幻影の力である藤花ノ宴。
攻撃力が向上する藤威。
防御力が向上する藤衣。
伊之助の性格を汲んで簡単に説明したものの、へぇ、と言っただけであった。
伊之助が本当に理解出来ているのか、名前には分からなかった。
用意した焼魚を全て食べ終わり、立ち上がって猪の頭を被り直すと、伊之助は名前に言った。
「全然、人間相手の戦闘に使えねェな。お前も刀とか持ったらどうだ?」
名前はパチパチと二度瞬きをし、苦笑した。
「伊之助、私の説明分かったんだ。」
「あァ!?喧嘩売ってんのかァ!?」
怒る伊之助を見て名前はふふふと笑い、刀かぁ…と呟いた。
少しだけ自分が刀を持つ姿を思い浮かべる。
一本の刀を腰に指す自分。
全く似合っていないな、と名前は苦笑した。
少しだけ運命が違っていたら。
両親を殺され自身が鬼になっていなかったら、自分も鬼殺隊になっていたのかもしれないと思った。
もしそうなら、伊之助たちとは共通の敵を倒すために仲間になって、何も考えることなく笑いあって共に精進していたかもしれない。
伊之助の腰にある二本の刀を見て、少しだけ悲しくなった。
数日後、名前のもとに来たのは伊之助だけではなかった。
「名前さん!!」
「…!!竈門さん、お久しぶりです!」
炭治郎と善逸を連れ三人で名前のもとに現れた。
久しぶりの再会に、名前は心を踊らせた。
「名前さん、あれから一度も会えなかったから心配してたんですよ。」
「ごめんなさい、少しだけ遠くに行っていたんです。」
むんっと頬を膨らませる炭治郎に、申し訳なさそうに謝る名前。
でも無事なら良かったです、と炭治郎は直ぐに笑った。
「それにしても、まさか伊之助と修行していたなんて驚きましたよ。」
「私もです。こんな巡り合わせがあるなんて驚きですよね。」
「コイツは弱ェから、俺様が直々に教えてやってんだ!」
フフンと得意気に話す伊之助を見て、名前は苦笑いをする。
「教えるっていうか、ぶつかり稽古みたいなもんでしょ?」
「あァ?文句あっか!?」
名前と伊之助のやり取りを炭治郎は楽しそうに見つめた。
そんな時、ずっと黙っていた一人が炭治郎と伊之助をガシッと掴んだ。
「オイ、二人ともちょっと来い。」
ドスの効いた声が響いた。
声の主である善逸が、ズルズルと二人を引きずって名前から少し離れた木の影へ消えていった。
(あの人、あんな感じだったっけ…?)
名前は首をかしげた。
名前が最後に善逸と話したのは、那田蜘蛛山で泣きつかれた時である。
あの時は泣きべそをかいていて、頼りないとしか言えないような感じだった。
しばらくすると、名前のもとまでその声が聞こえてきた。
「お前らはいつからあの子と仲良くなってたわけぇぇぇえええ!?ちゃっかり名前なんて呼んじゃってさァァァ!?ていうか伊之助てめぇ!!あの子と毎日キャッキャウフフ修行してたっていうの!?羨ましすぎるぅぅぅ!!日中の蝶屋敷の子達の修行だけに飽き足らず、夜まで女の子と一緒だったのかよこの裏切り者ォォォ!!!!」
「ぜ、善逸…落ち着け…!」
「お前もだぞこのデコっぱち!!真面目なフリして女の子と仲良くなりやがってこのムッツリめ!!」
「何を言ってるんだ!俺はムッツリじゃない!」
「わけわかんねーこと言ってんじゃねぇぞ!」
ぎゃあぎゃあとしばらく言い争いが続くようだったので、名前はふぅと息をつき、いつも通り魚を取りに川へ向かった。
(いつもより少し、多めに取らないとね…!)
名前は今日も伊之助との戦闘訓練を行っていた。
伊之助も任務がない限り、名前のもとに訪れて刀を振るっていた。
夜食が欲しいという伊之助のために、名前は山を流れる川から魚を何匹か取ってきていた。
伊之助は魚を焼いて、それを食べながら名前に尋ねた。
「そういやお前。あのヘンテコな能力使わねぇの?」
猪の頭を取り、がぶっと焼き魚に噛み付いた。
「え?血鬼術のこと?」
伊之助の素顔を見た時、名前は本当に驚いた。
まさか猪頭の下から、こんな美少年が出てくるなんて思っていなかったのだ。
流石にもう見慣れたが、美しい顔を見る度にドキドキしていたのも記憶に新しい。
「私の血鬼術は、人間相手に使えるものじゃないから。」
「そうなのか?俺が戦った強ぇ鬼はほとんどの奴が変な能力使ってきたけどな。」
伊之助はバリバリと魚の骨まで食べ、二匹目に手を伸ばす。
名前は自分の能力を簡単に説明する。
自分に流れる忌血の力と、鬼が苦手とする藤の花の効力を掛け合わせて能力を作り出している。
幻影の力である藤花ノ宴。
攻撃力が向上する藤威。
防御力が向上する藤衣。
伊之助の性格を汲んで簡単に説明したものの、へぇ、と言っただけであった。
伊之助が本当に理解出来ているのか、名前には分からなかった。
用意した焼魚を全て食べ終わり、立ち上がって猪の頭を被り直すと、伊之助は名前に言った。
「全然、人間相手の戦闘に使えねェな。お前も刀とか持ったらどうだ?」
名前はパチパチと二度瞬きをし、苦笑した。
「伊之助、私の説明分かったんだ。」
「あァ!?喧嘩売ってんのかァ!?」
怒る伊之助を見て名前はふふふと笑い、刀かぁ…と呟いた。
少しだけ自分が刀を持つ姿を思い浮かべる。
一本の刀を腰に指す自分。
全く似合っていないな、と名前は苦笑した。
少しだけ運命が違っていたら。
両親を殺され自身が鬼になっていなかったら、自分も鬼殺隊になっていたのかもしれないと思った。
もしそうなら、伊之助たちとは共通の敵を倒すために仲間になって、何も考えることなく笑いあって共に精進していたかもしれない。
伊之助の腰にある二本の刀を見て、少しだけ悲しくなった。
数日後、名前のもとに来たのは伊之助だけではなかった。
「名前さん!!」
「…!!竈門さん、お久しぶりです!」
炭治郎と善逸を連れ三人で名前のもとに現れた。
久しぶりの再会に、名前は心を踊らせた。
「名前さん、あれから一度も会えなかったから心配してたんですよ。」
「ごめんなさい、少しだけ遠くに行っていたんです。」
むんっと頬を膨らませる炭治郎に、申し訳なさそうに謝る名前。
でも無事なら良かったです、と炭治郎は直ぐに笑った。
「それにしても、まさか伊之助と修行していたなんて驚きましたよ。」
「私もです。こんな巡り合わせがあるなんて驚きですよね。」
「コイツは弱ェから、俺様が直々に教えてやってんだ!」
フフンと得意気に話す伊之助を見て、名前は苦笑いをする。
「教えるっていうか、ぶつかり稽古みたいなもんでしょ?」
「あァ?文句あっか!?」
名前と伊之助のやり取りを炭治郎は楽しそうに見つめた。
そんな時、ずっと黙っていた一人が炭治郎と伊之助をガシッと掴んだ。
「オイ、二人ともちょっと来い。」
ドスの効いた声が響いた。
声の主である善逸が、ズルズルと二人を引きずって名前から少し離れた木の影へ消えていった。
(あの人、あんな感じだったっけ…?)
名前は首をかしげた。
名前が最後に善逸と話したのは、那田蜘蛛山で泣きつかれた時である。
あの時は泣きべそをかいていて、頼りないとしか言えないような感じだった。
しばらくすると、名前のもとまでその声が聞こえてきた。
「お前らはいつからあの子と仲良くなってたわけぇぇぇえええ!?ちゃっかり名前なんて呼んじゃってさァァァ!?ていうか伊之助てめぇ!!あの子と毎日キャッキャウフフ修行してたっていうの!?羨ましすぎるぅぅぅ!!日中の蝶屋敷の子達の修行だけに飽き足らず、夜まで女の子と一緒だったのかよこの裏切り者ォォォ!!!!」
「ぜ、善逸…落ち着け…!」
「お前もだぞこのデコっぱち!!真面目なフリして女の子と仲良くなりやがってこのムッツリめ!!」
「何を言ってるんだ!俺はムッツリじゃない!」
「わけわかんねーこと言ってんじゃねぇぞ!」
ぎゃあぎゃあとしばらく言い争いが続くようだったので、名前はふぅと息をつき、いつも通り魚を取りに川へ向かった。
(いつもより少し、多めに取らないとね…!)