1章
おなまえ
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不死川の刀を構える姿を見ながら、名前は内心焦っていた。
(この柱には勝たなければいけない…!でも、私には鬼狩りと戦うためのスキルが無い…。)
思いっきり啖呵をきったものの、名前の戦闘スキルは一般的な鬼レベルである。
血鬼術を身につけたとはいえ、藤花ノ宴・藤威・藤衣はすべて鬼に対して有効な技ばかりだ。
自分の命を狙う鬼殺隊に出会わなかったばかりに、人間を傷つける技はひとつも無い。
それこそ名前が人間を襲わないという一つの証明になりそうなものだが、おそらく不死川は認めないだろう。
名前の、鬼殺隊に対する信用が名前自身に牙を向いた瞬間だった。
悔しそうに顔を歪める名前に対して、不死川は一振りでこの鬼を仕留められると確信した。
ニヤリと笑い、型を構えた。
『風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風(そうそう・しなとかぜ)』
4つの抉り裂くような打ち下ろしが名前を襲うその時、何者かが名前を抱えその技を避けた。
「オォイ、何しやがんだてめェ…」
爆煙が止み、名前がその場にいないことを確認した不死川は、ギロりと名前を抱えた人物を睨みつけた。
「そっちこそ何すんだ!!コイツはギョロギョロ目ん玉の柱が、せっかく守った奴なんだぞ!!」
「猪…!」
伊之助が名前を俵のように持ち上げていた。
「アァン?てめェまで頭イカれてんのか。煉獄は鬼に殺された。そいつが煉獄を殺してようが煉獄に守られようが、鬼である限り斬るしかねェんだよ。」
冷たい目で名前を見る不死川。
しかし伊之助はその目に怯えることなく、不死川に訴えかける。
「コイツは確かに鬼だ!でも人間を襲わねェし、人間を襲った鬼と戦おうとしていた!ここで斬らせるわけにはいかねぇ!!」
伊之助は名前を守るように、名前の前に立って言い放った。
初めて会った時は自分を斬ろうとしていた伊之助が、自分に背を向け守ろうとしている。
名前はぎゅっと唇を噛んだ。
「鬼殺の妨害は隊律違反だァ。てめェは後で俺が直々に粛清してやるよォ。今はさっさとその鬼を置いて消え失せやがれ。」
不死川は伊之助を睨みつけた。
伊之助は、目の前の相手が自分よりも強いことは肌で感じとっていた。
煉獄とは違う、禍々しい強さ。
しかし、伊之助は自身の主張を曲げる訳にはいかなかった。
自分たちの盾となり、誇りを持って死んで行った煉獄の意志に応えることが、今の自分に出来ることだと伊之助は分かっていた。
「断る!!!!」
伊之助は大声で言い放ち、二本の愛刀を構えた。
(駄目だ、駄目だ!!私のせいでこの人まで死んでしまう!!)
名前は瞬時に伊之助を抱え、洞窟を飛び出した。
「なっ!?何すんだてめぇ!?」
「貴方じゃあの柱にかなわないでしょ!」
「やってみなきゃワカンネーだろ!ていうか俺様を抱えてんじゃねぇ!!」
鬼特有の身体能力の高さで、夜の山を駆ける。
しかし、後ろから柱が追ってきているのが気配で分かった。
暴れる伊之助を抱えながら、名前は一か八か、自身の腕を引っ掻いた。
『血鬼術 藤花ノ宴』
藤の花の幻影を大量に発生させた。
まるで迷路のように、少しでも道に迷うように。
そう願いをかけて血鬼術を発動させた。
逃げた鬼を瞬時に追いかけた不死川は、その背中を視界に捉え追いつけると確信した時、目の前いっぱいに藤の花が咲き誇った。
それに動揺して一度立ち止まると、鬼の背中は見えなくなっていた。
「ちっ…。」
不死川は舌打ちをし、刀を鞘に収めた。
(あの鬼…。次会ったら絶対にその首斬り落としてやらァ…。)
血走った目を鬼が去った方に一度だけ向け、自身の屋敷の方角へ足を向けた。
(この柱には勝たなければいけない…!でも、私には鬼狩りと戦うためのスキルが無い…。)
思いっきり啖呵をきったものの、名前の戦闘スキルは一般的な鬼レベルである。
血鬼術を身につけたとはいえ、藤花ノ宴・藤威・藤衣はすべて鬼に対して有効な技ばかりだ。
自分の命を狙う鬼殺隊に出会わなかったばかりに、人間を傷つける技はひとつも無い。
それこそ名前が人間を襲わないという一つの証明になりそうなものだが、おそらく不死川は認めないだろう。
名前の、鬼殺隊に対する信用が名前自身に牙を向いた瞬間だった。
悔しそうに顔を歪める名前に対して、不死川は一振りでこの鬼を仕留められると確信した。
ニヤリと笑い、型を構えた。
『風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風(そうそう・しなとかぜ)』
4つの抉り裂くような打ち下ろしが名前を襲うその時、何者かが名前を抱えその技を避けた。
「オォイ、何しやがんだてめェ…」
爆煙が止み、名前がその場にいないことを確認した不死川は、ギロりと名前を抱えた人物を睨みつけた。
「そっちこそ何すんだ!!コイツはギョロギョロ目ん玉の柱が、せっかく守った奴なんだぞ!!」
「猪…!」
伊之助が名前を俵のように持ち上げていた。
「アァン?てめェまで頭イカれてんのか。煉獄は鬼に殺された。そいつが煉獄を殺してようが煉獄に守られようが、鬼である限り斬るしかねェんだよ。」
冷たい目で名前を見る不死川。
しかし伊之助はその目に怯えることなく、不死川に訴えかける。
「コイツは確かに鬼だ!でも人間を襲わねェし、人間を襲った鬼と戦おうとしていた!ここで斬らせるわけにはいかねぇ!!」
伊之助は名前を守るように、名前の前に立って言い放った。
初めて会った時は自分を斬ろうとしていた伊之助が、自分に背を向け守ろうとしている。
名前はぎゅっと唇を噛んだ。
「鬼殺の妨害は隊律違反だァ。てめェは後で俺が直々に粛清してやるよォ。今はさっさとその鬼を置いて消え失せやがれ。」
不死川は伊之助を睨みつけた。
伊之助は、目の前の相手が自分よりも強いことは肌で感じとっていた。
煉獄とは違う、禍々しい強さ。
しかし、伊之助は自身の主張を曲げる訳にはいかなかった。
自分たちの盾となり、誇りを持って死んで行った煉獄の意志に応えることが、今の自分に出来ることだと伊之助は分かっていた。
「断る!!!!」
伊之助は大声で言い放ち、二本の愛刀を構えた。
(駄目だ、駄目だ!!私のせいでこの人まで死んでしまう!!)
名前は瞬時に伊之助を抱え、洞窟を飛び出した。
「なっ!?何すんだてめぇ!?」
「貴方じゃあの柱にかなわないでしょ!」
「やってみなきゃワカンネーだろ!ていうか俺様を抱えてんじゃねぇ!!」
鬼特有の身体能力の高さで、夜の山を駆ける。
しかし、後ろから柱が追ってきているのが気配で分かった。
暴れる伊之助を抱えながら、名前は一か八か、自身の腕を引っ掻いた。
『血鬼術 藤花ノ宴』
藤の花の幻影を大量に発生させた。
まるで迷路のように、少しでも道に迷うように。
そう願いをかけて血鬼術を発動させた。
逃げた鬼を瞬時に追いかけた不死川は、その背中を視界に捉え追いつけると確信した時、目の前いっぱいに藤の花が咲き誇った。
それに動揺して一度立ち止まると、鬼の背中は見えなくなっていた。
「ちっ…。」
不死川は舌打ちをし、刀を鞘に収めた。
(あの鬼…。次会ったら絶対にその首斬り落としてやらァ…。)
血走った目を鬼が去った方に一度だけ向け、自身の屋敷の方角へ足を向けた。