1章
おなまえ
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暗い洞窟を進むと、人間の叫び声が聞こ始めた。
「!」
名前はその声のする方へ向かうため、スピードを上げて走ると、すぐに広い場所に出た。
そこには名前を連れてきたであろう村の男達、首を掴まれ宙ぶらりんになっている村長、そして村長の首を掴む女の鬼が一体いた。
「確かに女の肉が食いたいってアタシは言ったわ。でもアタシが食いたいのは人間の女の肉に決まってんでしょ!?ほんと使えないわね!!」
「申し訳…ございません……。」
女の鬼は名前を視界に捉え、忌々しそうに睨んだ。
「あらアンタ、起きたの。元はと言えば分かりづらい気配出してるアンタも悪いんだからね。さっさとアタシの視界から消えて頂戴。」
鬼は村長の首をギリギリと締めながら名前に言い放った。
村長以外の男達はブルブルと震えながら、頭を垂れていた。
お許しください、と叫びながら何度も何度も頭を地面に擦りつけていた。
名前はその様子を見ながら、自分がここに連れてこられた意味を悟った。
(この鬼の食料として私を連れてきたけど、私が鬼だったから食べられず怒っているのか…!)
この村の裏山の洞窟には、数ヶ月前から女の鬼が住み始めていた。
鬼は突如村に現われて何人かの村人を食った。
そのまま村は全滅するかと思ったが、村長は村を守るため鬼と取引をした。
毎週、生贄を捧げるからどうか村を襲うのをやめてくれ、と。
鬼はその取引を受け入れ、そこから毎週鬼が欲する生贄を捧げ続けた。
村を守るため、時には生まれたての赤ん坊を。
時には若い女を。時には力のある男を。
鬼は老若男女問わず、様々な人間を求めた。
そうして数ヶ月がたった時、村の人口も大分減ってしまった。
これ以上、村の人口を減らす訳には行かない。
そう思った村長は、外から来る旅人や商人、近くの村に住む人間などを生贄にするよう、村人達に指示を出した。
村に来る人間は可能な限り滞在を促し、鬼から譲り受けた『意識を失わせる液体』を生贄に飲ませることで、この洞窟へ連れてくる。
そうしてどうにか村を守ってきたのだった。
鬼が今週求めたのは若い女の肉だった。
しかしこの村にも、近くの村にも若い女はいなかった。
村人達はどうか外から若い女が来てくれることを祈った。
しかし鬼との約束の1週間の最終日まで、誰も村を訪れることは無かった。
諦めかけたその時に現れたのが名前だったのだ。
「もういいわ、あんた達。」
鬼の爪が鋭く伸び、村長の首を貫いた。
ぼたぼたと血が垂れ、村長はそれっきり動かなくなった。
蹲る男達は顔色を真っ青にして、バタバタと逃げようとする。
「約束を守れなかったアンタ達が悪いのよ。もうこの村の奴は全部食って出ていくわ!」
鬼の爪がすごい速度で伸び、逃げようとする男の体を貫く、その直前で爪が弾かれた。
『血鬼術 藤衣(ふじごろも)』
名前が男達を守るように立ち塞がり、血鬼術を発動させた。
「アンタまだいたの!?ていうか、何よアンタのその能力。」
自慢の伸縮自在の爪を収め、鬼は名前を見つめた。
名前の血鬼術 藤衣は、対鬼用の防御スキルだ。
忌血の力を活かし、鬼の攻撃から名前自身と、ある程度の周囲を守ることが出来る。
村長の命は救えなかったが、目の前の命を見過ごせるほど名前は鬼に染ってはいなかった。
どうにか鬼の二回目の攻撃には間に合い、自分の背の後ろで怯えている男達を守ることが出来た。
「なに守ってんのよ!それはアタシのだからね!!」
「私はこの人たちを食べないわ!」
「じゃあなんでアタシの攻撃から守ったのよ、アタシから奪うためでしょ!?許さないからね!!」
鬼はさらに速度を上げて、名前目掛けて爪を伸ばしてくる。
この鬼の爪は、自由自在に爪を伸縮させるだけでなく、その速度も速い。
どうにか爪を防いでいるが、防ぎきれなかった部分が名前の肌を傷つけ、じわりと血が滲んだ。
無惨の血の濃さでいえば名前のが濃かったが、この鬼は名前よりもはるか前に鬼になっていた。
その分人間を食っていたし、実戦経験も格段に上だった。
動きがだんだんと遅くなる名前に対して、鬼は腹部に深い一撃を与えた。
ザクッと痛々しい音が響き、名前の左腹が欠けた。
「うっ…。」
「ひ、ひぃ!!」
名前が呻いて膝をつくと、後ろで男達が悲鳴をあげた。
藤衣を解除すると、名前の右腕が陽の光に当たったかのように焦げていた。
「アンタ、なんなのその力…。」
その様子を見て、鬼は一度攻撃を止めた。
藤衣は、藤威と同様に使い手である名前自身の体を蝕む。
使いすぎると、陽の光に当たった時と同じダメージを受けるのだ。
藤衣のダメージもそうだが、血を流しすぎると忌血の匂いが名前を追い詰める。
意識を保つので精一杯だった。
「もうその状態じゃ戦えないわね。」
鬼が一歩ずつ名前のもとに歩み寄る。
勝ち誇ったかのような笑みを浮かべて鬼は名前の目の前に立った。
「共食いの趣味はないけど………っ!?」
咄嗟に鼻を抑え、名前から距離を取る。
「アンタ…その匂い……!」
名前の近くに寄ることで忌血の匂いが鬼を襲ったらしい。
苦痛の表情で名前を見る鬼。
名前は肩で息をしながらニヤリと笑った。
「本当に、アンタ、何者なのよ…!?」
鬼からのその問いに答えようと名前が口を開こうとした時、スパッと音がして鬼の首が落ちた。
名前は口を開けた状態で転がる鬼の首を見つめていた。
「おいおいどういう状況だァ?食いもんの取り合いでもしてたのかァ?」
刀を持った鬼殺隊が名前を見つめていた。
「!」
名前はその声のする方へ向かうため、スピードを上げて走ると、すぐに広い場所に出た。
そこには名前を連れてきたであろう村の男達、首を掴まれ宙ぶらりんになっている村長、そして村長の首を掴む女の鬼が一体いた。
「確かに女の肉が食いたいってアタシは言ったわ。でもアタシが食いたいのは人間の女の肉に決まってんでしょ!?ほんと使えないわね!!」
「申し訳…ございません……。」
女の鬼は名前を視界に捉え、忌々しそうに睨んだ。
「あらアンタ、起きたの。元はと言えば分かりづらい気配出してるアンタも悪いんだからね。さっさとアタシの視界から消えて頂戴。」
鬼は村長の首をギリギリと締めながら名前に言い放った。
村長以外の男達はブルブルと震えながら、頭を垂れていた。
お許しください、と叫びながら何度も何度も頭を地面に擦りつけていた。
名前はその様子を見ながら、自分がここに連れてこられた意味を悟った。
(この鬼の食料として私を連れてきたけど、私が鬼だったから食べられず怒っているのか…!)
この村の裏山の洞窟には、数ヶ月前から女の鬼が住み始めていた。
鬼は突如村に現われて何人かの村人を食った。
そのまま村は全滅するかと思ったが、村長は村を守るため鬼と取引をした。
毎週、生贄を捧げるからどうか村を襲うのをやめてくれ、と。
鬼はその取引を受け入れ、そこから毎週鬼が欲する生贄を捧げ続けた。
村を守るため、時には生まれたての赤ん坊を。
時には若い女を。時には力のある男を。
鬼は老若男女問わず、様々な人間を求めた。
そうして数ヶ月がたった時、村の人口も大分減ってしまった。
これ以上、村の人口を減らす訳には行かない。
そう思った村長は、外から来る旅人や商人、近くの村に住む人間などを生贄にするよう、村人達に指示を出した。
村に来る人間は可能な限り滞在を促し、鬼から譲り受けた『意識を失わせる液体』を生贄に飲ませることで、この洞窟へ連れてくる。
そうしてどうにか村を守ってきたのだった。
鬼が今週求めたのは若い女の肉だった。
しかしこの村にも、近くの村にも若い女はいなかった。
村人達はどうか外から若い女が来てくれることを祈った。
しかし鬼との約束の1週間の最終日まで、誰も村を訪れることは無かった。
諦めかけたその時に現れたのが名前だったのだ。
「もういいわ、あんた達。」
鬼の爪が鋭く伸び、村長の首を貫いた。
ぼたぼたと血が垂れ、村長はそれっきり動かなくなった。
蹲る男達は顔色を真っ青にして、バタバタと逃げようとする。
「約束を守れなかったアンタ達が悪いのよ。もうこの村の奴は全部食って出ていくわ!」
鬼の爪がすごい速度で伸び、逃げようとする男の体を貫く、その直前で爪が弾かれた。
『血鬼術 藤衣(ふじごろも)』
名前が男達を守るように立ち塞がり、血鬼術を発動させた。
「アンタまだいたの!?ていうか、何よアンタのその能力。」
自慢の伸縮自在の爪を収め、鬼は名前を見つめた。
名前の血鬼術 藤衣は、対鬼用の防御スキルだ。
忌血の力を活かし、鬼の攻撃から名前自身と、ある程度の周囲を守ることが出来る。
村長の命は救えなかったが、目の前の命を見過ごせるほど名前は鬼に染ってはいなかった。
どうにか鬼の二回目の攻撃には間に合い、自分の背の後ろで怯えている男達を守ることが出来た。
「なに守ってんのよ!それはアタシのだからね!!」
「私はこの人たちを食べないわ!」
「じゃあなんでアタシの攻撃から守ったのよ、アタシから奪うためでしょ!?許さないからね!!」
鬼はさらに速度を上げて、名前目掛けて爪を伸ばしてくる。
この鬼の爪は、自由自在に爪を伸縮させるだけでなく、その速度も速い。
どうにか爪を防いでいるが、防ぎきれなかった部分が名前の肌を傷つけ、じわりと血が滲んだ。
無惨の血の濃さでいえば名前のが濃かったが、この鬼は名前よりもはるか前に鬼になっていた。
その分人間を食っていたし、実戦経験も格段に上だった。
動きがだんだんと遅くなる名前に対して、鬼は腹部に深い一撃を与えた。
ザクッと痛々しい音が響き、名前の左腹が欠けた。
「うっ…。」
「ひ、ひぃ!!」
名前が呻いて膝をつくと、後ろで男達が悲鳴をあげた。
藤衣を解除すると、名前の右腕が陽の光に当たったかのように焦げていた。
「アンタ、なんなのその力…。」
その様子を見て、鬼は一度攻撃を止めた。
藤衣は、藤威と同様に使い手である名前自身の体を蝕む。
使いすぎると、陽の光に当たった時と同じダメージを受けるのだ。
藤衣のダメージもそうだが、血を流しすぎると忌血の匂いが名前を追い詰める。
意識を保つので精一杯だった。
「もうその状態じゃ戦えないわね。」
鬼が一歩ずつ名前のもとに歩み寄る。
勝ち誇ったかのような笑みを浮かべて鬼は名前の目の前に立った。
「共食いの趣味はないけど………っ!?」
咄嗟に鼻を抑え、名前から距離を取る。
「アンタ…その匂い……!」
名前の近くに寄ることで忌血の匂いが鬼を襲ったらしい。
苦痛の表情で名前を見る鬼。
名前は肩で息をしながらニヤリと笑った。
「本当に、アンタ、何者なのよ…!?」
鬼からのその問いに答えようと名前が口を開こうとした時、スパッと音がして鬼の首が落ちた。
名前は口を開けた状態で転がる鬼の首を見つめていた。
「おいおいどういう状況だァ?食いもんの取り合いでもしてたのかァ?」
刀を持った鬼殺隊が名前を見つめていた。