1章
おなまえ
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眠りにつくという行為が、人間にどんな影響を及ぼすのか名前には分からなかった。
しかし、鬼にとっては敵でしかない鬼殺隊を眠らせているのだから、結果的には殺すことに繋がるのだろう。
名前はどうにかして炭治郎を起こしたかった。
最初は柱が起きてしまうことが怖くて、控えめにしか声をかけられなかった名前だったが、どんなに騒いでも誰も起きなかったため、段々と大胆に行動し始めた。
炭治郎の前にしゃがみこみ、体を揺らしたり、軽く頬を叩くと、少しだけ眉間に皺が寄り始めた。
名前はその様子に、ぱぁっと顔を輝かせるとさらに大声で声をかけ始めた。
「竈門さん!竈門さん!!早くしないと鬼が動き出しますよ!起きて!」
名前がさらに炭治郎を揺さぶろうとしたとき、ごちんっと名前の後頭部に何かがぶつかった。
「いったぁ………」
硬い何かがぶつかってきたのだ。
振り向くとそこには、
「おん…な…のこ……?貴女、誰…?」
小さな箱から少女が飛び出してきていた。
少女はぱちくりと瞬きをし、名前を見つめ返していた。
名前の後頭部の痛みは、少女が箱から出た際にぶつかったものだろう。
竹をくわえた様子と、少女の後ろにある炭治郎がいつも背負っている箱を見て、名前は珠世から聞いた話を思い出した。
「炭治郎さんの妹さんも貴女と同じく鬼にされています。私達と同じで人間を食べません。しかし彼女は私達と違い、強靭な精神力で人間を食べることなく眠ることで回復をするのです。」
研究中、珠世が名前に話してくれた。
名前の血と並んで、もう一つの血が置かれる。
「名前さんの血と同様に彼女の血も何かしらの変化をしているようで、鬼舞辻の呪いも外れています。お二人の血の力で、鬼舞辻に効く薬ができるかもしれないです。」
珠世の目に強い意思が宿っていた。
名前は自分の血ともう一つの血を眺めながら、珠世の話を聞いていた。
そして、珠世はふと名前に目を移すと、にこりと笑ってこう言った。
「彼女は禰豆子さんと言います。同じ目的を持つ鬼同士、仲良くしてあげてくださいね。」
名前はぽつりと問いかけた。
「貴女が、禰豆子ちゃん…?」
その問いかけに禰豆子はゆっくりと頷き、兄である炭治郎の傍に駆け寄った。
(よく見ると、やはり兄妹だからか面影があるなぁ…。)
名前は禰豆子の様子を見ながらそう思った。
苦しそうに眠る兄の着物をグイグイと引っ張る禰豆子。
いつも優しく撫でてくれる兄が全く相手をしてくれないことに不服だった。
「ムーッ!」
禰豆子が声を発すると、頭を思いっきり振りかぶり炭治郎のおでこに向かって振り下ろした。
ごちんっ!!と派手な音が鳴り響いた。
「えぇぇぇえええ!!ちょっと、禰豆子ちゃん大丈夫ですか!?」
その行動に驚いた名前は珍しく狼狽し、禰豆子に急いで駆け寄った。
顔を覗き込むと、おでこからは出血しておりぽろぽろと涙を流していた。
「た、大変…!急いで手当しないと……って、え………?」
鬼とはいえ年下の子が血を流し泣いている状態で放っておけるほど、名前は無慈悲では無かった。
持っていた手ぬぐいで禰豆子のおでこを抑えようとしたとき、再度禰豆子がムーッと言ったかと思うと、炭治郎に火がついた。
煌々と燃える火に名前は一瞬言葉を失い、炭治郎についた火を消そうと触れようとしたが、とんでもない熱さで手を引っ込めてしまった。
「ね…禰豆子ちゃん!お兄さんが……ってあれ…?」
炭治郎についた火は何故かすぐに収まった。
禰豆子は名前の袖を引っ張り、こくんと頷いた後、炭治郎をじっと見つめていた。
(今のは禰豆子ちゃんの血鬼術なの…?)
名前の頭は混乱したままだった。
その時だった。
「あああああ!!!」
咆哮と共に炭治郎が目を覚ました。
息を乱しながら首を抑え、安心したように息を吐く。
そして禰豆子と隣にいる名前を視界に捉えた。
「禰豆子!大丈夫か!それに名前さん、どうしてこんな所に……!?」
禰豆子に手を伸ばそうとした時、自分の腕にある焼き切れた縄に気がついた。
(何だこれ?焼き切れてる。禰豆子の燃える血か?それに微かだけど鬼の匂いもするぞ…。)
禰豆子は兄の大声に少し驚いたようで、名前の袖にくっついて炭治郎を見ていた。
炭治郎は思い出したかのように切符を取り出し、それを見て考えている。
名前はいてもたってもいられず声をかけた。
「竈門さん!この列車に鬼がいます!」
その言葉に炭治郎は、ハッと周りの状況を確認し始めた。
「煉獄さん!!善逸!!伊之助!!」
全員が先程までの自分のように深い眠りについているのがわかった。
「名前さん、一体何が…?」
「鬼の気配を追って私がこの列車に乗り込んだ時には、すべての車両で人が眠りについていました。おそらく、眠りにつかせることで貴方達鬼殺隊の命を奪うことができる能力なんでしょう。」
「なるほど…。あの切符からも鬼の匂いがした。切符に鬼の細工がしてあったんだな…。名前さん、俺を起こしてくれてありがとうございました!」
炭治郎は名前に笑いかけ、そのあとに禰豆子にも撫でながらお礼を言っていた。
名前はその笑顔を眩しそうに見つめ、目の前の兄妹へ微笑を向けた。
しかし、鬼にとっては敵でしかない鬼殺隊を眠らせているのだから、結果的には殺すことに繋がるのだろう。
名前はどうにかして炭治郎を起こしたかった。
最初は柱が起きてしまうことが怖くて、控えめにしか声をかけられなかった名前だったが、どんなに騒いでも誰も起きなかったため、段々と大胆に行動し始めた。
炭治郎の前にしゃがみこみ、体を揺らしたり、軽く頬を叩くと、少しだけ眉間に皺が寄り始めた。
名前はその様子に、ぱぁっと顔を輝かせるとさらに大声で声をかけ始めた。
「竈門さん!竈門さん!!早くしないと鬼が動き出しますよ!起きて!」
名前がさらに炭治郎を揺さぶろうとしたとき、ごちんっと名前の後頭部に何かがぶつかった。
「いったぁ………」
硬い何かがぶつかってきたのだ。
振り向くとそこには、
「おん…な…のこ……?貴女、誰…?」
小さな箱から少女が飛び出してきていた。
少女はぱちくりと瞬きをし、名前を見つめ返していた。
名前の後頭部の痛みは、少女が箱から出た際にぶつかったものだろう。
竹をくわえた様子と、少女の後ろにある炭治郎がいつも背負っている箱を見て、名前は珠世から聞いた話を思い出した。
「炭治郎さんの妹さんも貴女と同じく鬼にされています。私達と同じで人間を食べません。しかし彼女は私達と違い、強靭な精神力で人間を食べることなく眠ることで回復をするのです。」
研究中、珠世が名前に話してくれた。
名前の血と並んで、もう一つの血が置かれる。
「名前さんの血と同様に彼女の血も何かしらの変化をしているようで、鬼舞辻の呪いも外れています。お二人の血の力で、鬼舞辻に効く薬ができるかもしれないです。」
珠世の目に強い意思が宿っていた。
名前は自分の血ともう一つの血を眺めながら、珠世の話を聞いていた。
そして、珠世はふと名前に目を移すと、にこりと笑ってこう言った。
「彼女は禰豆子さんと言います。同じ目的を持つ鬼同士、仲良くしてあげてくださいね。」
名前はぽつりと問いかけた。
「貴女が、禰豆子ちゃん…?」
その問いかけに禰豆子はゆっくりと頷き、兄である炭治郎の傍に駆け寄った。
(よく見ると、やはり兄妹だからか面影があるなぁ…。)
名前は禰豆子の様子を見ながらそう思った。
苦しそうに眠る兄の着物をグイグイと引っ張る禰豆子。
いつも優しく撫でてくれる兄が全く相手をしてくれないことに不服だった。
「ムーッ!」
禰豆子が声を発すると、頭を思いっきり振りかぶり炭治郎のおでこに向かって振り下ろした。
ごちんっ!!と派手な音が鳴り響いた。
「えぇぇぇえええ!!ちょっと、禰豆子ちゃん大丈夫ですか!?」
その行動に驚いた名前は珍しく狼狽し、禰豆子に急いで駆け寄った。
顔を覗き込むと、おでこからは出血しておりぽろぽろと涙を流していた。
「た、大変…!急いで手当しないと……って、え………?」
鬼とはいえ年下の子が血を流し泣いている状態で放っておけるほど、名前は無慈悲では無かった。
持っていた手ぬぐいで禰豆子のおでこを抑えようとしたとき、再度禰豆子がムーッと言ったかと思うと、炭治郎に火がついた。
煌々と燃える火に名前は一瞬言葉を失い、炭治郎についた火を消そうと触れようとしたが、とんでもない熱さで手を引っ込めてしまった。
「ね…禰豆子ちゃん!お兄さんが……ってあれ…?」
炭治郎についた火は何故かすぐに収まった。
禰豆子は名前の袖を引っ張り、こくんと頷いた後、炭治郎をじっと見つめていた。
(今のは禰豆子ちゃんの血鬼術なの…?)
名前の頭は混乱したままだった。
その時だった。
「あああああ!!!」
咆哮と共に炭治郎が目を覚ました。
息を乱しながら首を抑え、安心したように息を吐く。
そして禰豆子と隣にいる名前を視界に捉えた。
「禰豆子!大丈夫か!それに名前さん、どうしてこんな所に……!?」
禰豆子に手を伸ばそうとした時、自分の腕にある焼き切れた縄に気がついた。
(何だこれ?焼き切れてる。禰豆子の燃える血か?それに微かだけど鬼の匂いもするぞ…。)
禰豆子は兄の大声に少し驚いたようで、名前の袖にくっついて炭治郎を見ていた。
炭治郎は思い出したかのように切符を取り出し、それを見て考えている。
名前はいてもたってもいられず声をかけた。
「竈門さん!この列車に鬼がいます!」
その言葉に炭治郎は、ハッと周りの状況を確認し始めた。
「煉獄さん!!善逸!!伊之助!!」
全員が先程までの自分のように深い眠りについているのがわかった。
「名前さん、一体何が…?」
「鬼の気配を追って私がこの列車に乗り込んだ時には、すべての車両で人が眠りについていました。おそらく、眠りにつかせることで貴方達鬼殺隊の命を奪うことができる能力なんでしょう。」
「なるほど…。あの切符からも鬼の匂いがした。切符に鬼の細工がしてあったんだな…。名前さん、俺を起こしてくれてありがとうございました!」
炭治郎は名前に笑いかけ、そのあとに禰豆子にも撫でながらお礼を言っていた。
名前はその笑顔を眩しそうに見つめ、目の前の兄妹へ微笑を向けた。