1章
おなまえ
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「おい…起きろ馬鹿!珠世様がお呼びだ!!」
名前が珠世のもとに来て一週間が経過した。
一日は愈史郎の大声で目を覚ますことから始まる。
日中は採血とその研究、夕方以降から朝方前にかけては自分の血鬼術の修行で気を失い、愈史郎に起こしてもらう。
それがここに来てからの名前の毎日だった。
昨晩も、珠世にアドバイスをもらい作り出した血鬼術を練習していたが、自分の血の匂いで気を失ってしまったのだ。
愈史郎と共に、日課の採血をするために珠世の元へ向かう。
「お前などのために珠世様は貴重な時間を割いているんだ。それに俺は珠世様から片時も離れたくない。自分で決められた時間に来れるようにしろ!」
「すみません…。」
廊下を歩きながら、愈史郎からは毎日のように文句を言われる。
名前もできることなら自分で目覚めたいと思っている。
しかし忌血の匂いと効力にあてられ、毎度修行の最後には気を失ってしまうのだ。
「珠世様。名前を連れて参りました。」
「ありがとうございます、愈史郎。名前さん、おはようございます。昨日もまた倒れられたようですね。」
珠世は椅子に座り、振り向きながら言った。
愈史郎は珠世にお礼を言われ感激し目を輝かせ、名前は苦笑しながら珠世に返事をした。
「おはようございます、珠世さん。やっぱりまだ血鬼術は上手く使いこなせないです。」
「日に日に上手くできるようになっていると思いますよ。あとは実践ですね…。」
珠世は美しい笑顔を見せながら名前を励ました。
そして、いつも通り名前の忌血の採血の準備を始めた。
忌血を毎日採血し、珠世の研究は以前に比べだいぶ捗った。
調べてわかったことだが、忌血は無惨の血の効果を徐々に消し去って行くようだ。
呪いが外れたのもその1つである。
既に名前は、無惨のことを話しても殺されることは無い。
位置も把握されることは無い。
それこそ珠世や禰豆子と同じ状態なのだ。
珠世は名前が陽の光を克服するのも遠くないのではないかと予想していた。
しかし禰豆子と異なるのが、名前は人を食べる必要があるという事だ。
今は珠世達と同様に人の血を飲むことで落ち着いているが、禰豆子のように眠りにつく事で体力を回復できる訳では無い。
禰豆子か名前か、どちらが先に日光の下に立つのか、それは珠世でも分からなかった。
珠世達のいる屋敷の庭で、名前は毎日修行を行っている。
名前の血鬼術は忌血を活かした、対鬼用の能力がメインだ。
自分の血が無惨の血の力を上回る力を持つなら、それを最大限に活かして鬼へ特化した能力にしようと思ったのだった。
通常、鬼である名前が命を狙われるのは鬼殺隊のため鬼殺隊に対する攻撃を考えるべきなのだが、直前に会った鬼殺隊があの三人だったため、名前の頭からはそのことは抜け落ちていた。
名前は目を閉じ、珠世のように自分の腕を引っ掻き血を流した。
『血鬼術 藤花ノ宴(とうかのえん)』
ぶわっと忌血の匂いが名前の周囲を漂い、それが咲き乱れる藤の花の幻影に変わった。
匂いも藤の花の香りに変化し、鬼にとって地獄のような場所に変化する。
この能力は鬼避けになるだけでなく、強くない鬼なら意識を失わせることができ、強い鬼だとしてもほんの一瞬の隙を作ることができる。
しかし使い手である名前が、この血鬼術を繰り出した時に気を失ってしまうとその能力は消え去ってしまう。
どうにか意識を持ちつつ、名前は術を使い続けた。
この1週間の修行で、2時間ほどは術を出していても意識を飛ばさなくなった。
今日は再度腕を引っ掻き、効果の範囲を更に広げて修行を行うことにした。
そうして、数日が経過した。
「珠世さん、私は竈門さんのところに向かおうと思っています。」
日課の採血のときに、名前は珠世にそう告げた。
「無惨を倒すという目的のために今すぐにでも無惨の元へ行きたいですが、私は竈門さんに命を二度救われています。その恩返しをしに行きたいのです。」
名前が珠世の目を見ながら話すと、珠世はそうですかと呟いて少しだけ悲しそうにした。
「そろそろ私達も一度場所を移ろうと思っていました。名前さんを送り出したら、私達も動こうと思います。貴女のおかげで研究が進みました。本当にありがとうございました。」
頭を下げる珠世に名前が焦ると、愈史郎の拳が飛んできた。
「貴様ーーーー!!珠世様に何をさせている!!」
やめなさい愈史郎、と珠世の声が聞こえ、名前はいつも通りの光景にふふふと笑った。
こまめに血を送ることを約束して、その日のうちに名前は珠世の館を出た。
(竈門さんを探さなければ。)
名前は強い鬼の気配を頼りに、炭治郎を探すことにした。
名前が珠世のもとに来て一週間が経過した。
一日は愈史郎の大声で目を覚ますことから始まる。
日中は採血とその研究、夕方以降から朝方前にかけては自分の血鬼術の修行で気を失い、愈史郎に起こしてもらう。
それがここに来てからの名前の毎日だった。
昨晩も、珠世にアドバイスをもらい作り出した血鬼術を練習していたが、自分の血の匂いで気を失ってしまったのだ。
愈史郎と共に、日課の採血をするために珠世の元へ向かう。
「お前などのために珠世様は貴重な時間を割いているんだ。それに俺は珠世様から片時も離れたくない。自分で決められた時間に来れるようにしろ!」
「すみません…。」
廊下を歩きながら、愈史郎からは毎日のように文句を言われる。
名前もできることなら自分で目覚めたいと思っている。
しかし忌血の匂いと効力にあてられ、毎度修行の最後には気を失ってしまうのだ。
「珠世様。名前を連れて参りました。」
「ありがとうございます、愈史郎。名前さん、おはようございます。昨日もまた倒れられたようですね。」
珠世は椅子に座り、振り向きながら言った。
愈史郎は珠世にお礼を言われ感激し目を輝かせ、名前は苦笑しながら珠世に返事をした。
「おはようございます、珠世さん。やっぱりまだ血鬼術は上手く使いこなせないです。」
「日に日に上手くできるようになっていると思いますよ。あとは実践ですね…。」
珠世は美しい笑顔を見せながら名前を励ました。
そして、いつも通り名前の忌血の採血の準備を始めた。
忌血を毎日採血し、珠世の研究は以前に比べだいぶ捗った。
調べてわかったことだが、忌血は無惨の血の効果を徐々に消し去って行くようだ。
呪いが外れたのもその1つである。
既に名前は、無惨のことを話しても殺されることは無い。
位置も把握されることは無い。
それこそ珠世や禰豆子と同じ状態なのだ。
珠世は名前が陽の光を克服するのも遠くないのではないかと予想していた。
しかし禰豆子と異なるのが、名前は人を食べる必要があるという事だ。
今は珠世達と同様に人の血を飲むことで落ち着いているが、禰豆子のように眠りにつく事で体力を回復できる訳では無い。
禰豆子か名前か、どちらが先に日光の下に立つのか、それは珠世でも分からなかった。
珠世達のいる屋敷の庭で、名前は毎日修行を行っている。
名前の血鬼術は忌血を活かした、対鬼用の能力がメインだ。
自分の血が無惨の血の力を上回る力を持つなら、それを最大限に活かして鬼へ特化した能力にしようと思ったのだった。
通常、鬼である名前が命を狙われるのは鬼殺隊のため鬼殺隊に対する攻撃を考えるべきなのだが、直前に会った鬼殺隊があの三人だったため、名前の頭からはそのことは抜け落ちていた。
名前は目を閉じ、珠世のように自分の腕を引っ掻き血を流した。
『血鬼術 藤花ノ宴(とうかのえん)』
ぶわっと忌血の匂いが名前の周囲を漂い、それが咲き乱れる藤の花の幻影に変わった。
匂いも藤の花の香りに変化し、鬼にとって地獄のような場所に変化する。
この能力は鬼避けになるだけでなく、強くない鬼なら意識を失わせることができ、強い鬼だとしてもほんの一瞬の隙を作ることができる。
しかし使い手である名前が、この血鬼術を繰り出した時に気を失ってしまうとその能力は消え去ってしまう。
どうにか意識を持ちつつ、名前は術を使い続けた。
この1週間の修行で、2時間ほどは術を出していても意識を飛ばさなくなった。
今日は再度腕を引っ掻き、効果の範囲を更に広げて修行を行うことにした。
そうして、数日が経過した。
「珠世さん、私は竈門さんのところに向かおうと思っています。」
日課の採血のときに、名前は珠世にそう告げた。
「無惨を倒すという目的のために今すぐにでも無惨の元へ行きたいですが、私は竈門さんに命を二度救われています。その恩返しをしに行きたいのです。」
名前が珠世の目を見ながら話すと、珠世はそうですかと呟いて少しだけ悲しそうにした。
「そろそろ私達も一度場所を移ろうと思っていました。名前さんを送り出したら、私達も動こうと思います。貴女のおかげで研究が進みました。本当にありがとうございました。」
頭を下げる珠世に名前が焦ると、愈史郎の拳が飛んできた。
「貴様ーーーー!!珠世様に何をさせている!!」
やめなさい愈史郎、と珠世の声が聞こえ、名前はいつも通りの光景にふふふと笑った。
こまめに血を送ることを約束して、その日のうちに名前は珠世の館を出た。
(竈門さんを探さなければ。)
名前は強い鬼の気配を頼りに、炭治郎を探すことにした。