自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第15話『過去を乗り越える都大会決勝』
主人公名前変換
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「やっと着いたか」
先週も行われた都大会会場へと辿り着いた麻美はこれからどうしようかと悩んだ。ルドルフの五位決定戦を観に行くのは確実だが、従姉弟と顔を合わせるか否か。正直なところ面倒だし、暑苦しいので顔を合わせたくないのは本音である。
「……にしても、さっきの事故は大丈夫なのかよ」
ぽつりと呟きながら麻美は先程目撃したタクシー事故を思い出す。どうやら道路を横切ろうとした猫を避けようとして電柱にぶつかったらしい。麻美が通り掛かった時にはパトカーが停まっていて警官が僅かながら額に怪我をしているタクシー運転手に事情聴取していた。
耳に入った野次馬の話によるとそのタクシーに乗っていた学生もいたのだが、急いでるとのことでその場にはいなかったようだ。麻美は自分が巻き込まれなくて良かったと思っていた。
「……あの黒い軍団は……」
すると前方には黒いユニフォームを纏った不動峰がこちらへ向かって歩いているのを見つけた。どこか浮かない表情を見せている彼らに麻美は試合に負けたのか? と考えながら思わず立ち止まった。
「ん? お前は確か立海の生徒だったな」
「赤宮麻美だ」
部長の橘が彼女に気付き話しかけると、隣に立っていた少女が「あっ」と声を上げる。麻美もその少女に見覚えがあるため「あ」と呟いた。
「なんだ? お前達知り合いか?」
「ほら、この前兄さんに話したでしょ? ストリートテニスで絡まれた時……」
「あぁ、無謀にもテニスを挑んだ子か」
「ううん、その子の友達なの。気絶したから起きるまで待ってたんだけど、この人が『面倒見るから帰っていい』って言ってくれて……」
「そうか。その節は妹が大変世話になった。ありがとう」
「礼はいい。私は何もしてないからな」
そもそも遥が勝手にしたことだし。そう思いながら二人の会話を聞いて兄妹だと言うことに気付いた麻美は地区大会でのことを思い出した。
少女が不動峰に肩を持つので最初は不動峰の生徒なのだろうと思っていたが、主将橘の妹ならば兄の応援するのは当然だなと納得する。
「そういえば後ろの奴らが暗いけど試合に負けたのか?」
「それが……」
橘の妹である杏が俯きながら言いづらそうに呟く。聞いてはいけないことでも聞いたのかと麻美は再び橘の後ろに立つ他のメンバーに目を向けた。すると内村が口を開く。
「棄権負け。こいつらが乗ってたタクシーが事故って怪我してるってのに試合したんだよ」
「それであとから知った橘さんに止められて……」
森も続けるように喋ると麻美は「なるほど」と頷く。そして先程目撃したタクシー事故に遭った学生はこいつらのことかと気付いた。事故に遭ったメンバーである神尾、伊武、石田、桜井の表情が一番暗かったから。
「だったら早く病院に行った方がいい」
「あぁ、そのつもりだ。行くぞお前ら」
橘が声をかけるとメンバーは「はい……」と元気ない声で返事をし、麻美の横を通り過ぎる。すると杏が後ろを振り向き、麻美に向けて手を振った。麻美は手を振ることなく、こくりと頷いて不動峰を見送る。
「くそっ、あの亜久津のせいで橘さんの印象が悪くなっちまった……」
「俺は気にしてないからお前も気にするな、神尾」
見送っていると悔しそうに呟く神尾の声が聞こえた。事故に遭った以外にも何かあったらしく麻美は顎に手を当てた。
「あくつ……?」
名前を聞いても思い当たる人物がいないため「まぁいい」と思った麻美はそのまま足を歩めた。五位決定戦を巡るコートが見つかるのが先か、従姉弟とばったり鉢合わせするのが先かと考えながら。
暫くすると三人の人間に目が入った。一人は男の後ろ姿、もう一人はその男に隠れて顔は見えないが体格は女のようである。そして最後の一人ははっきりと顔が見えた。しかも麻美のよく知る人物、九条秋である。怯えたような表情でもう一人の顔が見えない相手の服の裾を掴んでいる。
麻美はその相手が遥だとすぐに分かった。そして後ろ姿の男の手には火がついてる煙草があったため状況から麻美は二人が不良に絡まれていると答えが出た。
「……いい度胸だ」
手をボキボキと鳴らしたのち、麻美は走った。
先週も行われた都大会会場へと辿り着いた麻美はこれからどうしようかと悩んだ。ルドルフの五位決定戦を観に行くのは確実だが、従姉弟と顔を合わせるか否か。正直なところ面倒だし、暑苦しいので顔を合わせたくないのは本音である。
「……にしても、さっきの事故は大丈夫なのかよ」
ぽつりと呟きながら麻美は先程目撃したタクシー事故を思い出す。どうやら道路を横切ろうとした猫を避けようとして電柱にぶつかったらしい。麻美が通り掛かった時にはパトカーが停まっていて警官が僅かながら額に怪我をしているタクシー運転手に事情聴取していた。
耳に入った野次馬の話によるとそのタクシーに乗っていた学生もいたのだが、急いでるとのことでその場にはいなかったようだ。麻美は自分が巻き込まれなくて良かったと思っていた。
「……あの黒い軍団は……」
すると前方には黒いユニフォームを纏った不動峰がこちらへ向かって歩いているのを見つけた。どこか浮かない表情を見せている彼らに麻美は試合に負けたのか? と考えながら思わず立ち止まった。
「ん? お前は確か立海の生徒だったな」
「赤宮麻美だ」
部長の橘が彼女に気付き話しかけると、隣に立っていた少女が「あっ」と声を上げる。麻美もその少女に見覚えがあるため「あ」と呟いた。
「なんだ? お前達知り合いか?」
「ほら、この前兄さんに話したでしょ? ストリートテニスで絡まれた時……」
「あぁ、無謀にもテニスを挑んだ子か」
「ううん、その子の友達なの。気絶したから起きるまで待ってたんだけど、この人が『面倒見るから帰っていい』って言ってくれて……」
「そうか。その節は妹が大変世話になった。ありがとう」
「礼はいい。私は何もしてないからな」
そもそも遥が勝手にしたことだし。そう思いながら二人の会話を聞いて兄妹だと言うことに気付いた麻美は地区大会でのことを思い出した。
少女が不動峰に肩を持つので最初は不動峰の生徒なのだろうと思っていたが、主将橘の妹ならば兄の応援するのは当然だなと納得する。
「そういえば後ろの奴らが暗いけど試合に負けたのか?」
「それが……」
橘の妹である杏が俯きながら言いづらそうに呟く。聞いてはいけないことでも聞いたのかと麻美は再び橘の後ろに立つ他のメンバーに目を向けた。すると内村が口を開く。
「棄権負け。こいつらが乗ってたタクシーが事故って怪我してるってのに試合したんだよ」
「それであとから知った橘さんに止められて……」
森も続けるように喋ると麻美は「なるほど」と頷く。そして先程目撃したタクシー事故に遭った学生はこいつらのことかと気付いた。事故に遭ったメンバーである神尾、伊武、石田、桜井の表情が一番暗かったから。
「だったら早く病院に行った方がいい」
「あぁ、そのつもりだ。行くぞお前ら」
橘が声をかけるとメンバーは「はい……」と元気ない声で返事をし、麻美の横を通り過ぎる。すると杏が後ろを振り向き、麻美に向けて手を振った。麻美は手を振ることなく、こくりと頷いて不動峰を見送る。
「くそっ、あの亜久津のせいで橘さんの印象が悪くなっちまった……」
「俺は気にしてないからお前も気にするな、神尾」
見送っていると悔しそうに呟く神尾の声が聞こえた。事故に遭った以外にも何かあったらしく麻美は顎に手を当てた。
「あくつ……?」
名前を聞いても思い当たる人物がいないため「まぁいい」と思った麻美はそのまま足を歩めた。五位決定戦を巡るコートが見つかるのが先か、従姉弟とばったり鉢合わせするのが先かと考えながら。
暫くすると三人の人間に目が入った。一人は男の後ろ姿、もう一人はその男に隠れて顔は見えないが体格は女のようである。そして最後の一人ははっきりと顔が見えた。しかも麻美のよく知る人物、九条秋である。怯えたような表情でもう一人の顔が見えない相手の服の裾を掴んでいる。
麻美はその相手が遥だとすぐに分かった。そして後ろ姿の男の手には火がついてる煙草があったため状況から麻美は二人が不良に絡まれていると答えが出た。
「……いい度胸だ」
手をボキボキと鳴らしたのち、麻美は走った。