自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第15話『過去を乗り越える都大会決勝』
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「ね、ね、秋っ。ちょっとジュース飲もうよ。ね?」
千石と会う前の緊張からなのか、喉の渇きを覚えた遥は近くにある自販機に指を差しながら秋の腕を引っ張った。
「そうだね。水分補給も大事だもんね」
暑くなってきたし、熱中症予防のためにも水分補給はしなければ。そう思った秋は自分も何か買おうとポケットから財布を取り出そうとしたが、財布がないことに気付いた。
「あれ? さっきまで財布があったのに……」
折り畳みのミニ財布だったというのもあり、いつの間にか落としたのかもしれない。慌て始める秋が辺りをキョロキョロと見回す。
彼女にしては大事な物を落とすのは凄く珍しいことであった。遥もしっかり者の秋が財布を落とすなんてにわかには信じられなかったが一緒になって辺りを捜索する。
「あ、もしかしてアレじゃない?」
すると小さな薄ピンクの財布が通ってきた道に落ちていることに気付いた遥が指を差すと秋はホッと胸を撫で下ろした。
「良かった。私の財布だよ」
急いで拾わないとと思った二人が駆け寄ろうとすると一人の男が彼女の財布を拾った。
「あっ……」
優しい人であれば落とし主を探すであろうが目の前で秋の財布を拾った人物は鋭い目付きに煙草を咥えている男であった。
まだ未成年だと思われる彼が煙草を吸っているという行為に秋は「不良」という単語が脳裏によぎる。
「ど、どうしよう遥……。怖い人に拾われちゃった……」
「大丈夫だよー。見た目が怖い人なんだって」
「でも……煙草も吸ってるみたいだよ?」
「ココアシガレットだね」
「煙も出てるのに?」
「最近のココアシガレットは進化してるんだよ」
「……財布の中身を確認しているように見えるのは……」
「きっと持ち主の情報を探してるんだよ」
都合よく解釈する遥の様子から怯える表情は見えなかった。肝が座っているのか、それともただの鈍感なのか、どちらにしろ見た目で判断しない彼女に秋は自分も見習わなきゃと思うことにする。
「そんじゃお財布の持ち主だって名乗り出ようではないか」
「う、うん」
小さく頷くと秋は怯えながら遥の背中に隠れるように彼女の服の裾を握り、男に近付いた。
「すみませーん! その財布この子のなんです」
「あ゛ぁ?」
男の名は亜久津仁。山吹中テニス部に所属したばかりの問題児。未成年なのに煙草を吸うだけではなく、暴行事件も数多く起こしていて、今も善意で財布を拾ったのではなく、中身を抜き取ろうとしたためである。
「あ、あの……拾っていただきありがとうございました」
ぺこりと大きく頭を下げる秋にチッと舌打ちした亜久津は財布を彼女へと軽く投げ返した。
「シケた金でもしっかり持っとかねぇと抜かれんぞ」
「は、はい。以後気をつけます」
大した金額は入ってなかった。だから仕方なく返したと亜久津は自分に言い聞かせる。我ながら慣れないことをしたと思いながら。
「ちぇー……亜久津ってばケチなんだからなー」
その頃、不貞腐るように頬を膨らませた千石は遥はまだ来ないのかと辺りを見渡しながら先程行われた亜久津とのやり取りを思い出した。
「ねー亜久津、お願いっ!」
それは都大会準決勝第一試合が始まる前のこと。千石がパンッと両手を合わせてお願いのポーズを取っていた。
彼がお願いをしていた相手は木に凭れながら煙草を咥えている亜久津と呼ばれる男である。山吹男子テニス部のユニフォームを着ているためチームメイトのようだ。
「ちょこーっと俺の従姉弟に絡んでくれるだけでいいんだよ。そんで俺がかっこよく助けたいんだ」
「あ゛ぁ? 誰がそんな面倒なことするかよ」
「だってここでかっこいい所を見せたら『キヨありがとう! 大好きっ!』って言ってくれること間違いなしなんだよ!」
どうやら亜久津に一芝居打ってもらい、自分がヒーローのように助けて好感度を上げようという作戦のようだ。若干鼻の下を伸ばす彼に亜久津はジロリと睨みつける。
「うぜぇんだよ。ぶっ飛ばされてぇのかテメェ」
「避ける自信があるから大丈夫だよ」
千石の言う言葉はただの強がりではなく事実であった。実は幾度か亜久津の逆鱗に触れ、暴力を振るわれそうになったこともあるが千石の持ち前の動体視力によって亜久津の動きは止まって見えてしまい、何度も拳をかわしていた。
亜久津もそれは身を持って体験してるのであまり彼に関わりたくはなかったのだ。
「チッ……。ナンパならテメェ一人でやりやがれ」
そう言って彼は煙草をパキッとふたつに折るとそのまま足元に捨てて千石の前から去って行った。
そして今に至る。
「あ~ぁ……ん? ややっ? あれはもしや遥と秋ちゃん? しかも丁度よく亜久津もいるじゃん! これはとってもラッキーな展開!?」
どうやら前方に遥と秋の後ろ姿と目付きの悪い亜久津の表情が見えた。何やら話しているようなのでこれは絡まれているに違いないと踏んだ千石は急いで三人の元へ走り出した。
邪魔が入るとも知らずに。
千石と会う前の緊張からなのか、喉の渇きを覚えた遥は近くにある自販機に指を差しながら秋の腕を引っ張った。
「そうだね。水分補給も大事だもんね」
暑くなってきたし、熱中症予防のためにも水分補給はしなければ。そう思った秋は自分も何か買おうとポケットから財布を取り出そうとしたが、財布がないことに気付いた。
「あれ? さっきまで財布があったのに……」
折り畳みのミニ財布だったというのもあり、いつの間にか落としたのかもしれない。慌て始める秋が辺りをキョロキョロと見回す。
彼女にしては大事な物を落とすのは凄く珍しいことであった。遥もしっかり者の秋が財布を落とすなんてにわかには信じられなかったが一緒になって辺りを捜索する。
「あ、もしかしてアレじゃない?」
すると小さな薄ピンクの財布が通ってきた道に落ちていることに気付いた遥が指を差すと秋はホッと胸を撫で下ろした。
「良かった。私の財布だよ」
急いで拾わないとと思った二人が駆け寄ろうとすると一人の男が彼女の財布を拾った。
「あっ……」
優しい人であれば落とし主を探すであろうが目の前で秋の財布を拾った人物は鋭い目付きに煙草を咥えている男であった。
まだ未成年だと思われる彼が煙草を吸っているという行為に秋は「不良」という単語が脳裏によぎる。
「ど、どうしよう遥……。怖い人に拾われちゃった……」
「大丈夫だよー。見た目が怖い人なんだって」
「でも……煙草も吸ってるみたいだよ?」
「ココアシガレットだね」
「煙も出てるのに?」
「最近のココアシガレットは進化してるんだよ」
「……財布の中身を確認しているように見えるのは……」
「きっと持ち主の情報を探してるんだよ」
都合よく解釈する遥の様子から怯える表情は見えなかった。肝が座っているのか、それともただの鈍感なのか、どちらにしろ見た目で判断しない彼女に秋は自分も見習わなきゃと思うことにする。
「そんじゃお財布の持ち主だって名乗り出ようではないか」
「う、うん」
小さく頷くと秋は怯えながら遥の背中に隠れるように彼女の服の裾を握り、男に近付いた。
「すみませーん! その財布この子のなんです」
「あ゛ぁ?」
男の名は亜久津仁。山吹中テニス部に所属したばかりの問題児。未成年なのに煙草を吸うだけではなく、暴行事件も数多く起こしていて、今も善意で財布を拾ったのではなく、中身を抜き取ろうとしたためである。
「あ、あの……拾っていただきありがとうございました」
ぺこりと大きく頭を下げる秋にチッと舌打ちした亜久津は財布を彼女へと軽く投げ返した。
「シケた金でもしっかり持っとかねぇと抜かれんぞ」
「は、はい。以後気をつけます」
大した金額は入ってなかった。だから仕方なく返したと亜久津は自分に言い聞かせる。我ながら慣れないことをしたと思いながら。
「ちぇー……亜久津ってばケチなんだからなー」
その頃、不貞腐るように頬を膨らませた千石は遥はまだ来ないのかと辺りを見渡しながら先程行われた亜久津とのやり取りを思い出した。
「ねー亜久津、お願いっ!」
それは都大会準決勝第一試合が始まる前のこと。千石がパンッと両手を合わせてお願いのポーズを取っていた。
彼がお願いをしていた相手は木に凭れながら煙草を咥えている亜久津と呼ばれる男である。山吹男子テニス部のユニフォームを着ているためチームメイトのようだ。
「ちょこーっと俺の従姉弟に絡んでくれるだけでいいんだよ。そんで俺がかっこよく助けたいんだ」
「あ゛ぁ? 誰がそんな面倒なことするかよ」
「だってここでかっこいい所を見せたら『キヨありがとう! 大好きっ!』って言ってくれること間違いなしなんだよ!」
どうやら亜久津に一芝居打ってもらい、自分がヒーローのように助けて好感度を上げようという作戦のようだ。若干鼻の下を伸ばす彼に亜久津はジロリと睨みつける。
「うぜぇんだよ。ぶっ飛ばされてぇのかテメェ」
「避ける自信があるから大丈夫だよ」
千石の言う言葉はただの強がりではなく事実であった。実は幾度か亜久津の逆鱗に触れ、暴力を振るわれそうになったこともあるが千石の持ち前の動体視力によって亜久津の動きは止まって見えてしまい、何度も拳をかわしていた。
亜久津もそれは身を持って体験してるのであまり彼に関わりたくはなかったのだ。
「チッ……。ナンパならテメェ一人でやりやがれ」
そう言って彼は煙草をパキッとふたつに折るとそのまま足元に捨てて千石の前から去って行った。
そして今に至る。
「あ~ぁ……ん? ややっ? あれはもしや遥と秋ちゃん? しかも丁度よく亜久津もいるじゃん! これはとってもラッキーな展開!?」
どうやら前方に遥と秋の後ろ姿と目付きの悪い亜久津の表情が見えた。何やら話しているようなのでこれは絡まれているに違いないと踏んだ千石は急いで三人の元へ走り出した。
邪魔が入るとも知らずに。