自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第2話『新米マネージャー達は入部初日を迎える』
主人公名前変換
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「ちょっと早すぎちゃったかな……」
部活が始まるまでまだ30分以上もあった。しかし、早めに行動するのが秋の性格でもあるため、仕方ないことと言えば仕方ないこと。
まだテニスコートはおろか、周りに人の気配がない。誰も来ていないのかもしれないけど、もしかしたらという希望を胸に秋は男子テニス部の部室へと向かった。
コン、コン、コン。ノックを3回。すると中から物音が聞こえたため、人の気配を察知する。そしてすぐに部室の扉は開かれた。
「九条か。俺の予想より10分早い到着だな」
そこには生徒会では顔馴染みでもある参謀と呼ばれる柳が秋を出迎えてくれた。
「あ、柳くん。おはよう。早く来すぎちゃったから誰もいないかなって思ってたんだけど、柳くんも早いね」
「あぁ、今日はマネージャー達のお披露目の日でもあるからな。色々と準備が必要だったため少し早く来た」
「準備……?」
マネージャーをお披露目するのに何か前もってすることがあったのだろうか? 疑問符を浮かべる秋に柳は彼女を部室の中へと招き入れ、テーブルの上に乗っている機械へと指差した。
「あれだ」
「あれ?」
部室に足を踏み入れ、柳が指し示した所にはノートパソコンが開いた状態で置かれていた。そこに映される画面を見て秋は驚き、声を上げようとする前にパソコンの方から声が響く。
『やぁ、九条さんじゃないか。おはようっ! こんなに早く来るだなんて気合十分だね』
パソコン画面には病院で入院中であるはずの幸村の姿が映されていた。
「ゆ、幸村くんっ? え、これ、予め撮ってた映像……?」
「いや、リアルタイムで幸村と繋がっている」
『ふふっ。録画かと思ったかい? 今日は念願のマネージャーお披露目日だからね。俺からも部員達に説明とかしておかないとと思って。本当はそっちに行きたかったんだけど外出許可が下りなくてね。だからせめてネットを使わせてほしいって頼んで一時的にオンラインとして部活に参加させてもらってるわけだよ』
「そうだったんだね。朝早いのにわざわざありがとう、幸村くん」
『いや、お礼を言うのはこっちの方さ。九条さんがマネージャーになってくれたおかげでこの日を迎えられたんだから』
(よくもまぁ平然と嘘を言ってのけるな)
そう仕組んだのは誰だったのか。口にはしないがそう思わずにはいられない柳は静かに溜め息をこぼした。
「柳くんは幸村くんと繋がるように準備していたんだね」
「ちゃんと声は届くのか、映像は乱れていないか、主にそのようなチェックをしていただけではあるが」
「でも幸村くんのためにそこまでしてくれたから柳くんは━━」
「『柳くんは優しいし、部長思いだよね』と、お前は言う」
秋の言いたいことは一足先に答えたのは誰でもない目の前にいる柳だった。
短い言葉とはいえ、一字一句間違いがないのだから秋は驚きに目を丸くさせる。
『さすがはうちのブレーン。もうマネージャーのデータを取っていたのかい?』
「生徒会でも顔を合わせるのでな。九条ならばこのくらい簡単に口にすると分かっていた」
データを取る。そう聞くと何だかいいイメージは湧かないが、情報収集と考えるとマイナスイメージはない。
柳は相手の情報を収集し、それに基づいたテニスをするという話をどこかで聞いていた秋はぼんやりと思い出した。
確かに何かをメモしていたり、何かとよく書き込む姿を目にしていた秋はデータ収集は日常生活にも活かしているのだと理解する。
「柳くんの人間観察は凄いね」
「よく気味が悪いからやめろと言われるが、そのように褒める者は極わずかだな。ありがとう」
『九条さんは何でも良く受け止めてくれるからね。人を不快感にさせないし、心根が優しいんだよ』
「そう褒められるほどじゃないよ。そう思っただけで……」
「豊かな感性ということだ。素直に受け止めるといい」
「う、うん。ありがとう、幸村くん。柳くん」
褒められたいというつもりはないので二人に褒められると少し照れくさくなる。
確かに相手の厚意や賞賛を否定したり遠慮するのも良くないので秋は柳の言う通り素直に褒め言葉を受け取った。
「そういえば他にもマネージャーがいるって話だよね?」
「あぁ、あと二人。赤宮麻美と西成遥だ」
「赤宮さん……って、よく噂になる彼女のこと?」
麻美の名は同学年では有名な存在。そのため秋は彼女の名に聞き覚えがあった。主に悪評ではあるが。
「お前の考えている赤宮で間違いない」
「赤宮さんがマネージャー業……」
「言いたいことは理解出来る。あまりにも繋がらないと思っているだろう? それはこちらも同じだ。精市の要望とはいえ勧誘出来るとは思っていなかったし、あっさり引き受けたと聞いている」
『まぁ、それもこれも俺が望んだから、だね! さすが神の子だよ、うん』
「自己評価が高すぎるぞ、精市」
「……」
秋はしばし考えていた。赤宮麻美とは常に人を寄せつけない人間で暴言を吐くし、手を上げることもあるという。問題児と言っても過言ではない。
そんな彼女が同じテニス部のマネージャーの一人に選ばれたとは思っていなかった秋は若干の不安を覚える。
(ううん。話したことない人に勝手なイメージを抱くのは良くないよね。赤宮さん……噂でしか聞いたことないけど、一体どんな人なんだろう)
噂だけで判断するのは良くないと考えた秋は軽く頭を振る。
「不安か?」
柳の気遣う言葉を耳にした秋が彼の方へ目を向ける。糸目の少年の表情は喜怒哀楽を感じ取れないが、心配してくれているのは確かだった。
「あ、ううん。話したことないからどんな人かなって……」
『大丈夫だよ。それにマネージャーはもう一人いるから協力し合えば問題ないし、周りの部員達にも頼ってくれていいからさ』
「ありがとう。分からないことがあったり、何かあれば相談させてもらうね」
幸村の言葉により、不安感が和らいだ秋は画面の向こうの彼に礼を告げる。
そしてもう一人のマネージャーである遥の名前も思い出すが、彼女のことは全くどんな相手かも知らなかった。
部活が始まるまでまだ30分以上もあった。しかし、早めに行動するのが秋の性格でもあるため、仕方ないことと言えば仕方ないこと。
まだテニスコートはおろか、周りに人の気配がない。誰も来ていないのかもしれないけど、もしかしたらという希望を胸に秋は男子テニス部の部室へと向かった。
コン、コン、コン。ノックを3回。すると中から物音が聞こえたため、人の気配を察知する。そしてすぐに部室の扉は開かれた。
「九条か。俺の予想より10分早い到着だな」
そこには生徒会では顔馴染みでもある参謀と呼ばれる柳が秋を出迎えてくれた。
「あ、柳くん。おはよう。早く来すぎちゃったから誰もいないかなって思ってたんだけど、柳くんも早いね」
「あぁ、今日はマネージャー達のお披露目の日でもあるからな。色々と準備が必要だったため少し早く来た」
「準備……?」
マネージャーをお披露目するのに何か前もってすることがあったのだろうか? 疑問符を浮かべる秋に柳は彼女を部室の中へと招き入れ、テーブルの上に乗っている機械へと指差した。
「あれだ」
「あれ?」
部室に足を踏み入れ、柳が指し示した所にはノートパソコンが開いた状態で置かれていた。そこに映される画面を見て秋は驚き、声を上げようとする前にパソコンの方から声が響く。
『やぁ、九条さんじゃないか。おはようっ! こんなに早く来るだなんて気合十分だね』
パソコン画面には病院で入院中であるはずの幸村の姿が映されていた。
「ゆ、幸村くんっ? え、これ、予め撮ってた映像……?」
「いや、リアルタイムで幸村と繋がっている」
『ふふっ。録画かと思ったかい? 今日は念願のマネージャーお披露目日だからね。俺からも部員達に説明とかしておかないとと思って。本当はそっちに行きたかったんだけど外出許可が下りなくてね。だからせめてネットを使わせてほしいって頼んで一時的にオンラインとして部活に参加させてもらってるわけだよ』
「そうだったんだね。朝早いのにわざわざありがとう、幸村くん」
『いや、お礼を言うのはこっちの方さ。九条さんがマネージャーになってくれたおかげでこの日を迎えられたんだから』
(よくもまぁ平然と嘘を言ってのけるな)
そう仕組んだのは誰だったのか。口にはしないがそう思わずにはいられない柳は静かに溜め息をこぼした。
「柳くんは幸村くんと繋がるように準備していたんだね」
「ちゃんと声は届くのか、映像は乱れていないか、主にそのようなチェックをしていただけではあるが」
「でも幸村くんのためにそこまでしてくれたから柳くんは━━」
「『柳くんは優しいし、部長思いだよね』と、お前は言う」
秋の言いたいことは一足先に答えたのは誰でもない目の前にいる柳だった。
短い言葉とはいえ、一字一句間違いがないのだから秋は驚きに目を丸くさせる。
『さすがはうちのブレーン。もうマネージャーのデータを取っていたのかい?』
「生徒会でも顔を合わせるのでな。九条ならばこのくらい簡単に口にすると分かっていた」
データを取る。そう聞くと何だかいいイメージは湧かないが、情報収集と考えるとマイナスイメージはない。
柳は相手の情報を収集し、それに基づいたテニスをするという話をどこかで聞いていた秋はぼんやりと思い出した。
確かに何かをメモしていたり、何かとよく書き込む姿を目にしていた秋はデータ収集は日常生活にも活かしているのだと理解する。
「柳くんの人間観察は凄いね」
「よく気味が悪いからやめろと言われるが、そのように褒める者は極わずかだな。ありがとう」
『九条さんは何でも良く受け止めてくれるからね。人を不快感にさせないし、心根が優しいんだよ』
「そう褒められるほどじゃないよ。そう思っただけで……」
「豊かな感性ということだ。素直に受け止めるといい」
「う、うん。ありがとう、幸村くん。柳くん」
褒められたいというつもりはないので二人に褒められると少し照れくさくなる。
確かに相手の厚意や賞賛を否定したり遠慮するのも良くないので秋は柳の言う通り素直に褒め言葉を受け取った。
「そういえば他にもマネージャーがいるって話だよね?」
「あぁ、あと二人。赤宮麻美と西成遥だ」
「赤宮さん……って、よく噂になる彼女のこと?」
麻美の名は同学年では有名な存在。そのため秋は彼女の名に聞き覚えがあった。主に悪評ではあるが。
「お前の考えている赤宮で間違いない」
「赤宮さんがマネージャー業……」
「言いたいことは理解出来る。あまりにも繋がらないと思っているだろう? それはこちらも同じだ。精市の要望とはいえ勧誘出来るとは思っていなかったし、あっさり引き受けたと聞いている」
『まぁ、それもこれも俺が望んだから、だね! さすが神の子だよ、うん』
「自己評価が高すぎるぞ、精市」
「……」
秋はしばし考えていた。赤宮麻美とは常に人を寄せつけない人間で暴言を吐くし、手を上げることもあるという。問題児と言っても過言ではない。
そんな彼女が同じテニス部のマネージャーの一人に選ばれたとは思っていなかった秋は若干の不安を覚える。
(ううん。話したことない人に勝手なイメージを抱くのは良くないよね。赤宮さん……噂でしか聞いたことないけど、一体どんな人なんだろう)
噂だけで判断するのは良くないと考えた秋は軽く頭を振る。
「不安か?」
柳の気遣う言葉を耳にした秋が彼の方へ目を向ける。糸目の少年の表情は喜怒哀楽を感じ取れないが、心配してくれているのは確かだった。
「あ、ううん。話したことないからどんな人かなって……」
『大丈夫だよ。それにマネージャーはもう一人いるから協力し合えば問題ないし、周りの部員達にも頼ってくれていいからさ』
「ありがとう。分からないことがあったり、何かあれば相談させてもらうね」
幸村の言葉により、不安感が和らいだ秋は画面の向こうの彼に礼を告げる。
そしてもう一人のマネージャーである遥の名前も思い出すが、彼女のことは全くどんな相手かも知らなかった。