自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第13話『察する特別な感情』
主人公名前変換
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「……」
他人の話を聞くつもりはなかったが、聞こえてしまったものはどうしようもない。
いや、俺は赤也に用があったんだよ。昨日ブン太と赤也がうちの家に遊びに来てたんだけど、赤也がリストバンドを忘れてたから返してやろうと赤也のクラスに向かってる途中だった。
見つけた時にはすでに西成と話をしてて、間に入るのは悪いかと思いながら終わるまで待ってただけで決して盗み聞きするつもりはなかった。というか普通にこちらまで聞こえてくる声量だったんだよ。
そこで聞こえて来たのは新しく出来たケーキ屋の話。そういや、ブン太もオープンしたら絶対に行くっつってたな。
西成が赤也に学校帰りに行かないかと誘っていたが、赤也が断って西成の残念そうな声が聞こえてきたから、あぁ、あいつ赤也のこと好きなんだろうなと何となく察した。
それにしても赤也の奴、あんなに残念そうにしてるんだからちょっとくらい付き合ってやればいいのに。
「……お前、罪な男だな」
「うおっ!? 何すかジャッカル先輩! いきなり後ろから驚かさないでくださいよ!」
しばらくしてガックリした様子で帰っていく西成と次の授業が移動教室らしい赤也が別れる。俺は溜め息混じりに後ろから赤也に声をかけると、向こうはびくりと肩を跳ねさせていた。
「西成残念がってたぜ。何か用事でもあんのか?」
「あ、聞いてたんすか? いや、別に用事はないんすけど……」
え。用事もないのに断ったのか? と思ったらその理由を赤也は続けた。
「確か丸井先輩も今日行くっつってたんで、バッタリ会っちまう確率が高いんすよね。あの人とスイーツショップとかに行くと色々とうるさい上に欲しいもん買えないし、下手したら買わされるってことも有り得なくないから今日はパスだなって思って」
「あぁ……なるほどな」
別に西成相手だから断ったわけじゃないのか。タイミングが悪かっただけなんだな。我が相棒のせいですまねぇな、西成。多分別日なら大丈夫と思うし、機会があればそれとなく言っといてやるか。
「あ、そういやジャッカル先輩! 聞きたいことあるんすけど、赤宮先輩の好きな人って知ってます?」
「……何だって?」
「だーかーら、赤宮先輩の好きな人ですってば。俺、実は知ってんスよね!」
……待て。待て待て。また赤宮のそういう話か? ブン太に釘を刺したと思えば今度は赤也かよ。ったく、なんで口の軽そうな奴らに好きな相手のことがバレてんだ赤宮は。
まぁ、あからさまな態度だからそう見えなくもないって言えばそうなんだろうけど。
「おい、赤也。他人のそういう話は誰彼構わず口にするもんじゃねーぞ。それが噂にしろ真実にしろ、赤宮が聞いていい顔するわけじゃないんだし、お前の胸に閉まっておけよ」
「えー? つまり、弱みは使うべき所を見極めろってことッスかぁ?」
「なんでそうなるんだよ。そんなことしたって赤宮が怒るだけだろうが」
「いやいや、分かんないじゃないッスか。案外あの人でも従順になったり━━」
「誰が従順になるって?」
俺と赤也以外の第三者の声に二人して飛び跳ねる勢いで驚いてしまった。いつの間にか近くに噂の人物、赤宮が立っていて「やべぇ」と心臓をバクバクさせる。
「赤宮……」
「せ、先輩……な、んでここに?」
「来るつもりはなかったけど、近くを通りかかったら私の名前が聞こえてきたからな。私の好きな相手がどうのっつってたな? 聞かせてもらおうか」
あぁ、まずい。赤宮が拳を鳴らしながら近づいてくる。赤也に目をつけたようでしっかりとあいつを睨みながら。
赤也は「え、えーと」と苦笑いしながら顔をひきつらせたあと何かを思い出したかのように「あ!」と声を上げた。
「お、俺っ、移動教室の途中なんで! それじゃあ!」
逃げた。確かあれは……えーと、あれだ。脱兎の如く逃げ出したってやつだな。
そんな赤也を追いかける素振りはなく、赤宮は舌打ちをすると、勢いよく俺へと視線を向ける。……待て。もしかして俺が代わりに睨まれるやつか? もしかしてそれを狙って? 赤也の奴っ!
「桑原」
「お、おう」
ジロッと睨みつけられ身構える俺は汗がダラダラである。そんな鋭い眼光から目を逸らさずに何を言われるかドキドキして待っていたら、赤宮はフッと小さく誇らしげに微笑むと俺の肩を叩いた。
「あんた、なかなか出来た奴だな」
「え? な、何がだ?」
「人のプライバシーに関することを暴露しようとした奴に諭したところだ。見直した」
「あ、あぁ。サンキュ……」
そんなことで赤宮から褒められるとはこれっぽっちも思ってもみなかったが、怒られるよりかは全然マシだ。
そして満足そうな顔をする赤宮はそのまま立ち去っていく。残された俺は当然のことをしたまでなのだが、悪い気はしなくてどこか照れくさくなった。
……あ。赤也にリストバンド返すの忘れちまったな。
他人の話を聞くつもりはなかったが、聞こえてしまったものはどうしようもない。
いや、俺は赤也に用があったんだよ。昨日ブン太と赤也がうちの家に遊びに来てたんだけど、赤也がリストバンドを忘れてたから返してやろうと赤也のクラスに向かってる途中だった。
見つけた時にはすでに西成と話をしてて、間に入るのは悪いかと思いながら終わるまで待ってただけで決して盗み聞きするつもりはなかった。というか普通にこちらまで聞こえてくる声量だったんだよ。
そこで聞こえて来たのは新しく出来たケーキ屋の話。そういや、ブン太もオープンしたら絶対に行くっつってたな。
西成が赤也に学校帰りに行かないかと誘っていたが、赤也が断って西成の残念そうな声が聞こえてきたから、あぁ、あいつ赤也のこと好きなんだろうなと何となく察した。
それにしても赤也の奴、あんなに残念そうにしてるんだからちょっとくらい付き合ってやればいいのに。
「……お前、罪な男だな」
「うおっ!? 何すかジャッカル先輩! いきなり後ろから驚かさないでくださいよ!」
しばらくしてガックリした様子で帰っていく西成と次の授業が移動教室らしい赤也が別れる。俺は溜め息混じりに後ろから赤也に声をかけると、向こうはびくりと肩を跳ねさせていた。
「西成残念がってたぜ。何か用事でもあんのか?」
「あ、聞いてたんすか? いや、別に用事はないんすけど……」
え。用事もないのに断ったのか? と思ったらその理由を赤也は続けた。
「確か丸井先輩も今日行くっつってたんで、バッタリ会っちまう確率が高いんすよね。あの人とスイーツショップとかに行くと色々とうるさい上に欲しいもん買えないし、下手したら買わされるってことも有り得なくないから今日はパスだなって思って」
「あぁ……なるほどな」
別に西成相手だから断ったわけじゃないのか。タイミングが悪かっただけなんだな。我が相棒のせいですまねぇな、西成。多分別日なら大丈夫と思うし、機会があればそれとなく言っといてやるか。
「あ、そういやジャッカル先輩! 聞きたいことあるんすけど、赤宮先輩の好きな人って知ってます?」
「……何だって?」
「だーかーら、赤宮先輩の好きな人ですってば。俺、実は知ってんスよね!」
……待て。待て待て。また赤宮のそういう話か? ブン太に釘を刺したと思えば今度は赤也かよ。ったく、なんで口の軽そうな奴らに好きな相手のことがバレてんだ赤宮は。
まぁ、あからさまな態度だからそう見えなくもないって言えばそうなんだろうけど。
「おい、赤也。他人のそういう話は誰彼構わず口にするもんじゃねーぞ。それが噂にしろ真実にしろ、赤宮が聞いていい顔するわけじゃないんだし、お前の胸に閉まっておけよ」
「えー? つまり、弱みは使うべき所を見極めろってことッスかぁ?」
「なんでそうなるんだよ。そんなことしたって赤宮が怒るだけだろうが」
「いやいや、分かんないじゃないッスか。案外あの人でも従順になったり━━」
「誰が従順になるって?」
俺と赤也以外の第三者の声に二人して飛び跳ねる勢いで驚いてしまった。いつの間にか近くに噂の人物、赤宮が立っていて「やべぇ」と心臓をバクバクさせる。
「赤宮……」
「せ、先輩……な、んでここに?」
「来るつもりはなかったけど、近くを通りかかったら私の名前が聞こえてきたからな。私の好きな相手がどうのっつってたな? 聞かせてもらおうか」
あぁ、まずい。赤宮が拳を鳴らしながら近づいてくる。赤也に目をつけたようでしっかりとあいつを睨みながら。
赤也は「え、えーと」と苦笑いしながら顔をひきつらせたあと何かを思い出したかのように「あ!」と声を上げた。
「お、俺っ、移動教室の途中なんで! それじゃあ!」
逃げた。確かあれは……えーと、あれだ。脱兎の如く逃げ出したってやつだな。
そんな赤也を追いかける素振りはなく、赤宮は舌打ちをすると、勢いよく俺へと視線を向ける。……待て。もしかして俺が代わりに睨まれるやつか? もしかしてそれを狙って? 赤也の奴っ!
「桑原」
「お、おう」
ジロッと睨みつけられ身構える俺は汗がダラダラである。そんな鋭い眼光から目を逸らさずに何を言われるかドキドキして待っていたら、赤宮はフッと小さく誇らしげに微笑むと俺の肩を叩いた。
「あんた、なかなか出来た奴だな」
「え? な、何がだ?」
「人のプライバシーに関することを暴露しようとした奴に諭したところだ。見直した」
「あ、あぁ。サンキュ……」
そんなことで赤宮から褒められるとはこれっぽっちも思ってもみなかったが、怒られるよりかは全然マシだ。
そして満足そうな顔をする赤宮はそのまま立ち去っていく。残された俺は当然のことをしたまでなのだが、悪い気はしなくてどこか照れくさくなった。
……あ。赤也にリストバンド返すの忘れちまったな。