自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第13話『察する特別な感情』
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1時限目終わりに3年B組の教室の扉前から目的の人物がいないか室内を見渡してみる。遥を探してるんだけど、どうやら彼女の姿はない。お手洗いかどこかへ行ってしまったのか。
合同会議のことで遥に注意喚起しようと思ってたんだけど、予めメッセージでクラスに行くことを伝えたら良かったかな。うーん……仕方ない。出直そう。
「誰をお探しじゃ?」
「ひゃあっ!?」
背後の耳元から囁かれる甘い声にびくっと大きく身体を跳ねさせ声を上げてしまう。
一気に周りの生徒の視線を受けてしまい、恥ずかしい思いをしながら後ろを振り向くと、そこにはこの教室の生徒である仁王くんが立っていた。クツクツと堪えるように笑う彼に顔が赤くなる。
「お前さんはほんとえぇ反応するのぅ」
「にっ、仁王くんっ! いきなり驚かさないでよ……」
囁かれたばかりの左耳を押さえて視線を下に向けてしまう。先程耳の近くでかけられた仁王くんの声はまだ吐息と共に感触が残っていたから、それを思い出してさらに羞恥心が高まった。
「スマンの、悪意はないきに。それより誰か探しとるんじゃなか?」
「えっ、と……遥と話をしたいなって思っていたんだけど、いないのかな?」
心臓の音が鳴り止まないまま本来の目的を思い出した私は探し人である遥の居場所を仁王くんに尋ねてみたけど、彼は軽く首を傾げるだけだった。
「さぁてな。授業が終わってすぐに走り出しよったから俺には分からんのぅ。元気な奴ぜよ」
「そっか……。どこかに行ってるのかな」
「伝言なら俺がしてやらんこともないがの」
「あ……。ごめんなさい。この話は本人に直接したい大事なことで……」
最近、都内近郊の学校で部外者による暴行事件が多発してるらしく、風紀委員による見回り強化が決まり、先生方による注意喚起をするということが合同会議で決まった。
でも詳細は伏せておく。不安を煽らせることになるかもしれないのと、興味を持った生徒が犯人探しをするかもしれないなどの理由で。
遥には直接話して危機感を持ってもらおうとしたのだけど、仁王くんに話すわけにはいかない。でも彼に隠し事をするのが何だか申し訳なく思ってしまい、つい目を逸らしながら声も小さくなっていく。
「ほほぅ……。なるほどな。まさか真面目な副生徒会長さんが女子に愛の告白とは……」
「ちっ、違うよ! そういうのじゃなくて、違う大事な話で……!」
違う。そうじゃないのっ。と、わたわた慌てるしか出来なかったけど、仁王くんはすぐにククッと笑った。もしかして、私からかわれてる……?
「……仁王くん、からかってる?」
「まぁな。お前さんはそれなりに反応がえぇからの」
それって喜んでいいのかな。そう思うも、何だかそれはそれで仲良くなれたような気がしなくもないので悪い感じには思えなかった。
ちょっとだけ複雑な思いもするけど、きっと彼なりのコミュニケーションだと思う。
「さて、からかうのはこれくらいにしといてやるか。やり過ぎると俺が怒られるからのぅ。とりあえず西成の奴が戻って来たら九条が探しとったって伝えとくぜよ」
「う、うん。ありがとう」
仁王くんが会話を打ち切ろうとする。つまり用がなくなってしまった私は自分のクラスに帰らなければいけない。……もう少しだけお話したいな。
「どうしなさったんじゃ? そんな物欲しそうな顔しよって」
「え? え? わ、私そんな顔してたかなっ?」
自分の顔をペタペタ触ってみるも、物欲しそうな顔というのが分からなくて混乱する私に、仁王くんは突然開いた手のひらを見せてきた。それをグッと軽く上に上げるように握ってから再び拳を開くと、そこにはビニールの包み紙で包装された1粒のチョコレートが姿を現す。
チョコレートを私の手に握らせると仁王くんはニヤリと笑みを浮かべた。
「この間、飴をくれたからってまた期待しとったんかのぅ? 今日はそやつしかないからそれで諦めんしゃい」
そういうわけではないのだけど……。そう思うものの、仁王くんから頂けたということがすでに嬉しくて、照れながら彼にお礼を告げて教室に戻った。
仁王くんと関わる度にドキドキすることが増えていく。薄々感じていたけど仁王くんのことが好きなんだと思う。好きだからもっと彼のことを知りたくなるし、お話もしたくなる。
優しくて、手先も器用で、ちょっと意地悪な所もあるけど、それを引っ括めて素敵な人なんだ。
仁王くん、仁王くん。好きです。大好きです。
合同会議のことで遥に注意喚起しようと思ってたんだけど、予めメッセージでクラスに行くことを伝えたら良かったかな。うーん……仕方ない。出直そう。
「誰をお探しじゃ?」
「ひゃあっ!?」
背後の耳元から囁かれる甘い声にびくっと大きく身体を跳ねさせ声を上げてしまう。
一気に周りの生徒の視線を受けてしまい、恥ずかしい思いをしながら後ろを振り向くと、そこにはこの教室の生徒である仁王くんが立っていた。クツクツと堪えるように笑う彼に顔が赤くなる。
「お前さんはほんとえぇ反応するのぅ」
「にっ、仁王くんっ! いきなり驚かさないでよ……」
囁かれたばかりの左耳を押さえて視線を下に向けてしまう。先程耳の近くでかけられた仁王くんの声はまだ吐息と共に感触が残っていたから、それを思い出してさらに羞恥心が高まった。
「スマンの、悪意はないきに。それより誰か探しとるんじゃなか?」
「えっ、と……遥と話をしたいなって思っていたんだけど、いないのかな?」
心臓の音が鳴り止まないまま本来の目的を思い出した私は探し人である遥の居場所を仁王くんに尋ねてみたけど、彼は軽く首を傾げるだけだった。
「さぁてな。授業が終わってすぐに走り出しよったから俺には分からんのぅ。元気な奴ぜよ」
「そっか……。どこかに行ってるのかな」
「伝言なら俺がしてやらんこともないがの」
「あ……。ごめんなさい。この話は本人に直接したい大事なことで……」
最近、都内近郊の学校で部外者による暴行事件が多発してるらしく、風紀委員による見回り強化が決まり、先生方による注意喚起をするということが合同会議で決まった。
でも詳細は伏せておく。不安を煽らせることになるかもしれないのと、興味を持った生徒が犯人探しをするかもしれないなどの理由で。
遥には直接話して危機感を持ってもらおうとしたのだけど、仁王くんに話すわけにはいかない。でも彼に隠し事をするのが何だか申し訳なく思ってしまい、つい目を逸らしながら声も小さくなっていく。
「ほほぅ……。なるほどな。まさか真面目な副生徒会長さんが女子に愛の告白とは……」
「ちっ、違うよ! そういうのじゃなくて、違う大事な話で……!」
違う。そうじゃないのっ。と、わたわた慌てるしか出来なかったけど、仁王くんはすぐにククッと笑った。もしかして、私からかわれてる……?
「……仁王くん、からかってる?」
「まぁな。お前さんはそれなりに反応がえぇからの」
それって喜んでいいのかな。そう思うも、何だかそれはそれで仲良くなれたような気がしなくもないので悪い感じには思えなかった。
ちょっとだけ複雑な思いもするけど、きっと彼なりのコミュニケーションだと思う。
「さて、からかうのはこれくらいにしといてやるか。やり過ぎると俺が怒られるからのぅ。とりあえず西成の奴が戻って来たら九条が探しとったって伝えとくぜよ」
「う、うん。ありがとう」
仁王くんが会話を打ち切ろうとする。つまり用がなくなってしまった私は自分のクラスに帰らなければいけない。……もう少しだけお話したいな。
「どうしなさったんじゃ? そんな物欲しそうな顔しよって」
「え? え? わ、私そんな顔してたかなっ?」
自分の顔をペタペタ触ってみるも、物欲しそうな顔というのが分からなくて混乱する私に、仁王くんは突然開いた手のひらを見せてきた。それをグッと軽く上に上げるように握ってから再び拳を開くと、そこにはビニールの包み紙で包装された1粒のチョコレートが姿を現す。
チョコレートを私の手に握らせると仁王くんはニヤリと笑みを浮かべた。
「この間、飴をくれたからってまた期待しとったんかのぅ? 今日はそやつしかないからそれで諦めんしゃい」
そういうわけではないのだけど……。そう思うものの、仁王くんから頂けたということがすでに嬉しくて、照れながら彼にお礼を告げて教室に戻った。
仁王くんと関わる度にドキドキすることが増えていく。薄々感じていたけど仁王くんのことが好きなんだと思う。好きだからもっと彼のことを知りたくなるし、お話もしたくなる。
優しくて、手先も器用で、ちょっと意地悪な所もあるけど、それを引っ括めて素敵な人なんだ。
仁王くん、仁王くん。好きです。大好きです。