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第12話『都大会準々決勝観戦』
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トイレは空いていたのですぐに用を済ませた秋は麻美の元へ戻ろうとするとその途中のこと。
「えっ? 一勝一敗!? 本当っすかノムタク先輩」
「あ、あぁっ」
ルドルフ部員のユニフォームの二人が話していたので秋はルドルフの人だ……と思い、足を止める。
そしてノムタクという愛称で呼ばれる眼鏡の少年の報告を聞いた少年はぎゅっとラケットを持つ手に力を込め、壁打ちを始めた。
鬱憤が溜まったのか、少年はそれを晴らすかのように構えて打ったボールは地面に強くバウンドしてガシャァン! と大きな音を立ててフェンスにボールが食い込んでしまった。
「!」
「相変わらずツメが甘いんすよ。あの二人は!」
「は、跳ね上がって……」
それを見たノムタクと呼ばれる少年はぺたんと尻餅をつき、声を震わせながらボールに指を差す。
秋も思わずそのボールを見つめるが、どうやったらあそこまで跳ね上がってフェンスに挟まってしまうのか不思議に思うものの、それだけ打ったボールの力が凄まじいと理解する。
「とにかく青学だけには負けらんねぇ。青学だけには……。そして……俺は観月さんの期待は裏切らないっすよ」
ぶつぶつ呟く少年は息を整えながらテニスバックを肩に掛けてその場をあとにしようとしたその時、彼らの前ににこっと微笑む一人の男が現れた。それは秋の知る人物でもある。
(あ。あの人は……)
「不二周助!?」
麻美と遥と待ち合わせる前にすでに秋と顔を合わせた青学の天才、不二周助。
「おい弟君、兄貴が……」
「弟君」それに反応した少年は先輩と思われる彼の米噛みに拳でぐりぐりと頭を締めつけた。
眼鏡の少年は「いでで」と痛がったのちに、解放してもらうがズキズキと痛む米噛みを押さえながら「早く戻って来い」と言い残すと逃げるように走り去る。
そして秋はようやくこの二人が兄弟だということを理解した。
始終微笑む表情を崩さない青学の天才、不二周助とその兄を睨む弟。何か亀裂があるような微妙な距離を保つに二人に秋は不穏な空気を感じる。
「元気そうだね、裕太。どう、寮生活にはもう慣れた?てっきり裕太はシングルス1か2かと思って対戦を楽しみにしてたのに……」
「うそつけ。そっちがその気ならいーぜ」
兄の不二の言葉に弟の裕太はぐっと拳を作り、沸き上がる苛立ちを抑えていた。
(あ、シングルス3の裕太さんってあの人のことなんだ)
しかも不二くんの弟さん、と思うものの情報量が多いと思わざるを得ない。兄弟なのになんで学校が違うんだろうとか、なんであんなに裕太くんの方が喧嘩腰なんだろうとか、思うことは多々あった。
「あの乾さんを倒してレギュラーになった1年……相手にとって不足はない! 全身全霊を賭けてその1年を倒す!」
実の兄に指を差して次に対戦する1年生を負かすと宣言をし、彼は不二に背を向ける。
「兄貴は観月さんにコテンパンにやられるといいさ。それで聖ルドルフの勝ちだ!」
「僕は別として……そう簡単にいくルーキーじゃないよ、裕太」
「やってみないとわかんねーよ……」
勝利する気満々の裕太はそのまま不二の前から去って行った。残された兄は「裕太の打ったボール」とフェンスに食い込んだボールを見つめ、暫く黙った後に彼は「観月……か」とぼそっと呟く。
普段細めていた目をゆっくり開き、まるで不二が呼び寄せたように軽い風が吹いた。
「ごめんね、九条さん。変な所を見せちゃって」
すると不二はいつもの優しげな表情で秋に声をかける。知り合いならば気づかない方がおかしいという距離なので、ハッとした彼女は慌てて口を開く。
「あ、こちらこそごめんね! 立ち聞きするようなことを……!」
「大丈夫だよ。それくらい承知の上だったから。因みになんだけど、九条さんはあのボール……裕太はどんな風に打ったか分かるかな? 見てたなら教えてほしいんだけど……」
「え? 確か……こうやって、腰を捻ってたかな」
大まかではあるが、大体の動作で見たままのフォームを見せる。
それを見た不二は小さく頷き微笑むままだが、その目は何かを確信したもので笑っているようには到底見えないものであった。
「ありがとう、助かったよ。それじゃあ、僕はそろそろ行くね」
「あ、うん。どういたしまして」
秋にお礼を言うと不二は来た道を戻って行く。よく分からないまま秋は何か意味があったのかと考えながら自分も麻美の元へ戻ろうと歩み始めた。
「えっ? 一勝一敗!? 本当っすかノムタク先輩」
「あ、あぁっ」
ルドルフ部員のユニフォームの二人が話していたので秋はルドルフの人だ……と思い、足を止める。
そしてノムタクという愛称で呼ばれる眼鏡の少年の報告を聞いた少年はぎゅっとラケットを持つ手に力を込め、壁打ちを始めた。
鬱憤が溜まったのか、少年はそれを晴らすかのように構えて打ったボールは地面に強くバウンドしてガシャァン! と大きな音を立ててフェンスにボールが食い込んでしまった。
「!」
「相変わらずツメが甘いんすよ。あの二人は!」
「は、跳ね上がって……」
それを見たノムタクと呼ばれる少年はぺたんと尻餅をつき、声を震わせながらボールに指を差す。
秋も思わずそのボールを見つめるが、どうやったらあそこまで跳ね上がってフェンスに挟まってしまうのか不思議に思うものの、それだけ打ったボールの力が凄まじいと理解する。
「とにかく青学だけには負けらんねぇ。青学だけには……。そして……俺は観月さんの期待は裏切らないっすよ」
ぶつぶつ呟く少年は息を整えながらテニスバックを肩に掛けてその場をあとにしようとしたその時、彼らの前ににこっと微笑む一人の男が現れた。それは秋の知る人物でもある。
(あ。あの人は……)
「不二周助!?」
麻美と遥と待ち合わせる前にすでに秋と顔を合わせた青学の天才、不二周助。
「おい弟君、兄貴が……」
「弟君」それに反応した少年は先輩と思われる彼の米噛みに拳でぐりぐりと頭を締めつけた。
眼鏡の少年は「いでで」と痛がったのちに、解放してもらうがズキズキと痛む米噛みを押さえながら「早く戻って来い」と言い残すと逃げるように走り去る。
そして秋はようやくこの二人が兄弟だということを理解した。
始終微笑む表情を崩さない青学の天才、不二周助とその兄を睨む弟。何か亀裂があるような微妙な距離を保つに二人に秋は不穏な空気を感じる。
「元気そうだね、裕太。どう、寮生活にはもう慣れた?てっきり裕太はシングルス1か2かと思って対戦を楽しみにしてたのに……」
「うそつけ。そっちがその気ならいーぜ」
兄の不二の言葉に弟の裕太はぐっと拳を作り、沸き上がる苛立ちを抑えていた。
(あ、シングルス3の裕太さんってあの人のことなんだ)
しかも不二くんの弟さん、と思うものの情報量が多いと思わざるを得ない。兄弟なのになんで学校が違うんだろうとか、なんであんなに裕太くんの方が喧嘩腰なんだろうとか、思うことは多々あった。
「あの乾さんを倒してレギュラーになった1年……相手にとって不足はない! 全身全霊を賭けてその1年を倒す!」
実の兄に指を差して次に対戦する1年生を負かすと宣言をし、彼は不二に背を向ける。
「兄貴は観月さんにコテンパンにやられるといいさ。それで聖ルドルフの勝ちだ!」
「僕は別として……そう簡単にいくルーキーじゃないよ、裕太」
「やってみないとわかんねーよ……」
勝利する気満々の裕太はそのまま不二の前から去って行った。残された兄は「裕太の打ったボール」とフェンスに食い込んだボールを見つめ、暫く黙った後に彼は「観月……か」とぼそっと呟く。
普段細めていた目をゆっくり開き、まるで不二が呼び寄せたように軽い風が吹いた。
「ごめんね、九条さん。変な所を見せちゃって」
すると不二はいつもの優しげな表情で秋に声をかける。知り合いならば気づかない方がおかしいという距離なので、ハッとした彼女は慌てて口を開く。
「あ、こちらこそごめんね! 立ち聞きするようなことを……!」
「大丈夫だよ。それくらい承知の上だったから。因みになんだけど、九条さんはあのボール……裕太はどんな風に打ったか分かるかな? 見てたなら教えてほしいんだけど……」
「え? 確か……こうやって、腰を捻ってたかな」
大まかではあるが、大体の動作で見たままのフォームを見せる。
それを見た不二は小さく頷き微笑むままだが、その目は何かを確信したもので笑っているようには到底見えないものであった。
「ありがとう、助かったよ。それじゃあ、僕はそろそろ行くね」
「あ、うん。どういたしまして」
秋にお礼を言うと不二は来た道を戻って行く。よく分からないまま秋は何か意味があったのかと考えながら自分も麻美の元へ戻ろうと歩み始めた。