自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第12話『都大会準々決勝観戦』
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つい、吉朗の試合に見入ってしまった。いつの間にか試合が終了するくらいに。とはいえギリギリの勝利だったけど。まぁ、勝ちは勝ちだからいいけど。せっかく見てやったんだから無様な試合は見せられたらたまったもんじゃない。
……まぁ、そんなに悪くなかったな。一人で暴走するのかと思ったが、意外に冷静で後輩にキレながらも話は聞いてるし。
従兄妹の試合は見たし秋も置いて行ったから一度合流しとくか。遥の奴は知らん。あとでまた戻ってくるだろ。
そう思ってさっき別れた場所へと向かおうとしたら「麻美っ!」と声をかけられた。フェンスの向こうのコート側から。
「……」
「見てくれてたんだなっ」
汗だくで笑う吉朗の姿はいつもの奴の姿だった。暑苦しい。けど、労う価値のある試合だったのは確かだ。
「悪くない試合だったな。お疲れ」
そう伝えてやると奴は驚くように目を丸くさせた。なんだこいつ。せっかく労ってやったのに。
「サンキュな!」
イラッとしたのもつかの間、嬉しさを隠しきれない笑顔で礼を言う。だから、あんたのそれが眩しいんだよこっちは。追い詰められて苛立ってたお前はどこ行ったんだ!
「まぁ、辛勝だから運が良かっただけかもな」
「ははっ。手厳しいぜ。否定は出来ないけどな。それでも運も実力のうちって言うだろ?」
「前向きな奴だなあんたは」
「じゃあ、麻美が幸運を呼んできたって思うことにするぜ」
私は幸運の女神ってか。勝手に崇めるな。ほんと調子狂うなこいつはいつも。
「そういや一緒にペアを組んだそいつの啖呵をきったのも悪くなかったな」
「えぇっ? じ、自分ですかっ!?」
吉朗の後ろにいた後輩にも褒めてやる。まぁ、笑わせてもらったからな。試合中に面と向かってばか澤なんて言う奴いないだろ、普通。
「そ。また吉朗と組む時は頼むな」
「え、あっ……いえ、むしろ自分が部長の足を引っ張らないように頑張ります!」
顔を赤くして首を左右にぶんぶんと振る後輩。おそらくこの後輩も吉朗にはないものを持っているのだろう。観察眼とか。だからダブルスを組んだのかもしれない。
「さっき怒鳴ってた奴の言うことじゃねーよな、金田っ!」
「わっ! そ、その、それは! すみませんでしたっ!」
「なんだよ、さっきの威勢はどこにいったんだっつーの!」
吉朗が金田と呼ばれる後輩の肩に腕を回してからかうように戯れる。仲がいいな。暴言を吐かれても引きずるどころか、からかいの種にするんだから本当にこいつはおおらかというか、本当に馬鹿なのか分からん奴だ。
「そろそろ戻れ。次の試合の準備があるんだろ」
「あぁ、そうだな。じゃあな麻美。またあとで」
吉朗が手を上げて金田と共にコートを退場する。またあとでってなんだよ。なんでまた会うこと前提に言うんだ。あいつはいつもいつも……いや、それがあいつだけど。
はぁ、と溜め息をこぼして私も秋の所に戻ろうとその場を後にした。
……まぁ、そんなに悪くなかったな。一人で暴走するのかと思ったが、意外に冷静で後輩にキレながらも話は聞いてるし。
従兄妹の試合は見たし秋も置いて行ったから一度合流しとくか。遥の奴は知らん。あとでまた戻ってくるだろ。
そう思ってさっき別れた場所へと向かおうとしたら「麻美っ!」と声をかけられた。フェンスの向こうのコート側から。
「……」
「見てくれてたんだなっ」
汗だくで笑う吉朗の姿はいつもの奴の姿だった。暑苦しい。けど、労う価値のある試合だったのは確かだ。
「悪くない試合だったな。お疲れ」
そう伝えてやると奴は驚くように目を丸くさせた。なんだこいつ。せっかく労ってやったのに。
「サンキュな!」
イラッとしたのもつかの間、嬉しさを隠しきれない笑顔で礼を言う。だから、あんたのそれが眩しいんだよこっちは。追い詰められて苛立ってたお前はどこ行ったんだ!
「まぁ、辛勝だから運が良かっただけかもな」
「ははっ。手厳しいぜ。否定は出来ないけどな。それでも運も実力のうちって言うだろ?」
「前向きな奴だなあんたは」
「じゃあ、麻美が幸運を呼んできたって思うことにするぜ」
私は幸運の女神ってか。勝手に崇めるな。ほんと調子狂うなこいつはいつも。
「そういや一緒にペアを組んだそいつの啖呵をきったのも悪くなかったな」
「えぇっ? じ、自分ですかっ!?」
吉朗の後ろにいた後輩にも褒めてやる。まぁ、笑わせてもらったからな。試合中に面と向かってばか澤なんて言う奴いないだろ、普通。
「そ。また吉朗と組む時は頼むな」
「え、あっ……いえ、むしろ自分が部長の足を引っ張らないように頑張ります!」
顔を赤くして首を左右にぶんぶんと振る後輩。おそらくこの後輩も吉朗にはないものを持っているのだろう。観察眼とか。だからダブルスを組んだのかもしれない。
「さっき怒鳴ってた奴の言うことじゃねーよな、金田っ!」
「わっ! そ、その、それは! すみませんでしたっ!」
「なんだよ、さっきの威勢はどこにいったんだっつーの!」
吉朗が金田と呼ばれる後輩の肩に腕を回してからかうように戯れる。仲がいいな。暴言を吐かれても引きずるどころか、からかいの種にするんだから本当にこいつはおおらかというか、本当に馬鹿なのか分からん奴だ。
「そろそろ戻れ。次の試合の準備があるんだろ」
「あぁ、そうだな。じゃあな麻美。またあとで」
吉朗が手を上げて金田と共にコートを退場する。またあとでってなんだよ。なんでまた会うこと前提に言うんだ。あいつはいつもいつも……いや、それがあいつだけど。
はぁ、と溜め息をこぼして私も秋の所に戻ろうとその場を後にした。