自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第12話『都大会準々決勝観戦』
主人公名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ちょっと、麻美っ! 一体どこのトイレに行くのっ!?」
その頃、遥はトイレに行くと言った麻美の後を追いかけるものの、一向にトイレへと辿り着く気配がないため彼女は声を上げる。
すると突然その場にピタッと麻美が立ち止まった。あまりにも唐突だったため、遥も急に止まれない。
麻美の背中にぶつかるも軸足が強いのか麻美はその勢いに飲まれることなくただ立ち尽くすのみ。そのため遥に全ての反動がいき、そのまま後ろへと尻もちをついて転んでしまう。
「へぶっ!」
「何ぶつかってきてんだお前」
「色々とツッコミを入れたいことがあるが、とりあえず酷くないっ!?」
あたしは追いかけただけなのにー! と座りながら両手を振って怒ってますアピールをする遥に麻美は面倒臭げに溜め息をついた。
「そもそも麻美がっ……って、血が出てる! うわーうわー! 麻美っ絆創膏!」
よいしょっと、立ち上がろうとした瞬間、自身の手のひらに擦り傷が出来たことに気づいた遥は大袈裟な声を上げて麻美に絆創膏を要求する。
「持ってない」
「おおお鬼ぃぃ!!」
君のせいでもあるのだからな! と口にしない思いを抱え、ポケットの中に手を入れてハンカチやティッシュがないかと探るが、準備はあまりよろしくない遥はハンカチもティッシュも持っていなかった。
仕方ないので怪我した手のひらに向けてフゥーフゥーと息を吹きかける。何の効果を期待しているのか、それは本人しか分からない。
それを見かねた麻美が己のティッシュを渡してあげようとポケットの中に手を入れたその時、遥の前に絆創膏を差し出す者が現れた。どうやら彼女の目線に合わせてわざわざしゃがみ込んでくれているようだ。
「絆、創膏……? あたしに?」
大きな手のせいで小さく見える絆創膏。それは自分に宛てた物かを確かめるために彼女は顔を上げて絆創膏を差し出す人物を見た……が、その人物を見た途端、遥の目は大きく見開いていく。
「ウス」
「!?」
麻美が「確かあいつは……」と呟く。それもそのはず、その人物は先程会ったばかりの氷帝の部員である樺地崇弘であった。
見た所周りには他の氷帝生はいないようなので彼一人の様子。
「使って、ください」
「あ、ありがとう……」
反応に困るものの恐る恐る樺地から絆創膏を受け取った遥はペリペリとフィルムを剥がして怪我をしていた手のひらに張り付ける。
それを見た樺地はゆっくり立ち上がり頭を軽く下げた。
「それでは……失礼します」
「悪かったな、さんきゅ」
「ウス」
始終無表情のまま樺地は二人の前から去って行った。麻美と絆創膏を張ってようやく立ち上がった遥はジッと彼の後ろ姿を見つめる。
「あいつ、いい奴だな」
「で、ででででもっ! ホクロん所の巨人兵じゃないか! ちょっと優しくしたからってあの学校の株が上がると思ったら大間違いなんだからねっ。ふんっ!」
跡部とのいざこざをまだ根に持っている遥はそっぽ向く。そんな遥とは真逆に麻美は腕を組んで樺地に感心していた。
「実はあのホクロに弱味でも握られてるんだろ」
「え~?」
そうとも言えるような言えないような。あの二人の関係性は麻美にも遥にも分からないのでそれ以上は推測でしかない。
そんな時、準々決勝の試合が始まったのかテニスコートに歓声が上がった。
「あ! 麻美っ、試合始まっちゃってるよ! 見に行こ!」
「……見るだけだからな」
従兄妹とは離れることが出来たからそれでいいと判断した麻美はフェンスで仕切られたコートへ駆けた遥の後ろに続いた。
「おっ。ダブルスが同時に行われてるねー。ほら、ちょうどこっち側は赤澤が試合してるとこだよっ」
「言われなくても分かってる」
騒々しい奴だと呟きながら麻美は従兄妹の試合を観戦した。
思えば初めてテニスをする所を見たな。麻美はそう思った。確かテニス部という話は親族の集まりの際に聞いてもいないのに向こうから話していたということも思い出す。
いつもはシングルスだと言っていた彼が何故ダブルスなのかは分からないが、青学の厄介なダブルスコンビである黄金ペアに食らいついているのだから実力はそう悪くなない。
けれど麻美は知らなかった。真剣にテニスの試合に臨む従兄妹の姿を。途中で追い詰められ、苛立つ姿なんて初めて見た気さえする。
いつも呑気に馬鹿みたいな笑顔を浮かべてる奴でもイラつくことがあるのかと麻美は驚きすらした。
そして焦ったのかついミスまでしてしまった赤澤は苛立ちの熱を放出させようと突然雄叫びを上げたのだ。
思わず目を丸くさせた麻美だったが、何だかその姿がやはり麻美の知る従兄妹の姿だったため、耐えきれずぶはっと吹き出した。
「……笑わせるなよな」
クク、と肩を震わせながらさらに後輩に八つ当たりまでしてばか澤呼ばわりまでされたのだから麻美は笑い堪えるのに必死だった。
そこで彼女はハッとする。そういえば隣に遥がいたんだったと。これでは物珍しげに見られてるのではと察した麻美がバッと勢いよく隣へ目を向けると、そこにはつい先程までいたはずの遥の姿が忽然と消えていた。
「……?」
あいつどこにいきやがった? そう思ったがガキじゃあるまいし、気にすることないなとすぐにその目は続く試合へと向けられた。
その頃、遥はトイレに行くと言った麻美の後を追いかけるものの、一向にトイレへと辿り着く気配がないため彼女は声を上げる。
すると突然その場にピタッと麻美が立ち止まった。あまりにも唐突だったため、遥も急に止まれない。
麻美の背中にぶつかるも軸足が強いのか麻美はその勢いに飲まれることなくただ立ち尽くすのみ。そのため遥に全ての反動がいき、そのまま後ろへと尻もちをついて転んでしまう。
「へぶっ!」
「何ぶつかってきてんだお前」
「色々とツッコミを入れたいことがあるが、とりあえず酷くないっ!?」
あたしは追いかけただけなのにー! と座りながら両手を振って怒ってますアピールをする遥に麻美は面倒臭げに溜め息をついた。
「そもそも麻美がっ……って、血が出てる! うわーうわー! 麻美っ絆創膏!」
よいしょっと、立ち上がろうとした瞬間、自身の手のひらに擦り傷が出来たことに気づいた遥は大袈裟な声を上げて麻美に絆創膏を要求する。
「持ってない」
「おおお鬼ぃぃ!!」
君のせいでもあるのだからな! と口にしない思いを抱え、ポケットの中に手を入れてハンカチやティッシュがないかと探るが、準備はあまりよろしくない遥はハンカチもティッシュも持っていなかった。
仕方ないので怪我した手のひらに向けてフゥーフゥーと息を吹きかける。何の効果を期待しているのか、それは本人しか分からない。
それを見かねた麻美が己のティッシュを渡してあげようとポケットの中に手を入れたその時、遥の前に絆創膏を差し出す者が現れた。どうやら彼女の目線に合わせてわざわざしゃがみ込んでくれているようだ。
「絆、創膏……? あたしに?」
大きな手のせいで小さく見える絆創膏。それは自分に宛てた物かを確かめるために彼女は顔を上げて絆創膏を差し出す人物を見た……が、その人物を見た途端、遥の目は大きく見開いていく。
「ウス」
「!?」
麻美が「確かあいつは……」と呟く。それもそのはず、その人物は先程会ったばかりの氷帝の部員である樺地崇弘であった。
見た所周りには他の氷帝生はいないようなので彼一人の様子。
「使って、ください」
「あ、ありがとう……」
反応に困るものの恐る恐る樺地から絆創膏を受け取った遥はペリペリとフィルムを剥がして怪我をしていた手のひらに張り付ける。
それを見た樺地はゆっくり立ち上がり頭を軽く下げた。
「それでは……失礼します」
「悪かったな、さんきゅ」
「ウス」
始終無表情のまま樺地は二人の前から去って行った。麻美と絆創膏を張ってようやく立ち上がった遥はジッと彼の後ろ姿を見つめる。
「あいつ、いい奴だな」
「で、ででででもっ! ホクロん所の巨人兵じゃないか! ちょっと優しくしたからってあの学校の株が上がると思ったら大間違いなんだからねっ。ふんっ!」
跡部とのいざこざをまだ根に持っている遥はそっぽ向く。そんな遥とは真逆に麻美は腕を組んで樺地に感心していた。
「実はあのホクロに弱味でも握られてるんだろ」
「え~?」
そうとも言えるような言えないような。あの二人の関係性は麻美にも遥にも分からないのでそれ以上は推測でしかない。
そんな時、準々決勝の試合が始まったのかテニスコートに歓声が上がった。
「あ! 麻美っ、試合始まっちゃってるよ! 見に行こ!」
「……見るだけだからな」
従兄妹とは離れることが出来たからそれでいいと判断した麻美はフェンスで仕切られたコートへ駆けた遥の後ろに続いた。
「おっ。ダブルスが同時に行われてるねー。ほら、ちょうどこっち側は赤澤が試合してるとこだよっ」
「言われなくても分かってる」
騒々しい奴だと呟きながら麻美は従兄妹の試合を観戦した。
思えば初めてテニスをする所を見たな。麻美はそう思った。確かテニス部という話は親族の集まりの際に聞いてもいないのに向こうから話していたということも思い出す。
いつもはシングルスだと言っていた彼が何故ダブルスなのかは分からないが、青学の厄介なダブルスコンビである黄金ペアに食らいついているのだから実力はそう悪くなない。
けれど麻美は知らなかった。真剣にテニスの試合に臨む従兄妹の姿を。途中で追い詰められ、苛立つ姿なんて初めて見た気さえする。
いつも呑気に馬鹿みたいな笑顔を浮かべてる奴でもイラつくことがあるのかと麻美は驚きすらした。
そして焦ったのかついミスまでしてしまった赤澤は苛立ちの熱を放出させようと突然雄叫びを上げたのだ。
思わず目を丸くさせた麻美だったが、何だかその姿がやはり麻美の知る従兄妹の姿だったため、耐えきれずぶはっと吹き出した。
「……笑わせるなよな」
クク、と肩を震わせながらさらに後輩に八つ当たりまでしてばか澤呼ばわりまでされたのだから麻美は笑い堪えるのに必死だった。
そこで彼女はハッとする。そういえば隣に遥がいたんだったと。これでは物珍しげに見られてるのではと察した麻美がバッと勢いよく隣へ目を向けると、そこにはつい先程までいたはずの遥の姿が忽然と消えていた。
「……?」
あいつどこにいきやがった? そう思ったがガキじゃあるまいし、気にすることないなとすぐにその目は続く試合へと向けられた。