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第12話『都大会準々決勝観戦』
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準々決勝青春学園VS聖ルドルフ学院の試合があと10分後に行われる。
試合前の準備で忙しいだろうけど、せめて赤澤くんに麻美を連れて応援に来たことを知らせたいため、オーダーを確認しているルドルフの陣地へ訪れた。
「━━以上が対青学のオーダーです。んふっ、僕の言った通りにすれば間違いなく打ち破れるでしょう」
「よし。準々決勝もこのまま勝ち取るぞ!」
赤澤くんの声掛けで部員達は「おう!」と気合を入れていた。その発言からしてリーダーシップがあるように見える。部長さんのようだ。そして彼の隣でオーダーの発表をしていた人は確かこの間赤澤くんと一緒にいた人だね。
その様子を見ていたら赤澤くんが先にこちらに気づいたようで「あ!」と口にした。
「おぉ! 麻美、来てくれたかっ!」
「……っち」
ぶんぶんと笑顔で手を振る赤澤くんに麻美は嫌そうに舌打ちをした。うーん……そんなあからさまな態度を取らなくても……。
それでも赤澤くんは気にせず「こっち来いよ!」と言うので眉を寄せた麻美を何とか引っ張って彼の元へ連れてくる。
「こんにちは、赤澤くん」
「こんちはー!」
初対面だというのに遥は元気に挨拶をする。人見知りしない彼女の良い所のひとつだ。それなのに麻美はムスッとしたまま黙っているだけ。
「えーと、確か九条だっけか?」
「うん。覚えてくれてありがとう」
「そっちは初めて見る奴だよな? お前も麻美のダチか?」
「もち! 西成遥でっす!」
「おう、よろしくな。俺が麻美の従兄妹、赤澤吉朗だ。部長をやってるぜ」
「おー! 部長だなんて凄いじゃん! ね、麻美っ?」
「知るか」
ツンとする麻美。これだけ失礼な態度をとっても赤澤くんは顔を歪める様子はない。凄く慣れている……。
するとそんな麻美の態度で気づいたのか、赤澤くんの隣に立って前髪を人差し指でくるくると弄る彼が声を上げる。
「あぁ、思い出しましたよ。あなた方、以前赤澤くんとお会いした方達でしたね」
「はい。改めまして立海大附属中3年の九条秋と申します。そして同じ学校の赤宮麻美と西成遥です」
「立海……でしたか。んふふ、あの王者の。あぁ、失礼。僕は観月はじめです。よろしければ立海について━━」
「おい、観月。もうすぐ試合が始まるから今はやめとけ」
学校名を出した途端、観月くんと名乗る彼の目の色が変わった気がした。何か尋ねたいような雰囲気だったが赤澤くんがやれやれといった表情で彼を止める。すると観月くんは時計を見て軽く溜め息をついた。
「確かにそうですね。すみません、僕としたことが。あなた方のお話、機会があればお聞かせください」
「え? あ、はい」
「そういえば赤澤は今回の試合は出るの?」
「あぁ、ダブルス1だ。いつもはシングルスだけど応援頼むぜ」
「合点!」
「頑張ってね、赤澤くん」
「……」
「……ほら、麻美も」
ここは何か応援の一言を伝えるべきなのにと思ってこそっと麻美に耳打ちするけど、次の瞬間望んでいたものとは違う言葉が彼女の口から出た。
「トイレに行く」
「えっ? ちょ、麻美っ!?」
そう告げると麻美はすぐに走り出した。このタイミングで!? と思ったけど、もしかして逃げるための口実かもしれない。どうしようと思ったら遥も駆け出した。
「じゃあ、あたしも麻美と一緒に行ってくるー!」
「え、遥もっ?」
遥のことだから彼女は本当にお手洗いに行くかもしれない。でも麻美と一緒ならまだいいのかなと思ってそのまま二人の自由にさせた。さすがに応援すると言った手前、私も一緒に追いかけるわけにはいかない。
「ごめんね、赤澤くん……何だか慌ただしくて」
「いや、あいつが逃げるのはいつものことだって」
さすがにあからさますぎたもんね。赤澤くんが気づかないわけないか。それはそれでごめんねと思うと、観月くんが小さく溜め息を吐く。
「赤澤部長、たまにデリカシーに欠けますから何かしら嫌われるようなことをしたんじゃありませんか?」
「マジかっ!? それは盲点だったぜ!」
「い、いや、元々麻美はあまり人付き合いしない子だからそういうわけじゃないのかもっ」
本当の所はどうか分からないし、麻美に聞かないと分からないけど、本気で赤澤くんのことが嫌いなら多分ここまで一緒に来ないはずだ。
「本当に嫌いなら麻美はもっと関わらないかもしれないし、拒絶すると思うの」
思えば私と遥も最初は彼女にとってそのような存在だったのかもしれない。でも友達となった今は少しだけマシになったと思う。
だから赤澤くんともきっかけがあればもう少し良好な関係が出来るはずなんだけど、こればかりは麻美の気持ち次第である。
「確かにそうだな。何だかんだ感情に正直だからよ、麻美は。でも良かったぜ、あいつの傍にダチがいて。親族の集まりとかいつも一人だし、気の合う奴とかいなさそうだったからな。だからお前らが麻美と仲良くしてもらえて俺は嬉しいぜ、ありがとな」
ニカッと笑いながらお礼を言われてしまった。まさかそんなことを言われるとは思っていなかったので、ちょっと照れながら首を横にぶんぶんと振る。
「そ、そんなことないよ。むしろこっちが仲良くしてもらってる立場だから……」
「謙遜すんなって。……まぁ、口は悪いかもしんねーけど悪い奴じゃないからな、これからも良くしてやってくれ」
「う、うん。麻美は大事な友達だからね」
その言葉に偽りはない。まだまだ友達を始めたばかりなので知らないことの方が多いけど、少しずつ築き上げたらいいなと思ってる。
そんな私の言葉に赤澤くんはどこかホッとした表情で口元を緩ませた。そして観月くんが時計を見たあとに赤澤くんに視線を向ける。
「部長、そろそろ時間なようです。行きましょう」
「お、もうそんな時間か。了解。それじゃあ俺達は行って来るぜ」
「うん、頑張ってね」
「あぁ、応援よろしくな」
赤澤くんが私の横を通り過ぎる間際に頭をぽんっと叩いた。ちょっと驚きながら優しく叩かれた頭を押さえて、観月くんの後をついて行く赤澤くんを見送る。
「……赤澤くん、まるでお兄ちゃんって感じだね」
何だかそんな温かい存在が少し羨ましく思いながら、フェンスで囲われた試合コートへと目を向けて観戦することにした。
向かい側にはルドルフと対戦する学校が集まっている。私の従兄妹が所属する青学だ。
赤澤くんと国光、両校ともにエールを送りたいが、この準々決勝の勝者が関東大会行きの切符を確実に手に入れることが出来るため、どっちも勝ってほしいという願いは叶えられない。
万が一この準々決勝で敗北しても次は5位決定戦があるが、そんなに上手いこといくとは限らないのですでにハラハラした気持ちで見守ることになった。
試合前の準備で忙しいだろうけど、せめて赤澤くんに麻美を連れて応援に来たことを知らせたいため、オーダーを確認しているルドルフの陣地へ訪れた。
「━━以上が対青学のオーダーです。んふっ、僕の言った通りにすれば間違いなく打ち破れるでしょう」
「よし。準々決勝もこのまま勝ち取るぞ!」
赤澤くんの声掛けで部員達は「おう!」と気合を入れていた。その発言からしてリーダーシップがあるように見える。部長さんのようだ。そして彼の隣でオーダーの発表をしていた人は確かこの間赤澤くんと一緒にいた人だね。
その様子を見ていたら赤澤くんが先にこちらに気づいたようで「あ!」と口にした。
「おぉ! 麻美、来てくれたかっ!」
「……っち」
ぶんぶんと笑顔で手を振る赤澤くんに麻美は嫌そうに舌打ちをした。うーん……そんなあからさまな態度を取らなくても……。
それでも赤澤くんは気にせず「こっち来いよ!」と言うので眉を寄せた麻美を何とか引っ張って彼の元へ連れてくる。
「こんにちは、赤澤くん」
「こんちはー!」
初対面だというのに遥は元気に挨拶をする。人見知りしない彼女の良い所のひとつだ。それなのに麻美はムスッとしたまま黙っているだけ。
「えーと、確か九条だっけか?」
「うん。覚えてくれてありがとう」
「そっちは初めて見る奴だよな? お前も麻美のダチか?」
「もち! 西成遥でっす!」
「おう、よろしくな。俺が麻美の従兄妹、赤澤吉朗だ。部長をやってるぜ」
「おー! 部長だなんて凄いじゃん! ね、麻美っ?」
「知るか」
ツンとする麻美。これだけ失礼な態度をとっても赤澤くんは顔を歪める様子はない。凄く慣れている……。
するとそんな麻美の態度で気づいたのか、赤澤くんの隣に立って前髪を人差し指でくるくると弄る彼が声を上げる。
「あぁ、思い出しましたよ。あなた方、以前赤澤くんとお会いした方達でしたね」
「はい。改めまして立海大附属中3年の九条秋と申します。そして同じ学校の赤宮麻美と西成遥です」
「立海……でしたか。んふふ、あの王者の。あぁ、失礼。僕は観月はじめです。よろしければ立海について━━」
「おい、観月。もうすぐ試合が始まるから今はやめとけ」
学校名を出した途端、観月くんと名乗る彼の目の色が変わった気がした。何か尋ねたいような雰囲気だったが赤澤くんがやれやれといった表情で彼を止める。すると観月くんは時計を見て軽く溜め息をついた。
「確かにそうですね。すみません、僕としたことが。あなた方のお話、機会があればお聞かせください」
「え? あ、はい」
「そういえば赤澤は今回の試合は出るの?」
「あぁ、ダブルス1だ。いつもはシングルスだけど応援頼むぜ」
「合点!」
「頑張ってね、赤澤くん」
「……」
「……ほら、麻美も」
ここは何か応援の一言を伝えるべきなのにと思ってこそっと麻美に耳打ちするけど、次の瞬間望んでいたものとは違う言葉が彼女の口から出た。
「トイレに行く」
「えっ? ちょ、麻美っ!?」
そう告げると麻美はすぐに走り出した。このタイミングで!? と思ったけど、もしかして逃げるための口実かもしれない。どうしようと思ったら遥も駆け出した。
「じゃあ、あたしも麻美と一緒に行ってくるー!」
「え、遥もっ?」
遥のことだから彼女は本当にお手洗いに行くかもしれない。でも麻美と一緒ならまだいいのかなと思ってそのまま二人の自由にさせた。さすがに応援すると言った手前、私も一緒に追いかけるわけにはいかない。
「ごめんね、赤澤くん……何だか慌ただしくて」
「いや、あいつが逃げるのはいつものことだって」
さすがにあからさますぎたもんね。赤澤くんが気づかないわけないか。それはそれでごめんねと思うと、観月くんが小さく溜め息を吐く。
「赤澤部長、たまにデリカシーに欠けますから何かしら嫌われるようなことをしたんじゃありませんか?」
「マジかっ!? それは盲点だったぜ!」
「い、いや、元々麻美はあまり人付き合いしない子だからそういうわけじゃないのかもっ」
本当の所はどうか分からないし、麻美に聞かないと分からないけど、本気で赤澤くんのことが嫌いなら多分ここまで一緒に来ないはずだ。
「本当に嫌いなら麻美はもっと関わらないかもしれないし、拒絶すると思うの」
思えば私と遥も最初は彼女にとってそのような存在だったのかもしれない。でも友達となった今は少しだけマシになったと思う。
だから赤澤くんともきっかけがあればもう少し良好な関係が出来るはずなんだけど、こればかりは麻美の気持ち次第である。
「確かにそうだな。何だかんだ感情に正直だからよ、麻美は。でも良かったぜ、あいつの傍にダチがいて。親族の集まりとかいつも一人だし、気の合う奴とかいなさそうだったからな。だからお前らが麻美と仲良くしてもらえて俺は嬉しいぜ、ありがとな」
ニカッと笑いながらお礼を言われてしまった。まさかそんなことを言われるとは思っていなかったので、ちょっと照れながら首を横にぶんぶんと振る。
「そ、そんなことないよ。むしろこっちが仲良くしてもらってる立場だから……」
「謙遜すんなって。……まぁ、口は悪いかもしんねーけど悪い奴じゃないからな、これからも良くしてやってくれ」
「う、うん。麻美は大事な友達だからね」
その言葉に偽りはない。まだまだ友達を始めたばかりなので知らないことの方が多いけど、少しずつ築き上げたらいいなと思ってる。
そんな私の言葉に赤澤くんはどこかホッとした表情で口元を緩ませた。そして観月くんが時計を見たあとに赤澤くんに視線を向ける。
「部長、そろそろ時間なようです。行きましょう」
「お、もうそんな時間か。了解。それじゃあ俺達は行って来るぜ」
「うん、頑張ってね」
「あぁ、応援よろしくな」
赤澤くんが私の横を通り過ぎる間際に頭をぽんっと叩いた。ちょっと驚きながら優しく叩かれた頭を押さえて、観月くんの後をついて行く赤澤くんを見送る。
「……赤澤くん、まるでお兄ちゃんって感じだね」
何だかそんな温かい存在が少し羨ましく思いながら、フェンスで囲われた試合コートへと目を向けて観戦することにした。
向かい側にはルドルフと対戦する学校が集まっている。私の従兄妹が所属する青学だ。
赤澤くんと国光、両校ともにエールを送りたいが、この準々決勝の勝者が関東大会行きの切符を確実に手に入れることが出来るため、どっちも勝ってほしいという願いは叶えられない。
万が一この準々決勝で敗北しても次は5位決定戦があるが、そんなに上手いこといくとは限らないのですでにハラハラした気持ちで見守ることになった。