自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第1話『部長は病室にてミッションを言い渡す』
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所変わって今回一番の難題とも言えるミッションに挑戦するのが桑原と丸井による赤宮麻美をマネージャーに引き入れるというものである。
教室前の出入口である扉前からターゲットである麻美の存在を確認した桑原と丸井はどうやって彼女をマネージャーにするか作戦会議を始めた。
「全くいい案が思い浮かばねぇぜ……」
「同感。幸村くんも無茶言うぜ……」
「へー。あの人が赤宮先輩なんスか。確かに美人って言われるのがよく分かるっつーか。クール系って奴ッスね?」
桑原と丸井に託されたこのミッションになぜか2年の切原まで参加していた。いや、参加というより見物に来たという方が正しいだろう。
美人と言われたら一度はそのご尊顔を拝んでみたいと思ったのか、彼は桑原と丸井の元へ訪れたのだ。
「赤也、あんまジーッと見てっと睨まれんぞ。あいつ視線に敏感なのかすぐに睨んできやがるからな」
「マジっスか!? 軍人か何かなんじゃないんスかね?」
「頼むから赤宮の神経に障るようなことを本人に言うなよ……」
この話が本人に聞こえたらたまったもんじゃねぇ。そう言いながら嘆息をついた桑原だったが、どうやら悪夢が現実になる時がきたようだ。
「すでに聞こえてるんだけど?」
「「!!」」
いつの間にか三人が固まって立っている出入口まで噂の麻美が来ていた。
まさか向こうから声をかけてくるとは思っていなかったため三人ともびくっと身体を大きく跳ねさせる。
「喧嘩なら買う」
拳を鳴らしながら眉を寄せる麻美は誰がどう見てもキレる一歩前と言えよう。
これはまずいと思った桑原が慌てて声を上げた。
「い、いや、待て赤宮っ。喧嘩じゃなく、俺らは言いたいことがあるだけだ!」
「言いたいことだと? いい度胸だ。こうやってこそこそ人を盗み見してる奴らが私の前で何が言いたい?」
言い方が悪かったのか、それとも何を言っても同じような返しをされるのかは分からないがさらに彼女の怒りを買ってしまったようだ。
「えーと……おい、ブン太。お前も幸村から頼まれたんだからお前からも何か言えって」
「はぁっ!?」
「早く言え、赤髪」
「え、あ、いや……じゃあ、遠慮なく言わせてもらうぜ……ジャッカルが」
「俺かよっ! パスをすぐに返すなっての!」
「おい、どっちでもいいから早く言え」
はっきりしない二人に段々と苛立ちを増してきた麻美は無理やりにでも吐かせてやろうかと二人の胸ぐらを掴みかかろうとしたその時だった。
「うちの部のマネージャーになってほしいんスよ。赤宮先輩に」
ピタッと麻美の手が止まる。そうはっきり告げたのは桑原でもなく丸井でもない。後輩の切原赤也だった。
麻美は彼に目を向けてからしばらく黙ったまま見つめる。
対する切原はつい口が出てしまったと焦るとともに麻美の力強い眼光にたじたじしてしまう。
「マネージャー? 本気で言ってるわけ?」
「え、あ、そうッス! うちの部長がどうしてもテニス部にって……」
「……テニス部、だと?」
テニス部と聞いた麻美がぴくりと反応した。そして一人の男の姿を思い浮かべる。テニス部副部長である真田弦一郎の姿を。
「……」
小さい頃からの幼馴染みだったが今は疎遠気味ではあるものの、麻美の中では一時も真田のことを忘れることはなかった。
なぜなら麻美は幼い頃から真田に好意を寄せていたから。
年が重ねれば重なるほどその想いも大きくなるが、異性という男女としての関わりも敏感になる思春期の難しい年頃もあり、麻美は真田に近づけなくなった。
しかし真田を想う気持ちは冷めることなくさらに加速していく日々だというのに言葉すら交わすことが出来ない今を歯痒く感じていた。
そんなところへ彼に近づけるチャンスが今目の前に現れたのだ。
「えっと……赤宮先輩?」
「やべ……ガチギレか? おい、どーすんだよっ! ジャッカルのせいだろっ」
「いや、なんで俺になるんだよっ」
黙ったまま下へと俯く麻美の様子に戸惑いを見せる三人はどうしたらいいのか慌て始める。
今のうちに逃げた方がいいのかと丸井が口にするが同じクラスの桑原は逃げても意味がないので必死にやめろと制止する中、怖いもの見たさがあったのか切原は麻美の顔を覗き込む。
「あの~……赤宮せんぱ~い?」
「テニス部……」
「!」
下を向く麻美の顔を覗き込んだ切原は驚いた。
先ほどまで苛立ちに顔を歪めていた女子が心を弾ませる少女のような柔らかい笑みを浮かべていた。その表情の差に思わず切原もドキッとしてしまう。
そして麻美は勢いよく顔を上げた。表情はすでに仏頂面に戻っている。
「入る」
「「えっ?」」
「マネージャー。やるって言ったんだよ。それとも嘘だって言うのか?」
「い、いや、そうじゃねぇ! なっ、ジャッカル!」
「お、おう。そんなすぐに返答をもらえるとは思わなかっただけだ」
「だったら理解したな。責任持って上に伝えろ」
そう告げると麻美は自身の席へと戻った。あまりにもあっさりと、簡単に承諾した事実が信じられずに桑原と丸井は呆気にとられてしまう。
「……今のマジかよ? 難易度高かったんじゃねぇの?」
「俺もそう思ってたけどよ……まさか幸村そこまで分かってて?」
「いや、それはないだろぃ。……まぁ、上手くいったならそれでいいけどよ。……おい、赤也? 何ボーッとしてんだ」
「へ? あ、いや、あの人ってほんとにおっかない人なんスかね?」
「何言ってんだよ! あいつの迫力見ただろっ?」
「でも、さっき顔を覗いた時なんて普通に笑ってましたよ?」
「笑ってた……?」
「そりゃあ笑うくらいはするだろ。悪魔みたいな笑みなんてよく見るっての」
「いやいや、そうじゃなくて! ほんとに普通に笑ったんスよ! こう、ニコッてより、微笑むくらいの感じで!」
「何言ってんだよ。そんなわけねぇだろ」
「見間違いとかじゃないのか? さすがに俺も見たことねぇな」
「ほんとなんですってばー!」
見たことを信じてくれない先輩二人に切原は本当だと訴えるが桑原も丸井も全く聞く耳を持ってくれなかった。
そんなやりとりをしていることを知らない麻美はいつもより機嫌良くその日を過ごすのだった。
近いうちに想い人との距離が近づけると信じて。
教室前の出入口である扉前からターゲットである麻美の存在を確認した桑原と丸井はどうやって彼女をマネージャーにするか作戦会議を始めた。
「全くいい案が思い浮かばねぇぜ……」
「同感。幸村くんも無茶言うぜ……」
「へー。あの人が赤宮先輩なんスか。確かに美人って言われるのがよく分かるっつーか。クール系って奴ッスね?」
桑原と丸井に託されたこのミッションになぜか2年の切原まで参加していた。いや、参加というより見物に来たという方が正しいだろう。
美人と言われたら一度はそのご尊顔を拝んでみたいと思ったのか、彼は桑原と丸井の元へ訪れたのだ。
「赤也、あんまジーッと見てっと睨まれんぞ。あいつ視線に敏感なのかすぐに睨んできやがるからな」
「マジっスか!? 軍人か何かなんじゃないんスかね?」
「頼むから赤宮の神経に障るようなことを本人に言うなよ……」
この話が本人に聞こえたらたまったもんじゃねぇ。そう言いながら嘆息をついた桑原だったが、どうやら悪夢が現実になる時がきたようだ。
「すでに聞こえてるんだけど?」
「「!!」」
いつの間にか三人が固まって立っている出入口まで噂の麻美が来ていた。
まさか向こうから声をかけてくるとは思っていなかったため三人ともびくっと身体を大きく跳ねさせる。
「喧嘩なら買う」
拳を鳴らしながら眉を寄せる麻美は誰がどう見てもキレる一歩前と言えよう。
これはまずいと思った桑原が慌てて声を上げた。
「い、いや、待て赤宮っ。喧嘩じゃなく、俺らは言いたいことがあるだけだ!」
「言いたいことだと? いい度胸だ。こうやってこそこそ人を盗み見してる奴らが私の前で何が言いたい?」
言い方が悪かったのか、それとも何を言っても同じような返しをされるのかは分からないがさらに彼女の怒りを買ってしまったようだ。
「えーと……おい、ブン太。お前も幸村から頼まれたんだからお前からも何か言えって」
「はぁっ!?」
「早く言え、赤髪」
「え、あ、いや……じゃあ、遠慮なく言わせてもらうぜ……ジャッカルが」
「俺かよっ! パスをすぐに返すなっての!」
「おい、どっちでもいいから早く言え」
はっきりしない二人に段々と苛立ちを増してきた麻美は無理やりにでも吐かせてやろうかと二人の胸ぐらを掴みかかろうとしたその時だった。
「うちの部のマネージャーになってほしいんスよ。赤宮先輩に」
ピタッと麻美の手が止まる。そうはっきり告げたのは桑原でもなく丸井でもない。後輩の切原赤也だった。
麻美は彼に目を向けてからしばらく黙ったまま見つめる。
対する切原はつい口が出てしまったと焦るとともに麻美の力強い眼光にたじたじしてしまう。
「マネージャー? 本気で言ってるわけ?」
「え、あ、そうッス! うちの部長がどうしてもテニス部にって……」
「……テニス部、だと?」
テニス部と聞いた麻美がぴくりと反応した。そして一人の男の姿を思い浮かべる。テニス部副部長である真田弦一郎の姿を。
「……」
小さい頃からの幼馴染みだったが今は疎遠気味ではあるものの、麻美の中では一時も真田のことを忘れることはなかった。
なぜなら麻美は幼い頃から真田に好意を寄せていたから。
年が重ねれば重なるほどその想いも大きくなるが、異性という男女としての関わりも敏感になる思春期の難しい年頃もあり、麻美は真田に近づけなくなった。
しかし真田を想う気持ちは冷めることなくさらに加速していく日々だというのに言葉すら交わすことが出来ない今を歯痒く感じていた。
そんなところへ彼に近づけるチャンスが今目の前に現れたのだ。
「えっと……赤宮先輩?」
「やべ……ガチギレか? おい、どーすんだよっ! ジャッカルのせいだろっ」
「いや、なんで俺になるんだよっ」
黙ったまま下へと俯く麻美の様子に戸惑いを見せる三人はどうしたらいいのか慌て始める。
今のうちに逃げた方がいいのかと丸井が口にするが同じクラスの桑原は逃げても意味がないので必死にやめろと制止する中、怖いもの見たさがあったのか切原は麻美の顔を覗き込む。
「あの~……赤宮せんぱ~い?」
「テニス部……」
「!」
下を向く麻美の顔を覗き込んだ切原は驚いた。
先ほどまで苛立ちに顔を歪めていた女子が心を弾ませる少女のような柔らかい笑みを浮かべていた。その表情の差に思わず切原もドキッとしてしまう。
そして麻美は勢いよく顔を上げた。表情はすでに仏頂面に戻っている。
「入る」
「「えっ?」」
「マネージャー。やるって言ったんだよ。それとも嘘だって言うのか?」
「い、いや、そうじゃねぇ! なっ、ジャッカル!」
「お、おう。そんなすぐに返答をもらえるとは思わなかっただけだ」
「だったら理解したな。責任持って上に伝えろ」
そう告げると麻美は自身の席へと戻った。あまりにもあっさりと、簡単に承諾した事実が信じられずに桑原と丸井は呆気にとられてしまう。
「……今のマジかよ? 難易度高かったんじゃねぇの?」
「俺もそう思ってたけどよ……まさか幸村そこまで分かってて?」
「いや、それはないだろぃ。……まぁ、上手くいったならそれでいいけどよ。……おい、赤也? 何ボーッとしてんだ」
「へ? あ、いや、あの人ってほんとにおっかない人なんスかね?」
「何言ってんだよ! あいつの迫力見ただろっ?」
「でも、さっき顔を覗いた時なんて普通に笑ってましたよ?」
「笑ってた……?」
「そりゃあ笑うくらいはするだろ。悪魔みたいな笑みなんてよく見るっての」
「いやいや、そうじゃなくて! ほんとに普通に笑ったんスよ! こう、ニコッてより、微笑むくらいの感じで!」
「何言ってんだよ。そんなわけねぇだろ」
「見間違いとかじゃないのか? さすがに俺も見たことねぇな」
「ほんとなんですってばー!」
見たことを信じてくれない先輩二人に切原は本当だと訴えるが桑原も丸井も全く聞く耳を持ってくれなかった。
そんなやりとりをしていることを知らない麻美はいつもより機嫌良くその日を過ごすのだった。
近いうちに想い人との距離が近づけると信じて。