自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第11話『都大会での再会を果たす』
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「でも、びっくりしちゃったよ。遥って千石くんと従兄妹なんだね」
顔見知りの多い他校生達から離れ、ようやくルドルフの試合会場へと向かう三人。
その途中で早速と言っていいほど千石の話題になり、遥はどこかげっそりとした様子で深い溜め息を吐く。
「あたしからしたら、いつの間にかあいつと知り合いになってる君達にびっくりだよ……」
「私は知り合いじゃないし。……っつーか、あんたとあのオレンジは仲が悪いのか?」
仲が悪いのかと尋ねられた遥は返答に困り、うーん、と少しだけ悩んだ。
「悪い、かな。小さい頃は仲良かったと思うよ。それでいつの間にか意地悪ばっかされて、喧嘩して会わなくなったみたいな感じ」
「私にはそんなふうには見えなかったように思うなぁ」
「あいつはあたしを虐めるのが生き甲斐な奴だから、その気になればどんな手でも使ってくるんだよ!」
遥にしては珍しく怒る表情などを見せるが、その際に作った拳は微かに震えていた。怒りからきているのか、それとも怯えからきているのか、麻美と秋には分からない。
二人がもう少し話を聞こうかと悩み始めた時、何かを思い出したのか遥は「あっ」と声を上げた。
「それより、秋だって手塚と従兄妹だって話じゃん! そっちの方が気になるよあたし! なんで教えてくれなかったの!?」
「まさか国光が有名人だとは思わなくて……レギュラーってことも、青学の部長だってことも今日まで知らなかったから」
「なんでなんでっ? 今月の月刊プロテニスにも載ってたよ!」
「ほらっ」と遥は鞄から雑誌を取り出すと、手塚が載っているであろうページを開き、それを秋に見せるように突きつけた。
「あ、私まだ今月のは買ってないんだけど載ってたんだね」
秋が手塚の写真が載っている記事を見て「私も早く買わなきゃいけないね」と口にする。親戚が雑誌に載っているのだから保存しておかなければ、と。
すると遥が何かに気づいたのか辺りをキョロキョロする。そして指を差した。
「ねーねー。向こうのコート騒がしいよっ」
遥が指差すコートには「氷帝! 氷帝!」と応援する声が聞こえた。
それだけならばあまり気にしないが、今までのどの学校よりも勝る大声援は三人を足止めするには十分だ。
「氷帝?」
秋がぽつりと呟く。すると遥が「あっ」と反応した。
「知ってる知ってるー。なんかお金持ちな学校だよ! 頭良いし、スポーツも出来る学校! しかもテニス部にはイケメンがいっぱいだとか」
「そういや、女子がよく騒いでたな。うるさいくらいに」
「そうなんだ? せっかくだからちょっとだけ見てみない?」
「イエッサー!」
他校でも有名な氷帝学園。ちょっとした好奇心が秋と遥に芽生えて、近くに行ってみようと走り出そうとした時、麻美は「待て」と一言で二人の動きを止めた。
「秋はまだいいとして、あんたは行かない方が賢明だ」
「なんで?」
「会いたくない奴を見ることになる」
「大丈夫だってー。今のあたしにはキヨ以上に会いたくない人なんていやしないもん」
「そう。私は忠告したからな」
「?」
あはは~と笑う遥を見て、大丈夫と言うなら仕方ない、そう言った表情で麻美は強く止めようとはしなかった。
一体何のことか理解出来ない秋は首を傾げる。
200人以上もいる氷帝応援団の大声援の中、昨年の都大会を制覇した氷帝は順調に勝ち進んでいた。
『ゲームセット。6―0氷帝学園!!』
「なんだ宍戸……。20分切れないなんて口ほどにもねーな。なぁ、樺地」
「ウス」
ちょうど試合を終えた宍戸と呼ばれるポニーテールをした長髪の男にテニス部部長の跡部景吾が馬鹿にするかのように笑みを浮かべ、感情を逆撫でするような発言をする。
そんな跡部の横に立つ大男は後輩である樺地崇弘。自身のテニスバッグと跡部のテニスバッグの両方を何食わぬ顔で背負っていた。
「アホ。ウルセーよ跡部!」
「バーカ。俺なら15分だ」
「けっ」
ラケットを人差し指で立たせる癖を持つ宍戸は言い返すことはなかった。見栄でも嘘でもなく、跡部が本当に実現するから言い返す言葉も出ないため。
「もう試合終わってそうだな」
「もっと早くに気がついてたら良かったね」
「ちょっ、あたしのせいじゃないよねっ? ね? ……ん?」
そんな跡部達のすぐ近くに麻美達三人がやって来た。だが、もう試合は終わってしまったため、フェンスの先を見ても選手が立つことはない。
そして責められる前に自分は悪くないと守りに入る遥は近くにいる跡部達に気づいた。
跡部も遥の存在を目に入れると見覚えのある顔だったので「こいつは確か……」と記憶を掘り起こしたその時。
「あ……あぁっ! ぎぃやあああぁぁぁぁっ!!」
まるで化け物でも見たかのように本日二度目となる青ざめた顔の遥は周りに迷惑極まりないほどの大きい声で叫んだ。そのため、近くにいた秋は思わず耳を塞ぐ。
「うっさい!!」
「あだっ! だ、だだだだだってあのホクロ!」
「?」
あまりのけたたましい声に麻美が遥をゲンコツで殴るも、遥は跡部に向けて指を差す。またも秋にしては何のことか分からず疑問符を浮かべるのだった。
麻美は「だから言っただろーが」と呟き、跡部を睨んだ。
「この間はこいつを虐めてくれてどーも」
「人聞き悪いな。可愛がってやったの間違いだぜ」
「ふんっ。よく言うよ!」
「オイ、跡部。知り合いか?」
「知り合いでもねーよ。行くぞ、樺地」
「ウス」
相手にする必要がないと判断したのか、跡部は樺地を呼び、麻美達を横切った。悪びれる様子もない彼の態度に麻美は舌打ちし、遥は頬を膨らます。
「ムカつく奴だな」
「だよねっ!」
珍しく息が合う二人がムッとした表情で跡部達とは反対の方向へ歩き出す。
話の内容がよく分からず残された宍戸と秋は互いの顔を見合わせた。
「えっと……ごめんね。喧嘩を吹っかけちゃったみたいで」
「気にすることねーだろ。あいつはあんな性格だから敵を作りやすいし。……まぁ、女に喧嘩売られたのを見るのは初めてだけどな」
そうなんだ、と答えようとした矢先「行くぞ秋!」と先に歩いていく麻美の呼ぶ声が響く。それを聞いた秋は少し慌てた。
「あ、行かなきゃ。それじゃあ、失礼します」
「おう」
軽く頭を下げた秋は麻美と遥の元へ戻っていく。宍戸はその様子を見たあと、休憩しようとその場から立ち去った。
(っつーか、あいつらどこの学校だ?)
おそらく同じ学校ではないということは理解した。他校にしても跡部にあのような態度をとる者はそうそういないので宍戸は不思議に思いながらも「まぁ、いっか」と、すぐに気を逸らした。
顔見知りの多い他校生達から離れ、ようやくルドルフの試合会場へと向かう三人。
その途中で早速と言っていいほど千石の話題になり、遥はどこかげっそりとした様子で深い溜め息を吐く。
「あたしからしたら、いつの間にかあいつと知り合いになってる君達にびっくりだよ……」
「私は知り合いじゃないし。……っつーか、あんたとあのオレンジは仲が悪いのか?」
仲が悪いのかと尋ねられた遥は返答に困り、うーん、と少しだけ悩んだ。
「悪い、かな。小さい頃は仲良かったと思うよ。それでいつの間にか意地悪ばっかされて、喧嘩して会わなくなったみたいな感じ」
「私にはそんなふうには見えなかったように思うなぁ」
「あいつはあたしを虐めるのが生き甲斐な奴だから、その気になればどんな手でも使ってくるんだよ!」
遥にしては珍しく怒る表情などを見せるが、その際に作った拳は微かに震えていた。怒りからきているのか、それとも怯えからきているのか、麻美と秋には分からない。
二人がもう少し話を聞こうかと悩み始めた時、何かを思い出したのか遥は「あっ」と声を上げた。
「それより、秋だって手塚と従兄妹だって話じゃん! そっちの方が気になるよあたし! なんで教えてくれなかったの!?」
「まさか国光が有名人だとは思わなくて……レギュラーってことも、青学の部長だってことも今日まで知らなかったから」
「なんでなんでっ? 今月の月刊プロテニスにも載ってたよ!」
「ほらっ」と遥は鞄から雑誌を取り出すと、手塚が載っているであろうページを開き、それを秋に見せるように突きつけた。
「あ、私まだ今月のは買ってないんだけど載ってたんだね」
秋が手塚の写真が載っている記事を見て「私も早く買わなきゃいけないね」と口にする。親戚が雑誌に載っているのだから保存しておかなければ、と。
すると遥が何かに気づいたのか辺りをキョロキョロする。そして指を差した。
「ねーねー。向こうのコート騒がしいよっ」
遥が指差すコートには「氷帝! 氷帝!」と応援する声が聞こえた。
それだけならばあまり気にしないが、今までのどの学校よりも勝る大声援は三人を足止めするには十分だ。
「氷帝?」
秋がぽつりと呟く。すると遥が「あっ」と反応した。
「知ってる知ってるー。なんかお金持ちな学校だよ! 頭良いし、スポーツも出来る学校! しかもテニス部にはイケメンがいっぱいだとか」
「そういや、女子がよく騒いでたな。うるさいくらいに」
「そうなんだ? せっかくだからちょっとだけ見てみない?」
「イエッサー!」
他校でも有名な氷帝学園。ちょっとした好奇心が秋と遥に芽生えて、近くに行ってみようと走り出そうとした時、麻美は「待て」と一言で二人の動きを止めた。
「秋はまだいいとして、あんたは行かない方が賢明だ」
「なんで?」
「会いたくない奴を見ることになる」
「大丈夫だってー。今のあたしにはキヨ以上に会いたくない人なんていやしないもん」
「そう。私は忠告したからな」
「?」
あはは~と笑う遥を見て、大丈夫と言うなら仕方ない、そう言った表情で麻美は強く止めようとはしなかった。
一体何のことか理解出来ない秋は首を傾げる。
200人以上もいる氷帝応援団の大声援の中、昨年の都大会を制覇した氷帝は順調に勝ち進んでいた。
『ゲームセット。6―0氷帝学園!!』
「なんだ宍戸……。20分切れないなんて口ほどにもねーな。なぁ、樺地」
「ウス」
ちょうど試合を終えた宍戸と呼ばれるポニーテールをした長髪の男にテニス部部長の跡部景吾が馬鹿にするかのように笑みを浮かべ、感情を逆撫でするような発言をする。
そんな跡部の横に立つ大男は後輩である樺地崇弘。自身のテニスバッグと跡部のテニスバッグの両方を何食わぬ顔で背負っていた。
「アホ。ウルセーよ跡部!」
「バーカ。俺なら15分だ」
「けっ」
ラケットを人差し指で立たせる癖を持つ宍戸は言い返すことはなかった。見栄でも嘘でもなく、跡部が本当に実現するから言い返す言葉も出ないため。
「もう試合終わってそうだな」
「もっと早くに気がついてたら良かったね」
「ちょっ、あたしのせいじゃないよねっ? ね? ……ん?」
そんな跡部達のすぐ近くに麻美達三人がやって来た。だが、もう試合は終わってしまったため、フェンスの先を見ても選手が立つことはない。
そして責められる前に自分は悪くないと守りに入る遥は近くにいる跡部達に気づいた。
跡部も遥の存在を目に入れると見覚えのある顔だったので「こいつは確か……」と記憶を掘り起こしたその時。
「あ……あぁっ! ぎぃやあああぁぁぁぁっ!!」
まるで化け物でも見たかのように本日二度目となる青ざめた顔の遥は周りに迷惑極まりないほどの大きい声で叫んだ。そのため、近くにいた秋は思わず耳を塞ぐ。
「うっさい!!」
「あだっ! だ、だだだだだってあのホクロ!」
「?」
あまりのけたたましい声に麻美が遥をゲンコツで殴るも、遥は跡部に向けて指を差す。またも秋にしては何のことか分からず疑問符を浮かべるのだった。
麻美は「だから言っただろーが」と呟き、跡部を睨んだ。
「この間はこいつを虐めてくれてどーも」
「人聞き悪いな。可愛がってやったの間違いだぜ」
「ふんっ。よく言うよ!」
「オイ、跡部。知り合いか?」
「知り合いでもねーよ。行くぞ、樺地」
「ウス」
相手にする必要がないと判断したのか、跡部は樺地を呼び、麻美達を横切った。悪びれる様子もない彼の態度に麻美は舌打ちし、遥は頬を膨らます。
「ムカつく奴だな」
「だよねっ!」
珍しく息が合う二人がムッとした表情で跡部達とは反対の方向へ歩き出す。
話の内容がよく分からず残された宍戸と秋は互いの顔を見合わせた。
「えっと……ごめんね。喧嘩を吹っかけちゃったみたいで」
「気にすることねーだろ。あいつはあんな性格だから敵を作りやすいし。……まぁ、女に喧嘩売られたのを見るのは初めてだけどな」
そうなんだ、と答えようとした矢先「行くぞ秋!」と先に歩いていく麻美の呼ぶ声が響く。それを聞いた秋は少し慌てた。
「あ、行かなきゃ。それじゃあ、失礼します」
「おう」
軽く頭を下げた秋は麻美と遥の元へ戻っていく。宍戸はその様子を見たあと、休憩しようとその場から立ち去った。
(っつーか、あいつらどこの学校だ?)
おそらく同じ学校ではないということは理解した。他校にしても跡部にあのような態度をとる者はそうそういないので宍戸は不思議に思いながらも「まぁ、いっか」と、すぐに気を逸らした。