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第1話『部長は病室にてミッションを言い渡す』
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翌日、朝のHR前にさっさと事をすませておこうと考えていた仁王は柳生を連れて自分の教室に向かった。
目当ての人物はすでに登校しているのか分からなかったが、運が良かったのかその相手こと西成遥は自分の席で朝から気持ち良さそうに眠っているのを発見する。
「ほれ、柳生。あれが西成遥ぜよ」
「……寝ていますね」
「脳天気な奴でな」
二人が遥の机の前へと近づく。もちろんそれで起きることのない遥は涎を垂らしながら、すかーっと夢の住人のままでいた。
「起きるまで待ちますか?」
「そこまでする義理はないのぅ」
遥の顔が見える位置にしゃがみ込んだ仁王は気持ち良さげなその額に向けて強いデコピンを食らわせた。
「あだっ!!」
よほど強烈だったのか、すぐさま目覚めた遥は額を押さえながら身体を起こす。
「何っ!? 何なのっ!?」
額は真っ赤に色付いていて何が起こったのか理解出来ない遥は辺りを見回すが、すぐに目の前の仁王と柳生の存在に気づいた。
「ちょっとちょっと! あたしの昼寝タイムの邪魔をしたのは君達なの!?」
「まだ朝方ですが……コホン。それに誤解があるようなので訂正を。あなたの居眠りの邪魔をした犯人は仁王くんだけですので」
「見てたならお主も共犯じゃろうに」
「せっかくいい夢見てたのにー」
むすーっと不貞腐れる遥に対して仁王が軽く「すまんすまん」と謝罪を入れるが悪びれるようには見えなかった。
「それよりお前さんを勧誘しに来たんだがいいかの?」
「勧誘? 変な宗教とかじゃないよね?」
「俺を何やと思うとるんじゃ」
「ちょっと胡散臭いことしてそうな……」
「失礼やの」
(言動のせいでしょうかね)
変わった話し方に飄々とした性格の仁王は人によってどこか怪しさを感じるのだろう。こればかりは人柄というか、今までの行いに関係するので遥がそのような疑いを向けても仕方ないというもの。
「うちの部長がお前さんをマネージャーにしたいと目をつけとるみたいでな。西成、うちのマネージャーになってくれんか?」
それはまるで「ちょっとコンビニに寄ってかね?」くらいの軽い誘いだった。
一応寝起きということもあった遥は一瞬自分の耳がおかしくなったのかと思い、瞬きを繰り返しながら人差し指を立てて「もう一回言ってくれる?」とお願いする。
「マネージャーぜよ。テニス部のマネージャーになってほしいんじゃと」
「え。いやいやいや! 唐突すぎやしませんかね!?」
「えぇ、急な勧誘で申し訳ないと私どもも重々承知で申し上げますがご検討いただけませんか?」
「うむむむ……って、君は? 話すの初めてだよね?」
「あぁ、これは失礼いたしました。申し遅れましたが私、仁王くんと同じテニス部所属の柳生比呂士と申します」
「ほうほう。柳生ね。あたし西成遥! ……なんか仁王とは正反対な感じだね」
「そうやの。純粋な俺と違ってこやつはなかなかの腹黒な奴でな」
「に、仁王くん! 誤解を招くような言い方はやめたまえ!」
「プリッ」
正反対のような性質の二人ではあるが、何だか仲が良さそうなので逆に相性がいいというやつなのかもしれない。そんなことを考えていた遥だが仁王は話の続きを進める。
「うちの部長である幸村直々の指名ぜよ。マネージャーをやってみんかの? お前さん部活は入っとらんじゃろ」
「うーーん。確かに無所属ではあるけど、あたしテニスのルールも知らない右も左も分からない者なのでやれる自信はないなぁ」
「そこはご安心を。私どもでフォローや説明などしますのでそんなに難しく考える必要はないかと」
「ん~~」
遥は腕を組みながら唸り声を上げた。部活に入ると時間が縛られるため自由な時間がなくなると思うと引き受けるのは気が引ける。そう思いながら断ろうかなと考えるもひとつ気になることがあった。
「そういえば幸村からの指名って言ってたけど、誰かと間違えてない? あたし幸村とそんな絡みないよ?」
「間違いじゃないのぅ。幸村はお前さんの能力を高く評価してるみたいでな」
「の、能力っ? 一体何のっ!?」
「ずばり、コミュニケーション能力じゃ」
「コ、コミュニケーション……! 確かにあたしは陽キャの中の陽キャと言っても過言ではないけど……! って、それ必要なの?」
「幸村くんにとっては必要としているようですね。他にもマネージャー候補をピックアップしているらしく、その者達と上手くコミュニケーションを取ってもらいたいそうです」
「ふーん」
その程度誰でも出来るような気がするけどなぁ。と思いながらもテニス部のマネージャーと思うと遥は気が重くなる。
何せ立海のテニス部は過去の実績もあり王者の名を全国に知らしめているのだ。テニス部でなくとも他の運動部も毎年何かしら好成績を残しているのでその実力は凄まじい。
だからこそ遥は思うのだ。めちゃくちゃハードなトレーニングをしてるのだろうと。
マネージャーだから部員ほどの運動量ではないだろうが、大変なのは目に見えている。
テニス部に所属してる知り合いは同じクラスの仁王と丸井、そして数名の友人くらいだ。その者達のためにそこまで身を削れるのかと問われれば簡単には頷けないのである。
「マネージャーかぁ……あたしでなくともやりたがる子はいそうな気がするけどなぁ。男テニは女子にモテるしね」
「男目当てで入られても困るきに」
「ははぁ、なるほど」
「それに入院中である幸村の最後の望みかもしれん。いつ元の生活に戻れるかも分からん奴がどうしてもと望んだ小さな我儘じゃ。どうすることも出来ん俺らでもそれくらいは叶えてやりとうてな」
部長である幸村が入院しているということはとても有名で遥でも知っていること。
当初は三強の一人とされる彼がいないテニス部なんて優勝出来るのだろうかと囁かれたこともあったが、今のレギュラー達のテニスを見せつけ圧倒的な実力で黙らせたこともあった。
幸村がいなくても余裕そうじゃん。なんて遥も思っていたが、今の仁王の様子を見ると部長のために出来ることをしてあげたいという彼の優しさを感じた。
それなのに幸村がいなくても大丈夫なんて浅はかな考えはテニスが出来ない幸村にとっては酷いことだったかもしれないと遥は何となく罪悪感が芽生える。
元気が取り柄でしかないと自覚している遥はその取り柄が幸村にとって必要なのかもしれないと思うと彼が指名したのも頷けるような気がした。
「……まぁ、あの人気者の幸村に選ばれたと思えば悪くない、かも?」
「なんと。つまりこの話を受けていただけると?」
「右も左も分からないあたしだけどそれでいいって言うならね!」
「よし。交渉成立じゃな。これであいつも少しは元気になるやろうな」
遥に気づかれないように口角を僅かに上げた仁王は幸村から託されたミッションをコンプリート出来たため肩の荷が下りたと安心した。
目当ての人物はすでに登校しているのか分からなかったが、運が良かったのかその相手こと西成遥は自分の席で朝から気持ち良さそうに眠っているのを発見する。
「ほれ、柳生。あれが西成遥ぜよ」
「……寝ていますね」
「脳天気な奴でな」
二人が遥の机の前へと近づく。もちろんそれで起きることのない遥は涎を垂らしながら、すかーっと夢の住人のままでいた。
「起きるまで待ちますか?」
「そこまでする義理はないのぅ」
遥の顔が見える位置にしゃがみ込んだ仁王は気持ち良さげなその額に向けて強いデコピンを食らわせた。
「あだっ!!」
よほど強烈だったのか、すぐさま目覚めた遥は額を押さえながら身体を起こす。
「何っ!? 何なのっ!?」
額は真っ赤に色付いていて何が起こったのか理解出来ない遥は辺りを見回すが、すぐに目の前の仁王と柳生の存在に気づいた。
「ちょっとちょっと! あたしの昼寝タイムの邪魔をしたのは君達なの!?」
「まだ朝方ですが……コホン。それに誤解があるようなので訂正を。あなたの居眠りの邪魔をした犯人は仁王くんだけですので」
「見てたならお主も共犯じゃろうに」
「せっかくいい夢見てたのにー」
むすーっと不貞腐れる遥に対して仁王が軽く「すまんすまん」と謝罪を入れるが悪びれるようには見えなかった。
「それよりお前さんを勧誘しに来たんだがいいかの?」
「勧誘? 変な宗教とかじゃないよね?」
「俺を何やと思うとるんじゃ」
「ちょっと胡散臭いことしてそうな……」
「失礼やの」
(言動のせいでしょうかね)
変わった話し方に飄々とした性格の仁王は人によってどこか怪しさを感じるのだろう。こればかりは人柄というか、今までの行いに関係するので遥がそのような疑いを向けても仕方ないというもの。
「うちの部長がお前さんをマネージャーにしたいと目をつけとるみたいでな。西成、うちのマネージャーになってくれんか?」
それはまるで「ちょっとコンビニに寄ってかね?」くらいの軽い誘いだった。
一応寝起きということもあった遥は一瞬自分の耳がおかしくなったのかと思い、瞬きを繰り返しながら人差し指を立てて「もう一回言ってくれる?」とお願いする。
「マネージャーぜよ。テニス部のマネージャーになってほしいんじゃと」
「え。いやいやいや! 唐突すぎやしませんかね!?」
「えぇ、急な勧誘で申し訳ないと私どもも重々承知で申し上げますがご検討いただけませんか?」
「うむむむ……って、君は? 話すの初めてだよね?」
「あぁ、これは失礼いたしました。申し遅れましたが私、仁王くんと同じテニス部所属の柳生比呂士と申します」
「ほうほう。柳生ね。あたし西成遥! ……なんか仁王とは正反対な感じだね」
「そうやの。純粋な俺と違ってこやつはなかなかの腹黒な奴でな」
「に、仁王くん! 誤解を招くような言い方はやめたまえ!」
「プリッ」
正反対のような性質の二人ではあるが、何だか仲が良さそうなので逆に相性がいいというやつなのかもしれない。そんなことを考えていた遥だが仁王は話の続きを進める。
「うちの部長である幸村直々の指名ぜよ。マネージャーをやってみんかの? お前さん部活は入っとらんじゃろ」
「うーーん。確かに無所属ではあるけど、あたしテニスのルールも知らない右も左も分からない者なのでやれる自信はないなぁ」
「そこはご安心を。私どもでフォローや説明などしますのでそんなに難しく考える必要はないかと」
「ん~~」
遥は腕を組みながら唸り声を上げた。部活に入ると時間が縛られるため自由な時間がなくなると思うと引き受けるのは気が引ける。そう思いながら断ろうかなと考えるもひとつ気になることがあった。
「そういえば幸村からの指名って言ってたけど、誰かと間違えてない? あたし幸村とそんな絡みないよ?」
「間違いじゃないのぅ。幸村はお前さんの能力を高く評価してるみたいでな」
「の、能力っ? 一体何のっ!?」
「ずばり、コミュニケーション能力じゃ」
「コ、コミュニケーション……! 確かにあたしは陽キャの中の陽キャと言っても過言ではないけど……! って、それ必要なの?」
「幸村くんにとっては必要としているようですね。他にもマネージャー候補をピックアップしているらしく、その者達と上手くコミュニケーションを取ってもらいたいそうです」
「ふーん」
その程度誰でも出来るような気がするけどなぁ。と思いながらもテニス部のマネージャーと思うと遥は気が重くなる。
何せ立海のテニス部は過去の実績もあり王者の名を全国に知らしめているのだ。テニス部でなくとも他の運動部も毎年何かしら好成績を残しているのでその実力は凄まじい。
だからこそ遥は思うのだ。めちゃくちゃハードなトレーニングをしてるのだろうと。
マネージャーだから部員ほどの運動量ではないだろうが、大変なのは目に見えている。
テニス部に所属してる知り合いは同じクラスの仁王と丸井、そして数名の友人くらいだ。その者達のためにそこまで身を削れるのかと問われれば簡単には頷けないのである。
「マネージャーかぁ……あたしでなくともやりたがる子はいそうな気がするけどなぁ。男テニは女子にモテるしね」
「男目当てで入られても困るきに」
「ははぁ、なるほど」
「それに入院中である幸村の最後の望みかもしれん。いつ元の生活に戻れるかも分からん奴がどうしてもと望んだ小さな我儘じゃ。どうすることも出来ん俺らでもそれくらいは叶えてやりとうてな」
部長である幸村が入院しているということはとても有名で遥でも知っていること。
当初は三強の一人とされる彼がいないテニス部なんて優勝出来るのだろうかと囁かれたこともあったが、今のレギュラー達のテニスを見せつけ圧倒的な実力で黙らせたこともあった。
幸村がいなくても余裕そうじゃん。なんて遥も思っていたが、今の仁王の様子を見ると部長のために出来ることをしてあげたいという彼の優しさを感じた。
それなのに幸村がいなくても大丈夫なんて浅はかな考えはテニスが出来ない幸村にとっては酷いことだったかもしれないと遥は何となく罪悪感が芽生える。
元気が取り柄でしかないと自覚している遥はその取り柄が幸村にとって必要なのかもしれないと思うと彼が指名したのも頷けるような気がした。
「……まぁ、あの人気者の幸村に選ばれたと思えば悪くない、かも?」
「なんと。つまりこの話を受けていただけると?」
「右も左も分からないあたしだけどそれでいいって言うならね!」
「よし。交渉成立じゃな。これであいつも少しは元気になるやろうな」
遥に気づかれないように口角を僅かに上げた仁王は幸村から託されたミッションをコンプリート出来たため肩の荷が下りたと安心した。