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第9話『偵察から散り散りへ』
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「ほらほら、どうした! あと1ポイントで俺様の勝ちだぜ!」
「ぬぐぐぐぐっ!!」
ナンパされて困っている女の子のために男とハンデありの試合に挑む遥だったが、男の言う通りあと1ポイントで彼女は負けてしまう。しかしそれでも男はすぐに決めずに返せるレベルの打球ばかり打ってくるので遥も段々と遊ばれていると自覚してきた。
自分がどんなにミスショットを打ってもそれも返球されるので遥が球を打つことを諦めない限りラリーがずっと続いていく。
(力の差はあるのにわざわざ自分でポイントを決めないなんて……なんて性格の悪い奴なんだ!)
汗だくで体力の限界も感じた遥はそれでもボールを返し続ける。
諦めたら楽なのだろうけど、手を止めるわけにはいかない。ここまでハンデを貰ってもやはりテニス未経験の遥には荷が重かった。せめて一球くらい何とかなると思っていたが、相手にとっては赤子をあやすものだろう。
1ゲームなのにいつまで経っても終わらない。喉もカラカラだし、激しく息も切れる遥の意識はいつの間にか途切れてしまった。
「……あれ?」
「やっと起きたか。叩き起してやろうかと思った」
ふと目を覚ました遥が起き上がると、目の前には麻美が立っていた。
どうやら意識がなかった間、ベンチの上で寝ていたようだ。そのせいか固いベンチに頭を乗せていたせいで後頭部に若干の痛みを感じる。
「なんで麻美が? ……って、あいつはっ!?」
ハッとした遥が慌てて辺りを見渡すとストリートテニス場には誰一人いなくて、いつの間にか夕焼け色がコートを照らしていた。
「違う奴が代わりにやり合って追い払った。1時間も前にな。それであんたが助けようとした女も無事だったし『ありがとう』だってよ」
「そっか! それなら良かった~」
何とかナンパ男を追っ払えたようで遥は明るく笑った。そんな彼女に麻美は能天気な奴めと言いたげな視線を向ける。
「てか、ラケットもまともに握ったこともないくせにテニスで勝負なんかするなよ」
「いやだってそういうルールっぽかったからつい、ね!」
えへへ、と笑顔で答える遥に麻美は溜め息を漏らした。
「もうすぐ偵察を終えた秋がここに来るからすぐに動けるようにしとけ」
「イエッサー! ……って、秋だけが偵察したの? 麻美は?」
「色々あって秋を先に行かせたらあんたがここで油売ってるのを発見したんだよ」
「油は売ってないんだなぁ。あたしがしたのは人助けさ!」
「……」
ぶいっとピースをする遥を見て無性に腹が立った麻美は何も言わずに遥の頭を殴った。
「あだっ! なっ! 何すんだいっ!」
「あんたが居残りしなきゃ、こんなことにはならなかったんだよ!」
「お……横暴だ!」
そんなの分からなかったじゃん! と反論する遥と面倒事に首を突っ込むな! と叱る麻美。
秋がやって来て仲裁に入るまでの間、二人はギャーギャーと喚くのであった。
「手塚」
「どうした不二?」
その頃、見知らぬ他校生の女子が従兄妹の代わりに聞きたいことがあったらしく、その話を終えた不二は彼女と別れて部活に戻ると、そのまま部長である手塚に声をかけた。
「さっき、手塚の従兄妹だって名乗る子が来たんだけど心当たりある?」
「……従兄妹ならばいるが、何の用だったんだ?」
相手には心当たりはある。だが、わざわざ学校に来る理由までは思いつかなかった。
「それがね、いきなり乾のことを聞いてきたんだよ。『乾くんは元気ですか?』『乾くんは彼女がいますか?』とか色々とね。時折『新入生の凄い所はどこですか?』とか『特別な練習メニューは設けてますか?』とかって聞いてくるから偵察かなと思ってたんだけど……彼女、ほとんど乾のことだけ聞いて帰っちゃったんだ」
「……そうか」
なぜ乾? と聞きたくなったが、おそらく相手もそれが分からないから不思議そうな表情で報告したのだろう。そう思った手塚はただ小さく頷くしか出来なかった。
「偵察と見せかけての乾のファンなのかな? それともその逆? どちらにせよどうして乾なんだろう。彼女、乾と面識でもあるのかな?」
「聞いたことがないので俺は知らんな」
そもそも従兄妹に部員に関する話をすることはない。そう記憶している手塚もなぜ乾のことを聞き出したのか分からなかった。
「ぬぐぐぐぐっ!!」
ナンパされて困っている女の子のために男とハンデありの試合に挑む遥だったが、男の言う通りあと1ポイントで彼女は負けてしまう。しかしそれでも男はすぐに決めずに返せるレベルの打球ばかり打ってくるので遥も段々と遊ばれていると自覚してきた。
自分がどんなにミスショットを打ってもそれも返球されるので遥が球を打つことを諦めない限りラリーがずっと続いていく。
(力の差はあるのにわざわざ自分でポイントを決めないなんて……なんて性格の悪い奴なんだ!)
汗だくで体力の限界も感じた遥はそれでもボールを返し続ける。
諦めたら楽なのだろうけど、手を止めるわけにはいかない。ここまでハンデを貰ってもやはりテニス未経験の遥には荷が重かった。せめて一球くらい何とかなると思っていたが、相手にとっては赤子をあやすものだろう。
1ゲームなのにいつまで経っても終わらない。喉もカラカラだし、激しく息も切れる遥の意識はいつの間にか途切れてしまった。
「……あれ?」
「やっと起きたか。叩き起してやろうかと思った」
ふと目を覚ました遥が起き上がると、目の前には麻美が立っていた。
どうやら意識がなかった間、ベンチの上で寝ていたようだ。そのせいか固いベンチに頭を乗せていたせいで後頭部に若干の痛みを感じる。
「なんで麻美が? ……って、あいつはっ!?」
ハッとした遥が慌てて辺りを見渡すとストリートテニス場には誰一人いなくて、いつの間にか夕焼け色がコートを照らしていた。
「違う奴が代わりにやり合って追い払った。1時間も前にな。それであんたが助けようとした女も無事だったし『ありがとう』だってよ」
「そっか! それなら良かった~」
何とかナンパ男を追っ払えたようで遥は明るく笑った。そんな彼女に麻美は能天気な奴めと言いたげな視線を向ける。
「てか、ラケットもまともに握ったこともないくせにテニスで勝負なんかするなよ」
「いやだってそういうルールっぽかったからつい、ね!」
えへへ、と笑顔で答える遥に麻美は溜め息を漏らした。
「もうすぐ偵察を終えた秋がここに来るからすぐに動けるようにしとけ」
「イエッサー! ……って、秋だけが偵察したの? 麻美は?」
「色々あって秋を先に行かせたらあんたがここで油売ってるのを発見したんだよ」
「油は売ってないんだなぁ。あたしがしたのは人助けさ!」
「……」
ぶいっとピースをする遥を見て無性に腹が立った麻美は何も言わずに遥の頭を殴った。
「あだっ! なっ! 何すんだいっ!」
「あんたが居残りしなきゃ、こんなことにはならなかったんだよ!」
「お……横暴だ!」
そんなの分からなかったじゃん! と反論する遥と面倒事に首を突っ込むな! と叱る麻美。
秋がやって来て仲裁に入るまでの間、二人はギャーギャーと喚くのであった。
「手塚」
「どうした不二?」
その頃、見知らぬ他校生の女子が従兄妹の代わりに聞きたいことがあったらしく、その話を終えた不二は彼女と別れて部活に戻ると、そのまま部長である手塚に声をかけた。
「さっき、手塚の従兄妹だって名乗る子が来たんだけど心当たりある?」
「……従兄妹ならばいるが、何の用だったんだ?」
相手には心当たりはある。だが、わざわざ学校に来る理由までは思いつかなかった。
「それがね、いきなり乾のことを聞いてきたんだよ。『乾くんは元気ですか?』『乾くんは彼女がいますか?』とか色々とね。時折『新入生の凄い所はどこですか?』とか『特別な練習メニューは設けてますか?』とかって聞いてくるから偵察かなと思ってたんだけど……彼女、ほとんど乾のことだけ聞いて帰っちゃったんだ」
「……そうか」
なぜ乾? と聞きたくなったが、おそらく相手もそれが分からないから不思議そうな表情で報告したのだろう。そう思った手塚はただ小さく頷くしか出来なかった。
「偵察と見せかけての乾のファンなのかな? それともその逆? どちらにせよどうして乾なんだろう。彼女、乾と面識でもあるのかな?」
「聞いたことがないので俺は知らんな」
そもそも従兄妹に部員に関する話をすることはない。そう記憶している手塚もなぜ乾のことを聞き出したのか分からなかった。