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第9話『偵察から散り散りへ』
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「じゃあ、またねー。秋ちゃーん!」
「あ、うん。また、ね? えっと……千石くん」
その頃、麻美に先に行っとけと言われた秋は同じ目的の千石清純と名乗る彼と共に青学へと辿り着いていた。
道中はずっと千石があれやこれやと話をしたり質問したりするので秋は戸惑いながらもひとつひとつ答え、話に耳を傾けていた。
そこで分かったことは相手は山吹中という学校の生徒ということや、テニスをしてること、女の子に興味があるということなどなど。
連絡先を教えて、と言われてしまったが、さすがに秋もそこまでの仲ではないため「また会う機会があって仲良くなったら……」とやんわりお断りをした。
千石は「ざぁんねん。それじゃあ次はもっと仲良くなろうね」と言うのだからグイグイ来る人だなぁと思わずにはいられない。
そんなやり取りをしつつ青学の校門前で二人は別れ、先に青学の敷地内へ入って行く千石を秋は見送った。
(偵察ってイメージが悪いから言わなくて正解、だよね?)
従兄妹に会いに行くとは言ったが、さすがにその従兄妹がいるテニス部の偵察と言うのはあまり印象が良くないだろうし、テニスをしている千石もおそらくは同じ目的と思われる。
それでもし何かの弾みで千石が青学の部員に漏らしてしまったら大変なので秋はあえて詳しい話は口にしなかった。
「よし。麻美も遥もいない代わりに私が頑張らないと! 柳くんに頼まれた仕事だし、役に立たなきゃ……」
両手でガッツポーズした秋は気合いを入れて男子テニス部へと向かった。もしかしたらまた千石と鉢合わせするかもしれないけど、従兄妹がいるのは事実なので偵察とはバレないだろう。
青学の敷地内に足を踏み入れ、男子テニス部コートに近づくと、秋は自分以外の他校生が沢山いることに気づいた。
どうやらその人達は男子テニス部目当てなのだろう。カメラなど構えているのが数多く目に入る。
最初は目立つのではないかと心配していた彼女は、偵察は自分だけじゃなく安堵の溜め息を吐く。
だが、その安心で気を緩めたのがいけなかったのか、ビシャッと突然顔面がびしょ濡れになるという不幸が秋を襲った。
雨でもない突然の水浴びに一瞬何が起こったのか分からない秋は目をぱちくりさせる。
「……え?」
「あっ。不二ー! 今の水で関係のない子までかかっちゃってんぞー!」
「あぁ、ごめんね。君、大丈夫かい?」
「……あ、はい、大丈夫です」
どうやら目の前の手洗い場から故意か過失か、青学の生徒が蛇口を親指で押さえて、辺り一面に水を撒き散らしたようだ。
「本当にごめんね。ちょっと偵察のビデオカメラの音がうるさかったからつい……。あ、このタオル使ってよ。まだ僕は使ってないから」
顔が濡れた秋を心配した青学生徒の一人が駆け寄って真っ白なタオルを秋に渡した。
「あ、大丈夫です。ハンカチ持ってますから」
「ハンカチよりタオルの方がいいよ。僕のせいだから受け取って」
申し訳なさそうに眉を下げる穏和そうな男にこれ以上拒絶するのは逆に失礼かもしれない。そう考えながらポタポタと滴る髪を耳にかきあげる。
「えっと……すみません。それじゃあ、お借りします」
少し戸惑いながらも秋はタオルを受け取り、それで顔や髪を拭った。
「そういえば、その制服……うちの生徒じゃないみたいだね」
「あ、はい。私の従兄妹が男子テニス部にいるみたいなので久し振りに様子を見にこちらへ訪ねに来ました」
偵察とは悟られないように、秋は従兄妹を出しに使おうとする。男は「へぇ」と呟き言葉を続けた。
「だったら、僕が呼んで来てあげるよ。誰かな?」
「あ、本当ですか? それじゃあ、お願いします。手塚国光っていう人なんですけどご存知ですか?」
秋の口から出た従兄妹の名に目の前の男はきょとんとした顔を見せる。手洗い場で秋と男の様子を見ていた絆創膏を貼った男も驚いている様子であった。
「……手塚?」
「はい。あ、存じませんか? ……やっぱり目立たないのかな」
「いや、そうじゃないんだけど」
「ちょちょちょ! ちょっと、君ってあの手塚の従兄妹ってホント!?」
手洗い場の男が慌てた声を上げる。あの手塚?と秋は首を傾げた。
「国光って有名なんですか?」
「有名……だね」
「テニス部で知らない奴はいないっしょ……」
絆創膏の男は少し青ざめてる様子だったので秋は「国光が何かやったのかな」と考える。
「手塚はいることはいるんだけど、多分今は手が離せないかもしれないね」
「そうだよね~」
「そうなんですか……。それじゃあ、お二人に聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「ん? 何かな?」
「なになに?」
手塚と喋る時間がなさそうならばと秋は柳に頼まれた目的を果たすため、目の前の二人からあることを聞き出そうとした。
「あ、うん。また、ね? えっと……千石くん」
その頃、麻美に先に行っとけと言われた秋は同じ目的の千石清純と名乗る彼と共に青学へと辿り着いていた。
道中はずっと千石があれやこれやと話をしたり質問したりするので秋は戸惑いながらもひとつひとつ答え、話に耳を傾けていた。
そこで分かったことは相手は山吹中という学校の生徒ということや、テニスをしてること、女の子に興味があるということなどなど。
連絡先を教えて、と言われてしまったが、さすがに秋もそこまでの仲ではないため「また会う機会があって仲良くなったら……」とやんわりお断りをした。
千石は「ざぁんねん。それじゃあ次はもっと仲良くなろうね」と言うのだからグイグイ来る人だなぁと思わずにはいられない。
そんなやり取りをしつつ青学の校門前で二人は別れ、先に青学の敷地内へ入って行く千石を秋は見送った。
(偵察ってイメージが悪いから言わなくて正解、だよね?)
従兄妹に会いに行くとは言ったが、さすがにその従兄妹がいるテニス部の偵察と言うのはあまり印象が良くないだろうし、テニスをしている千石もおそらくは同じ目的と思われる。
それでもし何かの弾みで千石が青学の部員に漏らしてしまったら大変なので秋はあえて詳しい話は口にしなかった。
「よし。麻美も遥もいない代わりに私が頑張らないと! 柳くんに頼まれた仕事だし、役に立たなきゃ……」
両手でガッツポーズした秋は気合いを入れて男子テニス部へと向かった。もしかしたらまた千石と鉢合わせするかもしれないけど、従兄妹がいるのは事実なので偵察とはバレないだろう。
青学の敷地内に足を踏み入れ、男子テニス部コートに近づくと、秋は自分以外の他校生が沢山いることに気づいた。
どうやらその人達は男子テニス部目当てなのだろう。カメラなど構えているのが数多く目に入る。
最初は目立つのではないかと心配していた彼女は、偵察は自分だけじゃなく安堵の溜め息を吐く。
だが、その安心で気を緩めたのがいけなかったのか、ビシャッと突然顔面がびしょ濡れになるという不幸が秋を襲った。
雨でもない突然の水浴びに一瞬何が起こったのか分からない秋は目をぱちくりさせる。
「……え?」
「あっ。不二ー! 今の水で関係のない子までかかっちゃってんぞー!」
「あぁ、ごめんね。君、大丈夫かい?」
「……あ、はい、大丈夫です」
どうやら目の前の手洗い場から故意か過失か、青学の生徒が蛇口を親指で押さえて、辺り一面に水を撒き散らしたようだ。
「本当にごめんね。ちょっと偵察のビデオカメラの音がうるさかったからつい……。あ、このタオル使ってよ。まだ僕は使ってないから」
顔が濡れた秋を心配した青学生徒の一人が駆け寄って真っ白なタオルを秋に渡した。
「あ、大丈夫です。ハンカチ持ってますから」
「ハンカチよりタオルの方がいいよ。僕のせいだから受け取って」
申し訳なさそうに眉を下げる穏和そうな男にこれ以上拒絶するのは逆に失礼かもしれない。そう考えながらポタポタと滴る髪を耳にかきあげる。
「えっと……すみません。それじゃあ、お借りします」
少し戸惑いながらも秋はタオルを受け取り、それで顔や髪を拭った。
「そういえば、その制服……うちの生徒じゃないみたいだね」
「あ、はい。私の従兄妹が男子テニス部にいるみたいなので久し振りに様子を見にこちらへ訪ねに来ました」
偵察とは悟られないように、秋は従兄妹を出しに使おうとする。男は「へぇ」と呟き言葉を続けた。
「だったら、僕が呼んで来てあげるよ。誰かな?」
「あ、本当ですか? それじゃあ、お願いします。手塚国光っていう人なんですけどご存知ですか?」
秋の口から出た従兄妹の名に目の前の男はきょとんとした顔を見せる。手洗い場で秋と男の様子を見ていた絆創膏を貼った男も驚いている様子であった。
「……手塚?」
「はい。あ、存じませんか? ……やっぱり目立たないのかな」
「いや、そうじゃないんだけど」
「ちょちょちょ! ちょっと、君ってあの手塚の従兄妹ってホント!?」
手洗い場の男が慌てた声を上げる。あの手塚?と秋は首を傾げた。
「国光って有名なんですか?」
「有名……だね」
「テニス部で知らない奴はいないっしょ……」
絆創膏の男は少し青ざめてる様子だったので秋は「国光が何かやったのかな」と考える。
「手塚はいることはいるんだけど、多分今は手が離せないかもしれないね」
「そうだよね~」
「そうなんですか……。それじゃあ、お二人に聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「ん? 何かな?」
「なになに?」
手塚と喋る時間がなさそうならばと秋は柳に頼まれた目的を果たすため、目の前の二人からあることを聞き出そうとした。