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第9話『偵察から散り散りへ』
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「ねーねー。彼女達、どっちかこれ、落としてない?」
もうすぐ青学に辿り着くと思った矢先、麻美と秋はまた後ろから声をかけられた。
振り返ればそこには白い学ランでオレンジ頭の男が笑顔で立っていて、その手にはICカードの入ったケースを見せてくる。
それを見た瞬間、心当たりがあったのか麻美はハッと自分のポケットの中を探った。そしてある物がないことに気づき、彼女は呟く。
「私のだ……」
おそらく先ほどスマホを探していた時にポケットの中を調べた際に落としたのだろう。気づかなったら大変なことになっていたのは間違いない。
「お。やっぱり? 良かった良かった。そういえばその制服は……君達立海の子だよねっ?」
「あ、はい。そうです」
制服を見ただけで当てるなんて凄いなぁと小さく口にして感心する秋。そんな彼女の隣では麻美がムスッとした表情を男に見せた。
「いいから早く返せ」
「あ。メンゴメンゴ」
落し物を拾った相手だろうと傲慢な態度で手を差し出す麻美にオレンジ頭の男は気を悪くするどころか、どこか鼻を伸ばした顔でパスケースを彼女に返した。
「ところで君達今からどこ行くの? こっちに遊びに来た感じ?」
(何なんだこいつ……)
軽薄そうな奴だなと麻美の警戒心がマックスになりかける。このまま無視して先に行くか。なんて考えていたが、すでに遅かった。
「実は青学にいる従兄妹へ会いに行くところなんです」
律儀かっ! 思わず声を大にして言うところだった。なぜ見ず知らずの人間に目的地を伝えるんだよと思っていたら相手が「おぉ!」と驚く。
「ラッキー! 俺も青学に行くとこだったんだよねー。これはひょっとして運命━━」
にへー。と笑う男の言葉が途中で途切れた。いや、掻き消されたという方が正しいだろうか。突然「ぬおおぉぉーーっ!!」という叫び声が響いたからだ。
声がする方へと目を向けると、進行方向から自転車に乗る男とそれを追いかける男が物凄い速さで三人の横を通り過ぎた。
しかしその拍子でドンッと麻美の肩が軽くではあるが走る男とぶつかってしまう。
「悪ぃ!」
そう告げるも男は立ち止まることなく自転車の男を追い続ける。
「……は?」
その適当な謝罪に麻美がぴくりと反応する。
別に負傷するほどではないが、勝手にぶつかっておいてそのちんけな謝罪で許しを得られると思ってるのか。そう思うと麻美は苛立ち、ゆっくり深呼吸する。
「秋。先に行っとけ」
「えっ? どうしたの、麻美━━」
秋が理由を尋ねようとした瞬間麻美は走り出した。
突然のことで秋は「えぇっ!?」と驚きの声を上げて手を伸ばす。しかし麻美はすぐに見えなくなってしまった。
麻美はひたすらぶつかってきた男を追い続けた。けれど相手の足は異常なほど速く見失ってしまうが、途中で階段に座り込む男二人組を発見する。
どちらとも息を切らしていて、片やチャリに乗っていた男、片やそれを追って麻美にぶつかった男。服装も一致する。麻美は怒りのオーラをダダ漏れにしながら二人に近づいた。
「あんた、よくも私の肩にぶつかって来やがったな……?」
「ん? ……あっ! あんたこの前の喧嘩吹っかけて来た女っ!」
「あ?」
何の話だよ、と眉を顰める麻美は男の顔をよく見た。
左目が隠れるほどの鬱陶しいと言わんばかりの髪。確かにどこかで見たことがなくもない。
「んだよ、覚えてねぇのか? この前の地区大会でうちの学校に文句言いに来ただろ」
地区大会。その言葉を聞いて心当たりがあった麻美は思い出した。そうだ、こいつあの不動峰とかいう学校の奴だ、と。
「は? 何? あの仕返しとしてわざとぶつかって来たってのか?」
「なんでそうなるんだよ! 事故だっての! それにちゃんと謝っただろっ!」
「あれで謝罪したつもりになるなよ!」
「はあ? 仕方ねーだろ! こっちは自転車泥棒を追いかけてたんだからその犯人でもある桃城にも非があるぜ!」
「ぶっ! ちょっ、神尾! よく分かんねーのに俺を巻き込むなっつーの!」
「んだよ、元はと言えばお前のせいで━━」
「ぎにゃああああ!! こんにゃろうめぇぇぇぇ!!」
ギャーギャー騒ぎ出す三人の頭上から聞こえてきた奇声にぴたりと言い合いが止まり、階段の先へと見上げた。
「今の声……。おい、この上ってなんだ?」
「あぁ、ストリートテニス場だぜ」
ツンツン頭の男が答える。確か桃城と呼ばれていた。いや、そんなことよりも麻美は聞き覚えのある声に嫌な予感というか面倒臭い案件を感じてしまい、大きく眉間に皺を寄せる。
「っつーか、今の悲鳴は何なんだ?」
「悲鳴っつーか、奇声じゃね? まぁ、どっちでもいいか。よーし、神尾! せっかくだし打ってこうぜ!」
「いいぜ、受けて立ってやるよ」
二人がテニスをする気満々で階段を駆け上がって行く。麻美も不本意ではあるが彼らの後に続いた。二人のことよりも耳に残るとある人物に似た声の正体を確かめるため、である。
麻美達が階段を上り終えると、そこには驚くような光景が広がっていた。何故か遥が知らない男とテニスをしていたからだ。
もしかして、とは思ったがまさかテニスをしてるとは思わなかったので麻美は何遊んでやがんだと青筋を立てる。
けれどただ遊んでいるようには見えない状況だった。コート脇では他の男達が不安と心配が混じった表情で試合を観戦し、どこかざわついている。
そんな中、麻美は一人の少女に目が入った。それもそのはず、その少女は地区大会の時に道を教えてくれた人物だったから。
「杏ちゃんっ!」
「! 神尾くん、それに桃城くんもっ」
知り合い同士だったのか、神尾と桃城が杏と呼ばれる娘の元へ歩み寄った。しかし麻美が我先にと割り込んで事情を知っているであろう少女に話しかける。
「聞きたいことがある」
「えっ? あ! あなた、確か地区予選で会った人ね」
どうやら相手も麻美のことを覚えていた様子。とはいえ、今はそんなこと麻美には関係なかった。
「今、コートにいる女、私の連れだが一体何があった?」
「そうなのっ? 実は……」
麻美は杏という少女から事情を問いただした。
そして全てを聞いた麻美は盛大な溜め息を吐き出しては顔に手を当てる。
「あの馬鹿……考えなしに面倒事に首突っ込みやがって……」
試合がまだ続いているテニスコートへ目を向ければ、遥の対戦相手である男はまるでからかうかの如く、彼女でも返せるくらいの手加減でボールを打っている。
遥がどんなミスショットを打とうともそれを見送ることなくきっちり返す。速攻で決める様子がないところを見ると、おそらく体力がなくなってから自滅するのを狙っているのだろう。
「……」
麻美はただ黙って試合を見守ることにした。この試合は遥が望んだものなので途中で止めるつもりはないため。
もうすぐ青学に辿り着くと思った矢先、麻美と秋はまた後ろから声をかけられた。
振り返ればそこには白い学ランでオレンジ頭の男が笑顔で立っていて、その手にはICカードの入ったケースを見せてくる。
それを見た瞬間、心当たりがあったのか麻美はハッと自分のポケットの中を探った。そしてある物がないことに気づき、彼女は呟く。
「私のだ……」
おそらく先ほどスマホを探していた時にポケットの中を調べた際に落としたのだろう。気づかなったら大変なことになっていたのは間違いない。
「お。やっぱり? 良かった良かった。そういえばその制服は……君達立海の子だよねっ?」
「あ、はい。そうです」
制服を見ただけで当てるなんて凄いなぁと小さく口にして感心する秋。そんな彼女の隣では麻美がムスッとした表情を男に見せた。
「いいから早く返せ」
「あ。メンゴメンゴ」
落し物を拾った相手だろうと傲慢な態度で手を差し出す麻美にオレンジ頭の男は気を悪くするどころか、どこか鼻を伸ばした顔でパスケースを彼女に返した。
「ところで君達今からどこ行くの? こっちに遊びに来た感じ?」
(何なんだこいつ……)
軽薄そうな奴だなと麻美の警戒心がマックスになりかける。このまま無視して先に行くか。なんて考えていたが、すでに遅かった。
「実は青学にいる従兄妹へ会いに行くところなんです」
律儀かっ! 思わず声を大にして言うところだった。なぜ見ず知らずの人間に目的地を伝えるんだよと思っていたら相手が「おぉ!」と驚く。
「ラッキー! 俺も青学に行くとこだったんだよねー。これはひょっとして運命━━」
にへー。と笑う男の言葉が途中で途切れた。いや、掻き消されたという方が正しいだろうか。突然「ぬおおぉぉーーっ!!」という叫び声が響いたからだ。
声がする方へと目を向けると、進行方向から自転車に乗る男とそれを追いかける男が物凄い速さで三人の横を通り過ぎた。
しかしその拍子でドンッと麻美の肩が軽くではあるが走る男とぶつかってしまう。
「悪ぃ!」
そう告げるも男は立ち止まることなく自転車の男を追い続ける。
「……は?」
その適当な謝罪に麻美がぴくりと反応する。
別に負傷するほどではないが、勝手にぶつかっておいてそのちんけな謝罪で許しを得られると思ってるのか。そう思うと麻美は苛立ち、ゆっくり深呼吸する。
「秋。先に行っとけ」
「えっ? どうしたの、麻美━━」
秋が理由を尋ねようとした瞬間麻美は走り出した。
突然のことで秋は「えぇっ!?」と驚きの声を上げて手を伸ばす。しかし麻美はすぐに見えなくなってしまった。
麻美はひたすらぶつかってきた男を追い続けた。けれど相手の足は異常なほど速く見失ってしまうが、途中で階段に座り込む男二人組を発見する。
どちらとも息を切らしていて、片やチャリに乗っていた男、片やそれを追って麻美にぶつかった男。服装も一致する。麻美は怒りのオーラをダダ漏れにしながら二人に近づいた。
「あんた、よくも私の肩にぶつかって来やがったな……?」
「ん? ……あっ! あんたこの前の喧嘩吹っかけて来た女っ!」
「あ?」
何の話だよ、と眉を顰める麻美は男の顔をよく見た。
左目が隠れるほどの鬱陶しいと言わんばかりの髪。確かにどこかで見たことがなくもない。
「んだよ、覚えてねぇのか? この前の地区大会でうちの学校に文句言いに来ただろ」
地区大会。その言葉を聞いて心当たりがあった麻美は思い出した。そうだ、こいつあの不動峰とかいう学校の奴だ、と。
「は? 何? あの仕返しとしてわざとぶつかって来たってのか?」
「なんでそうなるんだよ! 事故だっての! それにちゃんと謝っただろっ!」
「あれで謝罪したつもりになるなよ!」
「はあ? 仕方ねーだろ! こっちは自転車泥棒を追いかけてたんだからその犯人でもある桃城にも非があるぜ!」
「ぶっ! ちょっ、神尾! よく分かんねーのに俺を巻き込むなっつーの!」
「んだよ、元はと言えばお前のせいで━━」
「ぎにゃああああ!! こんにゃろうめぇぇぇぇ!!」
ギャーギャー騒ぎ出す三人の頭上から聞こえてきた奇声にぴたりと言い合いが止まり、階段の先へと見上げた。
「今の声……。おい、この上ってなんだ?」
「あぁ、ストリートテニス場だぜ」
ツンツン頭の男が答える。確か桃城と呼ばれていた。いや、そんなことよりも麻美は聞き覚えのある声に嫌な予感というか面倒臭い案件を感じてしまい、大きく眉間に皺を寄せる。
「っつーか、今の悲鳴は何なんだ?」
「悲鳴っつーか、奇声じゃね? まぁ、どっちでもいいか。よーし、神尾! せっかくだし打ってこうぜ!」
「いいぜ、受けて立ってやるよ」
二人がテニスをする気満々で階段を駆け上がって行く。麻美も不本意ではあるが彼らの後に続いた。二人のことよりも耳に残るとある人物に似た声の正体を確かめるため、である。
麻美達が階段を上り終えると、そこには驚くような光景が広がっていた。何故か遥が知らない男とテニスをしていたからだ。
もしかして、とは思ったがまさかテニスをしてるとは思わなかったので麻美は何遊んでやがんだと青筋を立てる。
けれどただ遊んでいるようには見えない状況だった。コート脇では他の男達が不安と心配が混じった表情で試合を観戦し、どこかざわついている。
そんな中、麻美は一人の少女に目が入った。それもそのはず、その少女は地区大会の時に道を教えてくれた人物だったから。
「杏ちゃんっ!」
「! 神尾くん、それに桃城くんもっ」
知り合い同士だったのか、神尾と桃城が杏と呼ばれる娘の元へ歩み寄った。しかし麻美が我先にと割り込んで事情を知っているであろう少女に話しかける。
「聞きたいことがある」
「えっ? あ! あなた、確か地区予選で会った人ね」
どうやら相手も麻美のことを覚えていた様子。とはいえ、今はそんなこと麻美には関係なかった。
「今、コートにいる女、私の連れだが一体何があった?」
「そうなのっ? 実は……」
麻美は杏という少女から事情を問いただした。
そして全てを聞いた麻美は盛大な溜め息を吐き出しては顔に手を当てる。
「あの馬鹿……考えなしに面倒事に首突っ込みやがって……」
試合がまだ続いているテニスコートへ目を向ければ、遥の対戦相手である男はまるでからかうかの如く、彼女でも返せるくらいの手加減でボールを打っている。
遥がどんなミスショットを打とうともそれを見送ることなくきっちり返す。速攻で決める様子がないところを見ると、おそらく体力がなくなってから自滅するのを狙っているのだろう。
「……」
麻美はただ黙って試合を見守ることにした。この試合は遥が望んだものなので途中で止めるつもりはないため。