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第9話『偵察から散り散りへ』
主人公名前変換
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「こんちくしょーめ!!」
麻美と秋達とは30分以上の遅れで何とか居残りから脱出した遥は目的地である東京へと辿り着き、全力で有り余る元気を犠牲にして青学へと駆け出した。
「宿題忘れただけなのに居残りだなんて! こんな時に限って酷い仕打ちだ!」
一人で文句を言いながら飛ばしていくが、周りの景色を見ると今自分が何処にいるのかも分からなくなったため、彼女は一度その場で足を止めた。
「……あちゃ~。道迷っちゃったかな……」
勘を頼りに走っちゃ駄目だなぁと思いながら、人に道を尋ねようとした遥は辺りをキョロキョロするが近くに人の姿は見えない。
けれど人気がないわけではなかった。彼女の目の前には長い階段がずっと上まで続いていて、そこからパコーンとボールを打つような音が聞こえてきたのだ。
「この上……人がいそうだ! しかもテニスかな? ボールの音も聞こえるし、青学の場所くらい知ってるかもっ」
小さく「ラッキー」と呟き、ガッツポーズをした遥はそのまま階段を上がることにしたが、なぜか近づくにつれてざわめく声が聞こえる。
なんだろうと思いながら階段を上り終えると、そこは遥が予想した通りテニスをしている若者達、主に男達が多くいるが、何だか様子がおかしかった。
よく見ると男だけしかいないと思ったテニスコートの脇には少女が一人いるようだ。しかし何やら男と揉めていた。
痴話喧嘩? と思いながら遥は野次馬のようにそのまま様子を窺うことにする。
「訂正しなさいよ!」
「あーん? 何言ってんだ、事実だろう。弱者は弱者の溜まり場がお似合いだぜ。そうだろ、樺地?」
「ウス」
「あんた達ね!」
「だったらこいつらを全員倒してやるよ。もし、一度でも俺が負けたら素直に謝罪してやる」
「いいぜ、やってやるよ!」
男の挑戦状を受け取った金髪の男が声をあげると、他の者達も同じように返事をする。話からしてどうやら痴話喧嘩などではないことが分かった。
「その代わり、もしこいつら全員倒したら……俺様とデートしてもらうぜ」
「……いいわよ! 絶対に謝ってもらうんだから!」
「おぉー……。なんか凄いことになってきた!」
当初の目的を忘れた遥はこの対戦試合を観戦することにした。ここのルールでダブルスでの勝負らしい。
それから30分も経たない頃、ストリートテニス場にいる男達はみんな喧嘩を吹っ掛けてきた態度のでかい男と巨体の男にやられてしまった。
しかも態度のでかい男は全ての試合ずっと座ったまま何もせずに、巨体の男一人に任せていた。
「ハッ。やっぱり大したことねぇ奴らだな」
「くそっ……」
「約束だ。俺とデートしてもらうぜ」
「っ! やめてよ!」
「……」
態度のでかい男が少女の手を掴んだが、少女はすぐに手を振り払った。
そんな様子を見た遥は嫌がる少女を助けようと彼女を庇うように手を広げて男の前に立つ。
「!」
「……なんだテメェは?」
「ただの通りすがりの迷子さんさっ。それより、おにーさん。この子嫌がってるからそろそろ諦めてもらいたいんだけども!」
「悪いがそういう約束なんだよ。なぁ、樺地」
「ウス」
「んー……。じゃあさ、そんなにデートがしたいなら、あたしがこの子の代わりにデートするってのはどう? あたしとならきっと楽しいよー!」
笑顔で自分を勧める遥だったが、男は嘲るように鼻で笑った。
「残念だがお前には興味ねーよ」
そんな男の言葉に遥はムッと眉を顰める。
せっかく自分を勧めているにも関わらず興味がないと言われたら遥なりに女としてのプライドを刺激された。
「まったくこのあたしの価値を知らないとはその目は節穴なのだな! 将来的に白鳥の如く舞うあたしとの初デートをゲット出来るチャンスなんだよ! それをいらないって言うのっ?」
「いらねぇな」
「即答っ!? ううむ、それならあたしとテニスで勝負だ! あたしが勝ったらとっとと尻尾巻いて逃げてよねっ!」
こうなったら何がなんでもあたしを邪険にしたこと後悔させてやる! そんな意気込みで男に向けて指を差す遥だったが、後ろにいた少女は「えっ?」と不安げな表情をする。
「いいぜ。その勝負受けてやるよ」
ハッ。と鼻で笑う男はどうやら勝負は受けてくれるようだったので遥は「よーしっ」と気合を入れて、近くにいたオールバックに髪を結んでいる男からラケットを借りてコートに向かう。
その時、少女とすれ違う際に遥は彼女に小声で話しかけた。
「あたしじゃ勝てないから君は今のうちに逃げてよ」
け
「えっ」
「時間は稼ぐからさ」
「ちょ、ちょっと!」
にへっと笑いながらピースをしたあと、そのままコートへ歩む遥に声をかける少女だったが、遥は足を止めることはなかった。
「一人でも二人でもかかってこい!」
コートに入ったテニス初心者はラケットを男二人に向けた。やる気だけは満ちている。
「女一人のくせに男二人でやるわけねーだろ。俺様がやってやる」
(おサボり男が腰を上げた! ……こやつなら勝てるかな?)
「因みにお前のテニス歴は?」
「聞いて驚くな! テニス歴0分だもんね!」
ドヤ顔で答える遥。コート脇では試合を終えて息を整える男達が「もう駄目だ」というような諦めきった顔をしていた。
「ククッ。初心者なら仕方ねーな。多少手加減してやるぜ。もし、お前が俺に1ポイントでも取ることが出来たら諦めて帰ってやるよ」
「おぉ! 言ったなぁ! 後悔しても知らないからねっ!」
1ポイントくらいならまぐれでも有り得るのでは? と期待した遥は態度のでかい男と試合を始めることになった。
しかし、ストリートテニスの住人はあまり期待を抱いてはいない様子である。
麻美と秋達とは30分以上の遅れで何とか居残りから脱出した遥は目的地である東京へと辿り着き、全力で有り余る元気を犠牲にして青学へと駆け出した。
「宿題忘れただけなのに居残りだなんて! こんな時に限って酷い仕打ちだ!」
一人で文句を言いながら飛ばしていくが、周りの景色を見ると今自分が何処にいるのかも分からなくなったため、彼女は一度その場で足を止めた。
「……あちゃ~。道迷っちゃったかな……」
勘を頼りに走っちゃ駄目だなぁと思いながら、人に道を尋ねようとした遥は辺りをキョロキョロするが近くに人の姿は見えない。
けれど人気がないわけではなかった。彼女の目の前には長い階段がずっと上まで続いていて、そこからパコーンとボールを打つような音が聞こえてきたのだ。
「この上……人がいそうだ! しかもテニスかな? ボールの音も聞こえるし、青学の場所くらい知ってるかもっ」
小さく「ラッキー」と呟き、ガッツポーズをした遥はそのまま階段を上がることにしたが、なぜか近づくにつれてざわめく声が聞こえる。
なんだろうと思いながら階段を上り終えると、そこは遥が予想した通りテニスをしている若者達、主に男達が多くいるが、何だか様子がおかしかった。
よく見ると男だけしかいないと思ったテニスコートの脇には少女が一人いるようだ。しかし何やら男と揉めていた。
痴話喧嘩? と思いながら遥は野次馬のようにそのまま様子を窺うことにする。
「訂正しなさいよ!」
「あーん? 何言ってんだ、事実だろう。弱者は弱者の溜まり場がお似合いだぜ。そうだろ、樺地?」
「ウス」
「あんた達ね!」
「だったらこいつらを全員倒してやるよ。もし、一度でも俺が負けたら素直に謝罪してやる」
「いいぜ、やってやるよ!」
男の挑戦状を受け取った金髪の男が声をあげると、他の者達も同じように返事をする。話からしてどうやら痴話喧嘩などではないことが分かった。
「その代わり、もしこいつら全員倒したら……俺様とデートしてもらうぜ」
「……いいわよ! 絶対に謝ってもらうんだから!」
「おぉー……。なんか凄いことになってきた!」
当初の目的を忘れた遥はこの対戦試合を観戦することにした。ここのルールでダブルスでの勝負らしい。
それから30分も経たない頃、ストリートテニス場にいる男達はみんな喧嘩を吹っ掛けてきた態度のでかい男と巨体の男にやられてしまった。
しかも態度のでかい男は全ての試合ずっと座ったまま何もせずに、巨体の男一人に任せていた。
「ハッ。やっぱり大したことねぇ奴らだな」
「くそっ……」
「約束だ。俺とデートしてもらうぜ」
「っ! やめてよ!」
「……」
態度のでかい男が少女の手を掴んだが、少女はすぐに手を振り払った。
そんな様子を見た遥は嫌がる少女を助けようと彼女を庇うように手を広げて男の前に立つ。
「!」
「……なんだテメェは?」
「ただの通りすがりの迷子さんさっ。それより、おにーさん。この子嫌がってるからそろそろ諦めてもらいたいんだけども!」
「悪いがそういう約束なんだよ。なぁ、樺地」
「ウス」
「んー……。じゃあさ、そんなにデートがしたいなら、あたしがこの子の代わりにデートするってのはどう? あたしとならきっと楽しいよー!」
笑顔で自分を勧める遥だったが、男は嘲るように鼻で笑った。
「残念だがお前には興味ねーよ」
そんな男の言葉に遥はムッと眉を顰める。
せっかく自分を勧めているにも関わらず興味がないと言われたら遥なりに女としてのプライドを刺激された。
「まったくこのあたしの価値を知らないとはその目は節穴なのだな! 将来的に白鳥の如く舞うあたしとの初デートをゲット出来るチャンスなんだよ! それをいらないって言うのっ?」
「いらねぇな」
「即答っ!? ううむ、それならあたしとテニスで勝負だ! あたしが勝ったらとっとと尻尾巻いて逃げてよねっ!」
こうなったら何がなんでもあたしを邪険にしたこと後悔させてやる! そんな意気込みで男に向けて指を差す遥だったが、後ろにいた少女は「えっ?」と不安げな表情をする。
「いいぜ。その勝負受けてやるよ」
ハッ。と鼻で笑う男はどうやら勝負は受けてくれるようだったので遥は「よーしっ」と気合を入れて、近くにいたオールバックに髪を結んでいる男からラケットを借りてコートに向かう。
その時、少女とすれ違う際に遥は彼女に小声で話しかけた。
「あたしじゃ勝てないから君は今のうちに逃げてよ」
け
「えっ」
「時間は稼ぐからさ」
「ちょ、ちょっと!」
にへっと笑いながらピースをしたあと、そのままコートへ歩む遥に声をかける少女だったが、遥は足を止めることはなかった。
「一人でも二人でもかかってこい!」
コートに入ったテニス初心者はラケットを男二人に向けた。やる気だけは満ちている。
「女一人のくせに男二人でやるわけねーだろ。俺様がやってやる」
(おサボり男が腰を上げた! ……こやつなら勝てるかな?)
「因みにお前のテニス歴は?」
「聞いて驚くな! テニス歴0分だもんね!」
ドヤ顔で答える遥。コート脇では試合を終えて息を整える男達が「もう駄目だ」というような諦めきった顔をしていた。
「ククッ。初心者なら仕方ねーな。多少手加減してやるぜ。もし、お前が俺に1ポイントでも取ることが出来たら諦めて帰ってやるよ」
「おぉ! 言ったなぁ! 後悔しても知らないからねっ!」
1ポイントくらいならまぐれでも有り得るのでは? と期待した遥は態度のでかい男と試合を始めることになった。
しかし、ストリートテニスの住人はあまり期待を抱いてはいない様子である。