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第8話『神奈川と東京の地区予選』
主人公名前変換
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昼食後の準決勝の試合。麻美は驚きに瞬きを繰り返していた。
なぜなら第二シードである柿ノ木中がノーシード校に0―5で敗退となってしまったから。手足も出ない圧倒的な強さに他校生も驚いている様子。
「不動峰……か」
スコアボードに書かれている柿ノ木中の対戦校である不動峰の文字を見ると、麻美は先程道を聞いた時の少女の言葉が頭によぎった。
『柿ノ木中の応援に行くなら不動峰中も覚えておいて損はしないわよ』
(まさか、こうなることを予測して……?)
どういうことかは分からないが、先程の少女は少なからず不動峰の回し者だと確信する。
周りがざわついている中、コート内では這いつくばるように屈してしまった主将の九鬼が信じられないという表情をして言葉を漏らしていた。
相手側のコートでは先程まで対戦していた不動峰の部員が汗もかかずにラケットのフレームでボールを弾ませながら九鬼をジッと見つめる。
「こんな……こんなハズは……。不動峰中……!? こんなチームじゃなかったぞ……! クソォ! あんな無名の奴らに……!」
その時、対戦相手である不動峰の部員が九鬼の言葉に目を光らせた。
彼の発言を許さんと言わんばかりにラケットを振り上げて九鬼を殴り付けようとする。
「九鬼さん危ない!!」
「!」
ふーん。暴力沙汰か。この場合、勝ったとしても出場取り消しとかになるのか? と、麻美は他人事のように眺めていたその時だった。
「やめろ深司!」
同じ不動峰部員の一言で深司と呼ばれる男の腕の動きはピタッと止まった。あと数秒遅ければ九鬼は無事ではすまなかったであろう。
「騒ぎを大きくするな。行くぞ」
「はい。橘さん」
まるで何事もなかったかのように黒い軍団の不動峰は試合を終えたコートから立ち去った。
「……」
だが、麻美は彼らの態度があまり気に食わなかったため不満顔で不動峰を追いかけた。
「待てよ」
黒い軍団の前に立ちはだかった麻美に不動峰達は「誰かの知り合いか?」と言うように互いの顔を見合う。
すぐに誰も知らない相手だと分かった後に先程の深司という男を止めた者が前に出た。恐らく、この不動峰をまとめる主将のようだ。
「俺達に何か用か?」
「さっきの態度が気に食わない。まぁ、九鬼の奴の言葉が悪いのは分かるが、手を出そうとしても止めるし、それなのに謝罪もないなんて何もかもが中途半端すぎる。殴るなら殴れ。やめたのなら謝れ」
「手を出しかけたことで怒ってるんじゃないのか?」
怒り所がよく分からず額にホクロを持った男が眉を下げながら困ったように笑う。
「……そもそも終わったことなんだからいちいち突っ掛かってこないでほしいよなぁ」
九鬼と試合をしていた長髪の深司という名の男が小さな声で呟く。
もちろん麻美はその声を聞き逃すことはなかった。
「だったら最初から手を出そうとするな。手を出したらこっちもあんたらに喧嘩を吹っかけることが出来たのに中途半端にしやがって。謝りもなしにだ」
「なるほど、お前の言いたいことは分かった。それならば部長の俺が代わりに謝罪をしよう。すまなかった」
不動峰の部長が頭を下げた。その態度は渋々といったものではなく、納得した上での謝罪と思われる。
「っつーか、あんた柿ノ木中の奴?」
部長が謝罪してすぐに左の目が見えないほどの前髪が長い男に尋ねられ、麻美は自信満々に答えた。
「立海だ」
「ほぅ。昨年、一昨年と全国大会を制覇したあの立海だな」
「立海だったら関係ないじゃん」
「内村、あんまり油を注ぐなって」
黒い帽子を深く被った男が軽く文句を言うが、隣にいた男が状況を悪化させないように宥める。
「顔見知りだから暴力沙汰があれば報復くらいするだろ」
フン、と鼻を鳴らし、さも当然のように答えた麻美に不動峰の部長はそんな彼女の態度に気分を害することなく、どこか懐かしさを抱くような目で柔らかく笑う。
「気持ちは分からないでもないな。柿ノ木中には改めて謝罪をしておこう。それで気が済んでもらえるとありがたい」
「そこまで言うならいいけど。そんな深い仲でもないし」
これ以上酷い態度なら拳を振るうつもりだったが、あまりにも話が分かる部長だったゆえに肩透かしを食らってしまった。
「あぁ、感謝する。では俺達はそろそろ行くぞ。次は決勝戦だからな」
「あ、そ」
別に聞いてないけど。そんな視線を向けても相手には伝わらなかったようで大仏のような男は爽やかに笑みを浮かべて歩み始めた。
「あまり突っ掛かりすぎるなよ」
「じゃあな」
部長に続き、他の部員達も麻美の横を通り過ぎて行く。
その際タオルを巻いた者とオールバックの者の二人は麻美に声をかけたが嫌みに聞こえなくもなかった。
(ふん、不動峰か。随分と貫禄がある部長だな)
“無名”や“ノーシード校”と言われていた不動峰が第二シードの柿ノ木中を圧倒的な力で降した。
その学校が第一シード校を破るのか気になった麻美は決勝戦がどうなるか見ものだと小さく笑う。
なぜなら第二シードである柿ノ木中がノーシード校に0―5で敗退となってしまったから。手足も出ない圧倒的な強さに他校生も驚いている様子。
「不動峰……か」
スコアボードに書かれている柿ノ木中の対戦校である不動峰の文字を見ると、麻美は先程道を聞いた時の少女の言葉が頭によぎった。
『柿ノ木中の応援に行くなら不動峰中も覚えておいて損はしないわよ』
(まさか、こうなることを予測して……?)
どういうことかは分からないが、先程の少女は少なからず不動峰の回し者だと確信する。
周りがざわついている中、コート内では這いつくばるように屈してしまった主将の九鬼が信じられないという表情をして言葉を漏らしていた。
相手側のコートでは先程まで対戦していた不動峰の部員が汗もかかずにラケットのフレームでボールを弾ませながら九鬼をジッと見つめる。
「こんな……こんなハズは……。不動峰中……!? こんなチームじゃなかったぞ……! クソォ! あんな無名の奴らに……!」
その時、対戦相手である不動峰の部員が九鬼の言葉に目を光らせた。
彼の発言を許さんと言わんばかりにラケットを振り上げて九鬼を殴り付けようとする。
「九鬼さん危ない!!」
「!」
ふーん。暴力沙汰か。この場合、勝ったとしても出場取り消しとかになるのか? と、麻美は他人事のように眺めていたその時だった。
「やめろ深司!」
同じ不動峰部員の一言で深司と呼ばれる男の腕の動きはピタッと止まった。あと数秒遅ければ九鬼は無事ではすまなかったであろう。
「騒ぎを大きくするな。行くぞ」
「はい。橘さん」
まるで何事もなかったかのように黒い軍団の不動峰は試合を終えたコートから立ち去った。
「……」
だが、麻美は彼らの態度があまり気に食わなかったため不満顔で不動峰を追いかけた。
「待てよ」
黒い軍団の前に立ちはだかった麻美に不動峰達は「誰かの知り合いか?」と言うように互いの顔を見合う。
すぐに誰も知らない相手だと分かった後に先程の深司という男を止めた者が前に出た。恐らく、この不動峰をまとめる主将のようだ。
「俺達に何か用か?」
「さっきの態度が気に食わない。まぁ、九鬼の奴の言葉が悪いのは分かるが、手を出そうとしても止めるし、それなのに謝罪もないなんて何もかもが中途半端すぎる。殴るなら殴れ。やめたのなら謝れ」
「手を出しかけたことで怒ってるんじゃないのか?」
怒り所がよく分からず額にホクロを持った男が眉を下げながら困ったように笑う。
「……そもそも終わったことなんだからいちいち突っ掛かってこないでほしいよなぁ」
九鬼と試合をしていた長髪の深司という名の男が小さな声で呟く。
もちろん麻美はその声を聞き逃すことはなかった。
「だったら最初から手を出そうとするな。手を出したらこっちもあんたらに喧嘩を吹っかけることが出来たのに中途半端にしやがって。謝りもなしにだ」
「なるほど、お前の言いたいことは分かった。それならば部長の俺が代わりに謝罪をしよう。すまなかった」
不動峰の部長が頭を下げた。その態度は渋々といったものではなく、納得した上での謝罪と思われる。
「っつーか、あんた柿ノ木中の奴?」
部長が謝罪してすぐに左の目が見えないほどの前髪が長い男に尋ねられ、麻美は自信満々に答えた。
「立海だ」
「ほぅ。昨年、一昨年と全国大会を制覇したあの立海だな」
「立海だったら関係ないじゃん」
「内村、あんまり油を注ぐなって」
黒い帽子を深く被った男が軽く文句を言うが、隣にいた男が状況を悪化させないように宥める。
「顔見知りだから暴力沙汰があれば報復くらいするだろ」
フン、と鼻を鳴らし、さも当然のように答えた麻美に不動峰の部長はそんな彼女の態度に気分を害することなく、どこか懐かしさを抱くような目で柔らかく笑う。
「気持ちは分からないでもないな。柿ノ木中には改めて謝罪をしておこう。それで気が済んでもらえるとありがたい」
「そこまで言うならいいけど。そんな深い仲でもないし」
これ以上酷い態度なら拳を振るうつもりだったが、あまりにも話が分かる部長だったゆえに肩透かしを食らってしまった。
「あぁ、感謝する。では俺達はそろそろ行くぞ。次は決勝戦だからな」
「あ、そ」
別に聞いてないけど。そんな視線を向けても相手には伝わらなかったようで大仏のような男は爽やかに笑みを浮かべて歩み始めた。
「あまり突っ掛かりすぎるなよ」
「じゃあな」
部長に続き、他の部員達も麻美の横を通り過ぎて行く。
その際タオルを巻いた者とオールバックの者の二人は麻美に声をかけたが嫌みに聞こえなくもなかった。
(ふん、不動峰か。随分と貫禄がある部長だな)
“無名”や“ノーシード校”と言われていた不動峰が第二シードの柿ノ木中を圧倒的な力で降した。
その学校が第一シード校を破るのか気になった麻美は決勝戦がどうなるか見ものだと小さく笑う。