自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第7話『合同練習とスパイ組』
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「へぇ、面白い練習してんじゃん」
「カラーコーンにボールをぶつけてるんだねー」
青学のテニス部へと乗り込んだ切原と遥は部外者だというのに堂々と青学の練習法を眺めていた。
どうやらカラーコーンにボールを当てているという練習内容らしい。
「あれはただカラーコーンに当ててんじゃなくてボールの溝に色がついてるから、そのボールの色と同じ色のカラーコーンを瞬時で見分けて当ててんスよ」
「うっそ! すっごいね! 赤也も見えるの?」
「そりゃそうですって」
「すごっ!」
「ま、今はそんなことよりも手塚さんはどこかなーっと……」
キョロキョロと目当ての人物がいないか探してる切原に遥は「てづか?」と首を傾げる。
そんな二人の元に青学の部員が「ん?」と気付き、不審に思ったのか、それとも不思議に思ったのか話しかけた。
「━━キミ達は? うちの生徒じゃないようだけど……」
「うおっ! もう見つかった!」
「侵入して1分しか経ってないのにっ?」
制服からして二人は誰から見ても他校生だとバレバレであった。
そんな彼らを見つけたのは青学の副部長である大石秀一郎と、現在レギュラーから外れている乾貞治の二人。
「バレちゃしょうがねぇ、立海大附属中2年エース噂の切原赤也って俺の事ッス」
「え? 赤也って有名人なの? 他の2年よりちょっとテニスが上手ってレベルじゃなく?」
「ちょ、先輩っ。そんなことも知らなかったんスか!? てか、せっかく俺がかっこよく決めてたのにぶち壊さないで下さいよ!」
「……」
「……立海中。神奈川代表が何の用かな?」
「ウィッス! ちょっとばかしスパイに……」
「えぇっ! そんなあっさりと!?」
スパイだと白状する切原に対して遥は一人で慌てる。そんな様子を見ていた他の部員達が少し騒ぎ始めた。
段々注目を浴び始める中、切原は「おっ」と声を漏らし、一人の男に指を差す。
「見つけた。あんた手塚さんだろ? ウチの先輩達も一目置いてる。昨年の関東大会の団体戦でうちの先輩を破ったのあんただけだし」
切原が先程から探していたと思われる手塚を見た遥は「あれがてづかかぁ」と小さく呟く。
うちのエースでもある赤也が注目するのだから相当腕が立つのだろうと遥はしっかり相手を認識した。
「いやー、ちょっとお手合わせしたいなぁ!」
「お、おい」
自分のバッグからラケットを取り出しながら手塚に近づく切原。他校生に自由されては困るので大石が止めようと声をかけるも切原はそんなことでは止まらない。
「部外者は出ていけ」
(ひ、ひぇ……お、怒ってる)
そこへ手塚がきつい一言。当然と言えば当然なのだが、静かに怒る青学の部長を見た遥は真田とは違った怖さを抱いた。
しかし遥とは違って手塚の言葉にカチンときた切原は笑顔のまま硬直した。
「そんなー手塚さん。1セットでいいッスよ? 堅い人だなぁ。こーんな顔ばっかしてると疲れちまいますよ」
「……」
切原が手塚を真似て眉間に皺を寄せる。そんな彼を見た遥は軽く笑うが、部員の一人である荒井将史にとってはカチンとくる行為だった。
「おいコラくせっ毛と女! うちの部長に失礼なことしてんじゃねぇよ!!」
怒りに任せた荒井はボールを手に取る。周りの者はまさかと思った時にはもう遅かった。
「とっとと出て行けよ!!」
荒井は後ろを向いている切原に目掛けて、テニスボールを打ち込んだ。
「バカ! 荒井!!」
「赤也!」
誰もがボールに当たると思ったその時。切原は横にずれ、ボールを視界で捉えたと同時に自分のラケットでボールの勢いを包み込むように抑え、受け止めた。
「俺のショットをイナした!?」
青学のテニス部レギュラーではない荒井だが、先程打ったボールは普通よりもスピードもあり、パワーもあった球なので切原の動きには驚くしかなかった。
「……横から口はさまないでくれる?」
「えっ……? えぇっ!?」
まぐれではないからこその動体視力と瞬発力は青学のテニス部員だけではなく、遥も彼の動きに驚いていた。
まだまだテニスについては勉強中の彼女にとって一瞬何が起こったか分からなかったので、状況を理解するのに少し時間がかかってしまう。
「手塚さんさぁ、別に深い意味じゃなくて1球2球交えようって言ってるだけじゃん。そんなシカト気分悪いなぁ」
切原はラケットでボールをつきながら尚も手塚との手合わせを頼んだ。
だが、麻美と電話を終えてから結構時間が経ったことに気付いた遥はそろそろ戻らないと、と思い始めるようになる。
ただでさえ部外者なのは嫌でも実感しているため、下手をすれば学校に連絡がいき、こっぴどく叱られるかもしれないと不安も覚えた。
「ね、ね、赤也。そろそろ行かないとヤバい……」
「アンタ潰すよ」
「━━っ!」
今まで見たことない切原の冷たい表情と言葉に遥は言葉をなくした。
ゾクリと背筋は凍りつき、恐ろしささえ感じる。まだ付き合いが浅いからかもしれないが、この時の遥は初めて切原の別の顔を見た気分だった。
「なーんて」
遥がそう思っているとも知らない切原はすぐにいつものような笑顔に戻った。
まるで白昼夢を見たような感覚だった遥は元の彼に戻ったことでホッと一安心する。
「おーい荒井くん。ボール返すぜ!」
相手の返事を聞くことなく切原は荒井に背を向けたまま、自分の脇下でボールを打った。本人は「これは決まった!」と思っていたのだが、それとは逆に悲劇を生むことになる。
パコーン!
「うごっ」
切原の打ったボールは何の罪のない青学レギュラーである桃城武の左頬に違う意味ではあるが見事に決まってしまった。
「桃!?」と心配する者もいたが悲劇はこれだけでは終わらない。
頬にボールを当てられた拍子に桃城の持っていたラケットがスポーンと持ち主の手から離れ、ラケットは球拾いをしていたと思われるオカッパ頭の1年生である加藤勝郎、通称カチローの頭に当たってしまう。
「いで!!」
そのせいで加藤が運んでいたテニスボールの入ったかごをコートにぶちまけてしまった。
「……おいおい」
「や、ヤバいよ……」
ぶちまけたボールのせいで足を取られ転ぶ者も少なくはない。気の荒い者だと誰がやったんだと怒鳴り、あちこちにボールを投げる。
それだけではなく、投げたボールがまた一人の少年の頭に当たってしまう。気付いた部員達は顔を青くして「あっ」と声を上げていた。
「やったの誰だ……!?」
それもそのはず、その少年とは普段から鋭い目付きをしている青学レギュラーの一人、海堂薫だった。
ただでさえ部活内でも怒らせたくはない相手の一人でもあるので部員達は恐れていた。もちろんのこと海堂はボールを当てられたので怒らないわけがない。
そして誰かが叫んだ。「海堂がキレた!」と。
こうして切原のちょっとした行動により青学テニス部に不幸の連鎖が生まれ、部活どころではなくなってしまった。
さすがの切原と遥もこの騒動に顔面蒼白である。
「ちょっとちょっと! どーすんのっ?」
「逃げるに決まってんじゃないスか!」
ここまで騒ぎを大きくしてしまった張本人はどうやら逃げると決め、遥を置いて物凄い勢いで走り出した。
「ま、待ってよっ裏切り者っ!」
遥にしては珍しく巻き込まれた立場なので捕まりたくないため切原の後に続き全力で走った。
「みんなやめろ!! あっ切原逃げるな」
逃げる二人の後ろからは大石の声が飛ぶ。もちろん逃げるなと言われて立ち止まる二人じゃない。
その後、手塚がスゥ、と息を吸い「全員グラウンド30周してこい!!」という怒鳴り声も響いた。
「カラーコーンにボールをぶつけてるんだねー」
青学のテニス部へと乗り込んだ切原と遥は部外者だというのに堂々と青学の練習法を眺めていた。
どうやらカラーコーンにボールを当てているという練習内容らしい。
「あれはただカラーコーンに当ててんじゃなくてボールの溝に色がついてるから、そのボールの色と同じ色のカラーコーンを瞬時で見分けて当ててんスよ」
「うっそ! すっごいね! 赤也も見えるの?」
「そりゃそうですって」
「すごっ!」
「ま、今はそんなことよりも手塚さんはどこかなーっと……」
キョロキョロと目当ての人物がいないか探してる切原に遥は「てづか?」と首を傾げる。
そんな二人の元に青学の部員が「ん?」と気付き、不審に思ったのか、それとも不思議に思ったのか話しかけた。
「━━キミ達は? うちの生徒じゃないようだけど……」
「うおっ! もう見つかった!」
「侵入して1分しか経ってないのにっ?」
制服からして二人は誰から見ても他校生だとバレバレであった。
そんな彼らを見つけたのは青学の副部長である大石秀一郎と、現在レギュラーから外れている乾貞治の二人。
「バレちゃしょうがねぇ、立海大附属中2年エース噂の切原赤也って俺の事ッス」
「え? 赤也って有名人なの? 他の2年よりちょっとテニスが上手ってレベルじゃなく?」
「ちょ、先輩っ。そんなことも知らなかったんスか!? てか、せっかく俺がかっこよく決めてたのにぶち壊さないで下さいよ!」
「……」
「……立海中。神奈川代表が何の用かな?」
「ウィッス! ちょっとばかしスパイに……」
「えぇっ! そんなあっさりと!?」
スパイだと白状する切原に対して遥は一人で慌てる。そんな様子を見ていた他の部員達が少し騒ぎ始めた。
段々注目を浴び始める中、切原は「おっ」と声を漏らし、一人の男に指を差す。
「見つけた。あんた手塚さんだろ? ウチの先輩達も一目置いてる。昨年の関東大会の団体戦でうちの先輩を破ったのあんただけだし」
切原が先程から探していたと思われる手塚を見た遥は「あれがてづかかぁ」と小さく呟く。
うちのエースでもある赤也が注目するのだから相当腕が立つのだろうと遥はしっかり相手を認識した。
「いやー、ちょっとお手合わせしたいなぁ!」
「お、おい」
自分のバッグからラケットを取り出しながら手塚に近づく切原。他校生に自由されては困るので大石が止めようと声をかけるも切原はそんなことでは止まらない。
「部外者は出ていけ」
(ひ、ひぇ……お、怒ってる)
そこへ手塚がきつい一言。当然と言えば当然なのだが、静かに怒る青学の部長を見た遥は真田とは違った怖さを抱いた。
しかし遥とは違って手塚の言葉にカチンときた切原は笑顔のまま硬直した。
「そんなー手塚さん。1セットでいいッスよ? 堅い人だなぁ。こーんな顔ばっかしてると疲れちまいますよ」
「……」
切原が手塚を真似て眉間に皺を寄せる。そんな彼を見た遥は軽く笑うが、部員の一人である荒井将史にとってはカチンとくる行為だった。
「おいコラくせっ毛と女! うちの部長に失礼なことしてんじゃねぇよ!!」
怒りに任せた荒井はボールを手に取る。周りの者はまさかと思った時にはもう遅かった。
「とっとと出て行けよ!!」
荒井は後ろを向いている切原に目掛けて、テニスボールを打ち込んだ。
「バカ! 荒井!!」
「赤也!」
誰もがボールに当たると思ったその時。切原は横にずれ、ボールを視界で捉えたと同時に自分のラケットでボールの勢いを包み込むように抑え、受け止めた。
「俺のショットをイナした!?」
青学のテニス部レギュラーではない荒井だが、先程打ったボールは普通よりもスピードもあり、パワーもあった球なので切原の動きには驚くしかなかった。
「……横から口はさまないでくれる?」
「えっ……? えぇっ!?」
まぐれではないからこその動体視力と瞬発力は青学のテニス部員だけではなく、遥も彼の動きに驚いていた。
まだまだテニスについては勉強中の彼女にとって一瞬何が起こったか分からなかったので、状況を理解するのに少し時間がかかってしまう。
「手塚さんさぁ、別に深い意味じゃなくて1球2球交えようって言ってるだけじゃん。そんなシカト気分悪いなぁ」
切原はラケットでボールをつきながら尚も手塚との手合わせを頼んだ。
だが、麻美と電話を終えてから結構時間が経ったことに気付いた遥はそろそろ戻らないと、と思い始めるようになる。
ただでさえ部外者なのは嫌でも実感しているため、下手をすれば学校に連絡がいき、こっぴどく叱られるかもしれないと不安も覚えた。
「ね、ね、赤也。そろそろ行かないとヤバい……」
「アンタ潰すよ」
「━━っ!」
今まで見たことない切原の冷たい表情と言葉に遥は言葉をなくした。
ゾクリと背筋は凍りつき、恐ろしささえ感じる。まだ付き合いが浅いからかもしれないが、この時の遥は初めて切原の別の顔を見た気分だった。
「なーんて」
遥がそう思っているとも知らない切原はすぐにいつものような笑顔に戻った。
まるで白昼夢を見たような感覚だった遥は元の彼に戻ったことでホッと一安心する。
「おーい荒井くん。ボール返すぜ!」
相手の返事を聞くことなく切原は荒井に背を向けたまま、自分の脇下でボールを打った。本人は「これは決まった!」と思っていたのだが、それとは逆に悲劇を生むことになる。
パコーン!
「うごっ」
切原の打ったボールは何の罪のない青学レギュラーである桃城武の左頬に違う意味ではあるが見事に決まってしまった。
「桃!?」と心配する者もいたが悲劇はこれだけでは終わらない。
頬にボールを当てられた拍子に桃城の持っていたラケットがスポーンと持ち主の手から離れ、ラケットは球拾いをしていたと思われるオカッパ頭の1年生である加藤勝郎、通称カチローの頭に当たってしまう。
「いで!!」
そのせいで加藤が運んでいたテニスボールの入ったかごをコートにぶちまけてしまった。
「……おいおい」
「や、ヤバいよ……」
ぶちまけたボールのせいで足を取られ転ぶ者も少なくはない。気の荒い者だと誰がやったんだと怒鳴り、あちこちにボールを投げる。
それだけではなく、投げたボールがまた一人の少年の頭に当たってしまう。気付いた部員達は顔を青くして「あっ」と声を上げていた。
「やったの誰だ……!?」
それもそのはず、その少年とは普段から鋭い目付きをしている青学レギュラーの一人、海堂薫だった。
ただでさえ部活内でも怒らせたくはない相手の一人でもあるので部員達は恐れていた。もちろんのこと海堂はボールを当てられたので怒らないわけがない。
そして誰かが叫んだ。「海堂がキレた!」と。
こうして切原のちょっとした行動により青学テニス部に不幸の連鎖が生まれ、部活どころではなくなってしまった。
さすがの切原と遥もこの騒動に顔面蒼白である。
「ちょっとちょっと! どーすんのっ?」
「逃げるに決まってんじゃないスか!」
ここまで騒ぎを大きくしてしまった張本人はどうやら逃げると決め、遥を置いて物凄い勢いで走り出した。
「ま、待ってよっ裏切り者っ!」
遥にしては珍しく巻き込まれた立場なので捕まりたくないため切原の後に続き全力で走った。
「みんなやめろ!! あっ切原逃げるな」
逃げる二人の後ろからは大石の声が飛ぶ。もちろん逃げるなと言われて立ち止まる二人じゃない。
その後、手塚がスゥ、と息を吸い「全員グラウンド30周してこい!!」という怒鳴り声も響いた。