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第4話『信用しない、諦めない、めげない』
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昼休み━━。時は来た。そう言わんばかりの険しい顔で自身の席を立った麻美はクラスメイトの桑原の席の前で仁王立ちをする。
突然無言の圧力をかまされた桑原はびくりっと驚きながらも自分に用があるということを理解し、戸惑いながらも先に口を開いた。
「ど、どうしたんだ?」
「馬鹿っぽい方のマネージャーのクラスは何組だ?」
「え?」
馬鹿っぽい方のマネージャー? もちろん桑原の中ではその人物に思い当たらないわけではないが、馬鹿と決めつけるようで申し訳ないと思いつつも明らかにもう一人のマネージャーである秋ではないことは分かる。それでも一応念の為に彼は確認を取ることにした。
「それって西成のことか?」
「そんな感じの名前だな」
やはり正解だったようで桑原は心の中で「すまねぇな、西成……」と馬鹿っぽい方のマネージャーとしてすぐに思いついてしまったことを反省する。
「確か……ブン太と仁王達と同じクラスっつってたからB組だな」
「そうか」
「西成に会いに行くのか?」
「悪い?」
「そうは言ってねぇだろ? まぁ、いいことだとは思うけどな」
どうやらこいつは勘違いをしてるようだな。麻美はそう思うが、面倒なのでわざわざ訂正する必要はないと判断する。
「サンキュ」
「あぁ、行ってこいよ」
ニッと笑いながら教室に出る麻美を見送る桑原。そんな彼を見てまさか今からガンを飛ばしてビビらせに行くとは思ってないんだろうなとその事実を知らない桑原を少し哀れに思った。
友達なんて必要ない。遥の教室に向かいながら麻美はそう強く心に決めていた。
友人なんてロクなもんじゃないと考える麻美は小学生時代のことを思い出す。
真田以外にもそれなりにつるんで遊んでいた友人は何人かいた。その友人とは当時は大人しい麻美の元に近づいた者達のことである。
程よく遊ぶ仲ではあるが、それでも麻美は真田と過ごす方が何よりも楽しく、友人と遊ぶより真田を優先したこともあった。
そんな時、小学4年生の頃。友人だった一人の少女が尋ねてきた。
『麻美ちゃんって真田くんのことが好きなの?』
その言葉に動揺したのがいけなかったのか、やっぱりそうなんだー! と恋バナが好きな女子のターゲットになってしまった。
どういうところが好きなの? という問いかけに答えたのがいけなかったのか、友人だった者達は黄色い声を上げる。
そしてまた別の友人が何気ないことを言い出した。
『真田くんに告っちゃいなよ!』
そう言い出したあと、他の友人達も全員賛成と口を揃えて言うのだが、さすがに麻美はまだそんな勇気もなければ嫌われてしまうという恐れを抱き、嫌だと首を振った。
それで終われば良かったのに、元友人達は諦めなかったのようだ。
『麻美ちゃんっ。先生が理科室に来てって言ってたよ!』
そう告げる友人の言葉を信用したのがいけなかったのか、麻美は分かったと告げて理科室へ向かうことにした。
そんな所にわざわざ他の生徒を使って言付ける教師なんているはずもないのに。
今思えばあの時の友人は含み笑いをしていた。その意味を早く気づけば良かったのに。小学生ゆえの浅はかさなのだから仕方ないことではあるが。
理科室へ辿り着くと先客がいた。その姿は友人の言う先生ではなく、麻美の想い人である真田だった。
えっ、と、なぜ彼がここにいるのか分からず戸惑う声が漏れると真田は瞬きをしながら麻美に問いかける。
「麻美……この手紙をくれたのはお前なのか?」
「手紙……?」
何の話だと思い、差し出された手紙を見ると、そこには『真田くんに話したい大事なことがあります。昼休みに理科室に来てください』と書かれた文だった。
何これ。知らないし、私の字じゃない。よく分からない物の存在に不気味にも感じた麻美は首を横に振った。
「私じゃない」
「そうだと思った。麻美の筆跡じゃないことくらいは俺でも分かるからな」
すぐに信じてくれたようで麻美はひとまず安心をする。それと同時にここへ行くように差し向けた友人と、手紙の見覚えある筆跡がその友人のものだと気づいた。
そして何のためにこんなことをしたのかという彼女、いや、彼女達の目的を察した麻美は一気に友人達への嫌悪感が渦巻く。
恋バナ好きのあの友人達のことだ。告白させるつもりでセッティングしたに違いない。麻美の預かり知らぬところで。
告白なんてするつもりがないと言ったのに、こちらの気持ちなんてそっちのけで勝手に計画され、その結果がどうであれ友人達の話のネタにされると思うとそれが酷く気持ち悪くて不愉快で震えるほどの怒りを覚えた。
「……っ!」
「麻美……?」
急いで理科室を飛び出すと、教室に出たすぐそばに件の友人達がいた。まさか覗き見までしようとしていたのか。そう思うと麻美の中で何かが切れた。
「ふざけやがって……勝手なことばかりすんな!」
「な、なんで怒るの? 私達は麻美ちゃんのために……」
「迷惑だ! あんたらの道楽に私を利用するな! もう金輪際私の所へ来るな! 無神経すぎて吐き気がする! 気持ち悪い!」
おそらくまだ理科室にいる真田にも聞こえていただろうが、この時の麻美は頭に血が上って仕方なかった。
怒鳴るだけ怒鳴ったあと、手紙を書いた友人を強く突き飛ばした麻美は彼女達とこの時縁を切ったのだ。
それからというもの、麻美は友人なんてものを作らなくなった。
とても不愉快で自分達の欲求のために利用されたことが腹立たしくてどうしようもなかったのだ。他ならぬ真田へ向けた感情を娯楽にしようとしたのが許せなかった。
そのことがきっかけで真田と一緒にいるとまた邪な目で見られ、騒ぎ立てる連中が現れるかもしれないと考えた麻美は好意を想い人にも周りにも悟られないため、そして思春期の難しい気持ちも加えたこともあり真田から距離を置いた。
友人だった彼女達の謝罪はなかったし、あったとしても許すつもりはない。それどころか突き飛ばしたことでまた騒ぎとなり、無視したらどこぞの正義感の強い同級生が先に手を上げてきたので返り討ちにした。
その繰り返しを経て、麻美はついに誰からも恐れられる人間になったのだ。
いくつか尾ひれなどついてるが別に気にはしない。それで余計な人間が近づかないのなら大歓迎であった。
しかし、こんなに噂が広まっているはずなのにテニス部のマネージャーになったことで友達になりたいという秋と遥に麻美は頭を悩ませた。
とはいえ秋に至っては昨日追い返したし、強く拒絶をしたからもう諦めただろう。そう思いながら今度は遥も同じように追い払うつもりだった。友達になろうだなんて軽々しく言う奴は信用ならないと。
突然無言の圧力をかまされた桑原はびくりっと驚きながらも自分に用があるということを理解し、戸惑いながらも先に口を開いた。
「ど、どうしたんだ?」
「馬鹿っぽい方のマネージャーのクラスは何組だ?」
「え?」
馬鹿っぽい方のマネージャー? もちろん桑原の中ではその人物に思い当たらないわけではないが、馬鹿と決めつけるようで申し訳ないと思いつつも明らかにもう一人のマネージャーである秋ではないことは分かる。それでも一応念の為に彼は確認を取ることにした。
「それって西成のことか?」
「そんな感じの名前だな」
やはり正解だったようで桑原は心の中で「すまねぇな、西成……」と馬鹿っぽい方のマネージャーとしてすぐに思いついてしまったことを反省する。
「確か……ブン太と仁王達と同じクラスっつってたからB組だな」
「そうか」
「西成に会いに行くのか?」
「悪い?」
「そうは言ってねぇだろ? まぁ、いいことだとは思うけどな」
どうやらこいつは勘違いをしてるようだな。麻美はそう思うが、面倒なのでわざわざ訂正する必要はないと判断する。
「サンキュ」
「あぁ、行ってこいよ」
ニッと笑いながら教室に出る麻美を見送る桑原。そんな彼を見てまさか今からガンを飛ばしてビビらせに行くとは思ってないんだろうなとその事実を知らない桑原を少し哀れに思った。
友達なんて必要ない。遥の教室に向かいながら麻美はそう強く心に決めていた。
友人なんてロクなもんじゃないと考える麻美は小学生時代のことを思い出す。
真田以外にもそれなりにつるんで遊んでいた友人は何人かいた。その友人とは当時は大人しい麻美の元に近づいた者達のことである。
程よく遊ぶ仲ではあるが、それでも麻美は真田と過ごす方が何よりも楽しく、友人と遊ぶより真田を優先したこともあった。
そんな時、小学4年生の頃。友人だった一人の少女が尋ねてきた。
『麻美ちゃんって真田くんのことが好きなの?』
その言葉に動揺したのがいけなかったのか、やっぱりそうなんだー! と恋バナが好きな女子のターゲットになってしまった。
どういうところが好きなの? という問いかけに答えたのがいけなかったのか、友人だった者達は黄色い声を上げる。
そしてまた別の友人が何気ないことを言い出した。
『真田くんに告っちゃいなよ!』
そう言い出したあと、他の友人達も全員賛成と口を揃えて言うのだが、さすがに麻美はまだそんな勇気もなければ嫌われてしまうという恐れを抱き、嫌だと首を振った。
それで終われば良かったのに、元友人達は諦めなかったのようだ。
『麻美ちゃんっ。先生が理科室に来てって言ってたよ!』
そう告げる友人の言葉を信用したのがいけなかったのか、麻美は分かったと告げて理科室へ向かうことにした。
そんな所にわざわざ他の生徒を使って言付ける教師なんているはずもないのに。
今思えばあの時の友人は含み笑いをしていた。その意味を早く気づけば良かったのに。小学生ゆえの浅はかさなのだから仕方ないことではあるが。
理科室へ辿り着くと先客がいた。その姿は友人の言う先生ではなく、麻美の想い人である真田だった。
えっ、と、なぜ彼がここにいるのか分からず戸惑う声が漏れると真田は瞬きをしながら麻美に問いかける。
「麻美……この手紙をくれたのはお前なのか?」
「手紙……?」
何の話だと思い、差し出された手紙を見ると、そこには『真田くんに話したい大事なことがあります。昼休みに理科室に来てください』と書かれた文だった。
何これ。知らないし、私の字じゃない。よく分からない物の存在に不気味にも感じた麻美は首を横に振った。
「私じゃない」
「そうだと思った。麻美の筆跡じゃないことくらいは俺でも分かるからな」
すぐに信じてくれたようで麻美はひとまず安心をする。それと同時にここへ行くように差し向けた友人と、手紙の見覚えある筆跡がその友人のものだと気づいた。
そして何のためにこんなことをしたのかという彼女、いや、彼女達の目的を察した麻美は一気に友人達への嫌悪感が渦巻く。
恋バナ好きのあの友人達のことだ。告白させるつもりでセッティングしたに違いない。麻美の預かり知らぬところで。
告白なんてするつもりがないと言ったのに、こちらの気持ちなんてそっちのけで勝手に計画され、その結果がどうであれ友人達の話のネタにされると思うとそれが酷く気持ち悪くて不愉快で震えるほどの怒りを覚えた。
「……っ!」
「麻美……?」
急いで理科室を飛び出すと、教室に出たすぐそばに件の友人達がいた。まさか覗き見までしようとしていたのか。そう思うと麻美の中で何かが切れた。
「ふざけやがって……勝手なことばかりすんな!」
「な、なんで怒るの? 私達は麻美ちゃんのために……」
「迷惑だ! あんたらの道楽に私を利用するな! もう金輪際私の所へ来るな! 無神経すぎて吐き気がする! 気持ち悪い!」
おそらくまだ理科室にいる真田にも聞こえていただろうが、この時の麻美は頭に血が上って仕方なかった。
怒鳴るだけ怒鳴ったあと、手紙を書いた友人を強く突き飛ばした麻美は彼女達とこの時縁を切ったのだ。
それからというもの、麻美は友人なんてものを作らなくなった。
とても不愉快で自分達の欲求のために利用されたことが腹立たしくてどうしようもなかったのだ。他ならぬ真田へ向けた感情を娯楽にしようとしたのが許せなかった。
そのことがきっかけで真田と一緒にいるとまた邪な目で見られ、騒ぎ立てる連中が現れるかもしれないと考えた麻美は好意を想い人にも周りにも悟られないため、そして思春期の難しい気持ちも加えたこともあり真田から距離を置いた。
友人だった彼女達の謝罪はなかったし、あったとしても許すつもりはない。それどころか突き飛ばしたことでまた騒ぎとなり、無視したらどこぞの正義感の強い同級生が先に手を上げてきたので返り討ちにした。
その繰り返しを経て、麻美はついに誰からも恐れられる人間になったのだ。
いくつか尾ひれなどついてるが別に気にはしない。それで余計な人間が近づかないのなら大歓迎であった。
しかし、こんなに噂が広まっているはずなのにテニス部のマネージャーになったことで友達になりたいという秋と遥に麻美は頭を悩ませた。
とはいえ秋に至っては昨日追い返したし、強く拒絶をしたからもう諦めただろう。そう思いながら今度は遥も同じように追い払うつもりだった。友達になろうだなんて軽々しく言う奴は信用ならないと。