自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第4話『信用しない、諦めない、めげない』
主人公名前変換
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「くそっ……ほんとにしつこいな、あいつ」
テニスコート近くの木の裏に隠れながら麻美は自身を追う者が周囲にいないか確認した。遠くからは自分の名を呼ぶ遥の声が聞こえる。思っていたよりも遠くにいそうなので軽く溜め息をついた。
朝練はすでに始まっている。しかし、最初はウォーミングアップがてらのランニングのため、それが終えるまで実質マネージャーの出番はその後からだ。
それを見越してなのか、早速遥が麻美の元へ駆け寄って来たのが始まりである。
『麻美! 今日こそはお昼ご飯一緒に食べよ! あ、先に連絡先を教えてよ。無理なら放課後どっか買い食いしよっ。オススメのスイーツ沢山あるんだよ! それか麻美の行きつけとかある? あったら教えてよっ』
と、喋る喋る。無視して聞き流そうとしたが、それでも騒がしいくらいにマシンガントークを繰り広げるため、耐えられなくなった麻美は遥から逃げ出した。それで終われば良かったが、相手はなかなかに手強い。昨日と同じく遥もまた麻美を追いかけるのだ。
全員が規定数を走り終えるまでおよそ10分と仮定し、残りは3分くらいだろうか。あと少し撒けばテニスコートに戻らないと仕事をサボったことになるし、真田にも悪い印象を与えかねない。
それだけは絶対にするもんかと麻美は木の裏に隠れながらランニングする部員がまだいることを確認し、ボチボチ戻るかと思ったその時だった。
「あれ? 赤宮先輩じゃないっスか」
朝練に遅刻した切原が麻美に声をかける。なんでこいつがここに……と、思うもその理由はすぐに理解することになる。
「あ、もしかして先輩も遅刻とか? だからこんなとこでコソコソとしてるんスね」
にしし、と笑いながら勝手に勘違いをする後輩に麻美はカチンときたので、切原の元へとズンズン近づけばその胸ぐらを掴んだ。
「う、うおっ!?」
「あんたと一緒にすんなよ、遅刻野郎」
「うわ、ちょっ、たんまたんま! 遅刻仲間じゃないならなんでこんな所で隠れてんスか!」
「あんたには関係ない」
「はー!?」
何それ自分だけ内緒とか狡くないッスか!? そう言おうとした切原だったが、遠くから「あー!」と第三者の声がしてその言葉を飲み込む。
「麻美見っけ!」
「っち。まだ探してたか、あの野郎」
「もー! 逃げるなんて酷いじゃんー! あ、あれ? 赤也……?」
「ウ、ウィッス……」
なぜか麻美と一緒にいる胸ぐらを掴まれた切原を見た遥は一瞬、動きが止まる。一拍おいたあとで一気に顔が赤くなった遥は一歩、後ろに下がった。
「え、えーと、あたしそろそろ戻らなきゃだ! 先に戻っとくね!」
え、えへへ、と笑いながらもどこか不自然な様子の遥はそのまま麻美と切原の前から逃げ出すように走り出した。
「? 何なんだあいつは」
「……あのー、そろそろこの手離してもらえませんかね……?」
「っち」
遥がいなくなったことで少し安心したこともあり、舌打ちをしながらではあるが荒々しく切原から手を離した。
解放された切原はふぅ、と安堵の息を吐いて額に流れる冷たい汗を拭う。
「っつーか、赤宮先輩って西成先輩から逃げてたんスか?」
「逃げてない。関わりたくないだけだ」
「いや、逃げてんじゃないスか。隠れてたし」
「何? 喧嘩売ってんの?」
「い、いえ、全く全然そんなことは……」
ギロッと鋭く睨みつける麻美の瞳から目を逸らす切原だが、それでもまだ言いたいことがあるのか話を続ける。
「けど、逃げようが隠れようがあの人諦めなさそうだと思うんスけどね。逃げれば逃げるほど追いたくなるっつーの? そういう性質っぽいじゃん」
「逃・げ・て・ねぇ!」
尚も遥から逃走していることを認めない麻美は強調するように逃げてないと主張するが切原は心の中で面倒くせぇ~……と思わずにはいられなかった。
「まぁ……どちらにせよ今の赤宮先輩のやってることは逆効果なんで作戦を変える方がいいかと」
「どうしろと?」
「え」
まさかその方法を聞いてくるとは思わなかった切原が固まってしまう。どうせ適当に聞き流すんだろと考えていたから。
これは返答次第では怒られるなと察した切原は必死にその答えに悩む。
「え、っと……逆に先輩から追いかけるとか……? ほら、赤宮先輩迫力あるんでビビるかと!」
俺、ナイス! そう思ったのもつかの間、ガシッと麻美が切原の両肩を掴み、ギリギリと食い込むくらいの力を込める。
「いだだだだっ!!」
「一言余計だ」
「すんませんっしたぁぁぁぁ!!」
大声で謝罪をされて仕方なく麻美は手を離した。
切原は自分の肩が持ってかれるんじゃないのかと心配しながら息は絶え絶えの様子で無事か確かめる。ひとまず肩はしっかりとくっついてるようで一安心した。
「まぁ、その案は悪くない。こっちから向かえば問題ないな」
「じゃ、じゃあ、それに免じて遅刻を見逃してもらうってことでどうか……」
アドバイスをしたから遅刻をなかったことにしてもらおうと悪知恵を働かせた切原。しかし、それを見逃すほど優しくはない麻美は切原の首根っこを掴んだ。
「そういうわけにいかないだろうが。弦一郎に突き出す」
「なっ!? そりゃないッスよ先輩~~!!」
わたわたと暴れるも首根っこを掴まれてることもあり苦しくなるだけなので切原は途中で逃げ出すのを諦めてズルズルと麻美に引きずられていった。
テニスコート近くの木の裏に隠れながら麻美は自身を追う者が周囲にいないか確認した。遠くからは自分の名を呼ぶ遥の声が聞こえる。思っていたよりも遠くにいそうなので軽く溜め息をついた。
朝練はすでに始まっている。しかし、最初はウォーミングアップがてらのランニングのため、それが終えるまで実質マネージャーの出番はその後からだ。
それを見越してなのか、早速遥が麻美の元へ駆け寄って来たのが始まりである。
『麻美! 今日こそはお昼ご飯一緒に食べよ! あ、先に連絡先を教えてよ。無理なら放課後どっか買い食いしよっ。オススメのスイーツ沢山あるんだよ! それか麻美の行きつけとかある? あったら教えてよっ』
と、喋る喋る。無視して聞き流そうとしたが、それでも騒がしいくらいにマシンガントークを繰り広げるため、耐えられなくなった麻美は遥から逃げ出した。それで終われば良かったが、相手はなかなかに手強い。昨日と同じく遥もまた麻美を追いかけるのだ。
全員が規定数を走り終えるまでおよそ10分と仮定し、残りは3分くらいだろうか。あと少し撒けばテニスコートに戻らないと仕事をサボったことになるし、真田にも悪い印象を与えかねない。
それだけは絶対にするもんかと麻美は木の裏に隠れながらランニングする部員がまだいることを確認し、ボチボチ戻るかと思ったその時だった。
「あれ? 赤宮先輩じゃないっスか」
朝練に遅刻した切原が麻美に声をかける。なんでこいつがここに……と、思うもその理由はすぐに理解することになる。
「あ、もしかして先輩も遅刻とか? だからこんなとこでコソコソとしてるんスね」
にしし、と笑いながら勝手に勘違いをする後輩に麻美はカチンときたので、切原の元へとズンズン近づけばその胸ぐらを掴んだ。
「う、うおっ!?」
「あんたと一緒にすんなよ、遅刻野郎」
「うわ、ちょっ、たんまたんま! 遅刻仲間じゃないならなんでこんな所で隠れてんスか!」
「あんたには関係ない」
「はー!?」
何それ自分だけ内緒とか狡くないッスか!? そう言おうとした切原だったが、遠くから「あー!」と第三者の声がしてその言葉を飲み込む。
「麻美見っけ!」
「っち。まだ探してたか、あの野郎」
「もー! 逃げるなんて酷いじゃんー! あ、あれ? 赤也……?」
「ウ、ウィッス……」
なぜか麻美と一緒にいる胸ぐらを掴まれた切原を見た遥は一瞬、動きが止まる。一拍おいたあとで一気に顔が赤くなった遥は一歩、後ろに下がった。
「え、えーと、あたしそろそろ戻らなきゃだ! 先に戻っとくね!」
え、えへへ、と笑いながらもどこか不自然な様子の遥はそのまま麻美と切原の前から逃げ出すように走り出した。
「? 何なんだあいつは」
「……あのー、そろそろこの手離してもらえませんかね……?」
「っち」
遥がいなくなったことで少し安心したこともあり、舌打ちをしながらではあるが荒々しく切原から手を離した。
解放された切原はふぅ、と安堵の息を吐いて額に流れる冷たい汗を拭う。
「っつーか、赤宮先輩って西成先輩から逃げてたんスか?」
「逃げてない。関わりたくないだけだ」
「いや、逃げてんじゃないスか。隠れてたし」
「何? 喧嘩売ってんの?」
「い、いえ、全く全然そんなことは……」
ギロッと鋭く睨みつける麻美の瞳から目を逸らす切原だが、それでもまだ言いたいことがあるのか話を続ける。
「けど、逃げようが隠れようがあの人諦めなさそうだと思うんスけどね。逃げれば逃げるほど追いたくなるっつーの? そういう性質っぽいじゃん」
「逃・げ・て・ねぇ!」
尚も遥から逃走していることを認めない麻美は強調するように逃げてないと主張するが切原は心の中で面倒くせぇ~……と思わずにはいられなかった。
「まぁ……どちらにせよ今の赤宮先輩のやってることは逆効果なんで作戦を変える方がいいかと」
「どうしろと?」
「え」
まさかその方法を聞いてくるとは思わなかった切原が固まってしまう。どうせ適当に聞き流すんだろと考えていたから。
これは返答次第では怒られるなと察した切原は必死にその答えに悩む。
「え、っと……逆に先輩から追いかけるとか……? ほら、赤宮先輩迫力あるんでビビるかと!」
俺、ナイス! そう思ったのもつかの間、ガシッと麻美が切原の両肩を掴み、ギリギリと食い込むくらいの力を込める。
「いだだだだっ!!」
「一言余計だ」
「すんませんっしたぁぁぁぁ!!」
大声で謝罪をされて仕方なく麻美は手を離した。
切原は自分の肩が持ってかれるんじゃないのかと心配しながら息は絶え絶えの様子で無事か確かめる。ひとまず肩はしっかりとくっついてるようで一安心した。
「まぁ、その案は悪くない。こっちから向かえば問題ないな」
「じゃ、じゃあ、それに免じて遅刻を見逃してもらうってことでどうか……」
アドバイスをしたから遅刻をなかったことにしてもらおうと悪知恵を働かせた切原。しかし、それを見逃すほど優しくはない麻美は切原の首根っこを掴んだ。
「そういうわけにいかないだろうが。弦一郎に突き出す」
「なっ!? そりゃないッスよ先輩~~!!」
わたわたと暴れるも首根っこを掴まれてることもあり苦しくなるだけなので切原は途中で逃げ出すのを諦めてズルズルと麻美に引きずられていった。