自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第4話『信用しない、諦めない、めげない』
主人公名前変換
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朝から走り込む部員達を眺め、目標数をクリアするまで待機するマネージャーの一人、秋は自然と溜め息をこぼす。
彼女の悩みの種はもっぱら赤宮麻美のことである。
麻美と友達になると奮闘する遥は現在進行形でランニングが終わるまでの間、麻美を追いかけてる最中だ。
冷たくあしらわれ、逃げる麻美に遥はめげずにもはや楽しんでいるようにさえ見える。
秋としては昨日強く拒絶されたことにより少しだけ躊躇ってしまう。
やはりそっとしておく方が麻美のためでもあるんじゃないかと思えば、遥のようにもっと積極的に関わりを持つ方がいいんじゃないかと昨日から色々考える。
「随分と思い詰めているようだな」
はぁ、とまた溜め息を漏らす秋の元へ真田が声をかけた。
「さ、真田くんっ? もうランニングは終わったの?」
驚きながら秋が尋ねると相手は「うむ」と答えた。
全員いっせいにスタートしたはずのランニング。真田は軽く汗を流した状態だったので走ってないわけではなかったようだ。
さすが副部長。その実力を示すだけあるなぁ、と感心してしまう秋だが、真田は再度問いかけた。
「それより、何を思い悩んでいる? まさかマネージャー業が負担になっているのか?」
鬼の副部長の目が鋭く光った。他人にも自分にも厳しいと有名な彼のことだ。根性がないと勘違いされたのかもしれない。そう思い、秋は慌てて首を横に振った。
真田としては幸村の策略によりマネージャーを引き受けることになった秋の身を案じての言葉ではあったが、どうやら秋にその真意までは届かない。
「ち、違うの。ただ赤宮さんのことを考えて……」
「麻美のことか?」
「うん。せっかく同じマネージャーになったから仲良くなりたいんだけど、赤宮さんはあまりそういうのを求めてないみたいで……」
「そうか……」
眉を下げて悩む表情の秋を見た真田はしばし考えたあと口を開いた。
「俺としてはそう思ってくれる奴があいつの傍にいてもらえるとありがたいと思っている。麻美は壁は厚いが悪い奴ではないのだ」
「……真田くん、赤宮さんと親しいの?」
そういえば彼女のことを名前で呼んでいた。堅物だと恐れられることもある真田が女性を親しげに名前で呼ぶことなんて滅多にないと思われたため秋が問うと真田は躊躇うことなく頷く。
「昔馴染みというべきか。あいつとは小さい頃からよく遊んでいた仲だ。数年ほど疎遠ではあったが、麻美がマネージャーになってからまた交流を持てるようになったな。親しい、というには離れていた分の時間を埋めきれていないが」
「そう、なの?」
「あぁ。だから俺とてまだ麻美のことを把握していない。共に登校をするようになったくらいだ」
「えっ。そ、それだけでも十分に凄いよっ。親しくなきゃ出来ないし、私だと多分一緒に登校すらしてくれないと思うもの」
規律に厳しく風紀委員にも所属する真田が素行の悪いとされる麻美と仲が良いというだけでも驚きである。
それだけじゃなく、登校まで共にしてるなんて秋はいまいちピンとこないくらいに信じられなかった。馴れ合いたくないと言っていた彼女が心を許している証拠でもある。そう思うと、その位置に自分が到達出来る気がしない
「やっぱり、私じゃ赤宮さんと仲良くなるのは難しいのかも……」
「そう思うのなら俺は無理強いはせん。俺も麻美がなぜそこまで拒むかは知らんのだからな」
「彼女は昔からそうだったの?」
「いや、少なくとも友人と呼べる存在はいたし、麻美も普通に接していたはずだ」
どうやら何か原因があると思われる。彼女があそこまで秋達と関わりを持たないようにしているのはそれなりの理由がある気がしてきた。
馴れ合うことで何か嫌な経験でもしたのだろうか。そうだとしたらもう少し粘ってみようかな。友人を持ったことがあるなら可能性はゼロじゃない。
秋は静かにそう決めた。きっと、大丈夫と信じて。
考えてみれば分かることだ。元々友達は1日や2日で出来るわけがないし、築き上げることも出来ない。
「……私、もうちょっと頑張ってみるよ」
「そうか?」
「うん。真田くんほどの関係は築けなくても、友達にはなれなくても、気軽に話をするだけの知人くらいにはなりたいから」
諦めようかなと思ったが、諦めるにはまだ早すぎると気づく。
それに麻美は噂ほどの素行が悪い生徒とは思えなかった。気難しい性格ではあるがその分打ち解けるのに時間がかかるのかもしれない。ならば長期戦だ。麻美と根比べをしよう。
そんな秋の決心は真田に伝わったのか、彼は小さくフッと笑みを浮かべた。
「その考え、嫌いではない。俺としても麻美にはもう少し交流の幅を広げてほしいと思っていたのでお前や西成には期待している」
「うん。頑張るよ、こっちは遥も入れて二人がかりで麻美を構い倒すからね」
「あまり力にはなれないが何かあればまた話してくれ。共に頭を悩ませ、答えを導こう」
「ありがとう、真田くん。何かあったらまたお願いするね」
「こちらこそ。麻美を頼む」
相談に乗ってくれた真田にお礼を告げると真田も軽く頭を下げた。彼がここまでするということはそれだけ麻美のことを心配しているのだろう。
秋はいつも厳しい表情をする副部長の優しさに触れた気がした。
彼女の悩みの種はもっぱら赤宮麻美のことである。
麻美と友達になると奮闘する遥は現在進行形でランニングが終わるまでの間、麻美を追いかけてる最中だ。
冷たくあしらわれ、逃げる麻美に遥はめげずにもはや楽しんでいるようにさえ見える。
秋としては昨日強く拒絶されたことにより少しだけ躊躇ってしまう。
やはりそっとしておく方が麻美のためでもあるんじゃないかと思えば、遥のようにもっと積極的に関わりを持つ方がいいんじゃないかと昨日から色々考える。
「随分と思い詰めているようだな」
はぁ、とまた溜め息を漏らす秋の元へ真田が声をかけた。
「さ、真田くんっ? もうランニングは終わったの?」
驚きながら秋が尋ねると相手は「うむ」と答えた。
全員いっせいにスタートしたはずのランニング。真田は軽く汗を流した状態だったので走ってないわけではなかったようだ。
さすが副部長。その実力を示すだけあるなぁ、と感心してしまう秋だが、真田は再度問いかけた。
「それより、何を思い悩んでいる? まさかマネージャー業が負担になっているのか?」
鬼の副部長の目が鋭く光った。他人にも自分にも厳しいと有名な彼のことだ。根性がないと勘違いされたのかもしれない。そう思い、秋は慌てて首を横に振った。
真田としては幸村の策略によりマネージャーを引き受けることになった秋の身を案じての言葉ではあったが、どうやら秋にその真意までは届かない。
「ち、違うの。ただ赤宮さんのことを考えて……」
「麻美のことか?」
「うん。せっかく同じマネージャーになったから仲良くなりたいんだけど、赤宮さんはあまりそういうのを求めてないみたいで……」
「そうか……」
眉を下げて悩む表情の秋を見た真田はしばし考えたあと口を開いた。
「俺としてはそう思ってくれる奴があいつの傍にいてもらえるとありがたいと思っている。麻美は壁は厚いが悪い奴ではないのだ」
「……真田くん、赤宮さんと親しいの?」
そういえば彼女のことを名前で呼んでいた。堅物だと恐れられることもある真田が女性を親しげに名前で呼ぶことなんて滅多にないと思われたため秋が問うと真田は躊躇うことなく頷く。
「昔馴染みというべきか。あいつとは小さい頃からよく遊んでいた仲だ。数年ほど疎遠ではあったが、麻美がマネージャーになってからまた交流を持てるようになったな。親しい、というには離れていた分の時間を埋めきれていないが」
「そう、なの?」
「あぁ。だから俺とてまだ麻美のことを把握していない。共に登校をするようになったくらいだ」
「えっ。そ、それだけでも十分に凄いよっ。親しくなきゃ出来ないし、私だと多分一緒に登校すらしてくれないと思うもの」
規律に厳しく風紀委員にも所属する真田が素行の悪いとされる麻美と仲が良いというだけでも驚きである。
それだけじゃなく、登校まで共にしてるなんて秋はいまいちピンとこないくらいに信じられなかった。馴れ合いたくないと言っていた彼女が心を許している証拠でもある。そう思うと、その位置に自分が到達出来る気がしない
「やっぱり、私じゃ赤宮さんと仲良くなるのは難しいのかも……」
「そう思うのなら俺は無理強いはせん。俺も麻美がなぜそこまで拒むかは知らんのだからな」
「彼女は昔からそうだったの?」
「いや、少なくとも友人と呼べる存在はいたし、麻美も普通に接していたはずだ」
どうやら何か原因があると思われる。彼女があそこまで秋達と関わりを持たないようにしているのはそれなりの理由がある気がしてきた。
馴れ合うことで何か嫌な経験でもしたのだろうか。そうだとしたらもう少し粘ってみようかな。友人を持ったことがあるなら可能性はゼロじゃない。
秋は静かにそう決めた。きっと、大丈夫と信じて。
考えてみれば分かることだ。元々友達は1日や2日で出来るわけがないし、築き上げることも出来ない。
「……私、もうちょっと頑張ってみるよ」
「そうか?」
「うん。真田くんほどの関係は築けなくても、友達にはなれなくても、気軽に話をするだけの知人くらいにはなりたいから」
諦めようかなと思ったが、諦めるにはまだ早すぎると気づく。
それに麻美は噂ほどの素行が悪い生徒とは思えなかった。気難しい性格ではあるがその分打ち解けるのに時間がかかるのかもしれない。ならば長期戦だ。麻美と根比べをしよう。
そんな秋の決心は真田に伝わったのか、彼は小さくフッと笑みを浮かべた。
「その考え、嫌いではない。俺としても麻美にはもう少し交流の幅を広げてほしいと思っていたのでお前や西成には期待している」
「うん。頑張るよ、こっちは遥も入れて二人がかりで麻美を構い倒すからね」
「あまり力にはなれないが何かあればまた話してくれ。共に頭を悩ませ、答えを導こう」
「ありがとう、真田くん。何かあったらまたお願いするね」
「こちらこそ。麻美を頼む」
相談に乗ってくれた真田にお礼を告げると真田も軽く頭を下げた。彼がここまでするということはそれだけ麻美のことを心配しているのだろう。
秋はいつも厳しい表情をする副部長の優しさに触れた気がした。