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第2話『新米マネージャー達は入部初日を迎える』
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朝練開始時、真田の号令によりテニスコートに集合したテニス部員達はレギュラー達の間に並ぶ女子三人の姿を見て小さくざわついていた。
レギュラーの一人である柳の手には幸村が映し出されるノートパソコン。リアルタイムで繋がっていると説明すればざわめきは大きくなった。
「幸村から重要な話がある。しかと聞いておけ!」
副部長である真田が部員達に向けて言葉を発せば、すぐに彼らは静まり返った。そして、幸村はコホンとひとつ咳払いをすると、目付きを鋭くさせる。
『皆の者ーー! 喜べー! とうとう我が部に女子マネージャーが来たぞーー!!』
「「うおおおおーーっ!!」」
テニスコートに響く男子テニス部員の声は歓喜していた。中には「待ってました!」と声を上げる者もいれば「幸村部長に一生ついて行く!」と声高々に上げる者もいた。
次第に「幸村! 幸村! 幸村!」と幸村コールまで始まるのだから部外者から見れば異様な光景である。
(……なんだ、このテンションは)
もちろん部員のみんなが同じ反応ではない。レギュラー達に至ってはすでに知っている情報な上、勧誘したのもあるのでそこまで盛り上がることは出来ずにただ静かに湧き上がる部員達を傍観していた。
桑原もその一人であるが、そろそろ静まらないとまた真田にどやされるぞと思いつつ。
「ええい! 静かにせんか! 女子マネージャーが入部しただけで浮かれ上がるでない!!」
ほら、見たことか。桑原も苦笑いするし、隣の丸井も小さく鼻で笑っていた。そんな真田の一喝により、再び部員達は静かになる。
(弦一郎、苦労してるな……)
(一声叱りつけただけで静まるなんて真田くん凄い……!)
(ひぇぇっ! 知ってたけど真田超怖ぇ!!)
マネージャー就任となった三人も真田に思うことはそれぞれ違っていた。
『さて、では早速紹介しようかな。バランス良く考えた自慢の三人をね。まずは彼女、赤宮麻美。あ、自己紹介お願い出来るかい?』
まず最初に呼ばれたのは麻美だった。しかし、その名を聞いてどよめく声が僅かに上がる。
同じ3年ならば麻美の噂を知らない者はいないだろう。
喧嘩っぱやく、猛獣のような存在の麻美は人によっては不良少女と認識されている。そんな彼女がどういう経緯でマネージャーを引き受けたのか部員達が知るわけがない。
「……」
幸村に自己紹介をと言われた麻美はしばらく黙ったまま口を開いた。
「3年の赤宮麻美だ。私が来たからには怠けることは許さない。足手まといや迷惑になる奴は容赦しない。以上」
腕を組みながら威圧的な態度を醸し出す麻美。言い方は強いが意外にもまだまともな範囲であった。
どんな暴言を吐くのかと少し構えていた者もいたので肩透かしを食らったと思われる。
以上、と締めた麻美に戸惑いながらも部員達は控えめな拍手を彼女に送った。
(あの子が赤宮さん……凄く綺麗な人だね……)
(なるほど、コミュ力お化けの遥さんがなぜ呼ばれたか分かったぞ! 一匹狼で有名な赤宮麻美がいるからなのだな!)
モデルのような美しさと堂々とした佇まいの麻美に目を奪われる秋と、自分が呼ばれた理由をようやく理解した遥。
『それじゃあ次は九条さん。続けて自己紹介をお願いするよ』
「うん。それでは改めまして、おはようございます。九条秋と申します。みんなをサポートする立場の一人として入部しました。至らないところもありますが、どうぞよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる秋に部員達から拍手が起こる。
丁寧な挨拶と人当たりの良さそうな微笑みを浮かべる彼女に悪い印象を抱く者はそうそういないだろう。特に威圧的な麻美のあとということもあり、全体的に漂う彼女の優しそうなオーラはホッと安堵も覚えるほど。
(真面目で固そうな奴だな……そういや副生徒会長だったか)
(優しそー! 仲良くなれそうな気がする!)
麻美から見た秋の印象は悪くはなかった。副生徒会長ということも理解しているからなのか、彼女への印象はその役職からの影響も少なからず受けている。
遥から見た秋の印象はほとんどの者と同じだった。優しそうだし、頭も良さそうだから上手くいけば宿題とか教えてもらえるかな? と淡い期待も抱く。
『最後は西成さん。それじゃあ自己紹介をよろしくね』
「りょ! あたし、西成遥さん! コミュニケーションバリバリ高いとゆっきーこと幸村にもお墨付きを貰ってるそうなのでよろしくね!」
大トリを飾るのは遥。敬礼するポーズを決めながら明るくハキハキと笑顔で話す。
彼女にも秋と同じく拍手を浴びた。元気ある遥にも悪い印象はなかった証拠だろう。
(面倒くさそうなタイプ)
(あの子が西成さん。よく見かける顔だ……)
ふぅ、と溜め息を吐く麻美は首を軽く横に振った。遥のような賑やかし要員とも言える相手は今までの経験から彼女は面倒な存在だと烙印を押す。
秋は顔だけは見覚えがあったので記憶の中での彼女の情報を掘り起こしてみた。よく人の輪の中心にいる人物だったことを思い出し、コミュニケーションが高いと言うのも納得が出来たのだ。
こうして自己紹介を終えた新米マネージャー達は真田と柳によりマネージャー業の説明を受けた。コートの張り方や倉庫の場所、日誌の書き方などなど。
そうしてる間にその日の朝練は終わり、三人は女子更衣室で制服に着替えていた。
「ね、ね、同じマネージャーになったからさ、連絡先を交換しようよっ」
「うん、いいよ」
スマートフォンを取り出した遥が早速連絡先の交換を申し出ると、秋も同じことを考えていたのかすぐに頷き、メッセージアプリの友達登録をする。
そんな二人とは違い、麻美は興味なさげに淡々と着替えていた。
「ありがとう、西成さん」
「遥でいいよ~。女の子には名前で呼んでもらう方が好きだし! その代わり秋って呼んでもいい?」
「あ、うん。私は大丈夫だよ。それじゃあ、遥さん、でいいかな?」
「さん付けとか堅苦しいのなしでいこ!」
「分かったよ、遥」
「オッケー!」
親指と人差し指で輪っかを作り、ニッと笑う遥を見て秋もくすりと笑みがこぼれる。
そして秋は麻美も、と思い声をかけた。
「あ。赤宮さんも良かったら連絡先を交換しないかな?」
「しない」
ズバッと切り捨てるような拒絶の返事に秋は「あ……」と小さく呟き、眉を下げた。
「……そうなんだ。ごめんね」
「え〜? 交換しないの? 絶対何かあった時に便利なのにー!」
「私は馴れ合うつもりはないからな」
「いいじゃん。連絡先のひとつやふたつさぁ」
「遥、無理強いは良くないよ」
秋にやんわりと止められ、遥は「でも~」と引かない様子だったが、その隙に麻美は先に更衣室から出て行ってしまった。
「あっ。行っちゃった……」
「赤宮さん、人と深く関わるのが苦手な人なのかもしれないね」
「ふーむ。手強いとそれはそれで燃えると言うものだね」
腕を組みながらうんうんと頷く遥はフッと笑い、麻美と仲良くなって見せようではないかと決意する。
そんな遥とは反対に秋はというと、本人が望まないのならそのままそっとしておくべきかもしれないと考えていたのだった。
レギュラーの一人である柳の手には幸村が映し出されるノートパソコン。リアルタイムで繋がっていると説明すればざわめきは大きくなった。
「幸村から重要な話がある。しかと聞いておけ!」
副部長である真田が部員達に向けて言葉を発せば、すぐに彼らは静まり返った。そして、幸村はコホンとひとつ咳払いをすると、目付きを鋭くさせる。
『皆の者ーー! 喜べー! とうとう我が部に女子マネージャーが来たぞーー!!』
「「うおおおおーーっ!!」」
テニスコートに響く男子テニス部員の声は歓喜していた。中には「待ってました!」と声を上げる者もいれば「幸村部長に一生ついて行く!」と声高々に上げる者もいた。
次第に「幸村! 幸村! 幸村!」と幸村コールまで始まるのだから部外者から見れば異様な光景である。
(……なんだ、このテンションは)
もちろん部員のみんなが同じ反応ではない。レギュラー達に至ってはすでに知っている情報な上、勧誘したのもあるのでそこまで盛り上がることは出来ずにただ静かに湧き上がる部員達を傍観していた。
桑原もその一人であるが、そろそろ静まらないとまた真田にどやされるぞと思いつつ。
「ええい! 静かにせんか! 女子マネージャーが入部しただけで浮かれ上がるでない!!」
ほら、見たことか。桑原も苦笑いするし、隣の丸井も小さく鼻で笑っていた。そんな真田の一喝により、再び部員達は静かになる。
(弦一郎、苦労してるな……)
(一声叱りつけただけで静まるなんて真田くん凄い……!)
(ひぇぇっ! 知ってたけど真田超怖ぇ!!)
マネージャー就任となった三人も真田に思うことはそれぞれ違っていた。
『さて、では早速紹介しようかな。バランス良く考えた自慢の三人をね。まずは彼女、赤宮麻美。あ、自己紹介お願い出来るかい?』
まず最初に呼ばれたのは麻美だった。しかし、その名を聞いてどよめく声が僅かに上がる。
同じ3年ならば麻美の噂を知らない者はいないだろう。
喧嘩っぱやく、猛獣のような存在の麻美は人によっては不良少女と認識されている。そんな彼女がどういう経緯でマネージャーを引き受けたのか部員達が知るわけがない。
「……」
幸村に自己紹介をと言われた麻美はしばらく黙ったまま口を開いた。
「3年の赤宮麻美だ。私が来たからには怠けることは許さない。足手まといや迷惑になる奴は容赦しない。以上」
腕を組みながら威圧的な態度を醸し出す麻美。言い方は強いが意外にもまだまともな範囲であった。
どんな暴言を吐くのかと少し構えていた者もいたので肩透かしを食らったと思われる。
以上、と締めた麻美に戸惑いながらも部員達は控えめな拍手を彼女に送った。
(あの子が赤宮さん……凄く綺麗な人だね……)
(なるほど、コミュ力お化けの遥さんがなぜ呼ばれたか分かったぞ! 一匹狼で有名な赤宮麻美がいるからなのだな!)
モデルのような美しさと堂々とした佇まいの麻美に目を奪われる秋と、自分が呼ばれた理由をようやく理解した遥。
『それじゃあ次は九条さん。続けて自己紹介をお願いするよ』
「うん。それでは改めまして、おはようございます。九条秋と申します。みんなをサポートする立場の一人として入部しました。至らないところもありますが、どうぞよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる秋に部員達から拍手が起こる。
丁寧な挨拶と人当たりの良さそうな微笑みを浮かべる彼女に悪い印象を抱く者はそうそういないだろう。特に威圧的な麻美のあとということもあり、全体的に漂う彼女の優しそうなオーラはホッと安堵も覚えるほど。
(真面目で固そうな奴だな……そういや副生徒会長だったか)
(優しそー! 仲良くなれそうな気がする!)
麻美から見た秋の印象は悪くはなかった。副生徒会長ということも理解しているからなのか、彼女への印象はその役職からの影響も少なからず受けている。
遥から見た秋の印象はほとんどの者と同じだった。優しそうだし、頭も良さそうだから上手くいけば宿題とか教えてもらえるかな? と淡い期待も抱く。
『最後は西成さん。それじゃあ自己紹介をよろしくね』
「りょ! あたし、西成遥さん! コミュニケーションバリバリ高いとゆっきーこと幸村にもお墨付きを貰ってるそうなのでよろしくね!」
大トリを飾るのは遥。敬礼するポーズを決めながら明るくハキハキと笑顔で話す。
彼女にも秋と同じく拍手を浴びた。元気ある遥にも悪い印象はなかった証拠だろう。
(面倒くさそうなタイプ)
(あの子が西成さん。よく見かける顔だ……)
ふぅ、と溜め息を吐く麻美は首を軽く横に振った。遥のような賑やかし要員とも言える相手は今までの経験から彼女は面倒な存在だと烙印を押す。
秋は顔だけは見覚えがあったので記憶の中での彼女の情報を掘り起こしてみた。よく人の輪の中心にいる人物だったことを思い出し、コミュニケーションが高いと言うのも納得が出来たのだ。
こうして自己紹介を終えた新米マネージャー達は真田と柳によりマネージャー業の説明を受けた。コートの張り方や倉庫の場所、日誌の書き方などなど。
そうしてる間にその日の朝練は終わり、三人は女子更衣室で制服に着替えていた。
「ね、ね、同じマネージャーになったからさ、連絡先を交換しようよっ」
「うん、いいよ」
スマートフォンを取り出した遥が早速連絡先の交換を申し出ると、秋も同じことを考えていたのかすぐに頷き、メッセージアプリの友達登録をする。
そんな二人とは違い、麻美は興味なさげに淡々と着替えていた。
「ありがとう、西成さん」
「遥でいいよ~。女の子には名前で呼んでもらう方が好きだし! その代わり秋って呼んでもいい?」
「あ、うん。私は大丈夫だよ。それじゃあ、遥さん、でいいかな?」
「さん付けとか堅苦しいのなしでいこ!」
「分かったよ、遥」
「オッケー!」
親指と人差し指で輪っかを作り、ニッと笑う遥を見て秋もくすりと笑みがこぼれる。
そして秋は麻美も、と思い声をかけた。
「あ。赤宮さんも良かったら連絡先を交換しないかな?」
「しない」
ズバッと切り捨てるような拒絶の返事に秋は「あ……」と小さく呟き、眉を下げた。
「……そうなんだ。ごめんね」
「え〜? 交換しないの? 絶対何かあった時に便利なのにー!」
「私は馴れ合うつもりはないからな」
「いいじゃん。連絡先のひとつやふたつさぁ」
「遥、無理強いは良くないよ」
秋にやんわりと止められ、遥は「でも~」と引かない様子だったが、その隙に麻美は先に更衣室から出て行ってしまった。
「あっ。行っちゃった……」
「赤宮さん、人と深く関わるのが苦手な人なのかもしれないね」
「ふーむ。手強いとそれはそれで燃えると言うものだね」
腕を組みながらうんうんと頷く遥はフッと笑い、麻美と仲良くなって見せようではないかと決意する。
そんな遥とは反対に秋はというと、本人が望まないのならそのままそっとしておくべきかもしれないと考えていたのだった。