自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
第15話『過去を乗り越える都大会決勝』
主人公名前変換
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「いや~良かった良かった。遥のことだからてっきりすっぽかすのかと思ったよ」
都大会決勝戦。山吹の応援ベンチに遥を座らせた千石は、さらに彼女の隣に腰を下ろし逃げられない状況を作り上げる。遥が苦虫を噛み潰したような顔をしていても気にせずに。
「……何のためにあたしを呼んだのさ」
「んー? もちろん俺の勇姿を見てもらうため」
「もう帰っていい?」
「だーめ。せっかくの試合が始まったとこなんだし、俺もシングルス3までもうすぐなんだからさ」
「……」
むすーっとする表情の遥に対して千石はデレッと顔をだらしなくさせた。
「か~わい~。どんな顔もいい表情で困っちゃうな~」
頬をつんつんとつつく千石のその態度が気に入らなかったのか、遥はその手を払ってキッと睨みつけた。
「やめてよっ! どういうつもりか知らないけど、馬鹿にしないで!」
「馬鹿になんて……」
はっきりした拒絶だった。従姉弟のそんな返し方に少なからず胸が痛んだ千石はつい遥のその手を取る。
「━━っ!」
すると彼女はびくりと大袈裟なくらい肩を跳ねさせた。遥の目には少なからず自分に恐れを抱いてるのだと気づくと千石はすぐにその手を放す。
「ごめん……」
「……」
彼女はふいっと顔を背けた。再会した時から薄々とは感じていたけど、余程嫌われているんだと自覚をせざるを得ない。
年月が過ぎれば少しは落ち着いてくれると思っていたけど、どうやら逆効果だったようだと千石は今までの己の行動を振り返り後悔した。
幼い頃の初恋相手クミちゃんに告白したあの日、遥がフォローするように出てきた時はとても恥ずかしかった。従姉弟にそこまでされなきゃいけないのだと惨めに思った。だからカッとしてつい手を上げてしまったのだ。
それから無視をしていたけれど、数日経って落ち着いてから考えると、自分のために言ってくれたことは純粋に嬉しかったと思うようになる。
反省した彼は翌日遥に謝ろうと声をかけるも無視をされた。何度も何度も声をかけてみるが怒っているようで話を聞くどころか避けられてしまう始末。
せっかく謝ろうとしたのに。そう思うと千石もまたカチンときてしまった。それならばと無視されないように違う方法をとることを決意する。
その結果泥団子を投げたり、園児鞄の中に虫を入れたりと意地悪をして無視出来ないようにすることだった。
最初こそは「やめてよキヨっ!」と反応があったから無視されるより断然良かったので何度も続けたらある日ぱちんっと頬を叩かれた。
『バカぁぁ! キヨなんて大っ嫌い!!』
大粒の涙をこぼしながら走り去る遥。一人取り残され呆然として立ち尽くす千石は胸にちくりと痛みを覚えた。
仲が良かったし、喧嘩という喧嘩も今回が初めてとも言える。だからこそ嫌いだと言われたことがあまりにもショックだった。そのため千石は遥に近づくのをやめてしまった。また嫌いだと言われるのを恐れて。
けれどいつの間にか遥は引越しをしてしまい、千石は両親に詳しい話を尋ねるも言葉を濁すだけだった。だが自分のせいということは幼いながらも理解し、取り返しのつかないことをしたのだと罪悪感でいっぱいになる。
泣いていた遥の顔がずっと忘れられなくて、ずっと心の片隅にいて、ずっと彼女のことを考えていた。
本音を言えば会いたい。けれど親戚の集まりとかには出向かないようにしていた。これ以上嫌われたくないし、遥も会いたくないと思っているだろうという彼なりに配慮していた。
だからせめて写真くらいは見たいと思って親戚で集まる従姉弟の姿が写ったものを毎年欠かさず目を通す。成長していく従姉弟の写真を見て、いつしか恋をしてることに気付いた。いつからかは分からない。もしくはもっと前からかもしれない。
実物にも会えたらいいな。そう思った矢先、都大会の会場で再会を果たすなんて思ってもみなかったから千石は運命だと考えていた。
だけど遥にとってはそうではなかった。それもそうだ。時が流れたからといっても幼い頃の過ちも共に流れていくわけにはいかないのだから。再会した際の初動がすでに駄目だったのだと今になって気づく。
「昔のことも、本当にごめんね。遅い謝罪だけどずっと後悔してたんだよ」
「……」
遥は黙ったまま。元より返事があるとは思っていなかったため、千石も仕方ないと割り切っていた。
そのまま時間だけが流れる。ダブルス2、ダブルス1の試合が終わり、とうとう千石の出場となった。
ラケットを手にすると彼は「よいしょ」と立ち上がる。
「じゃあ、行ってくるよ。俺の勝ち姿、最後まで見ててね。勝ったら遥に言いたいことがもう一個あるからさ」
「……」
返事はない。それでも千石はにへらと笑いながら手を振り、コートへと歩き出した。
都大会決勝戦。山吹の応援ベンチに遥を座らせた千石は、さらに彼女の隣に腰を下ろし逃げられない状況を作り上げる。遥が苦虫を噛み潰したような顔をしていても気にせずに。
「……何のためにあたしを呼んだのさ」
「んー? もちろん俺の勇姿を見てもらうため」
「もう帰っていい?」
「だーめ。せっかくの試合が始まったとこなんだし、俺もシングルス3までもうすぐなんだからさ」
「……」
むすーっとする表情の遥に対して千石はデレッと顔をだらしなくさせた。
「か~わい~。どんな顔もいい表情で困っちゃうな~」
頬をつんつんとつつく千石のその態度が気に入らなかったのか、遥はその手を払ってキッと睨みつけた。
「やめてよっ! どういうつもりか知らないけど、馬鹿にしないで!」
「馬鹿になんて……」
はっきりした拒絶だった。従姉弟のそんな返し方に少なからず胸が痛んだ千石はつい遥のその手を取る。
「━━っ!」
すると彼女はびくりと大袈裟なくらい肩を跳ねさせた。遥の目には少なからず自分に恐れを抱いてるのだと気づくと千石はすぐにその手を放す。
「ごめん……」
「……」
彼女はふいっと顔を背けた。再会した時から薄々とは感じていたけど、余程嫌われているんだと自覚をせざるを得ない。
年月が過ぎれば少しは落ち着いてくれると思っていたけど、どうやら逆効果だったようだと千石は今までの己の行動を振り返り後悔した。
幼い頃の初恋相手クミちゃんに告白したあの日、遥がフォローするように出てきた時はとても恥ずかしかった。従姉弟にそこまでされなきゃいけないのだと惨めに思った。だからカッとしてつい手を上げてしまったのだ。
それから無視をしていたけれど、数日経って落ち着いてから考えると、自分のために言ってくれたことは純粋に嬉しかったと思うようになる。
反省した彼は翌日遥に謝ろうと声をかけるも無視をされた。何度も何度も声をかけてみるが怒っているようで話を聞くどころか避けられてしまう始末。
せっかく謝ろうとしたのに。そう思うと千石もまたカチンときてしまった。それならばと無視されないように違う方法をとることを決意する。
その結果泥団子を投げたり、園児鞄の中に虫を入れたりと意地悪をして無視出来ないようにすることだった。
最初こそは「やめてよキヨっ!」と反応があったから無視されるより断然良かったので何度も続けたらある日ぱちんっと頬を叩かれた。
『バカぁぁ! キヨなんて大っ嫌い!!』
大粒の涙をこぼしながら走り去る遥。一人取り残され呆然として立ち尽くす千石は胸にちくりと痛みを覚えた。
仲が良かったし、喧嘩という喧嘩も今回が初めてとも言える。だからこそ嫌いだと言われたことがあまりにもショックだった。そのため千石は遥に近づくのをやめてしまった。また嫌いだと言われるのを恐れて。
けれどいつの間にか遥は引越しをしてしまい、千石は両親に詳しい話を尋ねるも言葉を濁すだけだった。だが自分のせいということは幼いながらも理解し、取り返しのつかないことをしたのだと罪悪感でいっぱいになる。
泣いていた遥の顔がずっと忘れられなくて、ずっと心の片隅にいて、ずっと彼女のことを考えていた。
本音を言えば会いたい。けれど親戚の集まりとかには出向かないようにしていた。これ以上嫌われたくないし、遥も会いたくないと思っているだろうという彼なりに配慮していた。
だからせめて写真くらいは見たいと思って親戚で集まる従姉弟の姿が写ったものを毎年欠かさず目を通す。成長していく従姉弟の写真を見て、いつしか恋をしてることに気付いた。いつからかは分からない。もしくはもっと前からかもしれない。
実物にも会えたらいいな。そう思った矢先、都大会の会場で再会を果たすなんて思ってもみなかったから千石は運命だと考えていた。
だけど遥にとってはそうではなかった。それもそうだ。時が流れたからといっても幼い頃の過ちも共に流れていくわけにはいかないのだから。再会した際の初動がすでに駄目だったのだと今になって気づく。
「昔のことも、本当にごめんね。遅い謝罪だけどずっと後悔してたんだよ」
「……」
遥は黙ったまま。元より返事があるとは思っていなかったため、千石も仕方ないと割り切っていた。
そのまま時間だけが流れる。ダブルス2、ダブルス1の試合が終わり、とうとう千石の出場となった。
ラケットを手にすると彼は「よいしょ」と立ち上がる。
「じゃあ、行ってくるよ。俺の勝ち姿、最後まで見ててね。勝ったら遥に言いたいことがもう一個あるからさ」
「……」
返事はない。それでも千石はにへらと笑いながら手を振り、コートへと歩き出した。