自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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日吉若×九条秋(『今日の氷帝学園』設定より)
「日吉くん、今帰り?」
部活もなく委員会もなく、久々に早めの下校だった。帰ったら古武術の稽古をしよう。そう決めていた俺は寄り道することもなく足早に家に向かっていたのだが、後ろから声をかけられた。
足を止めたくはなかったが、無視は出来ない相手なので胸の中で溜め息を吐き捨て後ろを振り返る。
……やはり。俺の予想は間違いはなかったようだ。俺に声をかけたのは九条さんだった。
「見たら分かるかと思いますが?」
「じゃあ、正解だね。委員会もないし、久々に早く帰れるからなんだか嬉しくなってつい声をかけちゃったの」
「そんなことで……子どもですか、あなたは?」
「まぁ、中学生だからね」
今さらもっともなことを言うのか。そう口が出そうになったが、どうせ相手は「うん、そうだね」とにっこり笑って肯定するのが目に見えてるので「……そうですか」と返事をして突っ込まないことにする。
「あ、そうだ。日吉くんも家はこっち方面? それなら途中まで一緒に帰ってもいいかな?」
「……」
こっちはさっさと帰るつもりなんですけどね。……って、この人以外ならそう言えたかもしれない。
いや、言えないわけじゃないけど、言ったら確実に残念そうな顔するだろうし、別に俺の知ったことではない……のだが。
「まぁ、いいですけど」
「ありがとうっ」
たかが後輩と帰り道が一緒になるくらいでそこまで嬉しそうにするものなのか。まぁ、悪い気はしないが。
許可を出したらすぐに九条さんが俺の隣に並んだ。そんな彼女の歩幅を合わせるように下校をする。
当初の俺の予定が変わってしまうな……まぁ、いいけど。この人が俺と一緒に帰りたいなんて言うこと自体想定外だ。
一緒に帰るからといって何か特別なことがあるわけではない。九条さんからなんてことのない日常会話が始まって、それを聞いたり答えたりするだけ。
「それで今度の生徒会の議題で……あっ!」
「!」
道中のことだった。突然、九条さんが後ろから誰かにぶつかられたようでそれがかなりの力だったのか俺の方へとよろめいたため、彼女の肩を掴んで支えてやる。
「……大丈夫ですか?」
「う、うん。でも、鞄がっ!」
は? 鞄? そう思って先輩がさっきまで手に提げていた学校指定の鞄がないことに気づく。まさかと思い、今しがたぶつかってきた奴へと目を向けてみれば男が彼女の鞄を持って逃げているのが見えた。
「っち!」
考える間もなく彼女を置いて駆け出した。ひったくりか? 中学生の金銭なんて大したことないが学校が学校なだけ持っていると思われたのか?
目的は不明だが、いつだったか跡部さんが言っていた。氷帝の制服やスクールバッグに至るまで高値で売買されることがあるらしい。
学校ブランドだからなのか分からないが鞄の中には個人情報だってあるだろう。それを狙っている可能性もある。なんて不届きな奴だ。
成人と思われる男の足はそんなに早くない。見失うこともなく男を後ろから掴みかかり、容赦なく地面へと捩じ伏せ取り押さえる。
「ぐあっ!」
「ハッ。その程度で逃げられると思っていたら大したことないな」
その後、周りにいた通行人の連絡により警察がすぐに駆けつけて男を捕まえた。
あとから来た九条さんと共に俺達は事情聴取を受けることなり、部活があれば終わっていた頃合いの時間に解放された。
……結局帰宅の時間がさらに遅くなったわけだが。
「ありがとう、日吉くん。鞄を取り返してくれて」
申し訳なさそうにお礼を言う先輩。……そんな顔をしてほしいわけじゃないのに。
「何事もなくて良かったですよ。まぁ、先輩はもう少し警戒するべきじゃないでしょうかね? そうすればあんなのに狙われることもないですし」
「うん、そうだね……気をつけるよ」
暗い顔をして俯く彼女を見て思い通りにいかないこの状況が何とももどかしく、腹立たしくなる。怪我もしてないし、鞄だって取り返したのになんで落ち込むんだこの人は。
「……ごめんなさい。日吉君に迷惑をかけるつもりはなかったの」
ギュッと鞄の持ち手を強く握る彼女の言葉を聞いて腑に落ちた。
被害に遭った自分のことで落ち込んでるわけではなく、俺を巻き込んだことを申し訳なく思っていたのか。そんなの気にする必要ないだろ。
「迷惑なんて思ってません。むしろ迷惑をかけたのはあの男なんですからあなたが心を痛める必要なんてこれっぽっちもないですよ。痛めるだけ無駄です。先輩は被害者なんですから」
「日吉くん……ありがとう」
相手は安堵の笑みを浮かべた。憂い顔よりよっぽどいい。
九条さんのその表情を見て俺も安心したのか、小さな溜め息をこぼし「帰りましょうか」と分かれ道に差しかかるまで先輩と一緒に帰った。
「日吉くん、今帰り?」
部活もなく委員会もなく、久々に早めの下校だった。帰ったら古武術の稽古をしよう。そう決めていた俺は寄り道することもなく足早に家に向かっていたのだが、後ろから声をかけられた。
足を止めたくはなかったが、無視は出来ない相手なので胸の中で溜め息を吐き捨て後ろを振り返る。
……やはり。俺の予想は間違いはなかったようだ。俺に声をかけたのは九条さんだった。
「見たら分かるかと思いますが?」
「じゃあ、正解だね。委員会もないし、久々に早く帰れるからなんだか嬉しくなってつい声をかけちゃったの」
「そんなことで……子どもですか、あなたは?」
「まぁ、中学生だからね」
今さらもっともなことを言うのか。そう口が出そうになったが、どうせ相手は「うん、そうだね」とにっこり笑って肯定するのが目に見えてるので「……そうですか」と返事をして突っ込まないことにする。
「あ、そうだ。日吉くんも家はこっち方面? それなら途中まで一緒に帰ってもいいかな?」
「……」
こっちはさっさと帰るつもりなんですけどね。……って、この人以外ならそう言えたかもしれない。
いや、言えないわけじゃないけど、言ったら確実に残念そうな顔するだろうし、別に俺の知ったことではない……のだが。
「まぁ、いいですけど」
「ありがとうっ」
たかが後輩と帰り道が一緒になるくらいでそこまで嬉しそうにするものなのか。まぁ、悪い気はしないが。
許可を出したらすぐに九条さんが俺の隣に並んだ。そんな彼女の歩幅を合わせるように下校をする。
当初の俺の予定が変わってしまうな……まぁ、いいけど。この人が俺と一緒に帰りたいなんて言うこと自体想定外だ。
一緒に帰るからといって何か特別なことがあるわけではない。九条さんからなんてことのない日常会話が始まって、それを聞いたり答えたりするだけ。
「それで今度の生徒会の議題で……あっ!」
「!」
道中のことだった。突然、九条さんが後ろから誰かにぶつかられたようでそれがかなりの力だったのか俺の方へとよろめいたため、彼女の肩を掴んで支えてやる。
「……大丈夫ですか?」
「う、うん。でも、鞄がっ!」
は? 鞄? そう思って先輩がさっきまで手に提げていた学校指定の鞄がないことに気づく。まさかと思い、今しがたぶつかってきた奴へと目を向けてみれば男が彼女の鞄を持って逃げているのが見えた。
「っち!」
考える間もなく彼女を置いて駆け出した。ひったくりか? 中学生の金銭なんて大したことないが学校が学校なだけ持っていると思われたのか?
目的は不明だが、いつだったか跡部さんが言っていた。氷帝の制服やスクールバッグに至るまで高値で売買されることがあるらしい。
学校ブランドだからなのか分からないが鞄の中には個人情報だってあるだろう。それを狙っている可能性もある。なんて不届きな奴だ。
成人と思われる男の足はそんなに早くない。見失うこともなく男を後ろから掴みかかり、容赦なく地面へと捩じ伏せ取り押さえる。
「ぐあっ!」
「ハッ。その程度で逃げられると思っていたら大したことないな」
その後、周りにいた通行人の連絡により警察がすぐに駆けつけて男を捕まえた。
あとから来た九条さんと共に俺達は事情聴取を受けることなり、部活があれば終わっていた頃合いの時間に解放された。
……結局帰宅の時間がさらに遅くなったわけだが。
「ありがとう、日吉くん。鞄を取り返してくれて」
申し訳なさそうにお礼を言う先輩。……そんな顔をしてほしいわけじゃないのに。
「何事もなくて良かったですよ。まぁ、先輩はもう少し警戒するべきじゃないでしょうかね? そうすればあんなのに狙われることもないですし」
「うん、そうだね……気をつけるよ」
暗い顔をして俯く彼女を見て思い通りにいかないこの状況が何とももどかしく、腹立たしくなる。怪我もしてないし、鞄だって取り返したのになんで落ち込むんだこの人は。
「……ごめんなさい。日吉君に迷惑をかけるつもりはなかったの」
ギュッと鞄の持ち手を強く握る彼女の言葉を聞いて腑に落ちた。
被害に遭った自分のことで落ち込んでるわけではなく、俺を巻き込んだことを申し訳なく思っていたのか。そんなの気にする必要ないだろ。
「迷惑なんて思ってません。むしろ迷惑をかけたのはあの男なんですからあなたが心を痛める必要なんてこれっぽっちもないですよ。痛めるだけ無駄です。先輩は被害者なんですから」
「日吉くん……ありがとう」
相手は安堵の笑みを浮かべた。憂い顔よりよっぽどいい。
九条さんのその表情を見て俺も安心したのか、小さな溜め息をこぼし「帰りましょうか」と分かれ道に差しかかるまで先輩と一緒に帰った。