自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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宍戸亮+九条秋(『今日の氷帝学園』設定より)
「あけましておめでとうございます」
初詣にでも行くか。そう思い立った宍戸は昼頃に家を出た。一人で新年の澄んだ空気を吸いながらも寒さに身を震わせる。そんな中、ばったりと会ったのは毎年同じクラスになるテニス部マネージャーの九条秋。思えばちょっとした腐れ縁である。
そんな彼女が先に気づいたようで年明けの挨拶を口にした。
「おー。あけおめ」
「もう、挨拶くらいちゃんと言わなきゃ」
「良いだろ別に」
出た、小言。そう思わずにはいられなかった。同じクラスになり続けるせいで宍戸の雑な所は真面目な秋の目に留まりやすく、あけおめと口にしただけでこれである。長い付き合いのせいでもあるだろう。
「それよりどっか行くのか?」
「ううん。初詣行ったその帰りなの」
「あぁ、帰る途中か。俺は今から行くつもり」
「結構人混みが凄かったよ。一人ならまだしも、誰かと一緒ならはぐれないように気をつけてね」
「お前は俺の母親かよ……」
「別にこれくらいは普通でしょ? 宍戸はちょっと過剰過ぎるよ」
「そっちも俺の言動に過剰なくらい反応するくせに」
はぁ、とわざとらしく溜め息を吐く。しかしそれだけで彼女は反応する。
「新年早々そんな溜め息つかないの」
幸せが逃げるって言うでしょ? と付け加える秋に宍戸は訝しげな表情と共に耳を塞ぎたくなる。
「あー! お前はほんっと一言二言多いんだよっ」
「そんなつもりはないのに。宍戸ってば私のことを目の敵にしてるの?」
「そこまでじゃねぇし」
少し鬱陶しいとは思うが目の敵ではないのは本当だ。さすがにそこまで憎いわけではない。ただただ口うるさいだけ。
頭をガシガシと掻きながら否定すると秋の視線は頭へと向けられた。
「……なんだよ。頭に何か付いてるのか?」
「あ、ううん。宍戸ってもう髪を伸ばさないのかなって思って」
「髪?」
「うん。切ってからまた伸ばすのかなって思ったけど、そんな様子もなさそうだったからちょっと気になっちゃって」
「あー……」
この手の話はよく聞かれる。それもそのはず。長髪だった頃の宍戸は自慢の髪だと周りに言い回っていたくらいに大事にしていたから。
そういえば、と宍戸は思い出す。口うるさい九条秋も髪に関してはかなり褒めていたな、と。
サラサラ具合や艶々具合がとても良い。綺麗だとよく口にしていた。
「宍戸の髪を触るのも好きだったからもう触れないんだって思うとちょっと寂しいなって」
「人の髪を玩具にすんなっつーの」
綺麗な髪はよく女子の遊び道具にされていた。何度三つ編みにされたことか。とはいえ、手荒なことをされたわけではないので宍戸はいつも好きにさせていた。
秋もその一人だったが、頻度は多くない。むしろ断りを入れて触るので礼儀正しい方である。
「……まぁ、確かに好きだったけどよ。今はこれでもいいかなって。これはこれで楽だし。軽いしな」
バッサリ切って頭は軽くなったし、洗髪も楽になった。だからと言って自慢の髪だった誇りもあるので手入れは今も手を抜かない。長髪だろうと短髪だろうと宍戸にとっては自慢の髪に変わりないから。
「そうなんだ。でもその髪型も似合ってるからいいと思うよ」
寂しいと言っておきながら似合うと口にするのはお世辞かとも思うが、良くも悪くも自分相手に世辞なんて言わないかと理解する。それだけ宍戸は秋との付き合いも長い証拠だ。
だからこそ正直に褒められると思うと照れくさくもある。宍戸はそれを隠すように目を逸らしながらボソッと呟いた。
「……正月だからって気を良くさせようとしてんじゃねーよ」
「正直に言ってるのにどうしてそんな皮肉なこと言うのかな……」
「うるせぇ。さみぃし、俺は行くからな」
照れて少し身体が温まるが、そんなことを相手に言えるわけもなく、宍戸は秋の横を通り過ぎる。すると、秋が「待って、宍戸」と呼び止めた。
「多分お年玉を貰ってると思うけど使い過ぎたりしないようにね。あと宿題も溜め込まないように」
今度はなんだと足を止めて振り返ればまた小言を聞かされるはめになり、宍戸は眉を顰めて憂鬱そうな表情を露わにした。
「だーかーらっ! お前は俺の母親かよっ!」
せっかく上がった気分が落ちてしまった。そう思わざるを得ない宍戸はぶっきらぼうに言葉を告げてすぐさま彼女の前から離れて行く。
後ろからは「心配して言っただけなのに」と不服そうな副生徒会長の声が聞こえたが返答はしない。
しかしお年玉の使い込みや冬休みの宿題に追われるのは毎年のことなので、図星でもあるため宍戸は絶対あいつを見返してやると心のどこかで誓うのだった。
とはいえその結果は秋の注意も虚しくお年玉は散財し、宿題も冬休み最終日まで追い込まれることになるのだった。
「あけましておめでとうございます」
初詣にでも行くか。そう思い立った宍戸は昼頃に家を出た。一人で新年の澄んだ空気を吸いながらも寒さに身を震わせる。そんな中、ばったりと会ったのは毎年同じクラスになるテニス部マネージャーの九条秋。思えばちょっとした腐れ縁である。
そんな彼女が先に気づいたようで年明けの挨拶を口にした。
「おー。あけおめ」
「もう、挨拶くらいちゃんと言わなきゃ」
「良いだろ別に」
出た、小言。そう思わずにはいられなかった。同じクラスになり続けるせいで宍戸の雑な所は真面目な秋の目に留まりやすく、あけおめと口にしただけでこれである。長い付き合いのせいでもあるだろう。
「それよりどっか行くのか?」
「ううん。初詣行ったその帰りなの」
「あぁ、帰る途中か。俺は今から行くつもり」
「結構人混みが凄かったよ。一人ならまだしも、誰かと一緒ならはぐれないように気をつけてね」
「お前は俺の母親かよ……」
「別にこれくらいは普通でしょ? 宍戸はちょっと過剰過ぎるよ」
「そっちも俺の言動に過剰なくらい反応するくせに」
はぁ、とわざとらしく溜め息を吐く。しかしそれだけで彼女は反応する。
「新年早々そんな溜め息つかないの」
幸せが逃げるって言うでしょ? と付け加える秋に宍戸は訝しげな表情と共に耳を塞ぎたくなる。
「あー! お前はほんっと一言二言多いんだよっ」
「そんなつもりはないのに。宍戸ってば私のことを目の敵にしてるの?」
「そこまでじゃねぇし」
少し鬱陶しいとは思うが目の敵ではないのは本当だ。さすがにそこまで憎いわけではない。ただただ口うるさいだけ。
頭をガシガシと掻きながら否定すると秋の視線は頭へと向けられた。
「……なんだよ。頭に何か付いてるのか?」
「あ、ううん。宍戸ってもう髪を伸ばさないのかなって思って」
「髪?」
「うん。切ってからまた伸ばすのかなって思ったけど、そんな様子もなさそうだったからちょっと気になっちゃって」
「あー……」
この手の話はよく聞かれる。それもそのはず。長髪だった頃の宍戸は自慢の髪だと周りに言い回っていたくらいに大事にしていたから。
そういえば、と宍戸は思い出す。口うるさい九条秋も髪に関してはかなり褒めていたな、と。
サラサラ具合や艶々具合がとても良い。綺麗だとよく口にしていた。
「宍戸の髪を触るのも好きだったからもう触れないんだって思うとちょっと寂しいなって」
「人の髪を玩具にすんなっつーの」
綺麗な髪はよく女子の遊び道具にされていた。何度三つ編みにされたことか。とはいえ、手荒なことをされたわけではないので宍戸はいつも好きにさせていた。
秋もその一人だったが、頻度は多くない。むしろ断りを入れて触るので礼儀正しい方である。
「……まぁ、確かに好きだったけどよ。今はこれでもいいかなって。これはこれで楽だし。軽いしな」
バッサリ切って頭は軽くなったし、洗髪も楽になった。だからと言って自慢の髪だった誇りもあるので手入れは今も手を抜かない。長髪だろうと短髪だろうと宍戸にとっては自慢の髪に変わりないから。
「そうなんだ。でもその髪型も似合ってるからいいと思うよ」
寂しいと言っておきながら似合うと口にするのはお世辞かとも思うが、良くも悪くも自分相手に世辞なんて言わないかと理解する。それだけ宍戸は秋との付き合いも長い証拠だ。
だからこそ正直に褒められると思うと照れくさくもある。宍戸はそれを隠すように目を逸らしながらボソッと呟いた。
「……正月だからって気を良くさせようとしてんじゃねーよ」
「正直に言ってるのにどうしてそんな皮肉なこと言うのかな……」
「うるせぇ。さみぃし、俺は行くからな」
照れて少し身体が温まるが、そんなことを相手に言えるわけもなく、宍戸は秋の横を通り過ぎる。すると、秋が「待って、宍戸」と呼び止めた。
「多分お年玉を貰ってると思うけど使い過ぎたりしないようにね。あと宿題も溜め込まないように」
今度はなんだと足を止めて振り返ればまた小言を聞かされるはめになり、宍戸は眉を顰めて憂鬱そうな表情を露わにした。
「だーかーらっ! お前は俺の母親かよっ!」
せっかく上がった気分が落ちてしまった。そう思わざるを得ない宍戸はぶっきらぼうに言葉を告げてすぐさま彼女の前から離れて行く。
後ろからは「心配して言っただけなのに」と不服そうな副生徒会長の声が聞こえたが返答はしない。
しかしお年玉の使い込みや冬休みの宿題に追われるのは毎年のことなので、図星でもあるため宍戸は絶対あいつを見返してやると心のどこかで誓うのだった。
とはいえその結果は秋の注意も虚しくお年玉は散財し、宿題も冬休み最終日まで追い込まれることになるのだった。