自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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日吉若+赤宮麻美(『今日の氷帝学園』設定より)
氷帝学園男子テニス部には暗黙の了解のひとつとしてこんな決まりがある。
『赤宮麻美と日吉若を二人きりにさせてはいけない』だ。
何故なら二人は所謂犬猿の仲。顔を合わせば嫌みのひとつやふたつは当たり前。むしろそれで済むのなら可愛いもの。しかしそれで終わらないからこそ、彼らを同じ空間に二人だけにさせてはいけない。仲裁に入る者がいなくなるからだ。
下手をすれば罵り合いから暴力に発展する可能性も高いため、二人の言い合いを止める者がどうしても必要となる。
とはいえ、必ずそれが出来るというわけにもいかないのが、この世の摂理。
「……」
「……」
二人は出会ってしまったのだ。電車内にて。ただでさえ人の少ない元日の朝の時間、なんの因果かその車両は二人だけであった。
麻美は既に乗車していた日吉の顔を見て、眉間に皺を寄せた後、一番離れた場所に腰を下ろす。相手も同様の表情を見せたその後、視線を逸らした。
静かな車内。聞こえるのは電車の走行音だけ。元旦でなければ出勤ラッシュなどで人混みだっただろう。
暫くしてから二駅ほど到着するものの、人が乗ってくる気配もなければ、麻美も日吉も降りる気配はない。三つ目の駅に到着しても二人は降車する様子はなく、どちらからか、それとも同じタイミングだったのか、舌打ちが響いた。
「いつ降りやがるんだ。電車に寄生すんじゃねーよ」
とうとう痺れを切らすかのように麻美が口を開いた。その言葉を聞いて日吉は溜め息を吐き捨てる。互いに顔を合わせることはないまま。
「寄生してませんし、そんなに俺と顔を合わせるのが嫌なら後から乗車して来たあなたが別の車両に移ればいいだけでしょう?」
「なんで私が動かなきゃいけないわけ? 後輩であるあんたがどっか行けよ。寄生菌が」
「菌じゃありません。何度言っても理解出来ないのは物覚えが悪いからなんです? そもそもいっつもそんなに突っかかってくるなんて俺に構ってほしくて仕方ないんですか、あんたは」
売り言葉に買い言葉。いつもならば止める人がいるだろうし、何ならわざわざ引き剥がす者もいるが、ここは部活内ではない。公共の場である。
周りに人がいないからということもあり、二人の言い合いはエスカレートする一方。さらに麻美にとってはカチンとくる返答があったため、彼女は後輩を睨んだ。
「誰があんたみたいなキノコに構ってほしいって言った!? 図々しいにも程があるだろ! 目障りなんだよ!」
「ならば何も口にせず関わらなければいいでしょう。こっちだって余計な苛立ちを抱えなくて済みますし」
「あんたが私の視界から消えないせいだろうが!」
「はぁ……堂々巡りだな」
面倒臭そうと言わんばかりに嘆息をこぼす生意気な後輩に麻美の苛立ちも増していく。何なら今ここで乱闘騒ぎを起こしてやろうかとも考える始末。
しかしそんなことをしてみたら騒ぎになり、跡部の耳に入るのは間違いない。おそらくちくちくと小言を言われるのは目に見えてるし、秋にも注意を受ける未来が見えてしまう。
しかも相手が部活仲間となればこれはまた面倒になりかねない。良くも悪くも注目される男子テニス部なのだから関係ない奴らがまた騒ぐだろう。
そう考えた麻美は後々の面倒を避けるため、ぐっと堪えながらも舌打ちをした。秋がその様子を見れば「麻美凄いよ。感情を抑えることが出来て偉いね!」と甘やかしのベタ褒め状態だっただろう。
そんな言い合いが止まった麻美に日吉は一瞬不思議そうな表情を見せるが、やっと静かになったと思ったのか軽く溜め息を吐いて彼も口を閉じた。
暫くしてから麻美は目的の駅に到着した。車内に響く到着アナウンスを聞いて席を立つと、視界の端に映る後輩も動きを見せる。なんと日吉も同じ駅で降りるようだ。
二つ隣にある扉の前で開くその時を待つ後輩を見て、麻美は心底嫌そうな顔をする。そうしている間にも電車のドアは開いた。
ホームに降り立つと、他の車両からも人がわらわらと降りてくる。何故自分達のいた車両がガラガラだったのかと思うくらいに。
けれど他の乗客の目的は麻美と一緒なのだろう。そう、初詣だ。ということは気に食わない後輩の目的も……と、彼女は察した。
「おい、もしかしてあんたも初詣に行くとか言うんじゃないよな?」
「もしかしなくともですけど。むしろそれ以外に何だと?」
「はぁ? ふざけんなよ。時間ずらして来い。目的地まであんたと一緒とか新年早々気が滅入るだろ」
「それはこっちの台詞ですよ。おみくじを引くまでもなく大凶なのが分かりますね」
「ハッ。ざまぁねぇな」
「あんただって大した運勢じゃないでしょうが」
「は? あんたよりはマシだけど」
「相変わらず根拠のない変な自信だけはあるんですね。正月だからおめでたいことで」
「よし、ぶっ飛ばす。やっぱあんたぶっ飛ばす」
結局電車を降りてから言い合いを再開させる二人。改札を出た所で麻美と待ち合わせていた秋の仲裁が入るまで互いを罵り合った。
氷帝学園男子テニス部には暗黙の了解のひとつとしてこんな決まりがある。
『赤宮麻美と日吉若を二人きりにさせてはいけない』だ。
何故なら二人は所謂犬猿の仲。顔を合わせば嫌みのひとつやふたつは当たり前。むしろそれで済むのなら可愛いもの。しかしそれで終わらないからこそ、彼らを同じ空間に二人だけにさせてはいけない。仲裁に入る者がいなくなるからだ。
下手をすれば罵り合いから暴力に発展する可能性も高いため、二人の言い合いを止める者がどうしても必要となる。
とはいえ、必ずそれが出来るというわけにもいかないのが、この世の摂理。
「……」
「……」
二人は出会ってしまったのだ。電車内にて。ただでさえ人の少ない元日の朝の時間、なんの因果かその車両は二人だけであった。
麻美は既に乗車していた日吉の顔を見て、眉間に皺を寄せた後、一番離れた場所に腰を下ろす。相手も同様の表情を見せたその後、視線を逸らした。
静かな車内。聞こえるのは電車の走行音だけ。元旦でなければ出勤ラッシュなどで人混みだっただろう。
暫くしてから二駅ほど到着するものの、人が乗ってくる気配もなければ、麻美も日吉も降りる気配はない。三つ目の駅に到着しても二人は降車する様子はなく、どちらからか、それとも同じタイミングだったのか、舌打ちが響いた。
「いつ降りやがるんだ。電車に寄生すんじゃねーよ」
とうとう痺れを切らすかのように麻美が口を開いた。その言葉を聞いて日吉は溜め息を吐き捨てる。互いに顔を合わせることはないまま。
「寄生してませんし、そんなに俺と顔を合わせるのが嫌なら後から乗車して来たあなたが別の車両に移ればいいだけでしょう?」
「なんで私が動かなきゃいけないわけ? 後輩であるあんたがどっか行けよ。寄生菌が」
「菌じゃありません。何度言っても理解出来ないのは物覚えが悪いからなんです? そもそもいっつもそんなに突っかかってくるなんて俺に構ってほしくて仕方ないんですか、あんたは」
売り言葉に買い言葉。いつもならば止める人がいるだろうし、何ならわざわざ引き剥がす者もいるが、ここは部活内ではない。公共の場である。
周りに人がいないからということもあり、二人の言い合いはエスカレートする一方。さらに麻美にとってはカチンとくる返答があったため、彼女は後輩を睨んだ。
「誰があんたみたいなキノコに構ってほしいって言った!? 図々しいにも程があるだろ! 目障りなんだよ!」
「ならば何も口にせず関わらなければいいでしょう。こっちだって余計な苛立ちを抱えなくて済みますし」
「あんたが私の視界から消えないせいだろうが!」
「はぁ……堂々巡りだな」
面倒臭そうと言わんばかりに嘆息をこぼす生意気な後輩に麻美の苛立ちも増していく。何なら今ここで乱闘騒ぎを起こしてやろうかとも考える始末。
しかしそんなことをしてみたら騒ぎになり、跡部の耳に入るのは間違いない。おそらくちくちくと小言を言われるのは目に見えてるし、秋にも注意を受ける未来が見えてしまう。
しかも相手が部活仲間となればこれはまた面倒になりかねない。良くも悪くも注目される男子テニス部なのだから関係ない奴らがまた騒ぐだろう。
そう考えた麻美は後々の面倒を避けるため、ぐっと堪えながらも舌打ちをした。秋がその様子を見れば「麻美凄いよ。感情を抑えることが出来て偉いね!」と甘やかしのベタ褒め状態だっただろう。
そんな言い合いが止まった麻美に日吉は一瞬不思議そうな表情を見せるが、やっと静かになったと思ったのか軽く溜め息を吐いて彼も口を閉じた。
暫くしてから麻美は目的の駅に到着した。車内に響く到着アナウンスを聞いて席を立つと、視界の端に映る後輩も動きを見せる。なんと日吉も同じ駅で降りるようだ。
二つ隣にある扉の前で開くその時を待つ後輩を見て、麻美は心底嫌そうな顔をする。そうしている間にも電車のドアは開いた。
ホームに降り立つと、他の車両からも人がわらわらと降りてくる。何故自分達のいた車両がガラガラだったのかと思うくらいに。
けれど他の乗客の目的は麻美と一緒なのだろう。そう、初詣だ。ということは気に食わない後輩の目的も……と、彼女は察した。
「おい、もしかしてあんたも初詣に行くとか言うんじゃないよな?」
「もしかしなくともですけど。むしろそれ以外に何だと?」
「はぁ? ふざけんなよ。時間ずらして来い。目的地まであんたと一緒とか新年早々気が滅入るだろ」
「それはこっちの台詞ですよ。おみくじを引くまでもなく大凶なのが分かりますね」
「ハッ。ざまぁねぇな」
「あんただって大した運勢じゃないでしょうが」
「は? あんたよりはマシだけど」
「相変わらず根拠のない変な自信だけはあるんですね。正月だからおめでたいことで」
「よし、ぶっ飛ばす。やっぱあんたぶっ飛ばす」
結局電車を降りてから言い合いを再開させる二人。改札を出た所で麻美と待ち合わせていた秋の仲裁が入るまで互いを罵り合った。