自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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手塚国光+九条秋(『今日の立海大附属』設定より)
国光とは従姉弟の関係なのだけど、親戚の集いでしか会うことはない。そして彼は真面目だけどなかなか表情には出ないタイプのため、何を考えているのか、喜怒哀楽を察することが難しい。
親戚なら国光が今どういう心理状態なのか分かるんじゃないかって何度か尋ねられたこともあるけど、もちろん分かるわけもなく。
そもそも彼に関して知らないことの方が多い。知り合い以上、友達未満のような関係とも言えるから。
言葉を交わしたことはもちろんある。それこそ親戚で集まる時くらいにだけど。けれど国光は表情が乏しいだけではなく口数もそこまで多くないので、いつも挨拶や近況を確認する程度。無駄なことを話さない……というか他愛ない話はしない感じかな。
あまり話すのが好きじゃないのかもしれない。そう思ってこちらも最低限の会話しかしないので、お互いのことはよく知らないまま中学三年生まで過ごしてきた。
こちらは神奈川、あちらは東京。遠くはないけど物凄く近いわけでもない。だから親戚の集いでしか顔を合わせないんだと思っていた。
「国光……?」
そんな中、横浜のクリスマスマーケットに訪れた私は見覚えのある顔を見て思わず口に出てしまった。
「? 秋か」
驚いて彼の名を口にしたため、相手も私の存在に気がついた。黙ってやり過ごす方が良かったかもしれないけど、もうお互いに認識してしまったため今更なかったことには出来ない。
「びっくりしちゃった……国光もクリスマスマーケットに?」
「あぁ、そんなところだ」
外でばったり会うなんてこと今までなかったので不思議な感覚だった。相変わらず言葉数は少ないけど、こんな偶然もあるものなんだね。確かに都内から来れないわけじゃないし。
しかし、肯定するだけの言葉に私から返す言葉は思いつかない。
「そうなんだね」
それしか言えなかった。あまりにも続く言葉が出なくて。
「……」
「……」
……何だか気まずい気がする。それはそうかも。話が終わったのなら早く解放してほしいのかもしれないし。こちらから話しかけたのなら私から切り上げるべきだ。
「えっと、邪魔してごめんね。私は行くから国光もゆっくり楽しんで━━」
「秋」
言葉を遮られ、思わず「えっ?」と返してしまう。彼から呼ばれることの方が少ないので珍しいことでもある。
「お前は一人なのか?」
「あ、うん。ちょうど買い物で近くに来たから寄ってみたの」
「そうか。しかしもうすぐ日も暮れる。一人は危ないのでお前の用事が終わるまで俺も付き合おう」
「えっ……ええっ!?」
まさかの申し出に驚きの声が漏れる。すぐにはしたないと思って口を押さえるが、そこまでの声量でなかったため、周りの注目を浴びるほどではなかった。
……でも、一人が危ないからってわざわざ国光が付き添う必要なんてないのに。それにまだ15時過ぎでもある。
「そんな、いいよ。国光は国光の用事があるでしょ? そこまで気にかけるほどのことじゃないから……」
「いや……俺は部活仲間と中華街のついでに寄っただけで、各々好きに動き回っているからな。俺としてもこれといった目的はないので用事があるわけでもない」
やんわりと断ったけど、彼は「そうか」で終わることはなかった。珍しく思うものの、部活のメンバーから仲間外れにされてるわけじゃないよね? と心配をしてしまう。
あまり仲が良いと言えるほどの関係じゃないからどうしようか悩んでしまったけど、国光が自らそう言ってくれるのならお願いするのもいいのかもしれない。少しは彼のことを知るいいきっかけになるだろう。そう考えて私は「それじゃあ……」と頷いた。
その後、一緒にクリスマスマーケットを回ることにしたけど、やはり会話はそう多くない。スノードームを見て「これ可愛いね」と言っても「そうだな」と答えるだけ。
それじゃあと思い「何か食べる?」と聞いても「中華街で食べたので結構だ。それに中途半端な時間なのでな」と断られてしまう。でもせっかく来たからと少し説得し、ホットチョコレートを共に飲んだ。
「……じゃあ、私そろそろ帰るね」
何だか疲れてしまった私は早く帰ろうと国光と別れることに決めた。
「ならば送ろう」
「えっ? でも国光は部活の人達が……」
「俺から伝えるので気にするな」
何故彼は今日に限ってこんなに関わろうとするのだろうか。そんなの悪いよ、家だって違うのにと告げても「大丈夫だ」とか「問題ない」とか言うので結局また私は折れてしまった。
不思議に思いながら帰宅した後、母から最近誘拐事件が起こったばかりなので送ってもらえて良かったと安心していたから、もしかしてそのことを知って心配をしてくれたのかなと考える。……何を考えているかまだ分からないけど、優しいことだけは改めて理解したそんな日だった。
国光とは従姉弟の関係なのだけど、親戚の集いでしか会うことはない。そして彼は真面目だけどなかなか表情には出ないタイプのため、何を考えているのか、喜怒哀楽を察することが難しい。
親戚なら国光が今どういう心理状態なのか分かるんじゃないかって何度か尋ねられたこともあるけど、もちろん分かるわけもなく。
そもそも彼に関して知らないことの方が多い。知り合い以上、友達未満のような関係とも言えるから。
言葉を交わしたことはもちろんある。それこそ親戚で集まる時くらいにだけど。けれど国光は表情が乏しいだけではなく口数もそこまで多くないので、いつも挨拶や近況を確認する程度。無駄なことを話さない……というか他愛ない話はしない感じかな。
あまり話すのが好きじゃないのかもしれない。そう思ってこちらも最低限の会話しかしないので、お互いのことはよく知らないまま中学三年生まで過ごしてきた。
こちらは神奈川、あちらは東京。遠くはないけど物凄く近いわけでもない。だから親戚の集いでしか顔を合わせないんだと思っていた。
「国光……?」
そんな中、横浜のクリスマスマーケットに訪れた私は見覚えのある顔を見て思わず口に出てしまった。
「? 秋か」
驚いて彼の名を口にしたため、相手も私の存在に気がついた。黙ってやり過ごす方が良かったかもしれないけど、もうお互いに認識してしまったため今更なかったことには出来ない。
「びっくりしちゃった……国光もクリスマスマーケットに?」
「あぁ、そんなところだ」
外でばったり会うなんてこと今までなかったので不思議な感覚だった。相変わらず言葉数は少ないけど、こんな偶然もあるものなんだね。確かに都内から来れないわけじゃないし。
しかし、肯定するだけの言葉に私から返す言葉は思いつかない。
「そうなんだね」
それしか言えなかった。あまりにも続く言葉が出なくて。
「……」
「……」
……何だか気まずい気がする。それはそうかも。話が終わったのなら早く解放してほしいのかもしれないし。こちらから話しかけたのなら私から切り上げるべきだ。
「えっと、邪魔してごめんね。私は行くから国光もゆっくり楽しんで━━」
「秋」
言葉を遮られ、思わず「えっ?」と返してしまう。彼から呼ばれることの方が少ないので珍しいことでもある。
「お前は一人なのか?」
「あ、うん。ちょうど買い物で近くに来たから寄ってみたの」
「そうか。しかしもうすぐ日も暮れる。一人は危ないのでお前の用事が終わるまで俺も付き合おう」
「えっ……ええっ!?」
まさかの申し出に驚きの声が漏れる。すぐにはしたないと思って口を押さえるが、そこまでの声量でなかったため、周りの注目を浴びるほどではなかった。
……でも、一人が危ないからってわざわざ国光が付き添う必要なんてないのに。それにまだ15時過ぎでもある。
「そんな、いいよ。国光は国光の用事があるでしょ? そこまで気にかけるほどのことじゃないから……」
「いや……俺は部活仲間と中華街のついでに寄っただけで、各々好きに動き回っているからな。俺としてもこれといった目的はないので用事があるわけでもない」
やんわりと断ったけど、彼は「そうか」で終わることはなかった。珍しく思うものの、部活のメンバーから仲間外れにされてるわけじゃないよね? と心配をしてしまう。
あまり仲が良いと言えるほどの関係じゃないからどうしようか悩んでしまったけど、国光が自らそう言ってくれるのならお願いするのもいいのかもしれない。少しは彼のことを知るいいきっかけになるだろう。そう考えて私は「それじゃあ……」と頷いた。
その後、一緒にクリスマスマーケットを回ることにしたけど、やはり会話はそう多くない。スノードームを見て「これ可愛いね」と言っても「そうだな」と答えるだけ。
それじゃあと思い「何か食べる?」と聞いても「中華街で食べたので結構だ。それに中途半端な時間なのでな」と断られてしまう。でもせっかく来たからと少し説得し、ホットチョコレートを共に飲んだ。
「……じゃあ、私そろそろ帰るね」
何だか疲れてしまった私は早く帰ろうと国光と別れることに決めた。
「ならば送ろう」
「えっ? でも国光は部活の人達が……」
「俺から伝えるので気にするな」
何故彼は今日に限ってこんなに関わろうとするのだろうか。そんなの悪いよ、家だって違うのにと告げても「大丈夫だ」とか「問題ない」とか言うので結局また私は折れてしまった。
不思議に思いながら帰宅した後、母から最近誘拐事件が起こったばかりなので送ってもらえて良かったと安心していたから、もしかしてそのことを知って心配をしてくれたのかなと考える。……何を考えているかまだ分からないけど、優しいことだけは改めて理解したそんな日だった。