自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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赤澤吉朗+赤宮麻美(『今日の立海大附属』設定より)
『今から料理をおすそ分けに行くからな!』
という吉朗から連絡があったのは大晦日の夕刻。向こうは東京だから少しばかりは距離があるのに唐突過ぎるだろと言ったが、既に家族には伝えているらしく予め決められていた予定とのことだ。なら早く言え。
どうやらこっちからも料理のおすそ分けをするらしい。まぁ、料理というかふるさと納税とかなんかで届いた蟹だけど。通りで多いなとは思ったがおすそ分け用も含まれてたのか。
そんなこんなで連絡して暫くした後、吉朗は鼻を赤くして家に来た。外は余程寒いようだ。だからなのか母の計らいで少し家で暖まるように提案されてしまう。面倒ではあるが、風邪をひかれても困るし、仕方なく家に上がることを許してやった。
「悪ぃな。上がらせてもらって」
リビングで休む吉朗が私にそう声をかける。いや、鼻垂れてんぞ。と返せば奴は慌ててティッシュで鼻をかんだ。
「まぁ、私の家だけど家主じゃないし、拒否権ないから好きにしろ」
「長居はしねぇから安心しなって」
「年末だし忙しいだろ」
「俺は別に、だな」
「こうして遣いを頼まれてるのにか?」
「ははっ。手伝い程度だって。両親は大変そうだけどな。お袋は掃除だ料理だって忙しないし、親父は仕事だし」
「あぁ、叔父さんはホテルマンだったな。年末年始大忙しだろう」
そうだ。こいつのとこの親父さんはホテルマンだから繁盛期でもある年末年始は働き詰めだったな。ホテルに休みなんてほとんどないものだし。
「そうそう。この前嘆いてたぜ。年末年始休みたいってよ」
「そりゃそうだろうな。クリスマスも忙しかったんだろ?」
「毎年な。あ、クリスマスと言えばうちの学校さ、毎年クリスマス礼拝してるんだよ」
クリスマス礼拝と聞いてそういえばこいつの学校はキリスト教の学校だったなと思い出す。正直、吉朗には似合わない系統の学校な気もするが、まぁ今更か。
「ハンドベルやったり、聖歌を歌ったりとスゲェんだけど、特に観月なんて毎年力入れるんだよな。今回だって賛美歌独唱したんだけど、自分の歌声を録音してお前にも聞かせたかったって言ってたし」
「なんで私に聞かせようとするんだよ」
「何でも心が清らかになるからとか?」
「まるで私の心が穢れてるみたいな言い方だな」
「そうとは言ってねぇって。お前のこと気に入ってるだけだと思うぜ」
なんでだよ。よく分からないんだけど。そう答えようとしたらうちの母親が吉朗のためにと汁粉を用意し、それを渡してきた。
それでしっかり身体を暖めるのよ、と声をかける母に向けて吉朗は邪気のない笑みで礼を言う。ほんと裏表ないというか、眩しい奴だ。
それからすぐに汁粉に手をつける吉朗をただ見てることになった。よく見りゃちゃんと餅まで入ってる。贅沢な。
……思えば、私が勝手にこいつとの関係を線引きしたから今まであまり関わることが少なかったけど、都大会に行かなけりゃこうなることもなかったか。
こいつの明るさは真似したいとは思わないがある意味尊敬は出来るがな。口にはしないけど。だからこそ避けようとしてたが。まぁ、慣れてしまえばなんてことない。それこそ遥と似たようなもんだし。
「そういえば蟹をくれるんだよな? 今夜は蟹鍋か?」
「あぁ、食うのが楽しみ」
「俺も楽しみになってきたなぁ」
「そっちは何をおすそ分けしてくれたんだ?」
「ローストビーフ」
「やばいな」
「蟹もやべぇけどな」
ははっと笑いながら汁粉を完食した吉朗は丁寧に手を合わせてご馳走様と呟き席から立ち上がった。
「じゃあ、そろそろ行くぜ。暖まったし、早く帰らねぇと怒られるかもだしな」
「あぁ、ご苦労だったな」
「これくらいどうってことねーよ。テニスで外に出まくってるしさ」
それもそうか。そう口にし、吉朗を玄関まで見送る。蟹の入った発泡スチロールの箱を抱えて「じゃ、良いお年を」と手を挙げて挨拶する奴に向けて簡単に返事をし、帰って行く吉朗の背中を見た後、すぐに扉を閉めた。
しかし何故か違和感が拭えない。何か気になる。何だろうな、これは。と、モヤモヤしながらリビングに戻るとすぐにその原因に気がついた。
吉朗が座ってた椅子のすぐ下にマフラーが落ちていたのだ。それを見て、帰る間際にマフラーをしていなかったことを思い出し、違和感の正体を理解した私は舌打ちをする。
「あんの、馬鹿っ!」
勢い良くマフラーを掴んで私はすぐに家を飛び出した。なんで私がここまでしなきゃならないんだよと苛立ちながら途中で見つけた吉朗の背中に向けてマフラーをぶん投げたのだった。
『今から料理をおすそ分けに行くからな!』
という吉朗から連絡があったのは大晦日の夕刻。向こうは東京だから少しばかりは距離があるのに唐突過ぎるだろと言ったが、既に家族には伝えているらしく予め決められていた予定とのことだ。なら早く言え。
どうやらこっちからも料理のおすそ分けをするらしい。まぁ、料理というかふるさと納税とかなんかで届いた蟹だけど。通りで多いなとは思ったがおすそ分け用も含まれてたのか。
そんなこんなで連絡して暫くした後、吉朗は鼻を赤くして家に来た。外は余程寒いようだ。だからなのか母の計らいで少し家で暖まるように提案されてしまう。面倒ではあるが、風邪をひかれても困るし、仕方なく家に上がることを許してやった。
「悪ぃな。上がらせてもらって」
リビングで休む吉朗が私にそう声をかける。いや、鼻垂れてんぞ。と返せば奴は慌ててティッシュで鼻をかんだ。
「まぁ、私の家だけど家主じゃないし、拒否権ないから好きにしろ」
「長居はしねぇから安心しなって」
「年末だし忙しいだろ」
「俺は別に、だな」
「こうして遣いを頼まれてるのにか?」
「ははっ。手伝い程度だって。両親は大変そうだけどな。お袋は掃除だ料理だって忙しないし、親父は仕事だし」
「あぁ、叔父さんはホテルマンだったな。年末年始大忙しだろう」
そうだ。こいつのとこの親父さんはホテルマンだから繁盛期でもある年末年始は働き詰めだったな。ホテルに休みなんてほとんどないものだし。
「そうそう。この前嘆いてたぜ。年末年始休みたいってよ」
「そりゃそうだろうな。クリスマスも忙しかったんだろ?」
「毎年な。あ、クリスマスと言えばうちの学校さ、毎年クリスマス礼拝してるんだよ」
クリスマス礼拝と聞いてそういえばこいつの学校はキリスト教の学校だったなと思い出す。正直、吉朗には似合わない系統の学校な気もするが、まぁ今更か。
「ハンドベルやったり、聖歌を歌ったりとスゲェんだけど、特に観月なんて毎年力入れるんだよな。今回だって賛美歌独唱したんだけど、自分の歌声を録音してお前にも聞かせたかったって言ってたし」
「なんで私に聞かせようとするんだよ」
「何でも心が清らかになるからとか?」
「まるで私の心が穢れてるみたいな言い方だな」
「そうとは言ってねぇって。お前のこと気に入ってるだけだと思うぜ」
なんでだよ。よく分からないんだけど。そう答えようとしたらうちの母親が吉朗のためにと汁粉を用意し、それを渡してきた。
それでしっかり身体を暖めるのよ、と声をかける母に向けて吉朗は邪気のない笑みで礼を言う。ほんと裏表ないというか、眩しい奴だ。
それからすぐに汁粉に手をつける吉朗をただ見てることになった。よく見りゃちゃんと餅まで入ってる。贅沢な。
……思えば、私が勝手にこいつとの関係を線引きしたから今まであまり関わることが少なかったけど、都大会に行かなけりゃこうなることもなかったか。
こいつの明るさは真似したいとは思わないがある意味尊敬は出来るがな。口にはしないけど。だからこそ避けようとしてたが。まぁ、慣れてしまえばなんてことない。それこそ遥と似たようなもんだし。
「そういえば蟹をくれるんだよな? 今夜は蟹鍋か?」
「あぁ、食うのが楽しみ」
「俺も楽しみになってきたなぁ」
「そっちは何をおすそ分けしてくれたんだ?」
「ローストビーフ」
「やばいな」
「蟹もやべぇけどな」
ははっと笑いながら汁粉を完食した吉朗は丁寧に手を合わせてご馳走様と呟き席から立ち上がった。
「じゃあ、そろそろ行くぜ。暖まったし、早く帰らねぇと怒られるかもだしな」
「あぁ、ご苦労だったな」
「これくらいどうってことねーよ。テニスで外に出まくってるしさ」
それもそうか。そう口にし、吉朗を玄関まで見送る。蟹の入った発泡スチロールの箱を抱えて「じゃ、良いお年を」と手を挙げて挨拶する奴に向けて簡単に返事をし、帰って行く吉朗の背中を見た後、すぐに扉を閉めた。
しかし何故か違和感が拭えない。何か気になる。何だろうな、これは。と、モヤモヤしながらリビングに戻るとすぐにその原因に気がついた。
吉朗が座ってた椅子のすぐ下にマフラーが落ちていたのだ。それを見て、帰る間際にマフラーをしていなかったことを思い出し、違和感の正体を理解した私は舌打ちをする。
「あんの、馬鹿っ!」
勢い良くマフラーを掴んで私はすぐに家を飛び出した。なんで私がここまでしなきゃならないんだよと苛立ちながら途中で見つけた吉朗の背中に向けてマフラーをぶん投げたのだった。