自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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幸村精市×九条秋(『今日の立海大附属』設定より)
「「幸村くんっ。Trick or Treat!」」
教室内に聞こえる秋定番の文言。そう、今日はハロウィンだ。仮装した子供が家を回ってお菓子を貰うイメージだけど、今ではお菓子を貰うための魔法の言葉のような感じかな。
そしてそんな魔法の言葉は俺にも向けられた。こんなこともあるかと思って用意していた小さな一粒のチョコレートをクラスの女子達に手渡す。彼女達は嬉しそうにチョコレートを手にし、微笑ましいほどキャッキャッと笑いながらそれを大事にしていた。
けれど俺の待ち人はなかなかこの魔法の言葉を使わない。それもそのはず、彼女は人から何か物を強請るような人でもなければ率先して悪戯をするような子ではないから。
待てども待てども彼女……九条さんはハロウィンに参加する言葉は言ってこない。すっかり放課後となってしまい、人が少なくなる教室の中で帰り支度する彼女を見てやっぱり来ないか、と察してまう。でもそれで終わるのはちょっと残念だ。
ならばと席を立ち、九条さんの元へ向かう。
「九条さん」
「幸村くん?」
どうしたの? と言わんばかりの表情の彼女に向けて例の言葉を口にする。
「Trick or Treat」
にっこりと笑って九条さんに告げた。彼女は驚くように目を丸くさせて、すぐに「あっ」と言葉の意味を理解する。
「ご、ごめんね、幸村くん! 私、あげられるお菓子は持ってなくて……」
あわあわと慌てる九条さんの反応がまた可愛いなと思ってしまう。もちろん彼女がお菓子を持ってないということは想定済み。
「そっか残念だなぁ。それじゃあ、ハロウィンの習わしでもあるから悪戯させてもらおうかな」
「えっ、悪戯……?」
「ハロウィンだからね。悪戯されたくないならお菓子を用意しなきゃ」
「お、お手柔らかに、お願いします」
受け入れてくれる彼女は律儀だなと思うと同時に悪い人に騙されないかなと心配にもなる。
「それじゃあ、目、瞑って」
「う、うん」
恐る恐る目を閉じてしまう九条さんの可愛さに思わず声が出てしまいそうになった。さすがにそんな失態を彼女に見せたくないので、目を閉じているとはいえ必死に自分の口元に手を当ててふるふると震えながら堪える。
「……幸村くん?」
「あぁ、ごめんごめん。準備をしてたから」
俺が何もしないことに不思議に思った九条さんが俺の名を呼ぶ。いけないいけないと思いながらそれとなく言い訳をする。
それを聞いてさらに不安を抱かせてしまったのか、彼女はびくりと反応を見せるのだからその愛らしさにまた悶絶してしまいそうになる。落ち着け、落ち着け幸村精市。
一度深呼吸をして、ゆっくりと九条さんの顔に近づいてみる。何をされるのかとドキドキして少し震える睫もずっと見ていたくなった。
「九条さん、するよ?」
「う、んっ」
俺の声が近くなったことでまた驚く九条さん。このまま唇に触れたいと思うものの、さすがに合意もなくそんなことをしてみたら酷い男というレッテルを貼られる。妹にも「お兄ちゃん最低っ」と言われかねない。
……うん。落ち着いた。俺のイメージも損なわれてしまったら大変だ。
暴走しなかった己に拍手したい気持ちで俺はハロウィン用に準備していたチョコレートの包み紙を開き、それを摘んで九条さんの唇に押し付けた。
「!?」
「口、開けて」
目を瞑ってるからひとつひとつの反応がとても面白い。そんな彼女は言われた通り口を開けてくれたのでそのままチョコを入れ込んだ。
「もう目を開けていいよ」
「ん……チョコレート?」
伏せられた目が開き、口の中の甘味を味わって尋ねてきた。そうだよ、と答えると彼女は小首を傾げる。
「これが……悪戯、なの?」
「そう。でもこれで終わりじゃないよ。まだチョコレートが残ってるし、俺が全部食べさせるからそれに付き合ってもらうまでが俺の悪戯だから」
「えっ、えっ!?」
戸惑う九条さんに再びチョコレートの包み紙を開き、もう一度彼女の口元へ近づけさせる。
「はい。九条さん、あーんして?」
「じ、自分で食べられるから……」
「それじゃあ、悪戯にならないでしょ?」
恥ずかしそうに視線を逸らし、両手を小さく挙げて遠慮するけど、もちろんそれで許すわけもないので俺はチョコを彼女の唇にくっつけた。
真っ赤になる九条さんは諦めたようにおずおずと口に飲み込んでいく。その様子がまた愛らしいものなので残り三粒ほど同じように続けたら、茹で上がるほどに赤くなる九条さんは「幸村くんの悪戯、強いよ……」と呟いたのだった。
「「幸村くんっ。Trick or Treat!」」
教室内に聞こえる秋定番の文言。そう、今日はハロウィンだ。仮装した子供が家を回ってお菓子を貰うイメージだけど、今ではお菓子を貰うための魔法の言葉のような感じかな。
そしてそんな魔法の言葉は俺にも向けられた。こんなこともあるかと思って用意していた小さな一粒のチョコレートをクラスの女子達に手渡す。彼女達は嬉しそうにチョコレートを手にし、微笑ましいほどキャッキャッと笑いながらそれを大事にしていた。
けれど俺の待ち人はなかなかこの魔法の言葉を使わない。それもそのはず、彼女は人から何か物を強請るような人でもなければ率先して悪戯をするような子ではないから。
待てども待てども彼女……九条さんはハロウィンに参加する言葉は言ってこない。すっかり放課後となってしまい、人が少なくなる教室の中で帰り支度する彼女を見てやっぱり来ないか、と察してまう。でもそれで終わるのはちょっと残念だ。
ならばと席を立ち、九条さんの元へ向かう。
「九条さん」
「幸村くん?」
どうしたの? と言わんばかりの表情の彼女に向けて例の言葉を口にする。
「Trick or Treat」
にっこりと笑って九条さんに告げた。彼女は驚くように目を丸くさせて、すぐに「あっ」と言葉の意味を理解する。
「ご、ごめんね、幸村くん! 私、あげられるお菓子は持ってなくて……」
あわあわと慌てる九条さんの反応がまた可愛いなと思ってしまう。もちろん彼女がお菓子を持ってないということは想定済み。
「そっか残念だなぁ。それじゃあ、ハロウィンの習わしでもあるから悪戯させてもらおうかな」
「えっ、悪戯……?」
「ハロウィンだからね。悪戯されたくないならお菓子を用意しなきゃ」
「お、お手柔らかに、お願いします」
受け入れてくれる彼女は律儀だなと思うと同時に悪い人に騙されないかなと心配にもなる。
「それじゃあ、目、瞑って」
「う、うん」
恐る恐る目を閉じてしまう九条さんの可愛さに思わず声が出てしまいそうになった。さすがにそんな失態を彼女に見せたくないので、目を閉じているとはいえ必死に自分の口元に手を当ててふるふると震えながら堪える。
「……幸村くん?」
「あぁ、ごめんごめん。準備をしてたから」
俺が何もしないことに不思議に思った九条さんが俺の名を呼ぶ。いけないいけないと思いながらそれとなく言い訳をする。
それを聞いてさらに不安を抱かせてしまったのか、彼女はびくりと反応を見せるのだからその愛らしさにまた悶絶してしまいそうになる。落ち着け、落ち着け幸村精市。
一度深呼吸をして、ゆっくりと九条さんの顔に近づいてみる。何をされるのかとドキドキして少し震える睫もずっと見ていたくなった。
「九条さん、するよ?」
「う、んっ」
俺の声が近くなったことでまた驚く九条さん。このまま唇に触れたいと思うものの、さすがに合意もなくそんなことをしてみたら酷い男というレッテルを貼られる。妹にも「お兄ちゃん最低っ」と言われかねない。
……うん。落ち着いた。俺のイメージも損なわれてしまったら大変だ。
暴走しなかった己に拍手したい気持ちで俺はハロウィン用に準備していたチョコレートの包み紙を開き、それを摘んで九条さんの唇に押し付けた。
「!?」
「口、開けて」
目を瞑ってるからひとつひとつの反応がとても面白い。そんな彼女は言われた通り口を開けてくれたのでそのままチョコを入れ込んだ。
「もう目を開けていいよ」
「ん……チョコレート?」
伏せられた目が開き、口の中の甘味を味わって尋ねてきた。そうだよ、と答えると彼女は小首を傾げる。
「これが……悪戯、なの?」
「そう。でもこれで終わりじゃないよ。まだチョコレートが残ってるし、俺が全部食べさせるからそれに付き合ってもらうまでが俺の悪戯だから」
「えっ、えっ!?」
戸惑う九条さんに再びチョコレートの包み紙を開き、もう一度彼女の口元へ近づけさせる。
「はい。九条さん、あーんして?」
「じ、自分で食べられるから……」
「それじゃあ、悪戯にならないでしょ?」
恥ずかしそうに視線を逸らし、両手を小さく挙げて遠慮するけど、もちろんそれで許すわけもないので俺はチョコを彼女の唇にくっつけた。
真っ赤になる九条さんは諦めたようにおずおずと口に飲み込んでいく。その様子がまた愛らしいものなので残り三粒ほど同じように続けたら、茹で上がるほどに赤くなる九条さんは「幸村くんの悪戯、強いよ……」と呟いたのだった。